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国政報告 / 議事録

外交防衛委員会(2017年4月25日)

2017.1.20~6.18第193回常会

伊波洋一君

沖縄の風の伊波洋一です。

質問に入る前に、本日午前中に辺野古で作業員が砕石をクレーン車で海中に投下したと報道されています。今後、石材を海中に積み上げて埋立区域を囲う護岸を造り、埋立てを開始しようとするものです。県民の民意を無視して工事を強行することに対し、沖縄の風として強く抗議をいたします。

翁長沖縄県知事は、あらゆる手法で工事を阻止すると表明しています。辺野古の埋立ては、沖縄県の権限に基づく今後の手続上の許可や同意と、名護市長の同様の同意を得ることができなければ完成させることができないことは明白です。

〔委員長退席、理事堀井巌君着席〕

一九九七年以来、名護市現地では二十年にわたって辺野古への普天間代替施設に反対する取組が粘り強く続いてきました。一九九七年当時の代替施設は、海底をできるだけ変えないような、撤去可能な海上ヘリポートでしたが、ジュゴンも生息する貴重な藻場やサンゴの保護を求めて世界的な環境団体を含めて反対の声を上げてきました。その後、一九九八年末に、知事選で当選した新県知事が提案し、当時名護市長も同意した、辺野古沿岸から二キロメートル離れた海上への軍民共用飛行場と変更されましたが、結局、県民の反対で二〇〇四年までに頓挫しました。

〔理事堀井巌君退席、委員長着席〕

アメリカは世界的な米軍再編を進める中で、二〇〇六年に、沖縄の海兵隊八千人とその家族九千人をグアムへ移転させることを日米で合意し、普天間代替施設について、キャンプ・シュワブ沿岸を大きく埋め立て、V字形の二滑走路や弾薬装填場、強襲揚陸艦の接岸岸壁を含めた巨大な最前線基地として辺野古新基地を建設することを日米合意しました。

この新たな計画は、県知事も名護市も同意をしていません、その当時の。その後、辺野古への新基地建設に対する反対は続き、二〇一〇年に誕生した稲嶺名護市長は、海にも陸にも新たな基地は造らせないと公約しています。二〇一四年に誕生した翁長県知事も、あらゆる手法で工事を阻止すると公約しています。まさに沖縄県民挙げて反対しているのが辺野古新基地建設です。

このような沖縄県民の民意を押し潰してでも建設しようとしているのが、二〇一二年に誕生した安倍政権であります。辺野古移設の原点は普天間飛行場の危険性除去だと、本日、防衛大臣も繰り返しているようですが、いつできるか分からないような辺野古新基地建設を宜野湾市民の危険性の除去の唯一の解決策とするのは、沖縄差別にほかなりません。

一方、配付しているウィキリークスが明らかにした二〇〇九年十月十五日の米駐日ルース大使の極秘公電によると、辺野古新基地建設の目的は中国との戦争のために必要だと説明しています。エアシーバトル構想のことです。

しかし、今日までに米国は中国との戦争をすることを断念をしており、この辺野古新基地建設も必要なくなっていることは明らかです。このような辺野古新基地建設をすることは、中国に対する敵対的意図を示すことにもなりかねません。日本政府としても断念をするべきです。

沖縄からグアムへの海兵隊の移転は、二〇〇九年二月に締結されたグアム移転協定では、グアムへの沖縄海兵隊の移転が抑止力を強化すると日米両国が認識すると明記されています。沖縄からグアムへの移転は、二〇一〇年最終環境影響評価書で書かれているように、第三海兵遠征軍の実戦部隊と司令部が全体として移転するものであり、訓練と演習が十分できる態勢となることで抑止力を強化することにつながると理解できます。

しかし、米上院とグアム住民が反対し、グアムへの最小限の常駐とローテーションを含む四千人の移転になりました。それでは沖縄に戻るのかというとそうではなくて、ハワイ、米本土、オーストラリアに千名増えて五千名が移転することが二〇一二年に合意されました。ハワイ、米本土、グアムに移り、同時に家族も同様に移り、グアム、ハワイ、オーストラリア、沖縄にMAGTFが配置されるということになります。

