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国政報告 / 議事録

外交防衛委員会(2017年6月1日)

2017.1.20~6.18第193回常会

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伊波洋一君

沖縄の風の伊波洋一です。
まず、北朝鮮のミサイル発射に関連して一点質疑いたします。
米海兵隊のネラー総司令官は、五月二十四日の米上院歳出委員会の小委員会で、最近のニュースに見られるように戦略的な情勢は変わった、敵国の能力が力学を変えたと述べ、さらに、私は、ハリス米太平洋軍司令官が、高まる脅威のため、少なくとも一時的に、どこに航空機を配置するかということについて異なる選択肢を検討していると考えていると証言しています。
北朝鮮の核・ミサイル開発の進展を踏まえて、米軍が在沖海兵隊のグアム移転計画の修正を検討していることが明らかになりました。確かにネラー氏は今のところ計画にコミットしていると言っていますが、部隊の安全、リスクにさらされないことが確保されなければならないとも発言しています。
海兵隊の軍事的な観点からも、北朝鮮や中国のミサイルの射程内にある辺野古の新基地は望ましいものでないことが読み取れます。沖縄県民の民意を踏みにじって建設が強行されつつある辺野古新基地は、今や海兵隊からも歓迎されていません。
日本政府としてどのように考えていますか。辺野古新基地建設を停止し、米国と再協議すべきではありませんか。

防衛大臣(稲田朋美君)

委員御指摘の証言については承知をいたしておりますが、日米間では、二月の共同声明において首脳レベルで在日米軍の再編に対する日米のコミットメントを確認をしているところです。また、同共同声明において、辺野古基地が普天間飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の解決策であることも確認をいたしております。
いずれにいたしましても、米軍の抑止力を維持しつつ、沖縄の負担軽減、これを早期に実現するため、引き続き、日米間で緊密に協力しながら辺野古移転に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
また、ミサイルの射程内にあることに関連して、北朝鮮のミサイルの開発に関連して米国と再協議すべきではないかという点でございますけれども、アジア太平洋地域の安全保障環境、一層厳しさを増す中で、辺野古への移設は、米軍の抑止力を維持しながら、同時に普天間の危険性を一刻も早く除去するための唯一の解決策であると、この考えには変わりがないところでございます。
我が国は、弾道ミサイルへの脅威に関しては、我が国自身の弾道ミサイル防衛システムを整備するとともに、日米安保体制による抑止力、対処力の向上に努めることにより適切に対応することといたしているところでございます。
普天間飛行場の移設を含む在日米軍の再編事業については、米側と累次の機会を捉えて計画の状況を確認しながら進めており、引き続き、日米間で緊密に協力をしながら取り組んでまいりたいと考えております。

伊波洋一君

関連については次期の委員会にまた延ばします。
日印原子力協定について質疑します。
これまでも日本政府はインドに対し、非核兵器国として、NPTへの早期加入、CTBTの早期署名、批准等を求めるとの我が国の立場は変わりはないと繰り返してきました。どのような理由でしょうか。

外務大臣(岸田文雄君)

我が国の核軍縮に対する基本的な立場は一貫しております。核兵器の非人道性に対する正確な認識と、厳しい安全保障環境に対する冷静な認識、この二つの認識の下に、核兵器国と非核兵器国の協力を得つつ現実的、実践的な取組を進めていく、こうしたものであります。
御指摘のNPTあるいはCTBT、これは核兵器国と非核兵器国双方が参加をする大変重要な枠組みであると認識をしております。我が国として、先ほど申し上げた基本的な立場を追求する上において、粘り強くこうしたNPTやCTBTといった枠組みを追求していかなければならない、このように考えている次第であります。そういった考え方に基づいて御指摘のような発言をしている次第であります。

