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国政報告 / 議事録

外交防衛委員会(2018年3月23日)

2018.1.22~7.22 第196回常会

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伊波洋一君

沖縄の風の伊波洋一です。
前回求めた普天間飛行場の回転翼機の飛行状況調査の飛行航跡集約図への小中高校の位置の図示については、困難であると答弁でした。本日配付した資料の一ページは、グーグルマップで示す小中高の表示のある航空写真です。学校マークは、所在地に住所を入れて表示させたものです。御覧のように、宜野湾市は全域が市街化区域です。基地を除けば、一平方キロ当たり六千人を超える人口密度です。重大な危険を認識しながらも、三十年も放置する日米政府の対応は明らかに間違っています。

普天間基地周辺の飛行状況調査については、平成二十一年度の機器設置費と毎年の委託費で、事業開始から累計で約六億八千三百万円の予算が使われています。来年度も六千四百万円の予算が計上されています。

防衛省は二十日の答弁で、大まかな調査で精度が低い、最大二百メートルの誤差があると印象付けようとされていますが、沖縄防衛局は、二〇一〇年一月の開始以降つい先日まで、一貫して飛行状況の客観的なデータを把握するための調査だと説明してきました。仮に大まかだと言うのならば、調査の精度や誤差が具体的に数値で明記された業務委託の関連書類一式を提出するよう理事会でお取り計らい願いたいと思います、委員長。

委員長(三宅伸吾君)

後刻理事会にて協議いたします。

伊波洋一君

ありがとうございます。

普天間第二小学校に対しては、沖縄防衛局は、今年一月から三人の監視員と四個のカメラを設置して、上空を米軍機が飛行しないよう監視を始めました。その結果、一月十八日午後一時二十五分頃、普天間所属のUH1Yヘリ一機、AH1Z攻撃ヘリ二機の計三機が運動場上空を通過し、二月二十三日午後三時半頃には米海軍MH60ヘリが上空を通過したことを確認しました。しかし、米海兵隊は、一月十八日の三個のヘリの普天間第二小学校上空通過を否定しています。また、二月二十八日午後五時から五時半にかけて、MV22オスプレイが普天間小学校上空を飛行したことも確認されています。

この二月二十八日の普天間小学校、米軍が否認している十二月七日の緑ケ丘保育園、一月十八日の普天間第二小学校の三事案とも、防衛省が実施している飛行状況調査で取得しているデータと照合すれば、施設上空を飛行したか否かは客観的に明らかにできるはずです。委員長、当該日時のデータを含む日報及びこれまで同調査で作成された報告書又は電子媒体の全ての提出を求めるよう、理事会協議をお願いいたします。

委員長(三宅伸吾君)

後刻理事会にて協議いたします。

伊波洋一君

防衛大臣、現在、普天間第二小学校だけに監視員とカメラが設置されています。航跡調査では場周経路合意の違反を取り締まれないということでこのような監視体制を取るのであれば、普天間第二小以外の全ての教育施設や福祉施設、公的施設にも同様の監視体制を取るべきではありませんか。なぜ実施しないのですか。

防衛大臣(小野寺五典君)

米側としては、外来機も含め、学校上空の飛行を最大限避けることとしているものと認識をしております。その上で、普天間第二小学校以外の学校等については、今後、カメラの設置の必要性や地元の御意向等を伺いながらその対応について検討をしていく考えであります。

いずれにしても、大切なことは、日米間の合意を遵守し、航空機の運用による影響を最小限にとどめることであり、引き続き、日米で緊密に協力し、安全確保に万全を期してまいりたいと思います。

伊波洋一君

十二月七日に米軍ヘリの部品が落下した緑ケ丘保育園では、父母会が呼びかけた署名が三月十日時点で十三万四千二百五十六筆に達しました。二月二十二日には、政府にも十二万六千七百九筆分が父母会が上京をして届けました。署名の要望項目は、事故の原因究明及び再発防止、二、原因究明までの飛行禁止、三、普天間基地に離発着する米軍ヘリの保育園上空の飛行禁止です。ただ幼い子供たちの命を守りたいという思いから、これまで署名活動や陳情などと縁のなかったお母さん、お父さんたちが力を尽くした結果です。

