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国政報告 / 議事録

外交防衛委員会 閉会中審査(2016年9月14日)

2016.8.1~8.3 第191回臨時会

伊波洋一君

沖縄の風の伊波洋一です。

九日の北朝鮮の核実験については、米軍基地が集中する沖縄の県民も強い懸念を有しております。沖縄の風として、朝鮮半島の非核化を求める本抗議決議に賛成をいたします。

現在、世界では非核兵器条約の締結が進展し、既に南半球の全てが非核地帯となり、核兵器の使用が禁止されております。東南アジア諸国も同様です。唯一の被爆国である我が国も、朝鮮半島の非核化に合わせて非核兵器地帯にしなければなりません。

さて、今、沖縄では、貴重な自然に対する現実の脅威が迫っています。環境省はあした、九月十五日にやんばる国立公園を指定し、今後世界遺産登録を目指すわけでありますが、その傍らで政府は、参院選の翌日から警察機動隊数百名や自衛隊ヘリ二機も投入してオスプレイ訓練のためのヘリパッド建設を強行しています。非暴力で抗議をする市民に対する現場での機動隊の排除行為は、八十七歳の女性が五針を縫うけがを負うなど、目に余る過剰な警備が横行しています。

このような暴挙に対して、二〇〇七年以来、貴重な自然環境を守るために九年間も建設予定地で抗議の座込みを持続してきた地元住民に加えて、数百名規模での全県民的な抗議行動が沸き起こり、連日抗議行動が行われております。県民の民意を一切受け付けようとしない政府の姿勢に、県民の怒りは限界に達しつつあります。政府の強行策は県民の反対の前に決して成功することはありません。沖縄の風として強く抗議し、オスプレイパッド建設工事の即時中止を求めます。

建設工事が強行されている米軍北部訓練場は、やんばる国立公園と隣接しており、生物多様性や環境の希少性から国立公園地域と同等以上の価値を有しております。やんばる国立公園の特別保護区、第一種特別地域のほとんどが北部訓練場と接しており、四千種を超える多様な野生生物が生息し、固有種や絶滅危惧種を含む生物多様性に富んだ未来に残さなければならない貴重な自然環境です。

既に、オスプレイの普天間基地配備以降これまでに、高江集落の学校や住宅へのバードストライク等によりノグチゲラの死亡例も五件確認されました。特に、今、政府が建設工事を強行しようとしているG地区、H地区では、防衛局自主アセスにおいて絶滅危惧種ノグチゲラの営巣が二十九か所確認されています。

さて、米国連邦議会は、米軍の活動が絶滅危惧種の生息するような貴重な自然環境を海外において壊すことがないよう、一九九一会計年度国防授権法で国防省に義務付け、一九九六年から実施されています。我が国では日本環境管理基準が適用されています。

そのことを受けて、日米政府は、二〇〇〇年九月十一日に環境原則に関する共同発表に合意しました。同発表は、「環境保護及び安全のための在日米軍による取り組みは、日米の関連法令のうちより厳しい基準を選択するとの基本的考えの下で作成される日本環境管理基準(JEGS)に従って行われる。その結果、在日米軍の環境基準は、一般的に、日本の関連法令上の基準を満たし又は上回るものとなる。」と明言しています。

このJEGSの第十三章、自然資源及び絶滅危惧種の三の三では、「重要な陸地または水域をもつ軍施設は、しかるべき日本国政府当局との調整の後、自然資源管理計画を作成するものとする。」とし、三の四では、「しかるべき日本国政府当局との調整の後」に「調査」をしたり、「自然資源管理計画を実行する」と規定した上で、対象の絶滅危惧種としてヤンバルクイナやノグチゲラを明記しています。

防衛省と環境省に伺いますが、北部訓練場に関する自然資源管理計画の作成や実行に当たり、しかるべき日本国政府当局とは誰ですか。しかるべき日本国政府当局として、調整の有無、担当の役職名、日時、調整の具体的内容をお聞かせください。

国務大臣(稲田朋美君)

今、絶滅危惧種ノグチゲラの保護についてのお尋ねがございました。

北部訓練場のヘリコプター着陸帯の移設工事を実施するに当たって、自然環境の保全にできる限り配慮するとの観点から、事業者である防衛省として自主的な判断により環境影響評価を実施をいたしております。

