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国政報告 / 議事録

外交防衛委員会(2018年3月20日)

2018.1.22~7.22 第196回常会

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伊波洋一君

沖縄の風の伊波洋一です。最初に、普天間飛行場の五年以内の運用停止について伺います。
三月一日に普天間基地の運用停止を求める日めくりカウントダウン行動が行われ、私も参加しました。安倍政権が沖縄県民に約束した運用停止期限は来年二月十八日です。安倍政権は沖縄県民との約束を尊重し、普天間の運用を停止すべきです。

政府は、二〇一三年十二月に仲井眞前知事が求めた五年以内の普天間飛行場運用停止に対し、二〇一四年九月十七日に、菅官房長官が二〇一九年二月までに運用を停止すると確認し、二〇一五年四月三十日の定例記者会見では、運用停止の定義について、普天間にある空中給油機能、緊急時着陸機能、オスプレイの運用機能の三つの機能がなくなることが運用停止だと再確認しました。一方、二〇一三年四月に日米2プラス2で合意された統合計画では、普天間飛行場の返還時期、言い換えれば辺野古新基地、普天間代替施設の完成時期は二〇二二年度又はその後とされていました。

つまり、政府が約束した五年以内の運用停止は、約束した二〇一三年十二月から二〇一五年四月の時点で、既に辺野古新基地とは切り離されていました。辺野古新基地建設が前提なら、日本政府は全く実現可能性のないことを公式に約束したことになります。

質問です。約束した時点で辺野古の建設と普天間の運用停止は切り離されていたのに、今になって翁長知事の協力が得られないから五年以内の運用停止は難しいなどというのは論理的に破綻しているのではないでしょうか。沖縄県民に分かるように説明してください。

防衛大臣(小野寺五典君)

仲井眞前知事から御要望のありました普天間飛行場の五年以内の運用停止については、政府としても移設されるまでの間の普天間飛行場の危険性除去が極めて重要な課題であるという認識を仲井眞前知事と協議をいたしました。政府としては、普天間飛行場の五年以内の運用停止について仲井眞前知事との間で厳密な定義が合意されていたものではありませんが、埋立承認をいただいて工事を進める中で、特に移設までの間における普天間飛行場の危険性除去を中心とした負担軽減が極めて重要な課題であるとの認識の下、平成二十六年二月、仲井眞前知事及び佐喜眞宜野湾市長の要望に基づき、普天間飛行場負担軽減推進会議を設置し、相手のあることではあるが、できることは全て行うという姿勢で沖縄側と協議を行ってまいりました。

具体的には、これまで普天間飛行場が有する三つの機能のうち、空中給油機の運用機能については、平成二十六年八月、KC130十五機全機の岩国飛行場への移駐を実現いたしました。また、緊急時における航空機の受入れ機能も福岡県の築城基地、宮崎県の新田原基地へ移すこととしております。さらに、辺野古移設までの間、普天間飛行場に残るオスプレイの運用機能についても沖縄県外における訓練等を着実に進めているほか、千葉県の木更津駐屯地においてオスプレイの定期機体整備を実施しております。

しかしながら、普天間飛行場の移設をめぐる状況は、知事が交代し、翁長知事が埋立承認を取り消したことにより政府と沖縄県との間で訴訟が起きるなど当時と変化しており、一緒に考えることができなくなっている状況の中で五年以内の運用停止を実現することは、昨年、安倍総理が衆議院予算委員会で述べたとおり、難しい状況になっていると認識をしております。

他方で、委員御指摘の普天間飛行場の返還時期については、平成二十五年四月に日米両政府で作成した、そして公表しました沖縄における在日米軍基地施設・区域に関する統合計画において、二〇二二年度又はその後とされております。

政府としては、一日も早い普天間飛行場の移設、返還に向け、引き続き米国と緊密に協力をしながら、関係法令に基づき、自然環境や住民の生活環境にも最大限配慮し、工事を着実に進めていく考えであります。いずれにしましても、政府としては、五年以内の運用停止の実現のためには、辺野古移設について地元の御協力を得られることが前提であると認識しておりますが、今後とも沖縄の負担軽減のためにできることは全て行うとの方針の下、取り組んでまいりたいと思っております。

