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国政報告 / 議事録

外交防衛委員会(2016年10月20日)

2016.9.26~12.17 第192回臨時会

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伊波洋一君

沖縄の風の伊波洋一でございます。

稲田大臣が触れた北部訓練場のオスプレイパッドの建設問題について伺います。

政府は参院選直後から県外機動隊を数百名動員してヘリパッド建設を強行しているが、十月十八日、高江で複数の県外機動隊員が反対する市民に、ぼけ、土人がとか、黙れ、こら、シナ人などの差別発言を行い、昨日、沖縄県警も事実を確認いたしました。

先ほど稲田大臣は、土人、シナ人発言について不適当とおっしゃいましたが、事業者である防衛省の長として機動隊を監督する国家公安委員長に伝達すべきではないでしょうか、伺います。

国務大臣(稲田朋美君)

先ほど答弁申し上げましたように、大変不適切で残念な発言であり、このことは官房長官も申され、私も共有をしているところでございます。

警察官に関してはお答えする立場にありませんが、今委員御指摘のように、公安委員長にも私の思いは伝えたいと思います。

伊波洋一君

ありがとうございます。

沖縄の風は、沖縄県民に対する差別発言に強く抗議をいたします。現場の混乱は沖縄県の負担軽減を口実にオスプレイパッド建設を強行している防衛省の責任でもあり、県外機動隊の差別発言と防衛省が工事を強行する姿勢はつながっていると言わざるを得ません。

さて、九月十四日の閉会審査中で私から求めました日本環境管理基準に基づく北部訓練場に関する自然資源管理計画の作成、実行に当たっての米国との調整の有無、その日本側担当者、日時、内容については理事会協議の事項として扱っていただきました。理事各位の御尽力に改めて感謝をいたします。

十月十八日に、防衛省、環境省から回答をいただきました。資料として配付をしてございます。

JEGSには、「しかるべき日本政府当局との調整」と書かれているわけでありますけれども、米軍から問い合わせた窓口を教えてもらって、それを列挙しただけです。日時や内容も記載がなく、何よりも環境保全、特に自然資源及び絶滅危惧種の保護に向けた日本政府の意思が全く感じられません。皆さんのお手元には、国防総省の環境基準の十三章のその章がコピーとしては置いております。

一方、米国防総省は、自然資源保護プログラムで軍事施設内の絶滅危惧種、希少種を保護しております。私が国会図書館外交防衛課に調査を依頼した「米国における軍事施設内の自然保護について」を見ますと、ハワイの陸軍基地では、キツツキの保護のために射撃場の閉鎖や訓練場が移設されるなど、年間三億ドルの国防予算で軍事施設内部において環境を保護する仕組みができております。米軍は、国の内外を問わず絶滅危惧種の保護を義務付けられています。日本における基準がこの日本環境管理基準の十三章になっています。

防衛省は二〇〇七年、アセスを実施しました。北部訓練場の高江オスプレイパッド建設予定地には、四地区合計で、動物種で九十七種、植物種で百十種の希少種が確認されています。動物種の総数は二千種を超えます。この高江周辺の希少種保護のためのアセスを、米国務省やJEGSに規定された国防省環境司令官である在日米軍司令官に渡しましたか、防衛大臣に伺います。それはいつでしたか。

政府参考人(深山延暁君)

お答え申し上げます。

北部訓練場におけるヘリパッドの移設工事に関する環境影響評価図書の作成に当たりまして、その調査段階でありました平成十六年六月に在日米軍司令部に対して説明を行いました。また、その案を公表する直前である平成十七年十月に現地の在沖海兵隊司令部に対して内容を説明しております。JEGSによりますと、環境司令官というのはこの在日米軍司令官であると承知しておりますので、在日米軍司令部に対しても説明を行っておるところでございます。

このような機会を活用しまして、北部訓練場における返還計画の策定に際しては自然環境に与える影響が少なくなるように米軍と調整しまして、七つ移設するという当初予定を六つにとどめる、あるいはヘリパッドの直径を七十五メートルから四十五メートルに縮小するなどの対策も併せて講じたところでございます。