米軍は緑ケ丘保育園に関して飛行中の部品落下を認めておらず、今も保育園上空を米軍ヘリが飛び交い、子供たちは、ヘリの騒音、爆音、部品の落下やヘリそのものの墜落の危険などにさらされ続けています。日本政府は普天間第二小学校にだけ人員とカメラを設置して米軍ヘリの上空飛行を監視していますが、他の保育園、幼稚園や小学校では、事件以降も米軍ヘリの上空飛行が日常化しています。極めてゆゆしいことです。

この十三万四千二百五十六筆の署名は、声を上げられない普天間第二小学校の保護者や子供たちも含めた周辺の全ての住民の思いを代表するものなんです。二〇〇七年八月十日に公表した、日米が合意した米軍ヘリの場周経路と入出経路を守れば、普天間第二小学校上空と緑ケ丘保育園の上空を米軍ヘリが飛行することはありません。

防衛大臣、外務大臣、日本政府として、緑ケ丘保育園父母会の署名の要望事項、特に保育園上空の飛行禁止にきちんと応えるべきと考えますが、いかがでしょうか。

防衛大臣(小野寺五典君)

昨年十二月七日、宜野湾市内の保育園の屋根において航空機の部品と見られるものが発見された事案を受け、二月十三日、同保育園の父母会から御指摘の要請が行われたことは承知をしております。

本件について防衛省としては、宜野湾市からの通報を受け、現地に沖縄防衛局の職員を派遣するとともに、米側に対し、事実確認、事実関係を照会をしました。米側からは、当該部品はCH53Eヘリの回転翼の損傷を検知するための装置の保護に用いるカバーであること、本件通報があった当日の午前中、普天間飛行場からCH53Eヘリが一機離陸しているが、この機体に使用している七個のカバーは離陸前に全て取り外され適切に保管されている、また、他の同型ヘリのカバーについても全てが適切に保管されているということを確認したとの説明がありました。この内容については、宜野湾市等に情報提供したところであります。

いずれにしましても、本件については、現在も米側の協力を得ながら関係機関において調査中であると承知をしております。

外務大臣(河野太郎君)

二月十三日、普天間バプテスト教会付属緑ケ丘保育園父母会の皆様から、外務省、防衛省及び内閣官房に対して、昨年十二月七日に同保育園に部品が落下した事案について、事故の原因究明及び再発防止、原因究明までの飛行停止、普天間基地に離発着する米軍ヘリの保育園上空の飛行禁止についての要請を頂戴をしております。

本件部品落下事案については、保育園の関係者の皆様を始め沖縄県民の方々に不安を与えるものであり、あってはならないものであると考えております。外務省としては、引き続き、防衛省を始めとする関係省庁と連携しつつ、米側から情報収集を行うとともに、米側から詳細な情報が得られ次第関係者に通知するなど、適切に対応していく考えでございます。

米軍による航空機の運用に当たっては、我が国の公共の安全に妥当な配慮を払うのは当然のことであり、政府としては、引き続き、米軍と緊密に連携を図りながら、安全面に最大限の配慮を求め、地元の皆様に与える影響が最小限にとどまるよう適切に対応してまいりたいと思います。

伊波洋一君

両大臣に申し上げたいんですけれども、大事なのは、日米合意を守れば緑ケ丘保育園の上空や普天間第二小学校の上空は飛ばないんです。それは二〇〇七年の八月の日米合意なんです。その日米合意を守るということ、これが基本だと思います。

そして、前回の委員会で防衛大臣は、重要なことは学校の上空を飛行しないことであり、米側も同様の認識を有していると理解しておりますと答弁されました。しかし、そのことが、従来から言っている、この間二十年同様なことになっている。また、あの二〇〇七年以来、もうやがて十一年になります、十二年になります。これまで同様では変わらないんです。日米合意を守らせるということに徹するべきです。そのことを強く要望して、次に移りたいと思います。日米合同委員会についてです。