御指摘のノグチゲラに関しては、この環境影響評価を踏まえた環境保全措置として、騒音による影響を回避するため、ノグチゲラ等の多くの鳥類を中心とした貴重な動物の繁殖期間である三から六月頃において土工事を避けるよう工事工程を調整することといたしております。

北部訓練場について、米軍が日本環境管理基準、JEGSに基づき自然資源管理計画を作成しているものと承知をいたしており、ノグチゲラに係る防衛省の工事工程と同様の趣旨が米側の計画に反映されているかどうか、防衛省としては日本側の工事の進め方について引き続き米軍とよく連携をしてまいりたいと考えております。

伊波洋一君

私が聞いておりますのは、窓口としての日本国政府当局、そして調整の有無、担当者、日時、内容でございます。今、防衛大臣がお答えしたのは日本としての取組と。この場合はあくまでJEGSに基づく日本としての米国との対応をどうしているかということを聞いておりますので、それを明確にお答えください。

国務大臣(稲田朋美君)

御指摘のしかるべき日本政府当局については、米軍が作成する自然資源管理計画の内容により様々な機関が想定されますが、一般的に在日米軍施設・区域における環境問題については、必要に応じ、日米合同委員会あるいは下部組織である環境分科委員会で協議されるものと認識しております。

伊波洋一君

一般的な話をしておりません。北部訓練場の当該、今、防衛省がヘリパッドを建設していることについて、それについて自主アセスで既にノグチゲラの生息を二十九巣確認をしている場所について、日本政府として絶滅危惧種に関する計画を米軍に求めた事実があるかどうか、そして協議をしたことがあるかどうかということを聞いているわけです。

一般的な答弁ではなく、現に起こっている、昨日も自衛隊ヘリ二機を投入したそのことについて聞いておりますので、お答えください。

国務大臣(稲田朋美君)

計画が作成された当時に適切に調整されたものと考えております。

伊波洋一君

その事実について、じゃ、お答えください。そして、当時に調整された事実があるならば、きちんと報告をしてください。

国務大臣(稲田朋美君)

しかるべき日本政府当局との調整の下、自然資源管理計画を作成すること等が規定されております。同規定を踏まえて、北部訓練場に関し、在日米軍は自然資源管理計画を作成しており、その作成に当たって日本側の関係当局との間で適切に調整されたものと認識をいたしております。

伊波洋一君

答えにはなっていません。

委員長、この北部訓練場について、JEGSに基づくしかるべき日本国政府当局としての調整の有無、そして担当者、日時、内容等を日本政府全体の責任において明らかにされるようお取り計らい願いたいと思います。

委員長(佐藤正久)

 理事会協議を求めますか。

伊波洋一君

 はい。

委員長(佐藤正久)

本件については、後刻理事会で協議をいたします。

伊波洋一君

外務大臣、今のお話を聞いていますと、この日米が2プラス2協議で高らかに宣言した環境原則の共同発表、こういうことが具体的には何も行われていない、このように思いますけれども、大臣としての御見解をお聞かせください。

国務大臣(岸田文雄)

日米地位協定に関しまして環境補足協定が合意されたわけでありますが、これは今までの地位協定の運用改善ではない、今までこの日米地位協定の歴史の中にないこれは具体的な一歩であると認識をしています。

是非、こうした取組等を通じて具体的な成果が出るよう関係者が努力を続けていかなければなりません。こうした取組自体は大変重要だと思います。是非、御指摘のような成果が出るよう努力を続けるべきであると考えます。

伊波洋一君

 大臣、私が質問しているのは日米地位協定や環境補足協定のことではありません。このJEGSは、米国連邦議会が米軍に課した課題なんです。その課題について日米との間の協議をすることになっていて、JEGSというものに細かく明確に規定されています。ですから、日米地位協定の問題とせず……

委員長(佐藤正久)

 質疑時間が終了しておりますので、質疑をおまとめください。

伊波洋一君

 きちんと対応していただきたいと思います。

委員長(佐藤正久)

 では、岸田外務大臣、簡潔に答弁をお願いします。

国務大臣(岸田文雄)

 我が国としましては、御指摘の点も含めて米側がJEGSに基づいてしっかりと対応するよう働きかけていく、これはあるべき姿として重要であると考えます。
是非、御指摘の点も含めて、米側にしっかりとした働きかけ、続けるべき課題であると考えます。