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国政報告 / 議事録

外交防衛委員会(2016年11月24日)

2016.9.26~12.17 第192回臨時会

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伊波洋一君

沖縄の風は、防衛省の職員の給与等に関する改正法案につきましては賛成の立場でございます。

前回に引き続き、沖縄米軍北部訓練場、オスプレイパッド建設工事について伺います。

天然記念物を含む希少な生物種の保護について、藤江文化財部長は防衛省のモニタリングを踏まえると繰り返していますが、〇七年アセスの水準と比較対照すると理解してよいのですね。その上で、〇七年アセスより天然記念物等の確認数が減っている場合には、文化庁は天然記念物保護の観点から北部訓練場の米軍への提供を断るなど改善を求める、そういう意思を持っていると理解してよいのですね。

防衛省、防衛大臣はいかがですか。

国務大臣(稲田朋美君)

北部訓練場のヘリパッドの移設工事、これは法的に環境影響評価を義務付けられているものではありませんが、防衛省として、自然環境の保全に最大限配慮する観点から自主的な判断で環境影響評価を実施しております。その環境影響評価で実施する事後調査においてオスプレイ等の運用を踏まえた騒音、植物、動物等の調査を実施することとしており、これにより適切に対応できるものと考えております。

実際に、この事後調査において、平成二十六年度のN4地区では、無障害物帯の縁から外側五十メートルの範囲内の調査を行いました。二つのヘリパッドが提供された後の時点において、森林内の植物種については、一つ目のヘリパッドの周辺では環境影響評価時の十九種から二十六種に、二つ目のヘリパッドの周辺では二十四種から二十七種にそれぞれ増加しております。森林内の気温、湿度についても異常な数値は示されておらず、オスプレイが運用された後も環境悪化の傾向は認められておりません。

また、沖縄防衛局はヘリパッドの工事中及び提供後の調査の結果について沖縄県教育委員会に報告することとしており、これまでに平成二十六年十二月と平成二十七年八月の二回、事後調査の報告書を用いて説明を行っていますが、特段の問題は指摘されていないところでございます。

いずれにいたしましても、防衛省としては引き続き事後調査を実施していきます。また、これにより環境影響の程度が著しいことが明らかになった場合には、その原因について専門家等の指導、助言を踏まえ検討し、関係機関と協議するとともに、今委員御指摘になったように米側に改善を申し入れるなど、適切な処置を講じていきたいと思っております。

政府参考人(藤江陽子君)

文化庁への御質問でございますが、文化庁といたしましては、必ずしも平成十九年の環境影響評価の結果との比較ということにこだわるものではございませんが、天然記念物に指定された動物の個体数の顕著な減少傾向が見られる場合には、沖縄県教育委員会及び関係省庁とも連携いたしまして、その減少原因ですとかあるいは保存対策のための調査を行うことなど、必要な対応を検討してまいります。

伊波洋一君

提供されているオスプレイパッド、完成したものは七年間のブランクがあります。二〇〇七年に調査をした後、その間工事が行われる段階で、いろんな形でずっと使われてこなかった経過もありますので、必ずしも今のことで問題が解決しているというふうには理解しておりません。

二〇一二年四月の「MV―22の普天間飛行場配備及び日本での運用に関する環境レビュー最終版」の生物資源に関する環境への影響の項目には、既存のヘリパッド周辺ではヤンバルクイナとカラスバトだけがオスプレイの影響を受ける可能性がある鳥として論じられています。

ノグチゲラに関しては、「この種は、最低でも林齢三十年以上で、直径が八インチ以上の木々がある広葉常緑樹林を好む。基本的に、既に枯れた、あるいは枯れかけの大きなシイの木に空洞を作り、巣を作る。餌をとったり巣を作ったりするのに古い森を好むので、着陸地点の近くに生息する可能性は低い。」と述べています。既存の着陸地点、ヘリパッド近くにはノグチゲラが既に生息していないので、ほとんど考慮しなくてもよいという扱いになっています。

