参議院議員 伊波洋一オフィシャルサイト

イハ洋一 Official Web site

国政報告 / 議事録

外交防衛委員会(2017年5月11日)

2017.1.20~6.18第193回常会

配付資料ダウンロード

伊波洋一君

沖縄の風の伊波洋一です。

昨晩、嘉手納基地では僅か四時間前の通告で空軍特殊部隊の夜間パラシュート降下訓練が行われ、周辺自治体首長や住民から怒りの声が上がっています。さらにまた、昨晩は、コロラド州の空軍基地からF16戦闘機十二機が嘉手納に飛来し訓練をするということになりまして最後の二機が来たわけでありますが、このように米軍が沖縄県民を無視をして様々なことを取り組むということについては、政府としてもそのようなことをしないように申し入れることをまず冒頭求めたいと思います。

本日は、南西諸島の自衛隊基地建設をめぐって質問を通告しております。
日本政府は、二〇一四年の防衛計画の大綱及び中期防衛整備計画において島嶼防衛、南西シフトを打ち出し、奄美大島、宮古島、石垣島に陸上自衛隊基地を建設し、地対艦、地対空ミサイル部隊の配備を計画し、与那国島には監視部隊を配備しています。空白を埋めるとか備えあれば憂いなしと説明し、正当化しています。しかし、実際は、米国が台湾の権益やアジア太平洋地域における覇権を維持するための米国のアジア太平洋戦略に基づき、九州から沖縄、台湾、フィリピンに至る第一列島線内の中国艦隊を押し込めて封鎖するための南西諸島の軍事化を進めていると理解をしております。

このことは四月十三日の委員会で配付した「アメリカ流非対称戦争」でも、琉球諸島海域を適切にカバーするように誘導弾部隊を配備することにより、東シナ海の多くの部分を中国水上艦隊部隊にとって行動不能海域とすることができると記述され、機動可能な発射装置は分散配備と夜間移動あるいは隠蔽により敵の攻撃を回避できる、トンネル、強化掩体ごう、偽装弾薬集積所、おとりの配置により、誘導弾部隊を識別し、目標指示、破壊しようとする人民解放軍の能力を減殺することが可能であると記述しています。

七十二年前の沖縄戦、あるいはテニアン、サイパン島などの島嶼戦争は、住民が攻撃の対象とされただけではなく、日本軍による住民のスパイ視や捕虜にさせないための住民の集団自決を含めて多くの犠牲者を出しました。狭い島嶼が戦場になれば住民の犠牲は避けることができません。与那国、石垣、宮古、奄美の各島の住民には、沖縄本島のような日常的な基地被害の可能性に加えて、有事の際に戦場とされ、戦闘に巻き込まれる危険が押し付けられようとしています。

宮古島市には、既にレーダー部隊の第五十三警戒隊を主要部隊とする航空自衛隊宮古島分屯地がありますが、新たに陸上自衛隊の駐屯地を整備し、地対艦ミサイル部隊、地対空ミサイル部隊、有事即応部隊、司令部を含め七百人から八百人規模の部隊を配備するため、当初、大福牧場地区に覆土式の地下司令部や実弾射撃場、訓練場、弾薬庫、宿舎、グラウンドなどを建設する計画でしたが、宮古島住民の強い反対で千代田カントリー跡地に変更されました。

この間に、宮古島分屯基地内では工事が行われ、昨年十二月から地下二階の鉄筋コンクリートの二千四百二十四平方メートルの局舎が整備されています。工事費は十六億円とされ、計算すると平米単価が六十六万円、坪単価で約二百二十万円です。

質問です。これは当初、大福牧場を予定地に計画されていた地下司令部ではありませんか。

政府参考人(防衛省 高橋憲一君)

