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国政報告 / 議事録

外交防衛委員会(2018年4月12日)

2018.1.22~7.22 第196回常会

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伊波洋一君

沖縄の風の伊波洋一です。米空軍CV22オスプレイ五機が横浜に陸揚げされ、四月五日、横田基地に飛来しました。防衛省の説明によれば、オスプレイは米空軍第三五三特殊作戦群の隷下の新たな飛行隊として、今年の夏頃、横田基地に正式に配備されるとのことです。

第三五三特殊作戦群は、一九九一年にピナツボ火山の噴火に伴いフィリピンのクラーク基地から移駐し、その後、九三年に嘉手納基地への配属が決定されています。当初、MC130という飛行隊の固定翼機十機が配備される中で、その代替として嘉手納にCV22が配備されると報じられましたが、今回は新たな飛行隊として横田基地に配備されるということが明らかになり、驚いています。

この飛行隊の環境レビューによりますと、キャンプ富士やあるいは群馬、新潟県の空域、上空に設定されているホテル空域、あるいは三沢射爆場を含め、沖縄にも訓練をするような旨のことが書かれています。このCV22オスプレイ部隊が将来的にも嘉手納に配備、配属されることはないのでしょうか。

防衛大臣(小野寺五典君)

四月三日に発表されました在日米軍のプレスリリース等によりますと、米国政府は、太平洋地域における安全保障上の懸念に対応するため、今年の夏頃に五機のCV22オスプレイを横田飛行場へ配備する予定と承知をしています。また、今後数年間で、段階的に計十機のCV22を横田飛行場へ配備する予定と承知をしております。

一方で、防衛省としては、CV22が嘉手納飛行場に配備される具体的な計画があるとは承知をしておりません。

伊波洋一君

政府は日頃から沖縄の負担を軽減すると言いますが、現実にはF16の配備やパラシュート降下訓練など、県民の生活は脅かされ続けています。CV22の訓練が沖縄で行われれば、沖縄の基地負担はますます重くなりかねません。

先ほど申し上げた環境レビューでは、四十七ページに、その訓練区域の中で既存の沖縄の訓練場が入っています。外来機として横田から沖縄に来て、沖縄で低空飛行訓練することはないと言えますか。

防衛大臣(小野寺五典君)

CV22は、各種事態における米特殊作戦部隊の迅速な長距離輸送という主たる任務を達成するため、低空飛行訓練等を実施することになると承知をしておりますが、他方、沖縄におけるCV22の訓練については、米側が作成したCV22の横田飛行場配備に関する環境レビューにおいて、我が国に所在する訓練区域の一つとして沖縄の訓練場が記載されていることから、CV22が沖縄に飛来することも考えられますが、現時点において沖縄における具体的な飛行運用について米側から説明を受けているわけではありません。

なお、低空飛行訓練を実施するに当たっては、日米両政府としては、安全面に最大限の配慮を払うとともに、地元住民の皆様に与える影響を最小限にする必要があると認識をしております。米側は、低空飛行訓練を含め、我が国でのCV22の飛行運用に際しては、平成二十四年九月のMV22に関する日米合同委員会合意を含む既存の全ての日米間の合意を遵守する旨明言をしております。

この日米合同委員会合意においては、地域住民に十分な配慮がなされ、最大限の安全対策が取られることを両国間で合意しているほか、低空飛行訓練についても、原則として地上から五百フィート以上の高度で飛行することとされております。また、オスプレイの安全面の確保について、私からもシュローティ在日米軍副司令官に対し最大限の配慮を求めております。

いずれにしましても、CV22の日本国内における飛行運用に際しては、地元の皆様に十分配慮し、最大限の安全対策を取るよう日米で協力していく考えであります。

伊波洋一君

大臣が答弁をされましたけれども、残念ながら沖縄の現実はそういう答えには合致しておりません。日米合意はほとんど守られていません。こういう国会の場で、あるいは委員会の場で答弁はされますけれども、皆さんは米軍に対してそれを守らせる仕組みがない、権限がないわけですね。そういう意味では、このように突然新たな飛行隊が首都の真ん中の横田に配備される、そのことにすら抵抗することができない。これが現実ではないでしょうか。

日米安保は、米軍による核の傘、拡大抑止と日本の米軍基地提供や訓練の引受けをバーターとして語られてきました。しかし、〇五年の日米合意、「日米同盟 未来のための変革と再編」以降、通常戦闘による日本防衛は米軍ではなく自衛隊の役割と明確に規定されています。朝鮮半島情勢を見ても、既に拡大抑止は機能不全に陥っています。中国に対してはもちろんです。