伊波洋一君

高江の調査で、沖縄の政府出先機関の関係者から、高江北部訓練場は米軍基地ですから法律は適用されませんとの答えがありました。政府内部にも国民の間にもこのような誤解があります。本当は米軍基地であっても国内法が適用されておりますし、米軍人個々、軍属にも基地の中にいても国内法が適用されております。

このように、今私説明しましたけれども、外務省に伺いますが、文化財保護法や種の保存法など、国内法は在日米軍基地内に適用が及ぶことを確認をしたいと思います。

政府参考人(森健良君)

お答えいたします。

在日米軍の施設・区域は日本の領域でございまして、施設・区域内においても我が国の法令は適用されると。ただし、その執行に当たっては、日米地位協定第三条によって、米国に与えられている管理権との調整が必要となると、これが法制でございます。

さらに、個人としての米軍人軍属、その家族の行動に対しては、施設・区域の内外を問わず、日米地位協定上適用除外が認められる場合を除き、我が国の法令が適用されるというふうに理解しております。

伊波洋一君

ただいま答弁のとおり、法律は適用されております。是非、政府内部においてもそのことをしっかり周知させていただくようお願いしたいと思います。

環境省は、資料のように、九月十五日、やんばる国立公園を指定し、二〇一八年の世界自然遺産登録を目指しています。北部訓練場はこれとモザイクのように接しておりまして、国立公園同等以上の豊かな自然環境が維持されています。アセスが想定した米軍ヘリは、この中にヘリパッドを造るときにどのような影響与えるかということを評価していますけれども、米軍ヘリとして評価をしています。米軍ヘリは八十デシベル台の騒音を出しますが、普天間を見ますと、MV22オスプレイの騒音は百デシベルです。さらに、低周波振動と強力な下向きの熱風が加わり、実際に運用されれば桁違いの環境破壊をもたらします。しかも、年内完成を目指して今現在強行されておりますオスプレイパッド建設工事では、防衛省の自主アセスも無視して四か所で同時に建設作業が行われ、多くの作業員が森に侵入し、二万四千本もの樹木を伐採するなど、想定をはるかに上回る環境負荷を生じています。オスプレイパッドの建設は、基地の固定化をもたらすだけではなく、豊かな自然環境を決定的に破壊するものであり、だからこそ多くの市民が抗議をしているのです。

アセスでは、オスプレイパッド建設四地区に動物種で九十七、植物種で百十種の希少種の生息が明らかになっています。資料で示しております。四地区の希少種の生息数は各地区とも、今米国内の各基地にある生息数、希少種の数は出ておりますけれども、報告されておりますけれども、その数よりもどの地域も多いんです、僅かな地区の中でですね。そのような地区をなぜこのように選定したのか。

資料にありますように、予定地の選定においては米軍運用上の要望が最優先をされております。先ほど報告があった環境の負荷はできるだけ低くするというのは、二つ造るという要求に対して一つ造った、七十五メートルのオスプレイパッドを造るという要求に対して四十五メートル造った。でも、造ることには変わりありません。そこに物すごい風圧、そして熱風のオスプレイを着陸をさせる、このようなことが運用した後は行われるわけです。まさに世界自然遺産級の自然を破壊することが行われていく。

私は、このようなオスプレイパッドを建設をしてそれを運用させる、供用させることはやはりできない、そんな思いがとても強いです。当時、なぜその協議ができなかったのか、JEGSにはそういう仕組みがあって、そういうところは選んではいけないということが明らかであると思いますけれども、外務大臣や防衛大臣に伺います。

