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国政報告 / 議事録

外交防衛委員会(2017年3月23日)

2017.1.20~6.18第193回常会

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伊波洋一君

沖縄の風の伊波洋一です。
普天間飛行場の危険性除去について伺います

三月九日の委員会質疑では、日米地位協定に伴う航空特例法により米軍飛行場には航空法第三十八条一項の適用がないことから、滑走路端安全区域、RESAを含む航空法上の安全基準が適用されないことが確認されました。では、なぜ普天間が飛行場として通用しているのか。

普天間飛行場が現在まで安全性を無視して使用されているのは、一九七二年五月十五日の沖縄返還で米軍統治時代に建設された基地をそのまま施設提供をする五・一五メモで使用目的を飛行場としたからではありませんか。それ以外の根拠はありますか。

政府参考人(防衛省 深山延暁君)

お答え申し上げます。

日米地位協定第二条1(a)によりますと、「合衆国は、相互協力及び安全保障条約第六条の規定に基づき、日本国内の施設及び区域の使用を許される。個個の施設及び区域に関する協定は、第二十五条に定める合同委員会を通じて両政府が締結しなければならない。」と規定しておりまして、かかる規定に基づき、我が国は米国に施設及び区域を提供しているところでございます。

普天間飛行場につきましては、御指摘の昭和四十七年五月十五日に開催された日米合同委員会において、日米地位協定二条1(a)の規定に従い、主目的を飛行場とするなどの条件により米軍による使用が許されるということが合意したものと認識しておりまして、この合意に基づきまして提供しているものでございます。

伊波洋一君

皆さんのお手元に五・一五メモのコピーがございますが、一九七二年五月十五日に沖縄県民は念願の日本復帰を果たしたわけでありますけれども、残念ながら基地はそのまま存続されました。それらの基地は、一つ一つが本来の米軍の基準やあるいは安全基準などが考慮されて造られているわけではありません。それが今日まで続いている。普天間飛行場はその最たるものであります。

米太平洋海兵隊司令部のインタビューや、あるいは総司令官ジェームズ・コンウェー大将の米連邦議会の証言で述べたように、沖縄では、民間地域の基地への侵害と、米側はそう言うわけですけれども、インクローチメントの問題が在沖海兵隊の運用上の制約となっており、それはグアム移転等への大きな理由の一つです。しかし、まだこうした実情が米連邦議会などにも正確には理解されていないようです。

クリアゾーンなど、米軍飛行場の基準違反も同様です。爆音訴訟でも違法性は認定され、賠償判決が出ています。例えば、昨年十一月十七日の普天間爆音訴訟判決では、これ自体住民の被害を完全に賠償するものとは言えませんが、総額二十四億円超の損害賠償が認められています。日米地位協定第十八条五項の(e)(1)によれば、賠償額の七五%は米側の負担割合です。

質問しますが、各種の米軍基地被害賠償の負担割合について米側に求償権を行使したことがありますか。あるとすれば、具体的に何について、いつどのような機会に求償したのでしょうか。もし、求償し賠償したことがないのであれば、地位協定が守られていない現状は問題だとは思いませんか。

外務大臣(岸田文雄君)

日米地位協定十八条における米軍基地被害賠償の負担の割合ですが、米軍機による騒音に係る訴訟に伴う賠償金の日米地位協定に基づく分担の在り方については、日本政府の立場と米国政府の立場が異なっていることから、妥結を見ていないというのが現状です。

この騒音における賠償についても、日本政府としては、米国政府に対し損害賠償の分担を求める立場で引き続き協議を重ねていきたいと思っていますが、日本政府としては、米国政府に対して騒音に係る訴訟に伴う損害賠償金の分担を求める立場でありますが、米側は、米軍の航空機は日本側から提供された施設・区域を使用して日米安保条約の目的達成のために所要の活動を行っているのであり、このような活動を通じて発生した騒音問題は、日米地位協定第十八条に基づき米側が賠償すべきものではない、こういった立場を取っていると承知をしております。騒音についてはこういった状況であります。

