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国政報告 / 議事録

外交防衛委員会(2017年3月9日)

2017.1.20~6.18第193回常会

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伊波洋一君

 沖縄の風の伊波洋一です。

沖縄県民を含め日本国民の生命を危険にさらす北朝鮮の弾道ミサイル発射訓練に対し、沖縄の風として抗議の意思を表明いたします。

今国会でも、主に沖縄の関係する問題を取り上げてまいります。岸田外務大臣は所信で、「日中関係は最も重要な二国間関係の一つです。日中国交正常化四十五周年に当たる本年、戦略的互恵関係の下、様々な分野での対話、協力、交流を強化します。」と述べられました。私もそうすべきだと思います。

ところが、今、日中間には尖閣問題が大きな壁として立ちはだかっています。二〇一〇年の中国漁船衝突以降、二〇一二年の尖閣諸島国有化以来、中国公船による領海侵犯が続き、緊張関係が高まっています。二〇一四年の十一月のAPEC首脳会談に向けた日中関係の改善に向けた話合いで、尖閣に関して異なる見解を有していることを認識していることを含め、今後の基礎として四項目を確認いたしました。

そこで、外務大臣にお尋ねいたします。日中間の対話、協力、交流を進めていくためには、尖閣問題を現状凍結し、国有化は変えずに、二〇〇九年以前の状態に持っていくことが必要ではないでしょうか。岸田外務大臣の所見を伺います。

外務大臣(岸田文雄君)

二〇一四年十一月の四項目について御指摘がありました。東シナ海海域において近年緊張状態が生じていることについて異なる見解を有している、こういった認識が示されたものであります。

そして、尖閣について御指摘があったわけですが、尖閣諸島は歴史的にも国際法上も我が国固有の領土であり、現に、我が国は尖閣諸島を有効に支配しています。したがって、尖閣諸島をめぐる解決すべき領有権の問題は存在しない、これが我が国の立場であり、この立場は変わることはないと考えています。

そして、その上で、日中間には様々な課題はありますが、御指摘のように、日中関係、これは言うまでもなく最も重要な二国間関係の一つです。日中国交正常化四十五周年に当たる本年、戦略的互恵関係の考えの下に、様々な対話、協力、交流を強化していきたいと思います。関係改善に努めていきたいと思いますが、何よりもこの大切な二国間関係、安定した関係を維持することが重要であると考えます。

伊波洋一君

ありがとうございます。

来年は日中友好条約締結四十周年です。今年と来年を大切にして、日中友好の動きを是非つくり出していただきたいと思います。

次に、日米首脳会談では、二月十日の共同声明がございます。その中に、「辺野古崎地区及びこれに隣接する水域に普天間飛行場の代替施設を建設する」と、それと、また、「これは、普天間飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の解決策である。」と書かれています。

外務大臣に伺います。辺野古が唯一の解決策とされていますが、解決策の中には、現状の普天間飛行場の危険性の除去も含まれているのでしょうか。

外務大臣(岸田文雄君)

我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険性除去、この二つを考え合わせたときに、辺野古移設が唯一の解決策であるという考えを、御指摘のこの二月十日の首脳会談における共同声明において記載したわけであります。この共同声明の記載はこうした趣旨を踏まえたものであるということであります。

抑止力を維持しながら負担軽減を進めるため、在日米軍の再編をこれまでどおり進めていく考えであり、普天間飛行場の固定化、これは絶対に避けなければならない、こういった方針の下に、約二十年越しの懸案であります普天間飛行場の全面返還、実現するべく、引き続き全力で取り組んでいきたいと考えます。

伊波洋一君

抑止力のために沖縄県民が危険にさらされてはならないと思いますし、普天間飛行場の危険性をそのまま放置してはならないと思います。

仲井眞前知事は、普天間の五年以内の運用停止を求め、政府も県民に約束をしていたはずです。その後の菅官房長官は、五年以内は、一四年二月から五年をめどとすると。つまり、一九年二月頃までと明らかにしました。

そこで防衛省にお尋ねしますが、普天間の五年以内運用停止は履行されるでしょうか。

政府参考人(防衛省 前田哲君)

お答えいたします。

普天間飛行場の五年以内の運用停止につきましては、仲井眞前知事に対しまして辺野古移設に必要な埋立承認申請を行っている中で、平成二十五年十二月十七日、前知事から要望が出されまして、その後、前知事から埋立承認をいただいたわけでございます。

政府としては、埋立承認をいただいて工事を進める中で、特に移設までの間における普天間飛行場の危険性の除去、これを中心とした負担軽減が極めて重要な課題であるという認識の下で、平成二十六年二月、仲井眞前知事及び佐喜眞宜野湾市長の御要望に基づきまして普天間飛行場負担軽減推進会議、これを設置して、相手のあることではあるが、できることは全て行うという姿勢で沖縄の皆さんと協議を行ってきたわけであります。