さて、場周経路も日米合同委員会の合意です。こうした米軍の約束が守られないのは、日本政府の弱腰ばかりではなく、日米合同委員会の構成が在日米軍主導になっていることが一因だと思われます。今年一月三日に琉球新報が大きく報道し、沖縄県内では大きな話題となっていますが、日本全体に関わる制度であるにもかかわらず、本土ではまだまだ認知されていません。米軍駐留の条件を定めた日米地位協定の運用を協議する日米合同委員会では、日本側は外務省北米局長を代表とする六名で、全て文民が政府を代表していますが、米側は在日米軍副司令官が代表であり、代表代理である米国大使館公使を例外として、ほかは全て在日米軍の司令官である軍人が米国政府を代表しています。

日米合意が守られないまま米軍の論理が優先され、沖縄の米軍基地問題が解決せず、負担軽減の名の下にむしろ米軍の訓練を強化されてきた原因の一端が日米合同委員会の構成にあると考えます。これは米国内での文民統制の問題でもありますが、日本政府を代表する文民と協議するのは、米国政府の文民、例えば米国大使や公使であるべきです。日本と米国の関係においては、実態として、米軍が日本政府に指示を出すという、GHQの占領時代、サンフランシスコ講和条約以前と変わらない構図が温存されています。日本という国家の独立、主権回復が実態を伴っていないのではないかと言わざるを得ません。

外務大臣、米側代表が軍人、在日軍司令部という極めて異常な日米合同委員会の構成の問題について、日本政府は米国政府に対して問題を提起し、是正を求めるべきです。これまでに求めてきたことはあるでしょうか。

外務大臣(河野太郎君)

日米合同委員会は、日米両政府の代表者一名及び複数の代理で構成をされております。それぞれの代表は、日本側は外務省北米局長、米側は在日米軍副司令官が務めております。また、代表代理は、日本側は外務省北米局審議官又は参事官、米側は在日米軍参謀長ほか、日米各々複数名が置かれております。

同委員会は、日米地位協定の実施に関して日米相互間の協議を必要とする全ての事項に関する両政府間の協議機関として日米地位協定第二十五条に基づいて設置された機関であり、その協議内容は在日米軍の運用に関するあらゆる事項に及び、技術的な内容も含まれております。そのような事項を協議するに際し、自らの運用について一元的な責任を負うとともに、技術的見地を有する在日米軍が日米合同委員会の米側代表を務めることについて特段の問題があるとは考えておりません。また、日米合同委員会の米側代表代理として在京米国大使館公使が指名されており、米側として協議を実施するに際して適切な構成で臨んでいるものと理解しております。

伊波洋一君

私は、今外務大臣がお答えになったようなそういう認識こそがまさに今の沖縄基地問題の根源にあると思います。

皆さん、お手元の資料、一月三日の琉球新報の記事がありますが、そもそも、米国政府自身が沖縄返還に伴って占領下の遺物であるこのような合同委員会の構成を直そうとしたと、そういうことが報じられております。

つまり、本来は主権国家たるものがどうであるべきかという議論が当然国務省であったわけであり、我が国自体が、自分たちが主権国家であるという認識を持ち切れなければ今のままがずっと継続されます。要するに、飛行はしない方がいい、学校の上は飛ばない方がいいというのは、言うだけで、それを止めるだけの権限が日本政府側に全くない状況がある。

いろんな合意が、全てが運用の所要があればその限りではないという形で一筆入っているんですよ。ですから、米軍に要請に行って抗議に行くと、いや、それは私たちは違反はしていない、なぜならば運用の所要であればそれは許されるのだからと、こういうふうなことがずっと今まで続いています。そこをやはりしっかり切り直さなきゃいけないということを指摘して、終わりたいと思います。ありがとうございました。