お答えいたします。
御指摘の宮古島の分屯基地でございますが、これは二十四時間三百六十五日警戒監視に従事しておりますレーダーサイトでございます。
宮古島分屯基地におきましては、老朽化が進みましたレーダーFPS2を能力の高いFPS7に換装するための局舎の工事を行っておりまして、また、それと同時に当該レーダーの運用を実施する運用局舎を建設しているものでございます。
この運用局舎は、実は今委員御指摘の鉄筋コンクリート式構造の地下二階建てでございまして、床面積二千四百二十四平方メートルでございますが、これはあくまでもFPS7レーダーの運用に係る要員の執務スペースやレーダーから得られる情報データを処理するための装置など機器を設置するためのものでございまして、大福牧場予定地に計画されていた地下司令部というようなものではございません。あくまでもFPS7の運用に係る局舎ということで整理しているものでございます。

伊波洋一君

このFPS7というのは今あちこちで換装されています。それでは、そのそれぞれの地区でも同様にこのような大規模な局舎が造られているということでいいのでしょうか。

政府参考人(防衛省 高橋憲一君)

FPS7が既に設置されているレーダーの場所でございますが、沖永良部分屯基地でございますとか、宮崎県の高畑山分屯基地、山口県の見島分屯基地、それから海栗島分屯基地、それぞれの運用局舎におきましても地下構造の運用局舎が設置されているものでございまして、宮古島だけが特別のものというものではございません。

伊波洋一君

現在、千代田カントリークラブ跡地に新たな陸上自衛隊を配備する計画が進められています。この新たに配備される部隊の構成はどのようになっていますか。

政府参考人(防衛省 高橋憲一君)

宮古島でございますが、まず、災害を含む各種事態が生起した際に迅速に初動対応を行う警備部隊約三百六十名、島嶼部に対する侵攻を可能な限り洋上にて阻止する地対艦誘導弾部隊約六十名、空港、港湾などの重要地域の防空を担う地対空誘導弾部隊約二百十名、その他管理部隊百名でございまして、総人員規模は約七百から八百名規模というふうに考えてございます。

伊波洋一君

大福牧場で予定していて千代田カントリークラブ跡地で施設配置案に含まれなかったものがございます。これらの施設については、今後、宮古島の島内の土地を取得し設置していく意向ですか。

政府参考人(防衛省 高橋憲一君)

現在、宮古島におきまして、千代田カントリークラブにおきましては部隊の隊庁舎、グラウンド、宿舎、倉庫などの施設を整備することを計画してございますが、地対艦誘導弾あるいは地対空誘導弾を保管する火薬庫、射撃場、訓練場等を配置する予定は千代田にはございません。これらの配置先につきましては、部隊運用の観点から宮古島島内に配置することが適切であると考えておりますが、現時点で具体的な候補地が決定しているわけではございません。
いずれにせよ、今後、地元の方々とよく相談してまいりたいと考えております。

伊波洋一君

そうすると、今答弁ありましたように、実弾射撃場や、あるいはミサイル、弾薬保管をする火薬庫など、かなりそれぞれの保安基準もあるということを聞いておりますが、この宮古島にそういう場所があるんですか。

政府参考人(防衛省 高橋憲一君)

いずれにしろ、その保安基準を満たした形で宮古島の島内に設置することが適切であるというふうに考えてございます。

伊波洋一君

先ほど地下司令部の話をしましたけれども、地下司令部についても別途に造るということで理解していいんですね。

政府参考人(防衛省 高橋憲一君)

宮古島の警備部隊につきましては、地下司令部を考えてはございません。先ほどお答えいたしましたように、これはあくまでも宮古島のFPSレーダーの運用局舎ということで地下に施設を造るということを考えてございます。

伊波洋一君

そうすると、地対空、地対艦ミサイル部隊の合同の司令部を造るという話が聞こえるんですけれども、それはそういうことではないということでいいんですか。

政府参考人(防衛省 高橋憲一君)

現時点で千代田カントリークラブに考えてございます、隊庁舎、グラウンド、宿舎などの施設を整備することを考えてございますが、それは御指摘のような地下司令部ということでは考えてございません。