このような状況の中で今まさに造ろうとしていることは、日本全体が本来の基地のありよう、これを全く無視するものだと思います。私もこの委員会で何度も指摘をしておりますが、グアムに今一千五百一億円を掛けて日本政府の予算で演習場や施設が造られる中、なぜ新たな新基地建設が必要なのか。そして、この新基地建設は大きな海を埋め立てて、そして海洋生物を壊します。このような中で行われていることに対して、これまでもですけれども、これからも沖縄の県民は反対をするでしょう。これが今の計画でも九・五年かかると言われておりますけれども、何十年後、何年後に一体でき上がってくるのか。

既にアメリカは、このグアム移転と辺野古新基地建設を切り離しました。どうしてかというと、グアム移転は緊急の課題であって、それを実現するためです。二〇二〇年までに米国連邦議会に対してはこれを実現すると、このように報告しています。

私たちは、やはり今日なされたようなことに関しては、沖縄県民としてこれは継続して反対をしていく。そして、そのような意図はやはり断念されなければならないと、こういうことを申し上げて、質問に入っていきたいと思います。

北朝鮮の核・ミサイル開発に対し、米トランプ政権が全ての選択肢がテーブル上にあると先制攻撃を示唆したことで緊張が高まっています。抑止力の名の下に造られた米軍基地が攻撃を引き寄せるという沖縄県民の懸念が現実化しようとしています。

国民保護法により、国は自治体に対し避難実施要領や避難実施、そのパターンを作成させていますが、避難実施要領は武力攻撃事態が発生して初めて定められるものであり、事前に作成される避難実施要領のパターンも必ずしも県内の基地に隣り合わせて暮らす住民保護の実効性は確保されておりません。予算措置もできていません。

このような中で、かつて沖縄戦で米軍が上陸してから住民に指示が出され南部へ避難が行われるなど、このような悲惨な歴史が繰り返されるということが大きく懸念されています。

質問です。結局、基地と隣り合わせの沖縄県民の保護は、沖縄戦同様、攻撃を受けてから後手後手にならざるを得ないのではないでしょうか、お答えください。

政府参考人(内閣官房 横田真二君)

お答え申し上げます。

国民保護法におきましては、武力攻撃事態とか緊急対処事態が発生した場合に、国と地方公共団体が連携して避難など国民の保護のための措置を講ずるということになっております。このため、国が定めます国民の保護に関する基本指針というものに基づきまして、都道府県は国民の保護に関する計画を作成をいたします。また、単独又は共同で国民保護訓練というのを実施するなどいたしまして、対応手順の確認等を行っているところでございます。

御指摘の避難実施要領のパターンというものでございますが、これにつきましては、武力攻撃事態が起こった際に、市町村がより迅速に避難実施要領を策定して住民の避難誘導を行うために有効なものでございまして、先ほどの基本指針におきまして、市町村が複数の避難実施要領のパターンをあらかじめ作成しておくように努めるとしているものでございます。

政府といたしましては、今後とも消防庁などを通じまして、未作成市町村の避難実施要領のパターンの作成を働きかけてまいりたいと考えております。

伊波洋一君

先ほど核シェルターの話もありましたけれども、例えば核シェルター、あるいは例えば防空ごう、例えば避難する手段の船舶、その一切は行われていません。予算措置もされていません。パターンを作りましょうと言うだけの話です。
それで、現実にいよいよあしたミサイルが飛んでくる、あるいはいよいよ事態が起こると、そういうときに、政府はパターンを作ったから避難できるでしょうと言えるんですか。

政府参考人(内閣官房 横田真二君)

お答えいたします。

まず避難施設につきましては、基本指針の中で都道府県が指定するということになっておるんですけれども、ちょっと手元で、申し訳ございません、沖縄県におきましてどのような状態か、ちょっと分かりません。