伊波洋一君

ただいま防衛大臣がお答えになったことは、昨年予算委員会で安倍総理が赤嶺委員に対して答えたことと同じでございます。それは、やはり危険性除去は極めて重要だという課題、そしてまた、できることは何でもやるということですが、しかし、危険性除去というまさに危険な状況、その状況を排除するためには何でもやる、そしてそのことで運用停止というものを合意をしたわけ、約束したわけであります。

それを一部の機能の転換で、その普天間飛行場自体の危険性をほとんど除去されない状況が今日続いています。それに対して、協力してくれないからそれができなくなったというのはおかしいんじゃないでしょうか。仲井眞知事ならできて、翁長知事にはできないというのは一体どういうことなのか、もっと説明してください。

防衛大臣(小野寺五典君)

普天間飛行場の移設をめぐる状況は、知事が交代し、翁長知事が埋立承認を取り消したことにより政府と沖縄県との間で訴訟が起きるなど当時と変化しており、一緒に考えることができなくなっている状況の中で五年以内の運用停止を実現することは、昨年、安倍総理が衆議院予算委員会で述べたとおり、難しい状況になっていると認識をしております。

伊波洋一君

普天間飛行場の全面返還というのは一九九六年のSACO合意で五年ないし七年以内、少なくとも二〇〇三年までには返還をするという合意でした。その後のさらに二〇〇四年の合意は、二〇一四年までに返還をするという合意です。さらに、今、二〇二二年あるいはそれ以降。一体、三十年も掛けて危険性を除去するということが、どうしてそれが危険性の除去なのか。まさにいつ起こるかもしれないような危険な事故、そういうことが起こることが放置されている、この責任は私は極めて重大だと思います。

政府がこの間繰り返している普天間基地の返還までの負担軽減というのは、これはきちんと実行されなきゃなりません。しかし、負担軽減と運用停止というのは全く次元の違う話です。運用停止をきちんと検討し、米軍に要求して実現可能性を探ってきたのか極めて疑わしい、このことを指摘して、次の質問に移ります。

政府が運用停止を約束した普天間飛行場では、所属機が二〇一六年十二月に名護市の安部海岸でオスプレイ墜落事故、二〇一七年十月に東村高江区でCH53ヘリ不時着、炎上事故、二〇一八年一月六日に伊計島、八日に読谷村、二十三日に渡名喜島の三件の不時着など、重大事故が相次いでいます。中でも、二〇一七年十二月六日の私立の緑ケ丘保育園への部品落下事故、六日後の十二月十三日の宜野湾市立普天間第二小学校へのCH53E大型ヘリの窓落下事故は極めて重大な事故です。ヘリの窓が校庭で体育の授業中の二クラスの間に落ち、保育園では、落下部品は園庭で遊ぶ園児のすぐ近くの乳児部屋のトタン屋根に落ちて、衝撃で屋根をへこませました。二つの落下事故とも、子供たちに大きな被害が及びかねない重大事故でありました。政府の責任が大きく問われています。

米軍は、普天間第二小学校へのヘリ窓落下は認めて謝罪はしたものの、緑ケ丘保育園については、米軍ヘリの部品ではあるが、飛行中のヘリが落下させたものではないと責任を認めず、謝罪も拒否しています。

普天間基地について、二〇〇四年八月の沖縄国際大学への米海兵隊ヘリ墜落事故後の飛行再開に当たって、日米合同委員会で旋回訓練の場周経路と入出経路を合意し、〇七年八月十日に、普天間飛行場に係る場周経路の再検討及び更なる可能な安全対策についての検討に関する報告書を公表し、安全飛行を実現すると外務省と防衛省のホームページに飛行経路を掲示資料のように掲げています。皆さんのお手元にあります資料ですが、このように掲げております。(資料提示)