伊波洋一君

現在、国連は、核兵器禁止条約を七月にも制定する予定だと言われています。しかし、我が国は唯一の戦争被爆国であり、非核三原則を有する非核保有国にもかかわらず、核保有国、米ロ中や英仏とともに日本政府はこの核兵器禁止条約に反対し、一連の会議には参加していません。北朝鮮が弾道ミサイルの発射を繰り返しているなど、我が国周辺の安全保障環境の改善、特に朝鮮半島の非核化を求める我が国の立場からして、核兵器禁止条約に全世界が積極的に合意し参加することを訴えるべきではないでしょうか。

来る国連での開催予定の核兵器禁止条約の制定のための採択において賛成投票すべきではありませんか、政府の見解を求めます。

外務大臣(岸田文雄君)

我が国の基本的な立場については、先ほど申し上げたとおりであります。二つの大切な認識の下に、核兵器国と非核兵器国の協力を得て現実的かつ実践的な取組を進めていく、こうしたものであります。これが核兵器のない世界を目指す上において再短の道であると信じております。

御指摘の核兵器禁止条約交渉でありますが、我が国はその初日に出席をし、我が国の基本的な考え方を申し述べました。ただ、開催されました核兵器禁止条約交渉の現実、交渉には核兵器国は一国も参加していませんでした。また、我が国とともに核軍縮・不拡散に取り組んできたカナダですとかオーストラリアですとかドイツといった中道国と言われる非核兵器国も参加をしていませんでした。
また、その会場の外では、この核兵器禁止条約交渉に反対するアメリカを始め多くの国々が反対の記者会見を開いている、こうした現実を目の当たりにいたしました。この厳しい現実を見た上で、これは逆に核兵器国と非核兵器国の亀裂を深刻なものにしてしまう、こうした懸念から、我が国としまして、二日目以降の交渉に不参加を決定した次第であります。

こうした核兵器禁止条約に向けて、たしか賛成投票をするべきではないかという御質問でありましたが、今後、この核兵器禁止条約がどのようなものになり、そしてどのように扱われるのか、現時点ではこれは明らかではありませんが、いずれにしましても、我が国は、先ほど申し上げました基本的な立場に基づいて具体的な行動を決定していきたいと考えます。

伊波洋一君

CTBTについても、米国、中国、エジプト、イラン、イスラエルは署名済みで未批准国と、北朝鮮、インド、パキスタンは未署名で未批准国です。我が国はこれまで、国際原子力機関の保障措置と並び、核兵器不拡散条約を中核とする核不拡散・核軍縮体制の不可欠の柱と捉えて、CTBTの早期発効を核軍縮・核不拡散分野の最優先課題として重視してきました。
また、仮に核保有国が当面は参加しなくても、国際政治、経済、社会において核兵器が禁止されるべき兵器であるとの規範が確立すれば、核兵器の廃絶、核なき世界に向けた大きな一歩になることはこれまでの非人道兵器の廃絶の歴史を見ても明らかです。是非、核兵器禁止条約についても積極的に関与していくことを求めます。

昨年来、日本政府はインドのNSG加盟を推進しています。日本政府がインドのNSG加盟を進める理由は何でしょうか。

政府参考人(外務省 相川一俊君)

お答え申し上げます。

我が国政府は、国際的な不拡散の取組を強化する目的で、インドがNSGの完全なメンバーとなるために共に取り組んでいくことという立場を取っておりまして、このことは二〇一六年十一月の日印首脳会談において発表された日印共同声明においても再確認されているところでございます。

より具体的に申しますと、インドがNSGに参加した場合に、自国からの原子力の関連資機材、技術の輸出に当たって、NSGガイドラインに従って適切に規制を行うことを新たに国際的にコミットすることになります。これによって、懸念国・地域やテロリスト等がインドから機微な原子力関係資機材、技術を入手することがより困難になる効果が期待されると考えております。

このように、インドのように原子力関連資機材、技術の生産供給能力のある国に対してNSGガイドラインを遵守するように国際的にコミットさせることは、国際的な不拡散の取組に強化に資するものと考えているところでございます。