騒音以外の分野においては、この十八条が適用され求償が行われた、こういった実績はあると承知をしております。

伊波洋一君

一つでも具体的に求償を行った事例があれば、もし紹介いただけたらと思います。今提供できなければ、是非委員会にお願いしたいと思います。ありますか。

政府参考人(外務省 森健良君)

今手元にございます例としては、米軍人等による公務上の事故、これについて、地位協定第十八条五項及び民事特別法の規定によって、我が国が被害者からの賠償請求を受けて米国政府と協議の上で賠償金額を決定し、被害者の同意を得て賠償金の支払を行って、それに関しまして七五%を米側に求償している、こういう例があるところでございます。

伊波洋一君

求償している例と、実際に払われたということの例とは別ですか。払われたものがありますか。

政府参考人(防衛省 深山延暁君)

個別の事件名、事故名は手元にございませんが、日米地位協定十八条五に基づく米側からの償還額は手元にございまして、例えば平成二十七年度におきましては一億五千三百八十九万九千円の償還が米側から行われたという記録がございます。

○伊波洋一君 それでは、ここで委員長に求めたいと思いますが、これまでの事例について、是非、委員会に提出を願いたいと思います。

委員長(宇都隆史君)

ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議をいたします。

伊波洋一君

二〇〇四年八月十三日の沖縄国際大学への大型ヘリの墜落炎上事故は、本館ビルを含めて周辺に多くの被害を起こしました。奇跡的に住民の被害はありませんでしたが、日米は、その後、場周経路を設定して飛行を再開しました。防衛省の説明では、皆さんに配付しております資料のように、滑走路から七百五十メートル離れて高度三百三十メートルで旋回訓練を行うことで、万が一エンジンが停止してもヘリに備わっているオートローテーション機能により滑走路に戻ることができるとして、普天間飛行場と住宅地の境界に沿って設定されました。

ところが、海兵隊機は合意した場周経路をほとんど守りませんでした。私は当時、宜野湾市長のときに沖縄防衛局に航跡監視を要請し、二〇一〇年一月一日以来、沖縄防衛局が今日までレーダーを設置して常時監視をしており、毎年、月ごとの飛行航跡集約図を公表するようになりました。資料で示してあります。この調査結果から、海兵隊機が基地施設外の住宅密集地の上空を旋回飛行訓練等を行っていることが客観的に明らかになりました。

しかし、普天間飛行場周辺での海兵隊ヘリの場周経路から外れた飛行訓練が常態化しています。その飛行航跡を沖縄防衛局は全て把握しているはずです。普天間飛行場で海兵隊機の住宅地上空飛行が一向になくならないのは防衛省の怠慢ではないのでしょうか。なぜ海兵隊に日米合意の場周経路を守らせないのか。在沖海兵隊を含め、在日米軍司令部や米国務省に抗議したことはあるか、あるとすれば、具体的に日時と申出内容を説明してもらいたいと思います。

政府参考人(防衛省 深山延暁君)

場周経路について、まずお答えをいたしたいと思います。

普天間飛行場においては、進入及び出発経路を含む場周経路は、できる限り学校や病院を含む人口密集地域上空を避けるように設定されておるところでございます。
普天間飛行場周辺の住民の皆様から、設定されている場周経路をヘリコプターが遵守していないとの御指摘があることを踏まえ、また、委員からも、市長をお務めのときに御指摘があったというお話がございましたけれども、こうしたことを踏まえまして、防衛省としては、平成二十二年一月から普天間飛行場における飛行状況の調査を行っております。平成二十七年度を対象とした調査結果、これは既に公表いたしておりますが、確認したところ、我々から見ますと、おおむね設定されている場周経路に沿った航跡が見受けられたと評価しております。