日本政府が米軍の言いなりで横田や沖縄、岩国など米軍基地の提供と機能拡張を認めていますが、これは日本全土が戦場になることを引き受けることと同じです。日本政府が、米軍の動きを一方的に受け入れ続けるという占領時代の思考停止状態から脱して、日本国民の利益を代表して、米軍の日米合意を守らない日本国内での訓練の在り方について改善を求めて米国と協議するよう、強く求めます。

次に、米軍北部訓練場のオスプレイパッド移設事業について伺います。環境省に確認します。外務省、防衛省とも、関係省庁と連携しつつ、平成十二年の環境原則に関する共同発表及びJEGSに基づき米国が環境保護及び安全への取組を適切に実施するよう機会を捉えて働きかけてまいりたい、つまり、主体的に省として米軍に共同発表やJEGSを守らせる責任があることを確認しています。環境省としても同じ認識でしょうか。

政府参考人(環境省 江口博行君)

お答え申し上げます。日米間では、平成十二年の環境原則に関する共同発表におきまして、環境保護の重要性に言及するとともに、在日米軍は日米の関連法令のうちより厳しい基準を選択するとの基本的考え方の下に、日本環境管理基準、いわゆるJEGSを作成すること等を確認しております。アメリカ側によりますJEGSに関する取組につきましては、これを踏まえ実施されてきているものと考えてございます。

環境省といたしましても、関係省庁とも連携しつつ、この平成十二年の環境原則に関する共同発表及びJEGSに基づきまして、アメリカ側が環境保護及び安全への取組に適切に実施するよう、機会を捉えて働きかけてまいりたいと考えてございます。

伊波洋一君

環境省、是非そうしてください。それで、十日の委員会中に、防衛省から、二〇〇六年二月の北部訓練場ヘリコプター着陸帯移設事業「環境影響評価図書案のあらまし」の英訳版、アウトライン・オブ・エンバイロンメンタル・アセスメントを提出いただきました。

〇五年十月に米軍にこれを渡したということでよろしいでしょうか。この英文版には、日本語版と同じく、生息域かどうか判断するための希少種の分布図などデータは掲載されていません。米軍には、日本環境管理基準、JEGSで希少種の生息域の保護が義務付けられていますが、このパンフで事業実施区域が希少種の生息域であることが伝わり、理解されたと考えますか。

政府参考人(防衛省 深山延暁君)

お答え申し上げます。米側に対して、北部訓練場のヘリパッド移設事業に関する環境影響評価内容をどのように説明したかについては現在も引き続き詳細を確認しておりますけれども、環境影響評価図書の案を公表する直前である平成十七年十月に在沖海兵隊司令部に対して、委員御指摘の「環境影響評価図書案のあらまし」を提供して説明を行っております。また、環境調査が終わった直後の平成十六年六月に、在日米軍司令部に対してその概要を説明しております。

さらに、環境調査の結果などを踏まえると、自然生態系への影響が懸念されたことから、可能な限りその影響を低減するよう配慮するため、当時の防衛施設庁と在日米軍、在沖海兵隊の間で環境面、運用面から協議を行いました。この協議におきましては、米側に対し、希少種の生息域を含め環境調査の結果を示して説明を行っているところでございます。

その結果といたしまして、累次申し上げておりますが、七つで予定されたヘリパッドの数が六つに、また直径七十五メートルが予定されておりましたところを必要最小限の四十五メートルに縮小するなどの、環境への影響を最小限にとどめるよう日米間で合意をしたところでございます。

このほかにも、累次の機会において日米間で環境影響評価の内容を踏まえた調整を行ったりすることによって、米側に対してその内容をしっかり伝えてきておるところでございます。

いずれにしましても、防衛省としては、今回の事業の実施に当たっては、自然環境の保全にできる限り配慮すると、そうした観点から自主的に環境影響評価などしてまいりましたし、環境の保全に最大限配慮した対応を行ってきたものであると考えております。

伊波洋一君

現在、JEGSの遵守状況をチェックしているのは地方協力局施設管理課ということですが、間違いありませんか。この役割分担はいつからでしょうか。

政府参考人(防衛省 深山延暁君)

お答え申し上げます。在日米軍に起因する環境問題に関する米側との調整については、平成十九年九月以降、地方協力局施設管理課が所掌しております。省内の関係部署及び関係省庁と連携して、JEGSの遵守を含め、米軍が環境保護及び安全への取組を適切に実施するように働きかけているところでございます。