一方、下降気流の生物資源への影響については、「森林の縁から五十フィート以内、あるいは、着陸地点から三百フィート以内の何もない区域で繁殖しているかねぐらにいる個体又は巣のみが下降気流の影響を受ける可能性がある」と結論付けています。このように、既存については既にノグチゲラが周辺にいないということを前提にしております。

森林の縁から五十フィート以内、すなわちヘリパッドの中心から半径百七十五フィート、約五十三メートルの範囲内に希少生物や天然記念物が存在しているかどうか確認をしていますか、防衛大臣。

国務大臣(稲田朋美君)

防衛省が自主的に実施している環境影響評価においては、ヘリパッド、無障害物帯とその周辺を含む地区ごとに動植物種の確認を行っており、貴重な動植物種も確認していたところですが、ヘリパッドの移設工事により影響があり得る貴重な動植物につきましては、工事を進めるに当たり、事前に移動、移植をしているところであります。

また、繰り返しになりますけれども、平成二十六年度のN4地区の事後調査においては、森林内の動物種については増加し、森林内気温や湿度についても異常な数値は示されておらず、オスプレイが運用された後も環境悪化の傾向は認められていないところでございます。

自主的に行っている環境影響評価で実施する事後評価において、オスプレイ等の運用を踏まえた騒音、植物、動物等の調査を実施し、これにより適切に対応できるものと考えております。

伊波洋一君

環境レビューを読んでみますと、防衛のアセスと米軍のオスプレイ運用のアセスは違うということが分かります。

今お配りしているアセスの資料ですけれども、一ページ目に普天間飛行場のアセスの資料がありますが、ここにあるのはクリアゾーンの指定です。普天間飛行場のクリアゾーン自体が住民地区に大きく張り出していますけれども、併せて、ヘリにもオスプレイにもクリアゾーンがあるということが示されています。そういう中で、次の次のページを見ますと、これが北部訓練場におけるオスプレイ、ヘリパッドの様子ですけれども、クリアゾーンらしき形で横に長くなっています。今は丸くしか造っていません、七十五メートルのですね。

米軍自身の安全基準によりますと、それぞれのところでクリアゾーンの確保が必要とされる可能性があります。そういうときに、北部訓練場のオスプレイパッドについても、皆さんが供用後にこのクリアゾーンや事故可能性ゾーンが設定される可能性があると考えますが、そのことについて防衛大臣としてはどのように考えているんでしょうか。

国務大臣(稲田朋美君)

オスプレイの普天間飛行場への配備に当たっては、平成二十四年四月に米軍が作成した環境レビューにおいて、委員が今御指摘のクリアゾーンに係る記述があることは承知をいたしております。普天間飛行場の一日も早い返還に向けて安全に留意しながら移設を進めていく次第であります。

他方、防衛省としては、その詳細までは把握していないことから、普天間飛行場以外に設置されている既存のヘリパッドにクリアゾーンが設定されているかについては承知はしておりません。また、北部訓練場については、米軍が作成した環境レビューにおいて、建設予定の着陸帯は着陸地点に直径百五十フィートの舗装表面があるもので、その周りには五十フィートのクリアゾーンがあると記述されており、現在行っているヘリパッドの移設工事において附帯施設として整備している無障害物帯を示しているものと思われますが、いずれにいたしましても、住宅地から十分な距離が取られていると承知しております。

伊波洋一君

これらのゾーンは今既存の北部訓練場の主要なヘリ着陸帯にあります。そうしますと、今私たちが議論している七十五メートルの範囲でその影響の問題について議論していますけれども、しかし、渡してしまえば、それは米軍がいかようにも広げていく可能性があります。このことについて我が国政府の対応は、やはり私たちの主権であると思うんですね、生物の保護はですね、それが十分に担保されていない。

そのことを指摘して、終わりたいと思います。