続きまして、避難実施要領のパターンにつきましては、先ほどのように、迅速に避難をするために必要なものでございまして、これは作っておくにこしたことはないということでございまして、それを作成していただくよう働きかけて今いるところでございまして、あとは国民保護計画というのを沖縄県も持っておいででございますので、それに基づく避難の訓練というものを実際に我々も協力をして一緒にやっていきたいというふうに思っております。

伊波洋一君

私も確認をしたんですけれども、予算措置は一円もされていません、全国で。要するに、国民保護法というのはあるけれども、逃げる取組というのは、あるいは保護する取組というのは本当は何も行われていない。ただ、パターンだけが作られている。

そういう中で、戦争をするんだというような意気込みで基地を造ったり、あるいはそういう姿勢で取り組んでいくこと自体がやはり国民に対しては無責任ではないかと、このように感じています。これは今質問をしませんけれども、しかし、実態としてこれほどまで何もしていないのかということを感じました。

質問主意書を通して、宮古島への自衛隊基地建設をめぐってこの国民保護法の体制がどうなるかということについて、最終的に何かといいますと、基地を造ることと国民保護をすることは別なんだと。やはり自衛隊は基地を造ってそこで戦争をする準備をしなきゃいけない、国民保護は別の役割なんだと、こう言われると、まさに七十二年前の沖縄戦がそこに生まれるということは感じるわけですよ。

だから、国民保護法制というものと、現実の問題として私たちの国は戦争をしてはいけないんだという流れの中で、やはりきちんと新たな仕組みなり方向性を見出すべきではなかろうかと思います。

次の質問に移ります。
皆さんのお手元に、この一週間、十八日頃から今日までの記事ですけれども、沖縄の地元紙が報じている米軍基地絡みの記事がございます。このようなニュースが毎日、毎週、毎月、いろいろとあるわけです。

その中で、沖縄恩納村のキャンプ・ハンセン内で実弾が工事中の工事車両に当たってその水タンクの中に実弾が残っていたり、あるいは車の中に当たって跳ね返っていったりした事例がございました。こういう意味では、このキャンプ・ハンセンというのは広いわけですけれども、その中で、ここは提供施設で実弾射撃ができるということになっておりますので、そういう中で実際に公共的な施設、ダム等がありまして、そこで工事をする場合もあるわけですが、そういう中で、このような状況、今の基地の在り方ですけれども、政府の見解として、提供施設内の事件であるわけですが、この提供施設内であれば、キャンプ・ハンセンであれば実弾射撃訓練をいつでも自由に行われていて問題ではないのか、どういう認識を持っていらっしゃるのか、お聞かせください。

政府参考人(防衛省 深山延暁君)

お答えいたします。

今般のキャンプ・ハンセン内の安富祖ダム工事現場における流れ弾によるものと思われる事案の発生は人命に関わり得る問題として深刻に捉えておりまして、沖縄防衛局長から在沖米海兵隊基地司令官に対し強く抗議するとともに、本件に係る原因究明と再発防止策について申入れを行ったところでございます。

今、提供施設内ならどのように射撃をしてもいいのかという御指摘がございましたが、在沖米軍が部隊の練度を維持するため、実弾射撃を含む訓練をキャンプ・ハンセンなどの沖縄県内の演習場において実施することは必要とは考えておりますけれども、訓練の実施に当たっては周辺の安全、この周辺の安全には施設内で工事を行う関係者の方々の安全も当然含まれるわけでございますが、こうした安全を確保することは当然のことであると考えております。

今申しましたように、既に米側に対して申入れをしておるところでございますけれども、引き続き、米側に対しまして安全確保に万全を期すよう強く求めてまいりたいと考えております。

伊波洋一君

このキャンプ・ハンセン周辺での実弾による事故というのは平成二十年にも、あるいは平成十四年にも、十四年はシュワブから飛んできた、恩納村ですけれども、あります。しかし、これに対して本当に抜本的な対策が取られたのかどうかは確認されておりません。

そこで質問しますが、五・一五メモというのは、前回もお話ししましたけれども、沖縄が復帰をした時点でそこにあった米軍基地は全部提供施設になっていったということです。そのときに安全がチェックされるとか何もなしに今日基地は存続しています。この中部演習場についてきちんと日米で安全性を検証したことはあるでしょうか。五・一五メモで一方的に実弾射撃訓練を可能として以降、この検証したかどうかをしっかりお答えください。

