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国政報告 / 議事録

外交防衛委員会(2017年2月9日)

2017.1.20~6.18第193回常会

伊波洋一君

沖縄の風の伊波洋一です。私は沖縄選出の議員でございます。
今日は、本当に専門的なお話をいろいろ聞かせていただきまして、ありがとうございます。

実は昨日も国際経済・外交に関する調査会がありまして、多くの参考人の方からお話を伺ったんですけれども、先ほど来ありますように、この十四、五年間、大きくアメリカや欧米が中心になってきたと思いますが、この間にやはり今顕著に現れているのは新興国の台頭であり、またアジアの台頭であり、その中での欧米の地盤沈下、そういうアジアの台頭の中でも日本の地盤沈下が激しいということが指摘をされました。

向こう十五年、二〇三〇年までにどうなっていくかということも元財務官の榊原氏の方からもありましたけれども、既にもう購買力平価では二〇一四年に中国が世界第一の経済国になり、二〇三〇年にはアメリカ、インド、日本が二、三、四位、中国がトップという状況であると、こういうふうな指摘があります。二〇五〇年になりますと、中国、インド、アメリカに続いて、インドネシア、ブラジル、メキシコ、日本と続くと。こういう流れを考えますと、沖縄、日本の安全保障環境をやはりもうちょっと中長期的に考えなきゃいけないんじゃないかと。今、日本では、例えば普天間問題にしても、三十年掛けても解決していない、二十年もそのような状況で来ている。これから十五年というのは随分違う世界になっていくということを考えますと、その中で特に私は、今日はあんまり議論ないですけれども、お隣の中国との関係、とても大事ではないかと、このように思います。

RCEPの問題も指摘されましたけれども、アメリカなき状況で、RCEPは基本的に中国のイニシアチブで行われるのではないかと。そういう意味で、ドゥテルテ・フィリピン大統領が、要するに現状凍結といった形で南シナ問題を、それを中国がある程度のめば、この南シナ海を中心とするエリアのASEAN諸国にとってはほっと一息という形で大きく前進するのではないかと、こういう指摘もありました。

そういう中で、今沖縄の尖閣列島という問題が大きくとげになっていますけれども、岡本参考人に聞きますけれども、尖閣問題以外に中国と日本の間に問題はあるんでしょうか。

参考人(岡本行夫君)

それはたくさんあるわけでございますね。もう先生も御承知と思います。それは東シナ海のガス田の開発も、それから一番根っこには歴史問題があるわけであります。日本が戦争中に中国に遺棄した化学兵器の問題もまだ片付いておりませんし、案件は非常に多いと思います。その中でも一番重要なのが尖閣問題と、それから歴史問題だと思います。

伊波洋一君

今、日本の輸出、輸入合わせた最大は中国であると。また二万を超えるような企業が中国に進出をして、そういう意味では本当に日中間の貿易的な関係、しっかりしているわけですね。そういう中で、今南シナ海でそのドゥテルテ大統領のような現状凍結という提起を、例えば日本が中国に対して尖閣問題の現状凍結というものを提起をしながら、やはりこれから、今アジアの流れですから、その中で日本の役割をやはり持っていくことこそが重要ではないかなと思いました。

酒井参考人からもありましたように、もはや今外交不在のトランプ外交がこの四年間どういうことを私たちの周辺で起こすか分からない、台湾問題にしても含めて。いろんなことが、予測不能なことが起こっていく中で、やはりこれから大事なのは、今年は日中国交正常化四十五周年、来年は平和友好条約締結四十周年なんですけれども、今こそやはり日本が中国と向き合っていくべきではないかと思いますけれども、それに対して岡本参考人、先ほどの御発言の中では、西太平洋をかなり武力で支配するようなイメージなんですけれども、決して中国はそういう状況ではないのじゃないかと。つまり、国の中に多くの問題を抱えておりますので、そういうところで日本と中国との平和的な友好関係を築くことこそが今求められているのではないかと思いますが、どうでしょうか。

参考人(岡本行夫君)

