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国政報告 / 議事録

天皇の退位等に関する皇室典範特例法案特別委員会(2017年6月7日)

2017.1.20~6.18第193回常会国会質問

伊波洋一君

沖縄の風の伊波洋一です。

ハイサイ、グスーヨーチューウガナビラ、沖縄の挨拶で、こんにちは、皆様お目にかかりますの意味です。

私たち参議院会派沖縄の風は、代表の糸数慶子参議院議員とともに、沖縄の未来と県民の尊厳、日本の民主主義を守ることを強く訴えています。今回の議論に小会派の沖縄の風も参加させていただいたことに対し、衆参両正副議長のお取り計らいに心から感謝申し上げます。

天皇退位等に関する皇室典範特例法案について、沖縄の風として意見を述べ、質疑を行います。

昨年八月八日の今上天皇のお言葉は、生前退位の制度創設と象徴天皇の天皇制の安定的な継承の確保に向けた対応を強く示唆するものでした。日本国憲法は第一条で、「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。」と象徴天皇制を規定しています。

今上天皇が熱心に取り組んでこられた象徴的行為は、沖縄戦も含め、かつて日本が行った戦争に対する歴史的反省の表れでもあり、日本国憲法に定められた平和主義の具体化です。憲法尊重擁護義務を誰よりもよく遵守し、公的行為、とりわけ象徴的行為において積極的に憲法の三原則を始めとする憲法理念の体現に努めてこられたことこそが今日の多くの国民の支持につながっていると考えます。

沖縄県民の間には、四百五十年間続いた琉球王国が併合された明治政府の琉球処分と、その後の皇民化教育、沖縄戦と米軍統治などをもたらした天皇制下の政府に対して、戦前政府に対して複雑な思いが存在しています。特に昭和の時代、一九四五年、本土防衛の捨て石にされた沖縄戦では、天皇の名の下に県民を巻き込んだ激しい地上戦が行われ、住民の四人に一人、十二万人を超える沖縄県民が犠牲になりました。

私の生まれ育った沖縄本島中部の宜野湾市嘉数も沖縄戦最初の激戦の地であり、祖父母やおじ、おばたち多くが亡くなり、最後の戦場となった本島南部の摩文仁の平和の礎には、当時の嘉数地区の住民の半数を超える名前が刻まれております。

戦後も沖縄は米軍統治とされ、困難は続きました。四七年九月、米側に対し、二十五年から五十年、あるいはそれ以上、沖縄を米国に貸し出す方針が示された天皇メッセージの問題もあります。サンフランシスコ講和条約で日本の再独立と引換えに米軍統治にされた結果、新たに日本本土に駐留していた米海兵隊を移転させるために、ハーグ陸戦法規やポツダム宣言に違反する米軍による私有地の強制接収が行われ、基地が建設、拡大されました。

沖縄の施政返還後もこれらの基地の多くは返還されず、沖縄戦から七十年以上経て、あるいはサンフランシスコ条約から六十年以上経ても、今日の基地返還にあっても代替施設を県内に建設することが求められ、新たな基地負担が押し付けられ、辺野古新基地問題を始めとする米軍基地問題が現在まで続いています。

昭和天皇は、施政権返還後の沖縄を訪問し、沖縄戦の戦没者の霊を慰め、長年の県民の労苦をねぎらいたいとの御希望を持っておられましたが、病によりかないませんでした。戦後、昭和天皇は人間天皇として日本国憲法の定める新しい象徴天皇としての役割を橋渡しされ、昭和の時代を終わられました。

今上天皇は、常々、忘れてはならない四つの日として、終戦記念日、広島と長崎の原爆忌と並び、六月二十三日の沖縄慰霊の日を挙げてこられ、毎年その日は御家族で祈りをささげておられます。また、人々の傍らに立ち、その声に耳を傾け、思いに寄り添うため、象徴的行為として国内外の戦争犠牲者を悼む慰霊の旅に取り組まれ、中でも沖縄訪問は既に十回に及んでいます。過去を清算するという姿勢ではなく、あくまで沖縄県民の悲しみに寄り添い、共にあろうと努めてこられた姿は、保守、革新、独立論など、立場の違いを超えて多くの沖縄県民にも受け止められていると思います。