伊波洋一君

先ほど申し上げたこのあらまし以前に、米軍側には、当初候補地と追加候補地を併せた米軍調整前候補地の具体的な環境調査のデータは伝えられていましたか。どのような資料をもって、いつ、誰に伝えたのでしょうか。

政府参考人(防衛省 深山延暁君)

一部繰り返しになりますけれども、米軍に対して環境影響評価の内容をどのように説明したかについては現在詳細を確認中でございますけれども、平成十六年六月に在日米軍司令部に対しまして、議員御指摘の米軍調整前候補地における環境調査の結果の概要を用いて説明を行っておるところでございます。

その後、この環境調査の結果を取りまとめた資料を用いて、具体的なデータを示しながら、当時の防衛施設庁と在日米軍、在沖海兵隊との間で環境面、運用面から協議を行っているところでございます。

その結果につきましては先ほど申し上げましたけれども、着陸帯の数、規模の縮小などの成果につながったものと考えております。

伊波洋一君

あらまし以降、事業実施区域の環境調査データあるいは自主アセスそのもののデータが伝えられていましたか。どのような資料をもって、いつ、誰に伝えたのでしょうか。

政府参考人(防衛省 深山延暁君)

あらまし以降のデータの伝達ということでございますけれども、北部訓練場のヘリパッド移設事業に関する環境影響評価の内容につきましては、今申し上げましたとおり累次の機会に米側に対して説明を行っております。

その上で、平成十七年十月に米在沖海兵隊司令部に対して、今先生から御指摘もありましたあらましを使用して説明を行っていますが、これ以降、移設するヘリパッドの数、規模等は変更されておらず、事後調査においても特段の環境への影響は認められなかったことから、環境影響評価の内容については、米側への提供はこの後は行っておりません。

他方、事業、移設工事の実施に当たりましては、日米間での工事計画の調整を行う際において、例えば貴重な動植物を移植すること、ノグチゲラの繁殖期である三月から六月は土を掘り返し整地する等の作業は実施しないこと、ノグチゲラに対しては人工営巣木、採餌木等を設置することなど、防衛省が実施した環境保全措置についても説明を行っております。

また、今後は事後調査の結果についても米側に対して説明していくこととしたいと考えておりまして、引き続き自然環境の保全に当たって米側と緊密に連携していきたいと考えておるところでございます。

伊波洋一君

防衛省が実施をした平成二十八年七月の環境影響評価検討図書を米軍やあるいは環境省など他省庁に渡したでしょうか。そして、それはいつ渡したのか、また、希少種の分布であるとか動物の行動範囲など、あるいは鳥類の行動範囲など、墨塗りしていないものを渡したでしょうか。お答えください。

政府参考人(防衛省 深山延暁君)

お答え申し上げます。委員御指摘の、二十八年七月の環境影響評価検討図書についてでございますけれども、これは北部訓練場のヘリパッド移設事業に関して、大気環境や水環境、陸域生物、生態系、廃棄物等の観点から、工事計画を変更したことに伴う環境への影響について予測、評価した結果を取りまとめたものでございます。

この検討図書については、平成二十八年七月に、防衛省から環境省当時の総合環境政策局などの関係部局に提供するとともに、沖縄防衛局から沖縄県環境部に提出しているところですが、これらについては今委員御指摘の黒塗り、マスキングなどの措置は講じておりません。

なお、この検討図書は、工事計画を変更したことに伴う環境の影響について予測、評価した結果を取りまとめたものでございます。移設するヘリパッドの数や規模等を変更するような米軍に提供する施設の量、質に変化を与えるものでないことから、米側への提供は実施しておりません。

伊波洋一君

今申し上げているのは、こういう、皆さんお手元に資料出している生息地の資料です。これいっぱいあるんですけれども、まず、これが渡っていないだろうということが二〇一二年のオスプレイレビューを読めば分かります。

ノグチゲラという項目があって、ノグチゲラは「一九九〇年代前半における育種集団は七十五羽程度」、「全体の個体数は百四十六~五百八十四羽だった」だろうと書かれていますし、それから、「最低でも林齢三十年以上で、直径が八インチ以上の木々がある広葉常緑樹林を好む。基本的に、既に枯れた、あるいは枯れかけの大きなシイの木に空洞を作り、巣を作る。餌をとったり巣を作ったりするのに古い森を好むので、着陸地点の近くに生息する可能性は低い。」こんなふうに明確に書かれています。

つまり、皆さんの資料渡っていないんですよ。そして、今新たなオスプレイパッドを造ったところが、まさにその古い森であったということすら伝わっていない。そういうことで、本当に防衛省として責任を果たしていたと言えるんでしょうか。以上、終わります。