このような経緯を踏まえますと、政府としては普天間飛行場の五年以内運用停止の実現については普天間飛行場の辺野古移設について地元の御協力が得られることが前提であると、このように認識をいたしてございます。

しかしながら、普天間飛行場の移設をめぐる状況は、知事が交代をされ、翁長知事が埋立承認を取り消したことによりまして政府と沖縄県との間で訴訟が起きるなど、当時と変化をいたしており、このような状況の中で五年以内の運用停止を実現することは容易ではないものであるというふうに認識をしてございます。

いずれにいたしましても、安倍政権といたしまして、普天間飛行場の固定化、これは絶対に避けなければならないという方針の下で、約二十年越しの懸案である普天間飛行場の全面返還、これを実現するため、引き続き全力で取り組む考えでございます。

伊波洋一君

翁長知事が協力しないから困難というようなことでは、できることは何でもやるというその所信には本当に反するのではないでしょうか。確かに沖縄県民が反対をしております。しかし、政府はまたこれを強行しております。私を含め多くの沖縄県民は辺野古新基地建設に断固反対であります。仮に政府が辺野古移設を強行するとしても、何年も普天間の危険な運用を放置することは許されないと考えております。

航空機や周辺住民の安全確保のために米連邦航空局の連邦航空規制では、民間、軍事にかかわらず飛行場の滑走路の両端から九百メートルをクリアゾーンとして土地利用を制限をしております。このようなことが実は普天間では行われていないということを御指摘しておきたいと思います。

国防総省指令第四千百六十五の五十七号を受けた〇八年十月九日の米海軍作戦部長指令一一〇一〇・三六C号における航空施設整合利用ゾーンプログラム、AICUZですけれども、の中でもクリアゾーンや事故可能性ゾーンが定められております。

私は、宜野湾市長時代に宜野湾市が入手した一九九二年普天間飛行場マスタープランで、米海兵隊は「Airfield clear zones have been established at MCAS Futenma.」と、つまり、クリアゾーンが実現されていると記述されていました。

一方、二〇一二年五月のMV22、普天間飛行場配備及び日本での運用に関する環境レビュー最終版で、クリアゾーンは全ての固定翼機使用滑走路にて必要、普天間飛行場について、基地外まで伸びるクリアゾーンは基地外にある居住区域や商業区域といった適合的でない地域も含んでいるようであると記述し、基準を満たしていないとしています。

防衛省に聞きますけれども、クリアゾーンの設置目的は何ですか。普天間飛行場にクリアゾーンは設置されていますか。

政府参考人(防衛省 深山延暁君)

米国連邦国法におきまして、クリアゾーンの設置に関する規定が存在することは承知いたしております。米国法であり、その詳細まで把握していないことから、確たることをお答えするのは困難でございますが、その上で申し上げますと、米軍は、飛行場滑走路の両端の最も事故の発生の危険が高いとされる区域についてクリアゾーンとして指定しているというものと承知いたしておるところでございます。

クリアゾーンにつきましては、事故の危険性、そしてまたその地域に航空の離着陸の障害となるものが設置されないためのものとした解説があることは承知しておりますが、肯定的なちょっと解釈を申し述べる立場にないことは御理解いただきたいと思います。

伊波洋一君

皆さんのお手元に資料を配付してございますが、米空軍関係資料によると、米空軍は一九七三年に、一九六八年から一九七二年までの滑走路から十海里以内で起こった大事故三百六十九件について分析を行い、その結果、七五%が滑走路上か滑走路周辺で発生していることが判明しました。このエリアを三つに区分して、一切の利用を禁ずるクリアゾーン、事故可能性ゾーンⅠ、Ⅱとしました。

最も事故が起きやすいクリアゾーンは、米連邦航空規則でも規制されています。配付している普天間飛行場マスタープランの図に示されている地域です。この図の中では、クリアゾーンが実現しているとされた普天間のクリアゾーンの中に、普天間第二小学校や新城児童館、上大謝名公民館など十八の公共施設があり、三千六百人の住民が居住し、日々航空機の墜落の危険にさらされています。普天間第二小学校は一九六九年から、南側住宅地は一九五〇年代からありました。明らかに普天間飛行場マスタープランは意図的に捏造されています。私はこれを二〇〇七年に入手をいたしましたが、それ以前、これは全て隠されていたわけです。

そこで、お尋ねします。
普天間に米連邦航空規則やAICUZ、適用されているのでしょうか。日本政府は、普天間飛行場の最も事故が起きやすいとされているクリアゾーン内に普天間第二小学校などの施設や三千六百人の住民が暮らしていることをどのように考えていますか。

政府参考人(防衛省 深山延暁君)