伊波洋一君

日本政府は、〇八年九月の原子力供給グループ、NSG第二回臨時総会において、ぎりぎりの判断としてコンセンサスに加わった、その際、我が国は、仮にインドによる核実験モラトリアムが維持されない場合には、NSGとして例外化措置を失効ないし停止すべきであること、また、NSG参加各国は各国が行っている原子力協定を停止すべきであることを明確に表明したと述べ、我が国も含めたコンセンサスでインドとの民生用原子力協力に関する声明を採択したと報告しています。この記載のとおり、NSGの意思決定はコンセンサス、全会一致制となっています。

質問です。仮にインドが核実験を行った場合、インドがNSGのフルメンバー、加盟国であった場合には、日本政府が表明するようなNSG参加各国は各国が行っている原子力協力を停止すべきとの決定は全会一致制である限り不可能になるのではないでしょうか。

政府参考人(外務省 相川一俊君)

御指摘のとおり、NSGの決定というのはコンセンサスで行われます。インドは現時点ではNSGには参加していないということで、ただ、NSGに参加したいという意思を表明しておりまして、まさに現在、NSGで本件の議論が行われているところでございます。

インドがどういう条件でどういう形で参加するかというのが決まっていない段階で、インドが参加した後NSGの対応がどうだということを予断して申し上げることはなかなか難しいところがあるかと思います。

その上であえて申し上げますれば、NSGにおけるインドの例外化決定というのは、インドが表明した核実験モラトリアムの継続を含む約束と行動に基づくものでございまして、NSGにおけるインドの参加問題に関しての議論においても、NSGの参加国はこういう点に関して十分認識しつつ議論に参加していると我々は考えております。インド自身もこういう状況は明確に認識していると承知しております。

伊波洋一君

その協定の中でも、安全保障の問題を含めて様々な留保事項がある中で、このNSGの件については、先ほど〇八年の報告にありますように、日本がそういう立場であるということを述べているわけですが、今、日本政府がインドのNSG加盟を支援することと、日印協定後に核実験を行ったインドに対して日本政府がNSG参加国に協力の停止を求めることはできなくなり、やはり矛盾するのではありませんか。

委員長(宇都隆史君)

どなたが答えられますか。

政府参考人(外務省 相川一俊君)

大臣が先ほどから何回も答弁されておりますとおり、今NPT体制の外にあるインドを、これを加入させるということは実質的な強化に……(発言する者あり)

委員長(宇都隆史君)

どうぞ、答弁続けてください。(発言する者あり)いや、答弁続けてください。

政府参考人(外務省 相川一俊君)

失礼申し上げました。失礼しました。(発言する者あり)

委員長(宇都隆史君)

速記を止めてください。

〔速記中止〕

委員長(宇都隆史君)

速記を起こしてください。

政府参考人(外務省 相川一俊君)

失礼申し上げました。
委員おっしゃられたとおり、日本はNSGのインドに対する例外決定がなされたときに、そのインドの例外化措置の、インドが核実験という重大な事態が生じた場合には、我が国として、インドの例外化措置の失効又は停止につきNSG参加国と協議することをインドの例外化コンセンサスの採択時に明らかにしているところでございます。
こうしたNSG声明及びNSGガイドラインを踏まえれば、万が一インドによる核実験の重大な事態が生じた場合には、NSGはインドへの原子力協力関連資機材等の移転の終了を含む適切な対処及び行動に関して合意するものと我々は考えております。

伊波洋一君

コンセンサス合意という中で、NSG加盟という問題がやっぱり矛盾を生じると思いますね。
政府のNSG加盟支援は、インドが仮に核実験をしても、例外化措置や他国の原子力協力に影響を与えないような抜け道を用意するものであり、インドが核実験をしたら原子力協力を停止するというこの間の政府の説明が全く意味を持たないものになるのではないでしょうか。引き続き、次期委員会でまた議論していきたいと思います。
以上です。