参議院議員 伊波洋一オフィシャルサイト

イハ洋一 Official Web site

国政報告 / 議事録

外交防衛委員会(2018年3月29日)

2018.1.22~7.22 第196回常会

配付資料ダウンロード

伊波洋一君

沖縄の風の伊波洋一です。

在外公館の改正法案ですが、NATOに政府代表部を新設することは、安倍政権下で強行された安保法制における憲法九条違反の海外での武力行使、海外派兵に関する連絡調整につながるものでもあり、沖縄の風として反対いたします。

二〇一六年九月十四日の本委員会で、二〇〇〇年九月十一日に2プラス2で合意された環境原則に関する共同発表が遵守されていないのではないかと指摘した私の質問に対して、当時の岸田外務大臣は、「我が国としましては、御指摘の点も含めて米側がJEGSに基づいてしっかりと対応するよう働きかけていく、これはあるべき姿として重要であると考えます。」と答弁されています。
外務大臣にお尋ねしますが、環境原則に関する共同発表の遵守について、改めて河野大臣の認識を伺います。

外務大臣(河野太郎君)

日米間では平成十二年に環境原則に関する共同発表を発出し、環境保護の重要性に言及するとともに、在日米軍は、日米の関連法令のうち、より厳しい基準を選択するとの基本的な考えの下に、日本環境管理基準、JEGSを作成することなどを確認してまいりました。平成二十七年に締結された国際約束である日米地位協定の環境補足協定においても、米国はJEGSを発出及び維持することとされております。米側によるJEGSに関する取組については、これらも踏まえ、これまで継続して実施されてきていると承知しております。

外務省としては、今後とも、関係省庁と連携しつつ、平成十二年の環境原則に関する共同発表及びJEGSに基づき、米側が環境保護及び安全への取組を適切に実施するよう機会を捉えて働きかけてまいりたいと思っております。

伊波洋一君

日米2プラス2で合意した環境原則に関する共同発表では、日本国政府及び米国政府は、環境保護の重要性を認識し、在日米軍による環境保護の取組は日本環境管理基準、JEGSによって行われると確認し、JEGSは下位の規則として自然資源・文化資源統合管理計画を規定しています。

日本政府として、在日米軍に、環境原則に関する共同発表、JEGS、自然資源・文化資源統合管理計画の遵守を求める、また環境原則に関する共同発表は日米2プラス2の合意ですから、外務省と防衛省が全体的な取りまとめの責任を負うという理解でよろしいでしょうか。

政府参考人(環境省 江口博行君)

お答え申し上げます。JEGS、日本環境管理基準は、在日米軍施設・区域におけます在日米軍の活動に関する環境管理基準として、日米の関連法令のうち、より厳しい基準を選択するとの基本的考え方の下に在日米軍により作成されているところでございます。このような考え方に基づき作成されましたJEGSに従いまして、在日米軍におきましては施設・区域の環境管理を行っているものと考えております。

その上で、在日米軍に起因する環境問題につきまして、必要に応じまして、日米合同委員会の下の環境分科委員会の枠組みなどを活用いたしまして米側と協議をし対処することで適切な環境保全が図られるものと考えてございます。

伊波洋一君

外務大臣、今の答弁でございますが、先ほどからの質問について、取り組まれていると考えている、というような認識なんですけれども、日本政府の立場は。外務大臣、外務省や防衛省として、要するに2プラス2合意を実施をさせていく責任、これを認識しているのでしょうか。そこについて、主体的に防衛省や外務省がやっているかどうかについてどのように御認識でしょうか。

外務大臣(河野太郎君)

日米合同委員会の下に環境分科委員会というものが設置されております。これは日本側は環境省がヘッドになっているものでございますが、ここでしっかり米側と議論が行われているはずでございます。

伊波洋一君

しっかりやっているはずでございます、と。私、この間いろいろ議論しながらそのことを確認をしてきましたけれども、しっかりはやっていないんですね。基本的に何がやられているのかすら分からない、こういう状況です。

そういう意味では、私は、やはり2プラス2合意でしっかり環境原則の共同発表などというような大げさ、ある意味でホームページに掲げている、このようなことを言いながら、実態的にはほとんどそれが有効でないという状況を、この間、防衛省や外務省あるいは環境省のレクを通して理解をしてまいりました。
そこで環境省にお伺いしますが、環境分科委員会はどのようなものでしょうか。

政府参考人(環境省 江口博行君)

お答え申し上げます。御指摘の環境分科委員会につきましては、日米地位協定第二十五条に基づきまして設置されました日米合同委員会の下部機関の一つでございまして、在日米軍に係る環境問題につきまして協議をするため定期的に開催されております。同分科委員会の日本側代表は環境省、米側の代表は在日米軍司令部、それぞれ課長級がなっております。

環境分科委員会で取り扱う環境問題につきましては、在日米軍の活動に起因して生じる環境問題などでありまして、日米合同委員会から付託された事項又は環境分科委員会の議長が取り上げることに合意した事項とされてございます。