御指摘のとおり、例えば環境レビュー等に示されたそのクリアゾーンでカバーされているエリアに普天間第二小学校が入っていることは承知いたしております。
先ほど防衛政策局長から答弁があったところですが、普天間飛行場について最も大切なことは、住宅や学校に囲まれ市街地の真ん中にある飛行場を移設させるということであると考えておりまして、その固定化は絶対に避けなければならないと考えておるところでございます。

先ほど申し上げましたとおり、防衛省としては、普天間飛行場の一日も早い返還のために、辺野古移設事業を進めてまいりたいと考えておるところでございます。

伊波洋一君

常に固定化を避ける云々と言っていますけれども、二十年も返還合意からこのような危険な状況を放置しています。本当はもっと前からなんですけれども。なぜそういうことが起こっているのか含めて、国交省にも伺います。

普天間飛行場は航空法に基づく飛行場ではないと承知していますが、滑走路端の安全区域など、航空法に基づく安全規則は適用しないということですか。

政府参考人(国交省 松本大樹君)

お答えいたします。

航空法第三十八条第一項では、国土交通大臣以外の者が空港等を設置しようとするときには、国土交通大臣の許可を受けなければならないとしております。許可に当たっては、滑走路端安全区域の確保など、空港等の設置に係る基準に適合していることを求めております。

一方で、普天間飛行場などの合衆国軍隊が使用する飛行場については、日米地位協定等の実施に伴う航空法の特例に関する法律に基づき、航空法第三十八条第一項の規定が適用除外とされております。

この結果、合衆国軍隊が使用する飛行場については、同条に基づく許可を得ることは求められておらず、したがって、航空法における空港等の設置に係る基準は適用されないこととなります。

伊波洋一君

今答弁がありましたように、実は普天間飛行場には航空法上の安全基準が適用されておりません。皆さんのお手元の資料にもありますけれども、このような鉄塔が滑走路の真正面にあっても、日本の政府はこれに対して何らの規制をすることができないわけであります。

そういう形で危険性をさらし続けている普天間飛行場であります。立法事実として現実に航空機墜落の危険性が存在するにもかかわらず、普天間には航空法の適用がなく、それに基づく安全対策もされていません。現状は憲法違反の立法不作為状態だと言わざるを得ません。

二〇〇〇年九月十一日の日米環境原則に関する共同発表での、日米の目的は、米軍基地施設に隣接する地域住民の健康及び安全を確保すること、日米の関係法令のうち、より厳しい環境基準を選択するという約束が全く守られていません。

外務大臣も所信で、沖縄の負担軽減に全力で取り組む、防衛大臣も、沖縄の基地負担軽減のためにできることは全て行う、このように申しています。特に、米軍機の飛行安全は駐留の大前提と所信の中に表明いたしました。普天間飛行場の安全性の確保は、やはりこれは政府の責任です。

そこで、両大臣にお尋ねします。住民の安全確保のため、普天間飛行場を対象とした安全対策のための何らかの特別立法が必要ではないでしょうか。

国務大臣(岸田文雄君)

日本の国民の命や暮らしを守る、日本の安全保障にとって重要な在日米軍が安定的に駐留するためには、地元の皆様方の御理解、これを欠くことはできない、これは当然のことであると思います。そして、その地元の皆様方にとって最も大きな関心事は、平穏な生活、そして安全であるということ、これもしっかり認識しておかなければなりません。

そうした重要な安全という観点において何をするべきなのか。今委員の方から、特別立法が必要なのではないか、こういった御指摘がありましたが、こうした安全を確保する観点から何をするべきなのか、これは絶えず検討を続けていかなければならない課題であると思います。米国との協議も含めて、政府としてこの問題に是非しっかりと取り組んでいきたい、このように考えます。

防衛大臣(稲田朋美君)

普天間飛行場において最も重要なことは、市街地の真ん中にある、そして住宅や学校に囲まれたこの普天間飛行場の固定化、これは絶対に避けなければならないということでございます。

辺野古の移設により普天間飛行場は全面返還されることとなるわけでありますが、防衛省としては、普天間飛行場の一日も早い返還のため、昨年末の最高裁判決に従って移設事業を着実に進めてまいりたいと考えております。

伊波洋一君

まとめたいと思います。残りの方はまた引き続きやりますけれども。

普天間飛行場の返還合意は一九九六年十二月です。そのときに五年ないし七年以内の返還ということになりまして、最長でも二〇〇三年には返還されるはずだったんですね。私はその年に市長になりました。そのときに、あと九年すれば返還するからということで、絶対に短くするからと言いましたが、私は、やはり沖縄県民の反対がある以上、これは難しいと。今でも同様なんです。

ですから、辺野古移設とは切り離して、普天間飛行場の安全性を確保するということは国の義務だと思います。そのことについて、引き続き次回以降の委員会で質疑をしてまいりたいと思います。

ありがとうございました。