伊波洋一君

では、地下司令部ではないけれども、司令部は造ると。つまり、地対空ミサイル部隊の司令部は造るということを伺っております。
地対艦ミサイル部隊は奄美大島、沖縄にもあるでしょう、それから宮古島、石垣島ということになるわけですけれども、それを連携する司令部ができるということではないんですか。

政府参考人(防衛省 高橋憲一君)

宮古島には、そのミサイル部隊の司令部を造る予定でございます。

伊波洋一君

では、造る予定ということですね。分かりました。
自衛隊は、専守防衛が原則ですから、もし有事が生じるとすれば、原理的には敵国の先制攻撃しかありません。敵の先制攻撃では、ゲリラ的攻撃とともに、軍事施設に対するいわゆる飽和攻撃と言われるようなミサイル攻撃が行われます。
だからこそ、地対艦、地対空ミサイル部隊も分散配置と夜間移動などで対応し、隠蔽やトンネル、強化掩体ごう、偽装弾薬集積所、おとり、ダミーなどの敵の攻撃を回避する手段を検討しているのではありませんか。すなわち、島全体での戦争を想定しているのではありませんか。

政府参考人(防衛省 高橋憲一君)

防衛省といたしましては、宮古島に警備部隊、地対艦誘導弾部隊、地対空誘導弾部隊を配備することを計画してございますが、部隊運用の詳細について現時点で具体的に決まっているわけではございません。
その上で、あくまで一般論として申し上げますと、陸上自衛隊の地対艦誘導弾部隊、地対空誘導弾部隊につきましては、事態対処時におきましては機動的に運用することを基本といたしまして、誘導弾発射後、速やかに移動し、発射源が探知されることを防ぐということを考えてございます。
いずれにしろ、有事における誘導弾の射撃につきましては、市街地から十分隔離した場所において周囲の安全確保に努めた上で実施すると。その射撃場所は状況に応じて選定していくというふうに考えてございます。
また、地対艦誘導弾部隊、地対空誘導弾部隊につきましては、装備品等を目立たなくするための偽装網を装備するほか、施設部隊が坑道、いわゆるトンネルでございますが、あるいは掩体を掘削をいたしまして装備品等を隠匿するというような運用は当然考えられるものというふうに考えてございます。

伊波洋一君

今の答弁にありますように、基本的に地対艦ミサイル部隊が活動するということになりますと、やはりそれが見付けられなくしなければ、ミサイルの攻撃があるわけですから、そういう意味では島内における隠れながらの移動ということも含めての考えだと。
当然、そうなりますと、島全体が戦場になるわけでありまして、多くの島民が戦闘に巻き込まれてミサイル被害を受けることが予想されております。それでは、島民の保護はどういうふうに図られるのでしょうか。

政府参考人(防衛省 辰己昌良君)

お答えいたします。
宮古島の島民の方々の避難要領につきましては、沖縄県及び宮古島市が定める国民保護計画に基づいて、県、市、そして国が協力しつつ住民の避難を実施します。当然、防衛省・自衛隊としても、災害派遣、あるいは国民保護派遣、あるいは武力攻撃事態が認定されていれば防衛出動の一環として、これらの機関とともに協力しつつ、迅速かつ適切に被害状況の確認、人命救助、住民避難、このような支援措置をとることにしております。

伊波洋一君

事態の認定というのを前提にしか防衛省は動かないですよね。そして、このいわゆる国民保護計画は、基本的には自治体の計画であると、このように主張しております。
そういう意味では、戦争の準備はするけれども住民保護の準備はしないという立場が今の防衛省なのではありませんか。

政府参考人(防衛省 辰己昌良君)