現在のオスプレイパッド予定地四地区の見直しが必要です。早急に、環境原則、二〇〇〇年九月十一日に2プラス2で発表したこの環境原則の共同発表、そして現在のJEGS、このJEGSに基づいて、趣旨に沿って米軍と再協議すべきではないでしょうか。前回の九月十四日の委員会では、外務大臣は米側がJEGSに基づいてしっかり対応するよう働きかけていくと、このように答弁をいたしました。是非、この問題を再度見直していく、そういう思いはないか、伺います。

委員長(宇都隆史君)

まず、じゃ、深山地方協力局長。

政府参考人(深山延暁君)

繰り返しで恐縮でございますが、先生から御要求のありました、先ほど御紹介のありました資料にも記しましたとおり、このJEGSの策定過程においても、米側と我々は情報交換をいたしたところでございますし、また、今回のオスプレイ作成に当たりましては、もちろん、いわゆる自主アセスという位置付けではありますが、環境影響評価も行い、今申しましたように、当初計画からは見直しを行って環境負荷が軽くなるように設置しているところでございますので、私どもは十分環境を評価した、環境の影響も配慮した上で現在工事を行っていると考えております。

したがいまして、我々としましては、今の工事を整々と行いまして約四千ヘクタールの返還につなげたいと考えておるところでございます。

委員長(宇都隆史君)

外務省側、御答弁になりますか。

国務大臣(岸田文雄君)

このJEGSに関する取組については、二〇〇〇年の環境原則に関する共同発表において日米間で確認し、これまで継続して実施されてきていると承知しており、そして、このJEGSの発出及び維持については、昨年締結されました日米地位協定の環境補足協定において規定されています。そして、これの運用につきましては、今防衛省からありました具体的な取組の中でこれが、この基準が活用されていると認識をしております。

伊波洋一君

今防衛省は、アセスを在日米軍司令部に出したということですが、アセスはヘリでアセスされているんですよ、ヘリで。米軍ヘリでアセスされているんですよ、全て。防衛省はオスプレイを前提にしていないんですよ、そのアセスも含めて。

防衛省がオスプレイを配備すると言ったのは二〇一一年か一二年でしょう。それまでは全部ヘリでやっているんですよね。ヘリでやっていて、この全ての、二千ページに及ぶ資料ですけれども、全てヘリで評価をされております、ヘリで。ですから、アメリカの国内でも、皆さんの資料、お渡ししている米国内の資料にも書いてありますけれども、オスプレイについては動物や遺跡への影響を踏まえて訓練が禁止される措置がとられている、そういうことが事前アセスで、あそこのレビューで来ているんです。今の答弁では納得できないんです。

なぜかというと、皆さんがオスプレイでアセスをしているのならば、それはそれで通るでしょう。でも、実際にやったのはヘリのアセスですよ。ヘリのアセスをやって、どうしてオスプレイを持ってこれるんですか。ここは砂漠とかなんじゃないんですよ。今申し上げたように、二千の動物種がいる、そして希少種だけで百を超える希少種がある。そういうところにそういうアセスでオスプレイ配備してオッケーだということを日米で合意したというのでは、余りにも無責任じゃありませんか。答弁を願います。

政府参考人(深山延暁君)

お答え申し上げます。

当時の那覇防衛施設局が環境影響評価図書の案を作成した平成十八年二月の時点におきましては、米側よりオスプレイの沖縄への配備を含めた使用機種の変更の予定ということを確認しておりませんでしたので、当時の環境影響評価図書においてはオスプレイの使用に関わる検討は行っておりません。

その上で申し上げますと、この環境影響評価は、当時米軍が使用していたヘリコプターの中で騒音レベルが最も大きいCH53を対象機種としております。で、このほかに、CH53を対象としていたんですけれども、オスプレイの機種更新、オスプレイによって機種更新された元のヘリであるCH46、これと比較しましてもオスプレイの騒音はおおむね低くなっているということで、言わば、より騒音としては大きなCH53を対象としたということからこの環境影響評価をやり直すという必要はないのではないかと私どもは考えております。

ただ、自主的に行っているアセスではありますが、今後実施していくことを予定しております事後調査において、オスプレイ等の飛行運用を踏まえた騒音、植物、動物等の調査を実施することとしておりまして、これによりまして適切に対応できると我々は考えておるところでございます。