この中で、この黄色いのが場周経路、それから青いのが入出経路です。そして、それは普天間第二小学校や緑ケ丘保育園の上にはありません。このように、合意した場周経路、入出経路から大きく外れていることは河野大臣も認めており、日常的に上空を飛行することは明らかに〇七年八月の合意に対する重大な違反行為です。

普天間基地周辺での米軍ヘリ飛行状況については、二〇〇七年八月の日米合意違反だという指摘を宜野湾市が行い、沖縄防衛局では、二〇一〇年以来、通年で飛行航跡調査を行い、月ごとの飛行航跡図を毎年度発表してきました。お手元の資料、二枚目の資料ですけれども、発表された二〇一六年の八月の航空図に市内の小中学校の位置を示したものです。

これまで政府は、毎年九月か十月に沖縄防衛局から公表される調査報告書では、米軍が場周経路の合意を守っていないということを示すものではないと、このように米軍の合意違反を追認をしてきました。また、この報告に先立って防衛省地方協力局沖縄調整官が在日米軍司令部に対して提出した報告書にも、米軍が報告書を守っていないということを示すものではないと考えておりますと書かれており、読んでいる方が恥ずかしくなるような、米軍にこびへつらうかのような姿勢が貫かれています。

防衛大臣、外務大臣、こうした日本政府の姿勢が、在日米軍が日米合意を軽視し違反を常態化する姿勢につながっているのではありませんか。その中で、昨年十二月十三日の普天間第二小学校校庭での児童への体育授業中の米軍ヘリの窓落下と、六日前の緑ケ丘保育園の部品落下が起きているのではありませんか。お二人に。日米合意というのは皆さんの、合同委員会合意ですから、両方とも責任があると思います。

防衛大臣(小野寺五典君)

普天間飛行場における進入及び出発経路を含む場周経路については、日米合意により、できる限り学校や病院を含む人口密集地上空を避けるよう設定をされております。一方、ヘリコプターの飛行は、風や雲などの気象条件等により大きく影響を受けるため、個々の飛行において飛行経路に差異が生じることもありますが、防衛省による飛行状況調査がまとまった際には、米側に対し、航路図を示した上で、できる限り定めた飛行経路を飛行するよう求めております。
防衛省としては、引き続き、米軍機の運用によって地元の皆様に与える影響が最小限となるよう、適切に対応してまいります。

外務大臣(河野太郎君)

政府としては、米軍機の飛行に際しては安全の確保が大前提と認識をしております。
引き続き、米側に対し、場周経路に係るものを含む関連する日米間で合意された措置を確実に履行するよう求めるとともに、安全面に最大限配慮し、地域住民に与える影響を最小限にとどめるよう求めていく考えでございます。

伊波洋一君

ここにありますように、普天間飛行場というのは市街地のど真ん中にあるんですね。宜野湾市は全域が市街化区域です。そういう中にあって、みんなが見ています、飛行機がどこを、ヘリがどこを飛んでいるか。いわゆる雲の影響とか云々ではないんですよ。基本的にルール違反をしているわけです。それは、私たちはよく見ています。それを政府が、そういう理由、いわゆるその都合をつくって、それを正当化する。こういうことこそがこれまでの事故、あるいはこれまでの苦情を更に広げているわけです。

そもそも、ここにある学校の位置を見ますと、第二小学校というよりも、ほかのところの方がはるかに多いところがあります。上空を飛んでいます。それが放置されてずっといるわけです。少なくとも、確認をしたいと思いますが、この防衛省の航跡図に私の方で場所を書きました、学校の位置を。防衛大臣にお伺いしますが、私が示した図は、防衛局が発表した飛行航跡図に小中高の学校位置を示してありますが、この学校位置を防衛省としては認めていただけるでしょうか。

防衛大臣(小野寺五典君)

委員がお示しになられた防衛省の飛行状況調査でありますが、これは飛行の大まかな傾向を把握することは可能ですが、一つ一つの航跡をもって個々の米軍機が例えば学校上空を飛行したと断定することまでは難しいと考えております。また、学校の位置については、その敷地を正確に示す必要があると考えているところから、お示しの図面をもって学校の位置の正確性についてお答えすることは差し控えます。

