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国政報告 / 議事録

外交防衛委員会(2017年4月20日)

2017.1.20~6.18第193回常会

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伊波洋一君

沖縄の風の伊波洋一です。

議題となります三条約ですが、今や日常生活に欠くことができない情報技術製品、ITAと拡大ITAの貿易の合計額では、日本にとって中国が、輸出の二五・四%、輸入の一七・九%を占めています。また、Eコマースの進展に係る郵便に関する二条約に関して、越境ECにおける中国市場は、十一月十一日、独身の日の爆買いネット商戦でも日本製品のターゲットとしては大きな可能性を秘めており、沖縄県内企業も積極的に取り組んでいるところです。

一方で、四月十三日の防衛省統合幕僚監部の発表によりますと、二〇一六年度の航空自衛隊の緊急発進、スクランブルの回数は過去最高の千百六十八回、特に七割以上の八百五十一回が中国機に対するものであり、うち二十六件の事例について特異な飛行として公表しています。現場である那覇基地の緊張も高まっています。

防衛省に伺いますが、中国機に対するスクランブルが増加している要因や中国機の活動の目的をどのように分析していますか。また、中国機に関する特異な飛行として公表された二十六例には、尖閣諸島領空付近への飛行は含まれていますか。

政府参考人(防衛省 辰己昌良君)

お答えいたします。

平成二十八年度における緊急発進回数の合計は、航空自衛隊が緊急発進を開始した昭和三十三年以降最多の千百六十八回となっております。中国機に対する緊急発進回数はこのうち八百五十一回と、七割以上を占めています。これは、近年、中国軍用機の活動が活発化しており、我が国周辺空域における活動機数が増えております。また、東シナ海におきましては、その活動範囲が東方向、南方向に徐々に拡大しており、こういった活動機数の増加と活動範囲の漸進的拡大が中国機に対する緊急発進の増加につながっているというふうに考えております。

このような要因、背景としては、一般論として申し上げると、中国軍の航空戦力が近代化していること、それから東シナ海上空における情報収集、警戒監視を目的とした活動の拡大、活発化、さらにはより遠方の空域での訓練、こういったことと関連があると考えております。

中国機に関する特異な飛行として公表した事例は二十六事例でございまして、十八事例が沖縄本島と宮古島の間の上空を通過した案件、七件が対馬海峡の上空通過、一件が艦載ヘリが宮古島領空に近づいたということでございます。尖閣諸島領空付近の飛行を理由として公表したものはございません。

伊波洋一君

お手元に資料も提示をしてございますが、緊急発進の対象となったロシア機及び中国機の飛行パターン例を見ると、二十八年度中に尖閣に接近したのはロシア軍機であり、中国機の飛行は尖閣までは及ばないコースでの訓練であり、挑発的な意図は希薄なようにも思われます。

しかし、米国では、米国議会の委員会や議会調査局の報告などでも、尖閣問題など日中間の衝突に米国が巻き込まれるリスクを懸念する議論が繰り返されています。現場が緊張関係にあるからこそ、軍事危機管理メカニズム、信頼醸成措置の構築を急がなければなりません。

米国と中国との間では、既に様々なレベルで危機管理メカニズム、信頼醸成措置が構築されています。平成二十八年度版の防衛白書においても報告されていますが、二〇〇八年に国防当局者間のホットラインを開設し、一一年には戦略安保対話が創設され、以降、毎年の開催、そして一四年には環太平洋合同演習、リムパックにも中国海軍が初参加し、一四年と一五年には米中間の意図せぬ衝突のリスクを低減するための信頼醸成措置が合意されています。

日本と中国の間で危機管理メカニズム、信頼醸成措置の整備は今どうなっていますか、防衛省。

政府参考人(防衛省 岡真臣君)