今申し上げましたように、国民保護計画というのがございますし、そのための訓練も実施しております。
平成十七年以降、内閣官房、自治体が主催して訓練を積み重ねておりますが、これには防衛省・自衛隊も参加をして、関係省庁及び自治体との連携、あるいは道路網や避難リストの確認など、避難施設のリストの確認など、関係機関との連携向上に努めているところでございます。

伊波洋一君

パターンの作成とか机上の計画、あるいはいわゆる訓練計画というのはあると思いますけれども、ただ、具体的に、例えばシェルター造るとか、あるいは何らかの移動手段を確保するとかというような予算措置は一円もされていないと聞いておりますが、そのとおりですか。

政府参考人(防衛省 辰己昌良君)

お尋ねの島民用のシェルター、これについて、防衛省・自衛隊としてこれを島内に整備する計画は現時点ではございませんが、宮古島市の計画におきましては、国民保護計画においては、例えば弾道ミサイル攻撃の場合にはコンクリート造り等の堅牢な施設や構築物等に避難するということになっておりまして、平素から沖縄県や宮古島市が取り組んでおられますこうした避難施設の指定、リスト化、避難実施要領の策定、避難経路の把握等に当たって、防衛省・自衛隊としても必要な助言、情報提供などを行っていきたいと考えております。

伊波洋一君

島嶼防衛では、離島が一旦戦場になってしまえば島民に悲惨な犠牲を強いることは明らかです。
日本政府は、これが防衛政策だ、安全保障政策だと言いますが、安全保障とはそもそも国民の生命、財産を守るための政策のはずです。沖縄や南西諸島の住民の保護について考えず、島々を戦場にし、国民の生命、財産を危険にさらして強引に進められる現在の安倍政権の防衛政策の南西シフトは、的外れな対米追従にすぎないと考えます。

資料を配付してございます中澤剛一等陸佐による「米国のアジア太平洋戦略と我が国防衛」と題する論文では、二ページの方にありますけれども、米国のアジア太平洋戦略のオプションとして、エアシーバトル、オフショアコントロール、前方パートナーシップ、オフショアバランシングの四つの構想について分析しています。

中澤一佐は、オフショアコントロール戦略について、中国は、海域、空域支配のため、南西諸島に展開する地対艦ミサイル、地対空ミサイル及び九州から南西諸島の航空自衛隊基地や民間空港に展開する航空自衛隊や米空軍部隊に対して弾道ミサイルや巡航ミサイルによる攻撃を繰り返すであろう、中国の攻撃に対し、中国本土のミサイル基地や航空基地を米軍が打撃しないとするのは、従来、日米同盟の役割分担を盾と矛になぞらえてきたことにも矛盾し、日米同盟の信頼性を揺るがすことになりかねない、と危機感を表しています。
その理由は、アメリカは中国を攻撃しないとされているからです。そして、エスカレーションを避けつつ中国本土を打撃する手段について更なる考察が必要であろう、例えば、自民党が議論の俎上に上げている独自の反撃能力、敵基地攻撃能力を保持することも重要な選択肢の一つであろう、と述べています。
米戦略は、核のエスカレーションを避けるために中国領土、領海への攻撃をしないとしていることを論じていますが、海上自衛隊幹部学校のコラムにありますように、一番後ろの方に付けてありますが、中国のインフラを破壊しないことで紛争後の世界貿易の方が促進されると、このように書いています。
一方、南西諸島や九州などは、中国のミサイル攻撃による被害を受け、住民の多くが犠牲を避けられません。これはまさに日本の安全保障と言えるのでしょうか。いわゆる国土が戦場になることをもって何を守っているのか、本当にこれでは分からないんですね。
さらに、ここで指摘しておきたいのは、敵基地攻撃能力による中国へのミサイル攻撃は、更なる深みに日本が入り、日中戦争になるということです。これも米中戦争を避けたいアメリカの戦略なのです。私たちはこのことをしっかり受け止めていかなければならないと思います。
自衛隊の島嶼防衛、南西シフトは、こうした米国のアジア太平洋戦略に沿ったものと理解してよろしいでしょうか。