伊波洋一君

ただいま答弁ありましたように、環境分科委員会は、一九七六年七月八日に開催された日米安全保障協議会委員会第十六回会合において、両政府が今後とも環境保全のため最善を尽くすことの必要性につき意見の一致を見たことを受けて合同委員会の下に設置されたということです。

環境分科委員会の日本側代表は、環境省大気環境局総務課長です。環境分科委員会については、日本政府はブラックボックスにしていて、これについて詳しい説明をすることはありません。しかし、米側は、二〇〇二年七月三十一日の在日米軍司令官命令九〇―二〇三をネットでも公開しており、そのうちの二・二項、合同委員会は、随時合同委員会が照会する技術的な問題について助言を与え、勧告をなすことを目的として、手続と権限について分科委員会やその他の補助機関を設置する、と規定しています。

平成十六年度の沖縄・米軍北部訓練場におけるマングース及びノネコ捕獲事業の報告でも、環境分科委員会の勧告を受け、日米合同委員会が事業を実施すると表現されています。環境分科委員会には合同委員会に技術的な助言や勧告をするという権限があるようです。ただし、このマングース捕獲事業そのものは、その四年前から沖縄県が始め、そして環境省とともに北部訓練場にも適用するということを認めたということだけでありますけれども、そういう意味で、この環境分科会の委員会の役割が十分に説明されていないと思います。

JEGSは、十三章で、絶滅危惧種や天然記念物の個体保護のみならず、生息域の保護を義務付けています。これはお手元の資料、配付した資料の中にもその一部を添付してございます。

防衛省の〇七年の北部訓練場自主アセス、一二年の辺野古アセスでは、北部訓練場やんばるの森は特別天然記念物ノグチゲラの生息域であり、辺野古、大浦湾は天然記念物ジュゴンの生息域であることが確認されています。北部訓練場、高江オスプレイパッド建設工事や運用実態、辺野古の建設工事の実態を見ても、希少種の生息域の環境が著しく破壊されています。日本政府として、米軍に対して、希少種であるノグチゲラやジュゴンの生息域保護を求めるべきです。

環境省にお伺いしますが、これまで、環境分科委員会で希少種、ノグチゲラやジュゴンの生息域の保護を議題として協議したことがありますか。

政府参考人(環境省 江口博行君)

お答え申し上げます。環境分科委員会の協議内容につきましては、日米両国政府の合意なしには公表しないこととされてございまして、これを公にすることにより、米国政府との信頼関係が損なわれるおそれがございますことから、お答えは差し控えさせていただきます。

伊波洋一君

このように、日米合同委員会あるいは環境分科会などで何が行われているかというのは一切公表されないんですね。本当にやってきた実績があるのかどうか、それは我々は知ることができない。そしてまた、今申し上げた米軍のインストラクションでは、どのように在日米軍全体の中からこの合同委員会に提起する議題をつくり上げていくかということがきちんと知らされているにもかかわらず、日本側ではそういう仕組みが全くない、そのことすら明らかにされていない。

つまり、これだけ膨大な面積にいて、その在日米軍に対して日本側が受けている被害をどのように解決するかということを日本政府自体がやっていないということをまさに示すものであります。

私が、米国に情報公開請求をして提示されたのが、皆さんお手元の資料にあります自然資源・文化資源統合管理計画です。その計画の中には、二〇〇六年二月付け、那覇防衛施設局の北部訓練場ヘリコプター着陸帯移設アセスについて、その参照資料としてドラフトアウトラインが挙げられています。これはどのような文書でしょうか。また、誰から誰にいつ提供したのでしょうか。

政府参考人(防衛省 深山延暁君)

お答え申し上げます。委員御指摘の資料につきましては、防衛省が事業者として自主的な判断により実施した北部訓練場ヘリパッド移設事業における環境影響評価図書案の概要、この図書案の概要は、題名を「環境影響評価図書案のあらまし」という冊子にいたしましてこれは公表しているところでございますが、これは日本語版についてはもう冊子にして公表しているところでございますが、この文書ではないかと思われます。

御質問いただきましてから、これが米側にいつ渡したのかについて今確認をしておりますけれども、現時点ではまだいつ誰から誰に渡したかまでは確認ができておりません。

伊波洋一君

それでは、今ちょっと提示しますけど、これのことですよね。(資料提示)

政府参考人(防衛省 深山延暁君)

まさに先生が今示されたもの、この冊子だと思われるというのが、我々の今認識しているところでございます。

伊波洋一君

私がこういうことをなぜ指摘するのかというと、皆さんお手元の資料にある在日米軍海兵隊、在日海兵隊のいわゆる環境に関する統合管理計画、この中にアセスの反映が基本的にされていない、二〇〇七年アセスの反映がされていないということを指摘したいからです。

この資料の後ろの方には、このアセスに入っているノグチゲラの場所とか希少種のあるところの表示がされています。これはまさにオスプレイのヘリパッドが造られている場所ですけれども、いかに物すごい多様な生物がいるかということが明らかです。そのことを、この渡したあらましは一体どのくらい伝えているのか。実態としてはほとんど伝えていません、こういう事実は。ヘリパッドが造られる場所はまさに希少種の宝庫であるということは伝えていません。