お答え申し上げます。

危機管理メカニズム、信頼醸成措置の状況ということでございますけれども、日中間におきましては、日中防衛当局間の海空連絡メカニズムというものにつきまして協議を行っているところでございます。このメカニズムにつきましては、日中防衛当局間で定期会合の開催であるとかホットラインの設置であるとか、あるいは艦艇、航空機間の直接通信の三点で構成するということで一致をしておりまして、その具体的内容について中国側との協議を継続しているところでございます。

伊波洋一君

この進展がなかなか目に見える形でないというのが現状ではないのかなという感じがしております。私は、やはり現在スクランブルの回数が極めて多くなっていること等を踏まえれば、このことを早く実現することはとても大事ではないかと思います。

防衛省にもう一度伺いますけれども、このような海空連絡メカニズムが機能していけば、今の発進回数であるようなスクランブルというものに対しては何らかの緊張緩和の効果も期待されると考えていいんでしょうか。

政府参考人(防衛省 岡真臣君)

いわゆるスクランブルとの関係で申し上げますと、これは相手国の航空機の状況を確認して、必要に応じてその行動を監視しということで緊急発進をするわけでございまして、例えば回数ということにつきましては、他国の航空機がどのような行動を取るかに左右されるということでありまして、予見することはなかなか困難な面があろうかというふうには考えております。

ただ、いずれにいたしましても、日中防衛当局間の海空連絡メカニズムの早期運用開始ということは、不測の衝突を回避するとともに、信頼醸成を図る上で重要であると考えておりまして、その実現に向けて引き続き努力してまいりたいと考えているところでございます。

伊波洋一君

報道などを通してみますと、防衛省が発表している以上にこの緊張が高まる事例があり得るというふうな報道もされております。そういうことをやはり私たちは放置はできないと思います。
外務大臣は、この間、日中関係は最も重要な二国関係の一つと繰り返しておられます。伺いますが、現場任せにせず、やはり政治がリーダーシップを発揮すべきと考えますが、外務大臣の見解をお伺いいたします。

外務大臣(岸田文雄君)

日中関係につきましては、隣国ゆえに難しい課題もありますが、戦略的互恵関係に基づいて大局的な観点から関係を改善させていきたいと考えています。同時に、スクランブル回数の急増等に見られるように、双方の艦艇、航空機が遭遇する機会増えています。一般に、誤算を避けるためには相手との意思疎通を確保し、行動や意図についての相互理解を高めることが重要です。こういった観点から、日中防衛当局間の海空連絡メカニズムを含め、当局間の意思疎通の枠組み構築、これ重要であり、早期運用開始に向け努力しているところであります。

海空連絡メカニズムについては、昨年九月の日中首脳会談において協議を加速することで一致をしています。また、外相レベルにおいても、昨年八月の日中外相会談において王毅外交部長との間で早期運用開始の重要性について確認をしているところです。是非引き続き早期の運用開始に向け努力していきたい、このように考えます。

伊波洋一君

ありがとうございます。
日本にとって中国の軍事活動は大きな問題ですけれども、同時に、中国との経済関係も極めて重要です。既に日中貿易は日米貿易の一・五倍になろうとしており、ASEAN各国との貿易も米国に匹敵するものであります。やはり、今後の日本の発展にとって中国やASEAN各国との経済関係はとても重要です。その意味でも、この地域の平和を実現することが今極めて重要だと、このように考えます。
やはり、私たちはこれまでの日本のこの七十年に及ぶ発展、そしてまたこれからの発展にとって、ここの場で緊張をつくり、そしてそこに万が一でも戦争が起こってはならないと、このように考えます。安全保障はいざというときの備えでなければなりませんが、同時に、平時の平和の実現の中で周辺諸国との経済発展、あるいはその様々な交流が実現することが一番大事だと思います。

日本の発展にとって、政治の責任で不測の事態をコントロールするメカニズムを整備することは緊急の課題です。海空連絡メカニズムの早期構築を求めて、質問を終わります。
以上です。ありがとうございました。