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国政報告 / 質問主意書・答弁書

宮古島及び石垣島への自衛隊配備に関する質問主意書

平成二十八年十二月十三日提出 質問第六二号

宮古島及び石垣島への自衛隊配備に関する質問主意書

提出者:伊波洋一

参議院議長 伊 達 忠 一 殿

宮古島及び石垣島への自衛隊配備に関する質問主意書

一 防衛省の平成二十九年度予算概算要求に、石垣島の用地取得関連経費が含まれているか明らかにされたい。含まれている場合、その費目及び要求額を示されたい。

二 防衛省の平成二十九年度予算概算要求に、宮古島の用地取得関連経費が含まれているか明らかにされたい。含まれている場合、その費目及び要求額を示されたい。

三 前記二の要求額には、千代田カントリークラブ以外に陸自駐屯地又は分屯地を開設するための用地取得費は含まれているか明らかにされたい。

四 宮古島分屯基地(以下「分屯基地」という。)は、ジュネーヴ諸条約等の国際人道法に規定する軍事目標に当たるか。また、新たに千代田カントリークラブに自衛隊の駐屯地が開設された場合、同駐屯地はジュネーヴ諸条約等の国際人道法に規定する軍事目標に当たるか、政府の見解を明らかにされたい。

五 分屯基地の過去の建築確認申請において、地下階を申請したことはあるか、明らかにされたい。地下階の申請をしたことがある場合、その建築物の名称及び構造の詳細を明らかにされたい。

六 今後、分屯基地が周囲の水道水源に与える影響を精査するため、宮古島市地下水保全条例に基づく宮古島市地下水審議会による調査審議が必要であると宮古島市長が判断した場合、防衛省は同調査審議に協力する方針であるか、見解を示されたい。

七 前記六と同じく、千代田カントリークラブに開設を予定する駐屯地が周囲の水道水源に与える影響を精査するため、宮古島市地下水審議会による調査審議が必要であると宮古島市長が判断した場合、防衛省は同調査審議に協力する方針であるか、見解を示されたい。

八 宮古島市においては避難実施要領のパターンが作成されていない。さらに、国際法上軍事目標となりうる分屯基地と千代田カントリークラブに挟まれる野原部落と千代田部落の住民は弾道ミサイル等による攻撃を受ける可能性があり、その際、両部落の住民は避難が困難となりうる。このような状況のまま千代田カントリークラブへの陸自の配備が進められているが、政府は第百九十二回国会質問第九号への答弁書(内閣参質一九二第九号)の四から八までについてで、避難実施要領のパターンを作成していないこと自体が武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律(以下「国民保護法」という。)に違反するものではない旨答弁をしている。しかし、宮古島市が、住民保護のための避難実施要領のパターンを策定する見通しもない中、軍事目標となりうる施設の開設を受け入れることは、武力紛争時に文民を保護することにより武力紛争による被害をできる限り軽減することを目的とするジュネーヴ諸条約等の国際人道法の趣旨及び武力攻撃事態等における国民の生命等の保護等のための国・地方公共団体等の責務、避難等の措置を規定する国民保護法の趣旨に反すると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

九 第百九十二回国会質問第二四号への答弁書(内閣参質一九二第二四号)の十四についてでは、「水陸機動団の運用のための訓練には、V二二を使用することも想定される」という見解が示されたが、敵国の侵略阻止及び侵略された場合の奪回能力を向上させるための「水陸機動団の運用のための訓練」を、平時から島嶼部において行う必要があるということか、政府の認識を明らかにされたい。

十 前記九の訓練が必要であるとする場合、その訓練は、宮古島、石垣島、与那国島、奄美大島、沖縄本島のいずれかで実施することを想定しているのか、想定している場合、島名を具体的に明らかにされたい。

右質問する。

参議院議員伊波洋一君提出宮古島及び石垣島への自衛隊配備に関する質問に対する答弁書

平成二十八年十二月二十二日受領 答弁書第六二号

内閣参質一九二第六二号平成二十八年十二月二十二日

内閣総理大臣 安倍晋三

参議院議長 伊 達 忠 一 殿

伊波洋一君提出宮古島及び石垣島への自衛隊配備に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

参議院議員伊波洋一君提出宮古島及び石垣島への自衛隊配備に関する質問に対する答弁書

一について

防衛省としては、平成二十九年度概算要求において、石垣島への自衛隊の部隊の配置に係る用地取得のための経費は計上していない。

二及び三について

防衛省としては、平成二十九年度概算要求において、宮古島への自衛隊の部隊の配置に係る宿舎建設のための用地取得に関連する経費として、不動産購入費を計上しているが、その具体的な要求額を明らかにすることは、今後の交渉に影響を与えるおそれがあることからお答えを差し控えたい。また、お尋ねの「千代田カントリークラブ以外に陸自駐屯地又は分屯地を開設するための用地取得費」は、計上していない。

四について

千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書Ⅰ)(平成十六年条約第十二号)第五十二条2において、「軍事目標は、物については、その性質、位置、用途又は使用が軍事活動に効果的に資する物であってその全面的又は部分的な破壊、奪取又は無効化がその時点における状況において明確な軍事的利益をもたらすものに限る」と規定されており、何が同条2に規定される「軍事目標」に当たるのかについては、実際に武力紛争が生じた場合において、その時点における状況下で判断する必要があるものである。したがって、航空自衛隊宮古島分屯基地は実際に武力紛争が生じていない現時点において「軍事目標」に該当せず、また、お尋ねの「新たに千代田カントリークラブに自衛隊の駐屯地が開設された場合」については、「軍事目標」に当たるのかを一概にお答えすることは困難である。

五について

お尋ねの「建築確認申請」については、建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第十八条第二項の規定に基づく建築主事への通知のことであると考えられるが、航空自衛隊宮古島分屯基地において、過去、この規定に基づき通知を行った地下階を有する建築物の名称及び構造の詳細は、次のとおりである。

局舎A 鉄筋コンクリート造 地下二階 延べ面積約二千四百二十四平方メートル

六及び七について

お尋ねについては、仮定の質問であり、お答えを差し控えたい。

八について

御指摘の「ジュネーヴ諸条約等の国際人道法の趣旨及び・・・国民保護法の趣旨に反する」の意味するところが必ずしも明らかではないが、戦争犠牲者の保護に関する千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約(昭和二十八年条約第二十三号から第二十六号までをいう。)等の国際人道法は、武力紛争時において適用される国際法であって、人道的考慮に基づき、武力紛争の犠牲者を保護することによって武力紛争による被害をできる限り軽減することを目的としたものである。また、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律(平成十六年法律第百十二号)は、武力攻撃事態等において武力攻撃から国民の生命、身体及び財産を保護すること等を目的としたものである。

九及び十について

水陸機動団については、「中期防衛力整備計画(平成二十六年度~平成三十年度)」(平成二十五年十二月十七日閣議決定)において、島嶼への侵攻があった場合、速やかに上陸・奪回・確保するための本格的な水陸両用作戦能力を新たに整備するために新編することとされており、こうした任務を適切に遂行するために必要な訓練を行うこととなるが、実施場所を含め、その具体的な内容について、現時点でお答えすることは困難である。