でも、中ではどういうふうに書かれているか。ここの中には、北部訓練場の考え方として、「ヤンバルの自然保護の観点からも、一体の環境域として保全・保護する必要があると考えられる区域については、極力、新たな施設の建設は避ける。」、方針です。さらに、「ノグチゲラなどの特に注目すべき種の重要な生息地の保全に最大限配慮を行う」、これが方針として提示され、そして、今回選定された箇所は、以前に選定された場所が余りにも自然が貴重だから、新たな別のところを含めた検討を行った上で選定したという評価がなっています。これは詳しくはまた次の機会にしますけれども。

しかし、その中で何が残されたかというと、最終的にアメリカが最初から求めていたところ、GとHですね。一番アメリカ軍が最初から求めていたところ、実はこここそが自然は一番豊かである。そういう場所が巧妙な形で抜かされている。そして、最終的に、この後ろの方に、皆さんの、アセスに書かれた選定理由があります。何かというと、これは、全部米軍の運用によってここを選択したんだということがきちんと書かれています。つまり、環境は豊かだけれども、米軍の運用だからこそこれを選択したと。

しかし、皆さん、JEGSはそもそも何と書いてあるか。生息域、絶滅危惧種や天然記念物の生息域を保護する義務を米軍に与えているんですね。だから、米軍はそこを選択することは本当は許されないんですよ。許されないけれども、日本政府はそのことを承知、まあ承知していなかったのか、あるいはそのことまで主張しなかったのか分かりませんが、結果的にそこが、最初から狙われたところが選択されていく。でも、これで読む限りそうではないかのように書かれているということを、是非後で詳しくこれを検証していきたいと思いますが、今日はできませんけれども、結局、この事業で直接環境に影響を及ぼしているのは防衛省です。北部訓練場、高江オスプレイパッド周辺はもちろん、辺野古の工事区域も米軍の管理権が設定された区域であり、JEGSの第一章三の八によればJEGSの適用対象です。

そこでお伺いしますけど、米軍に共同発表やJEGSで規定された環境保護の義務を遵守させるため、米軍の管理権が設定されたこれらの地域における希少種の保護について、環境分科委員会において協議する、そのための議題として設定するべきであると思いますが、いかがでしょうか。

政府参考人(環境省 江口博行君)

お答え申し上げます。在日米軍の各施設・区域におきまして発生する環境問題につきましては、まずは現地米軍と関係当局の間で適切に対処されるものと承知をいたしております。その上で、必要に応じまして日米合同委員会の下での環境分科委員会の枠組みなどを活用いたしまして米軍と協議をすることとしておりまして、こういった仕組みにおきまして日米間での情報の共有等が図られるものと考えてございます。

政府参考人(防衛省 深山延暁君)

今環境省からお答えがありましたが、防衛省として今委員から御指摘のあった観点でございますけれども、北部訓練場のヘリパッド建設につきましては、私どもも自然環境に与える影響ができるだけ少なくなるよう米軍と調整しまして、例えば、かつては七つあったヘリパッド全てを移設するのではなく六つにとどめる、また、直径七十五メートルの大きさで整地する必要があったところ、これは米側と調整をいたしまして、必要最小限度の四十五メートルの直径のものに縮小する等の措置をとりまして、御指摘ではありますけれども、我々も環境に与える影響を少なくするように努力を行った上で、北部訓練場のヘリパッド移設を行ったところでございます。

伊波洋一君

防衛省の反論についてはいずれまた反論しますけれども、前委員会でも確認をしたとおり、合同委員会は在日米軍司令部が米国政府を代表して協議する機関であり、米軍の論理が優先されます。米軍がJEGS等を遵守しているかを確認する機関が、米軍自身では有効なチェックは働きません。

そこで、外務大臣にお伺いしますが、共同発表あるいはJEGS、自然資源・文化資源統合管理計画の遵守状況について、環境省を中心に防衛省、文化庁が情報を共有しつつ、最終的には外務省が確認をするという仕組みをつくるべきではないでしょうか。どうでしょうか。

外務大臣(河野太郎君)

先ほど申し上げましたように、米側によるJEGSに関する取組については、これまで継続して実施されているというふうに報告を受けておりますが、今いろいろ問題提起をいただきましたので、このJEGS並びに沖縄の、あるいは米国の基地内の環境について政府としてどのように対応していくのが最適か、少し検討してまいりたいと思います。

伊波洋一君

是非それを抜本的に考え直していただきたいと思います。何しろ在日米軍というのは、我が国最大のいわゆる事業体なんですね。その事業体が占めている面積は膨大です、空域などを含めればですね。それに対して有効な規制の仕方はあるんですね、JEGSを含めて。ですから、それを日本政府が活用しなきゃいけない。やはりそこを訴えて、終わりたいと思います。