一方、防衛省が公表している飛行経路図を見ると、場周経路が守られていないではないかという御指摘があることは承知しております。一般的に、ヘリコプターの飛行は、風向き、風速などの気象条件やバードストライクの回避等により大きく影響を受けるため、列車がレールの上を走るように飛行することは困難であって、飛行経路に差異が生じることを踏まえれば、おおむね設定された場周経路に沿った飛行であると私どもは認識しておるところでございます。

また、米側からは、引き続き場周経路を遵守し、地元に影響を及ぼす騒音の軽減対策を講じるように努めるとともに、搭乗員への継続的な教育を通じて、常に飛行の安全確保を優先するとの説明がなされております。

いずれにいたしましても、防衛省といたしましては、場周経路に沿った飛行を行うなど、普天間飛行場の周辺住民の皆様に与える影響を最小限にとどめるよう米側に求めてまいります。

伊波洋一君

配付した資料の十二と十三を見ると分かるんですけれども、飛行場の敷地とこの場周経路の位置というのは随分ずれているんですね。それで、一番最初の報告書は、今回の調査結果から、場周経路の飛行はおおむね守られていると、八割はそれを守っていないものにもそう書いてありますし、その次の報告では、非難がありましたので、今回の調査結果は米軍が報告書を守っていないということを示すものではないと考えられると、要するに、そういうふうに肯定をしております。

つまり、今も答弁は、おおむね守っていると。しかし、皆さん、おおむね守っているのがあの状態だったら、日本政府が一体何をしているのかと。米軍に対して本当に申入れはしていないということをお認めになるわけですね。

政府参考人(防衛省 深山延暁君)

先ほど御答弁申し上げましたように、この件については米側からの説明を受けておりますし、我々、場周経路を守るという申入れはこれまでも行ってきているところでございます。
具体的な日時は手元に今ございません。

伊波洋一君

やはり市民や県民が納得するような具体的な遵守を実現をしてもらいたいと、こう思います。このようなことが今の普天間飛行場の状況です。ですから、普天間飛行場での海兵隊機の住宅地上空飛行が一向になくならない、こういう状況があるということは是非理解していただきたい。

今は普天間飛行場の、市役所とか学校とか、その上を平気で飛ぶようになっています。宜野湾市役所はちょうど真ん中空いておりまして、もし平日にそこに落ちるようなことがあればとんでもない大惨事になります。そういう意味で、この今の状況を放置するわけにはいかないと、こういうふうに理解をしています。昨年十二月十三日にはオスプレイが墜落をいたしました。オスプレイ配備に伴う騒音被害や振動被害もそうですけれども、本当にまた、その飛ぶエリアの問題も大きくあります。是非、そこら辺のことに対して国の責任をしっかり持っていただきたい。

一九九六年三月の合同委員会で航空機騒音規制措置が普天間飛行場で合意されています。その中で、二十二時から六時まで、深夜の夜間飛行は禁止されています。しかし、現実には、現在二十二時以降も、二十三時までの飛行訓練、飛行が常態化しています。政府はこの実態を把握しながらも放置しているのが現状です。確かに運用の所要というのは認められていますけれども、その中でも、最小限に制限されるとか、あるいは司令官はできるだけ早く夜間の飛行訓練を終了させる努力を最大限に払うと、こういうことになっています。

その意味で、騒音規制措置に基づいて夜間飛行の制限を求める考えは政府にあるのでしょうか。

政府参考人(防衛省 深山延暁君)

お答え申し上げます。

夜間の騒音も含めまして、航空機による騒音は周辺住民の方々にとって大変深刻な問題であり、飛行場周辺の騒音軽減は重要な課題の一つであると認識しております。今委員から御指摘がありましたように、普天間飛行場における航空機騒音を規制する騒音規制基準、航空機騒音規制基準についても日米合同委員会で合意をしているところでございます。

防衛省としては、これまでも累次の機会に米側に対して、この騒音規制措置の遵守、そして土曜日、休日を始め年末年始、入学試験等、地元の重要な行事に配慮するよう申入れを行ってきているところでございます。また、防音対策につきましては、その一方で、住宅防音工事なども進めさせていただいているところでございます。