重要なことは、学校の上空を飛行しないことであり、米側も同様の認識を有していると理解をしております。防衛省としては、これまでもできる限り定められた飛行経路を飛行するように米側に対して求めてきているところでありますが、これまで以上に普天間飛行場周辺の学校の上空飛行を回避させるよう尽力をしてまいりたいと思っております。

伊波洋一君

防衛大臣の答弁では、私が書いたところは必ずしも正確じゃないからそれを認めるわけにはいかないと言っていますが、じゃ、その正確な地図を皆さんの方で書いていただけますか。

防衛大臣(小野寺五典君)

防衛省では、普天間飛行場における回転翼機等の飛行状況調査、これは航跡調査でありますが、これを行っており、場周経路に沿った飛行が行われているかの大まかな傾向については把握をしております。

ただ、この調査については、この航跡調査の精度について、業者から、測定手法には技術的な限界があるため、実際の航空機の飛行と調査結果の航跡とは最大で約二百メートル又はそれ以上の誤差が生じる可能性があることから、一つ一つの航跡をもって個々の米軍機がどの地点を飛行したかについて図示することは困難であるという説明を受けております。このことを踏まえると、普天間飛行場周辺の学校上空を米軍ヘリが飛行したかどうかについては、必ずしも正確ではない認識を与えるおそれがあることから、このような資料が正確ではないということなんであります。

いずれにしても、防衛省としては、これまでも米側に対して場周経路に沿った飛行を求めてきたところでありますし、また、普天間第二小学校もそうでありますが、私どもとしては、現在、監視員、そして監視カメラを設置し、上空を飛ばないようしっかり対応しているところであります。

伊波洋一君

防衛大臣、私は、これは、場所というのは地図の上の場所なんです。皆さんがこれの精度がおかしいという話は別の話ですよ、精度は。この下にあるんです、小学校というのは、地図の上でですね。ほかの場所、ちゃんと書かれています、どの施設名。それを、ここにあるよということをどうぞ確認してくださいということで、あらかじめ資料をお渡しした。

私たちとしては、防衛省の方でこの図示をきちんとしてくださいと言ったことに対しては、今の答弁のように断られたからこそ、ここで、ここにあることはせめて確認してくださいと、宜野湾市に小中高があるということを確認してくださいよということを言っているんですよ。地図の上にどこかにあるはずですよ。皆さんのこの精度はどうか分かりません、これがですね。しかし、地図の上にあることは認めませんか。

防衛大臣(小野寺五典君)

基本的に、この航跡、この航跡引いた線については、これは航跡を委託している業者から、測定手法には技術的な限界があるため、実際の航空機の飛行と調査結果の航跡とは最大二百メートル又はそれ以上の誤差が生じる可能性があることから、一つ一つの航跡をもって個々の米軍機がどの地点を飛行したかについて図示することは困難であるという説明であります。

改めてここに例えば学校等のプロットをするということになり、その上に例えばこの航跡が重なったということをもって、私どもとして、これが上を飛行したかということは、これは正確性を欠くことだと、むしろ誤解を与えることだというふうに認識をしております。

伊波洋一君

納得できませんね。これについては、やはり私は、防衛省に、ならば皆さんが示す地図をきちんと出してください。ほかのところはあるんです。学校だけ書くのが嫌なんですか。それとも、いずれにしろ、私はこれを、今問題になっているのはまさに小中高の上を飛んでいることに問題がありますから、委員長には、是非、防衛省に対してそれをきちんと提出するよう強く求めたいと思います。

委員長(三宅伸吾君)

後刻理事会で協議させていただきます。

伊波洋一君

時間がなくなりましたので、あとまた残りは継続して取り組みますが、しかし、このように、防衛省は一体誰を守ろうとしているのか。米軍を守ろうとし、どうして日本の国民を守ろうとしないのか、宜野湾の市民を守ろうとしないのか、子供たちを守ろうとしないのか。こういう態度こそ今の沖縄の状況の困難さをより大きくしているわけですよ。そのことを強く指摘して、終わりたいと思います。