政府参考人(防衛省 前田哲君)

お答えいたします。
今先生がお示しになりましたこの資料でありますけれども、陸上自衛隊の研究本部におきましては、平素から、その所掌事務の一環として様々調査研究は行っております。
ただ、その上で、御指摘の文書については、あくまで研究員個人の見解を述べたものであって、日本政府あるいは防衛省の見解を示すものではございませんので、基本的に、その内容の逐一についてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、先生が今読み上げられた箇所は、オフショアコントロール論の話をされていると思います。
ただ、このオフショアコントロール論と申しますのは、事態が紛争に発展した場合に、物理的には侵入しないで、海上貿易を阻止することによって経済的に疲弊をさせる、行き詰まりの状況をつくると、そういうことで軍事衝突を終結させて紛争前の原状を回復させる、そういった考え方であると承知はいたしてございます。
ただ、これは、米国においてこれまで議論されてきたアジア太平洋戦略に関する様々な議論があるし、オプションもあろうかと思うんですが、その一つにすぎません。必ずしも現在の米国政府の政策方針であるとは認識をしていないわけであります。
ただ、いずれにしても、我が国の防衛につきましては、安全保障政策の根幹となるのは自らの努力であると、これが我々の認識であります。我が国自身の防衛力を質、量の両面で強化をして、自らが果たし得る役割の拡大を図りながら、防衛協力の強化を通じて、そして日米間の適切な役割分担にも基づいて同盟の全体の抑止力、対処力を強化していく、こういう考え方で向き合っているということでございます。

伊波洋一君

私が思いますのは、オフショアコントロールは論文であるという言い方ですけれども、これは、海幹校戦略研究など海上自衛隊幹部学校のコラムや様々な論文の中にもきちんと検証されております。まさにそのことが今南西諸島で起こっているわけです。
ですから、中澤一佐が、先ほど、自分たちは戦っているけれども、その元のミサイルの発射地には攻撃しない、アメリカは日本本土では戦うけれども、中国本土は攻撃しないという前提でもう戦争を考えているというふうに理解されているわけですね。その中で、南西諸島というところが戦う一時的な場所だ、オフショアコントロールはまさに南西諸島で制限戦争をしておいて、その間にマラッカなどの長期的なそういう封鎖措置を通して中国に理解をして戻ってもらうという戦略なんですよ。
ですから、そういうことを私たちが、この国が国の政策として受け取ってやり続けることがいいことなのかということを提起したいわけです。むしろ、それよりは、そこで戦争をしないような仕組みをつくり上げていく、このことこそが今求められるでしょう。
中澤一佐は今度、本年三月に西部方面混成群兼相浦駐屯司令として、島嶼防衛を担うとされる水陸機動団が新設され、長崎佐世保市の陸上自衛隊駐屯地に着任しております。まさにこの論文を書かれた方が、決して彼はそれをやらないとは言っていないんです。それをやるためにはどのような役割を陸上自衛隊は担うべきかということまで書いています。でも、これはまさに、何か攻撃されに行くような戦争を想定しているということを私たちは考えておかなきゃいけないということです。それは、住民だけではないんです、自衛隊員の命も大変大事なんです。ですから、そういったことをやはり考えていかなきゃいけないだろうと思います。
国際情勢はどんどん変化しております、今。トランプ大統領が誕生して、それから中国との間でも決して悪い関係ではなくなっています。それから、フィリピンのドゥテルテ大統領も、米比だけじゃなくて比中と、中国との軍事交流もやるという流れが入っております。
そういう意味では、だんだん変わっていく中で、私たちの日本だけが要するに中国包囲網をアメリカの代わりに担い続けていくということはこれはできない話だと思うんですね。そういうところの中で今のような防衛政策がずっと続いていくことが本当にいいことなのかどうか、そのことを私たちはやはり考えなきゃいけない。
安倍政権は、総理自らが地球儀を俯瞰する外交と称して外交的に対中国包囲網を形成して、軍事的にも対中封じ込めを目指した自衛隊の軍拡を今しております。南西諸島や沖縄にとってはまた再び七十二年前のような戦争を想定されるような、そういう計画の中で安全保障を引き受けざるを得ない。しかし、これはもはや沖縄だけの問題ではないんです。全国の問題なんです。アメリカは、日本の国土では戦争するけれども、中国には攻めないよということを前提にしながら安全保障を構築するということはどういうことなのか、このことを私たちは考えなきゃいけません。
国際情勢の変化に対応して、国民の生命、財産をいかに守るかという安全保障の基本に立ち返って、日本もやはり政策転換、今の状況に合わせた政策転換なり防衛政策の構築をしなきゃいけないのではないでしょうか。防衛大臣及び外務大臣に所見をいただきたいと思います。