我々といたしましては、こうした各種措置、また米側についても引き続き申入れを行うことによりまして飛行場周辺の騒音を軽減しまして、周辺住民の方々の負担軽減が図られるよう努めてまいりたいと思っております。

伊波洋一君

オスプレイ配備以降、一層苦情が本当に何百にもなっています。ですから、決して今の対応のような形ではこれは解決できないと思います。

昨年、本委員会でも紹介しましたが、二〇一五年六月二十三日の朝日新聞のインタビューで元米駐日大使マイケル・アマコスト氏は、普天間で事故が起きたら日米関係に壊滅的な影響を及ぼすと述べ、十九年も解決できないなら沖縄から国外への移転を含めて難しい決断も必要だと提言をしました。

先日の日米首脳会談の共同声明のように、普天間の危険性除去の唯一の手段は辺野古移設の実現と言うだけで、何もせずに普天間飛行場周辺住民の墜落の危険性や激しい騒音被害など人権侵害が放置されている現状はおかしいことは明らかです。

米軍には、地位協定上、国内法の規制が直接適用されないとしても、二〇〇〇年九月十一日の環境原則に関する共同発表では、環境保護及び安全のための在日米軍による取組は日米の関連法令のうちより厳しい基準を選択するということが、確認しています。このことの重要性は、昨年の当委員会での外務大臣からも御確認いただいたところです。

普天間飛行場の米海兵隊に場周経路の合意、夜間飛行制限、低空飛行禁止などを遵守させ、違反した場合には通報して制裁を科す、あるいは再発防止について確認をするなど、具体的なメカニズムが必要だと考えますが、両大臣の御見解を伺います。

防衛大臣(稲田朋美君)

普天間飛行場については、日米安保体制を支える基盤として非常に重要な防衛施設である一方、市街地の真ん中に位置し、米軍機による航空機騒音については周辺住民の方々に多大な御負担をお掛けしていると認識をしております。

その上で申し上げれば、日米安保条約は、我が国の安全並びに極東の平和及び安全の維持に寄与するため、米軍の我が国への駐留を認めており、飛行訓練を含めた軍隊としての機能に属する諸活動を一般的に行うこと、前提といたしております。

飛行訓練について言えば、一般的に米軍が飛行訓練を通じてパイロットの技能の維持向上を図ることは即応態勢という軍隊の機能を維持する上で不可欠であり、日米安保条約の目的達成のためには重要です。ただし、米軍は全く自由に飛行訓練を行ってよいわけではなく、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動すべきことは言うまでもありません。

防衛省としては、これまでも外務省とも連携しつつ、米軍機の飛行訓練による地元住民への影響を最小限にとどめるよう米側に様々な機会を通じて申し入れてきているところであり、今後も引き続き適切に対応してまいります。

外務大臣(岸田文雄君)

まず、普天間飛行場、そして飛行訓練に対する我が国の基本的な考え方は今防衛大臣から答弁させていただいたとおりであります。

しかしながら、これも今防衛大臣の答弁の中にもありましたが、米軍は全く自由に飛行訓練を行ってよいわけではなく、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動すべきであるということ、これはもう言うまでもないことであります。

そして、委員の方から新たな具体的なメカニズムが必要ではないか、こういった御質問をいただいたわけですが、我が国としては、今言った認識に立ちながら、日米合同委員会合意など今の仕組みを最大限活用することによって米国側に我々の考え方を伝え、そして住民に対する配慮をしっかり求めていく、この努力が引き続き重要であると認識をしています。

是非、これを最大限、具体的に活用することによって結果を出せるよう引き続きまして努力を続けていきたい、このように考えます。

伊波洋一君

是非努力をしていただきたいと思います。

私たち沖縄県民は、辺野古新基地建設に反対すると同時に、普天間基地の危険性除去、安全対策、沖縄県と宜野湾市へ約束した二〇一九年二月を期限とする五年以内の運用停止を今後とも求めていくことを強調しまして、質問を終わります。