伊波洋一君

私はこの件については継続して話をしますけれども、今の答弁では納得できません。何といっても、普天間の周辺を見ればすぐ分かるんです。オスプレイ、CH53で九十まで行かない、八十台なのに、今は百超えるんですよ、その周辺の住宅で。いかに違うかということは現場で分かっています。ですから、今の発言では納得できない。もしそれをそのまましてアメリカ軍に運用させるということになると、アメリカ軍に罪を着せることになる。だから、アメリカ軍自身もこれは運用できないという判断をせざるを得ないと思うんです。実際のところ、これだけ希少種がいる中でオスプレイを運用させることはアメリカ自身もできないでしょう。

オスプレイ予定地には、沖縄の県鳥であり、JEGSの方でも絶滅危惧種として指定されている国の特別天然記念物ノグチゲラが生息しています。特にG、H地区には二十七か所のノグチゲラの営巣木があり、アセスで確認されています。ノグチゲラは沖縄本島のみに分布する一属一種の、この沖縄だけにしかないキツツキなんですね。地上に下りて餌を取るのが特徴で、現在の個体数は、平成九年の調査で三百二十から三百九十羽程度だと言われております。

このような絶滅危惧種に指定されているエリアについて、先ほど外務省が答弁したように、文化財保護法が適用されます。この文化財保護法の適用について、普天間へのオスプレイ配備後、二〇一三年から北部訓練場でオスプレイは飛び回っているんですけれども、バードストライクが五体起こりました。五羽が学校等に当たって亡くなっています。これは今までに、かつてないことなんですね。

環境省、文化庁、このようなノグチゲラの死亡事例とか異変を把握していると思いますが、あわせて、このような把握事例に対して県が調査をするということになればどのような支援ができるのか、答弁ください。

政府参考人(正田寛君)

御指摘ございました。お答え申し上げます。

環境省では、平成二十五年から二十七年にかけて発生した御指摘の計五羽のノグチゲラの死亡事例については承知しております。このうち、平成二十七年十一月に地元の学校にて救護され後に死亡した事例については、発見された際に東村の博物館からやんばる野生生物保護センターが連絡を受け、状況を把握したものでございます。また、その他の四羽の死亡事例につきましては、地元東村からの情報を得ているところでございます。

政府参考人(藤江陽子君)

文化庁といたしましては、今環境省さんの方からお答えいただきましたように、やはり五羽の滅失の報告を受けております。これは沖縄県の教育委員会を通じて状況を把握しているところでございます。

もう一点先生から御質問ございました、県が調査をするときの支援ということにつきましては、文化庁におきましては、地方公共団体が行う天然記念物に係る調査に要する経費を補助するための予算を計上しているところでございまして、各都道府県から相談があれば、その内容を精査の上、必要な支援を行っていくこととしております。

伊波洋一君

天然記念物の鳥というのは十種しかありません。日本全体で六百種ある鳥のうち、十種だけです。タンチョウヅルだとかそういうものと一緒なんです。だから、極めて貴重です。

この調査するに当たって、外務省はやはり、県がもしそれを求めれば、北部訓練場内に立ち入って調査することを米軍に対して求めてもらえるでしょうか。

政府参考人(森健良君)

 現時点においてそうした要望が出てきているわけではございませんので、あくまでも一般論として外務省の対応を申し上げますと、日本側の職員が在日米軍施設・区域に立ち入り、調査を行うという場合に、当該施設・区域を管理する米軍の同意を得て立入りを行うということでございますので、そうした立入りに関しまして協力を行ってきている事例はございます。

一般的な方針といたしましては、要望がございます場合には、必要な調査を実施できるように、その個別の事案の状況に応じて支援を行うということといたしているところでございます。

伊波洋一君

 まとめますが、残りの質問等についてはまた次回の委員会で継続していきたいと思います。