伊波先生の御指摘のとおり、中国はいろいろな内政上の問題がございます。しかし、その対外的な進出の姿勢というのは変わっていないわけであります。南シナ海にしても既に七つの島に軍事施設を建設し、そして今一番問題になっているのはスカボロー環礁でありますけれども、ここに大きな滑走路を土砂を持ち込んで建設する可能性すら指摘されるわけであります。それを阻止しようとすれば一挙に緊張が高まる、そういう状況であります。

尖閣の現状維持というのは一見甘い言葉に聞こえるんでございますけれども、日本が二〇〇九年以前の、つまり中国の公船が、今のように接続海域へ軍艦が毎日のように来、領海にも公船が入るというような状況が出る以前の状況を現状と認識して、そこで凍結しようということならば私は日本は乗れると思うんですけれども、中国が言っているのは、要するに、今中国の公船が自由に日本の領海や接続海域に入っている、そのことを現状と捉えてそこで凍結しようということは、取りも直さず尖閣を共同管理しようということでありますから、これはやはり日本はとても乗れないと思います。ただ、全般的な日中関係の改善、これが非常に重要であることはもちろん先生の御指摘のとおりであります。

伊波洋一君

RCEPが要するに中国のイニシアチブで展開されるとなりますと、やはりここの安全保障環境も中国を含めた形で実現していくものと思われます。そういうことを含めて、渡邊参考人にお伺いしますけれども、TPPではなく、アメリカ抜きのRCEPの経済圏の確立というものがどういうことをもたらすだろうかということをお伺いしたいと思います。

参考人(渡邊頼純君)

どうも御質問ありがとうございます。

RCEPは、その元をたどりますと、これ日本提案でございます。二〇〇四年に東アジアのFTAをやるときに、イーストアジアのFTAというのを中国が二〇〇四年に提案いたしましたのはASEANプラス3、ASEANプラス日中韓でございます。その時点で日本は、ASEANプラス3であれば中国の存在が余りにも大き過ぎるというふうに考えまして、ASEANプラス3、排除することはしませんが、しかし、そこに更にインドでありますとか豪州、ニュージーランドという三つを加えてASEANプラス6を提案したのは日本なんですね。ですから、実はASEANプラス6イコールRCEPなんですが、そのRCEPを中国が非常に強いイニシアチブで引っ張っているというのは一種のイメージでありまして、実際には必ずしも中国が積極的にRCEPをリードしてきているということでは必ずしもないという事実もやはり押さえなければならないと思っております。

TPPとRCEPの関係なんですが、TPPが順調に進んでいきまして、めでたくTPPが発効しておりますと、RCEPもそれを追いかける形で前進をしてきたものと思われます。ただ、今TPPが残念ながらフェードアウエー、立ち消えになりつつありますので、そうなったときに、果たしてRCEP、とりわけその中にいる中国が、国営企業の問題も含めて構造改革をしていくインセンティブが中国国内にあるかどうかというのは大きなこれ疑問点でございます。TPPがあれば、そのTPPを見ながら、ある意味でTPPに触発されて中国の国内改革も進んだかもしれません。そして、そのためにRCEPを使うという、言わば外圧としてのRCEPをうまく使って中国の国内改革をしていくという、そういうシナリオをサポートしている中国の識者もいたわけですね。

ただ、今TPPがそういうような意味で立ち消えになったとすれば、そういう中国の中で、言わば抵抗勢力といいましょうか守旧派といいましょうか、そういうふうに今の体制でいいんだと思っている人たちがより声を大にすることになって、中国の中で改革を目指していた人々の力が弱くなってしまう可能性があります。そうなったときに果たして中国が本当にRCEPをリードしてくれるのかどうか、これは大きな疑問でございます。ですから、まさに日本はTPPの合意を念頭に置きつつRCEPをリードしていく、これはまさに日本に課せられた任務ではないかと思っております。

伊波洋一君

ありがとうございます。

木村先生、酒井先生には質問できないんですけれども、時間がなくて、本当は中国と日本人はうまくやっていけるだろうかという質問をしたかったんですけれども、どうも、また次の機会にさせてください。

ありがとうございました。