政府参考人(防衛省 深山延暁君)

御指摘のとおり、キャンプ・ハンセンにつきましては、五・一五メモにおきまして使用主目的が宿舎、管理事務所及び訓練場とされて提供されております。

先ほど申し上げましたように、現在、いつ日米双方で確認したかあるいは、ということにつきまして手元に資料がございませんので確認はさせていただきたいと思いますが、いずれにしましても、安全性の確保は重要でございます。

今回の事案に際しましても、米軍は関係すると思われる、関係する可能性のある射撃場の射撃を止めて調査をしておると承知しておりますので、我々としても、引き続き米側にこうした措置を申し入れていきたいと考えておるところでございます。

伊波洋一君

やはり、周辺は住宅地区に囲まれていて、もう山向こうの恩納村は沖縄での有数な観光地区なんですね。そういうところにまで、畑の方まで飛んでくるような事態もあります。

そういう意味では、私はやはり、先ほど申し上げた、沖縄からの海兵隊の今回の移転、そしてグアムへの、千五百一億円も掛けて、あるいは三千億円掛けるわけですけれども、全体で、それだけのお金を掛けて演習場を整備したり訓練場を整備したりするということにおいて、やはり訓練はそこでやってもらうと。そして、実弾射撃は従来中部演習場はできるようにした合意なんですけれども、今の時点はもうそうじゃないということを日本政府として強く申し入れるべきだと思うんですよ。これまで何度も繰り返して、タクシーにも弾が当たったことはあるんですね、復帰後。そういうことであることが放置されていくこと自体がおかしいと、このように思います。

是非、そこら辺については今後、日米当局でこんな危険性の在り方についてやはりきちんと検証して、このグアム移転の流れとか全体の流れの中で解決する方向性を見出してほしいと思いますが、防衛大臣あるいは外務大臣にそれぞれの所見を伺いたいと思います。

防衛大臣(稲田朋美君)

まず、今回発生した事案については、先ほど事務方からも答弁いたしましたように、事実関係、早期究明することが重要であるというふうに考えております。在沖米軍が部隊の練度を維持するため、実弾射撃を含む訓練をキャンプ・ハンセン等の沖縄県内の演習場において実施することは必要だと考えておりますけれども、訓練の実施に当たっての周辺の安全を確保することは当然だというふうに思います。

米側に対して、防衛省としては安全確保に万全を期すよう強く求めてまいりたいと考えています。

外務大臣(岸田文雄君)

沖縄の地元の皆様方にとって、日々の生活の安心、安全、これは最も大切なものであり、大きな関心事であると思います。米側に対して、こうした県民の安心、安全に対する配慮に関しまして政府として様々な形でしっかり申入れを行い、対応を求めていく、こういった努力はこれからもしっかり続けていかなければならないと存じます。
政府として米側に申し入れるべきこと、対応を求めていくべきこと、しっかりと申入れを行っていきたい、このように考えます。

伊波洋一君

是非政府として対応していただきたいと思っております。
次に、質問は、時間限られていますけれども、あさってもありますが、そこへつなげていきますが、皆さんにお配りしている資料の中には、小学校の登校時に校門に米軍車両が誤って進入したりする、これ何度も同じ場所で起こっている、そういったことが日常化しているんですね。だから、沖縄の米軍基地というのはいかに私たち沖縄県民にとっては日常的に迷惑な施設であるか、あるいは危険な施設であるかということがあります。

そういう中でグアム移転等の、訓練の移転等が、あるいは県外への訓練の移転等がありますが、それとて、それによって問題は解決していないということを質問では準備しております。

是非、沖縄は今、もはやもう基地を、このような基地を置くべき場所ではないということを指摘をして、そういう中であのような辺野古新基地建設、巨大な基地を十何年も掛けてこれから造ろうとすること自体がとてもおかしいんだということを指摘をして、今日は終わりたいと思います。
ありがとうございました。