防衛大臣(稲田朋美君)

委員が御指摘のように、変わり行く世界情勢の中でいかに我が国を守るために万全を尽くしていくか、そのための政策を、また防衛政策を常に考えていくということは重要だと思います。特に、我が国を取り巻く安全保障環境の中では、北朝鮮の核、ミサイルの脅威は新たな段階に入っている。また、中国の軍事力の広範かつ急速な強化、我が国周辺海空域での活動の活発化などは我が国安全保障上の懸念となっております。
一層我が国を取り巻く環境は厳しさを増し、委員も御指摘のとおり、それが沖縄だけではなく我が国全体、そして我が国を含むこの地域全体、世界全体の脅威だということでございます。
そんな中で、我が国の防衛政策は三つの観点。一つは我が国自身の防衛力、これを質、量両面で強化をして自らが果たし得る役割の拡大を図る。さらに、日米同盟の強化、深化でございます。さらには、アジア太平洋地域、国際社会との安全保障協力を積極的に推進をして、価値観を共有する国々と協力をし、これまで以上に積極的に世界の平和と安定と繁栄に寄与をしていく。これらの取組を通じて、国民の生命、身体、財産、領土、領海、領空を守り抜くために万全の対策を期す所存でございます。

外務大臣(岸田文雄君)

国際情勢は目まぐるしく変化しています。そして、日本を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しています。どの国も一国では自ら平和と安全を維持することができない、これが国際社会の常識になりつつあります。
その中で、我が国の国家安全保障の要諦、これは、安定し、見通しが付きやすい国際環境を創出し、脅威の出現を未然に防ぐことにあります。このため、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、様々な手段を用いた外交を推進し、我が国にとって好ましい国際環境をつくっていくことが重要であると考えます。
そして、その上で、これは今防衛大臣からもありました、防衛力の適切な整備を自ら行うとともに、日米安全保障体制の下での米軍の前方展開を維持し、日本外交の基軸たる日米同盟の抑止力を不断に強化していく、これも重要であると考えています。
要は、外交によって好ましい国際環境をつくる、自らの防衛力を整備をする、そして日米同盟の抑止力を強化する、これらのバランスの中で国民の命や暮らしを守っていかなければならない、これが基本的な考え方であります。

委員長(宇都隆史君)

時間が来ております。おまとめください。

外務大臣(岸田文雄君)

はい。国際環境の変化、しっかり念頭に置きつつ、いかなる事態に際しても国民の命や暮らしを守るために全力を尽くさなければならない、このように考えます。

伊波洋一君

私は、先日、委員会の理事の皆様方と築城の基地に行きまして、そして初めて栄誉礼というのを受けたんですけれども……

委員長(宇都隆史君)

時間ですのでおまとめください。

伊波洋一君

はい。
そのときに思ったのは、やはり私たち国会議員は自衛隊員を無駄死にさせてはならないと思います。そしてまた、国民を守っていかなきゃいけないだろうと思っております。是非そのことをこの委員会で取り組んでいきたいと思います。