沖縄の風の意見は参議院ホームページに掲載されておりますが、立法府の対応に当たって、天皇の生前退位の制度を創設するため、皇室典範の改正が必要であり、女性・女系天皇を容認し、女性宮家の制度創設に向けて議論すべきと訴えてまいりました。その点、本法案に懸念がないとは言えません。

沖縄の風は、一、今上天皇以降の生前退位にも恒久的に適用される一般法の制定が望ましいこと、二、一般法は皇室典範の改正で対応すべきことを訴えてまいりましたが、本法案においてどのように扱われているか、お聞きいたします。

官房長官(菅義偉君)

衆参正副議長の議論の取りまとめにおいては、「国権の最高機関たる国会が、特例法の制定を通じて、その都度、諸事情を勘案し、退位の是非に関する国民の受け止め方を踏まえて判断することが可能となり、恣意的な退位や強制的な退位を避けることができることとなる一方、これが先例となって、将来の天皇の退位の際の考慮事情としても機能し得るものと考える。」とされております。

政府としても、この議論の取りまとめを厳粛に受け止めて、その内容を忠実に反映させて法案を立案したものであり、この法案は天皇陛下の退位を実現するものでありますが、この法案の作成に至るプロセスやその中で整理された基本的な考え方については将来の先例となり得るものと考えております。

伊波洋一君

今回の御退位は先例になるということを確認いたしました。
それでは、最後にお聞きいたしますが、沖縄の風として、女性・女系天皇、女性宮家を実現すべきことを訴えてまいりましたが、どうなっているでしょうか。

官房長官(菅義偉君)

女性皇族の婚姻等による皇族数の減少等に係る問題については、皇族方の御年齢からしても先延ばしをすることはできない重要な課題であるものの、そのための方策についてはいろいろな考え方、意見があり、国民のコンセンサスを得るためには、十分な分析、検討と慎重な手続が必要であると考えています。

政府としては、衆参正副議長の議論の取りまとめを受けた各政党各会派間の協議を踏まえて、国民世論の動向に留意しつつ、適切に検討を進めてまいりたいと思います。

伊波洋一君

憲法には天皇の地位は男性に限るとの規定はなく、歴史的にも女性天皇は存在し、明治の旧皇室典範の制定過程や自由民権運動の民間憲法草案、一九四六年の臨時法制調査会においても女性天皇の容認論がありました。

明治以来の男系男子による継承は、何ら自明の日本の伝統などではありません。二〇〇五年の小泉内閣における皇室典範に関する有識者会議では女性・女系天皇の容認が提言され、二〇一二年、野田内閣における皇室制度に関する有識者ヒアリングを踏まえた論点整理では、女性宮家の制度創設について検討されています。
よって、皇室典範の改正に当たっては、女性・女系天皇を容認し、女性宮家の制度創設に向けて議論すべきであると沖縄の風としては考えます。

沖縄の風として、天皇の地位は主権の存する日本の国民の総意に基づくことから、法改正に当たっては穏やかな環境で広く国民的な議論を尽くすことを求めてきました。この間の立法府の対応に当たっての各党各会派の共通認識だったと思います。しかし、今回、例年にない国会運営の中で本法案が審議されていることに、多くの県民とともに違和感を禁じ得ません。

繰り返しになりますが、昨年八月八日の今上天皇のお言葉は、生前退位の制度創設と象徴天皇制の安定的な継承の実現を強く示唆するものでした。

今上天皇は、戦中を旧日本帝国憲法下で皇太子として、戦後は人間宣言をして地方行幸を繰り返した昭和天皇とともに日本国憲法の下での新しい皇室での皇太子としての役割を務められ、昭和天皇崩御後、平成の時代を日本国憲法の国民統合の象徴としての象徴天皇を体現してこられました。

今上天皇の思いを受け止めていくことは、日本の戦後の歩みとともに着実に我が国の基礎として根付いている日本国憲法を守り、日本の平和を守ることでもあります。このことを付言して、沖縄の風の意見といたします。
ありがとうございました。