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国政報告 / 議事録

外交防衛委員会(2018年4月17日)

2018.1.22~7.22 第196回常会

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伊波洋一君

沖縄の風の伊波洋一です。
前回に続き、米軍北部訓練場オスプレイパッドの建設について伺います。

この間の質疑で外務省、防衛省、環境省が三省とも、日本政府として在日米軍に対し、日米の環境原則に関する共同発表、日本環境管理基準、JEGSを遵守させる義務を負うという認識で一致したことは評価したいと思います。

JEGSは、第十三章、自然資源及び絶滅危惧種で、米軍に対して希少種の個体保護とともに、生息地保護を義務付けています。お手元に提示の、防衛省による北部訓練場の平成十七年自主アセスや平成二十八年七月の環境影響評価検討図書では、建設予定地、特にG地区には、絶滅危惧種であり国指定の特別天然記念物であるノグチゲラの生息場所が多数確認されており、生息状況がプロットしてある地図も添付されています。

環境省は墨塗りなしの資料を防衛省から入手しているはずです。二つの資料は、保護種で特段に多いのがノグチゲラであることを示しています。希少種保護を所管する環境省自然保護局野生生物課として、この地図を見て、これがノグチゲラの生息地とは考えませんか。

政府参考人(環境省 米谷仁君)

ノグチゲラはやんばる地域に広く生息しており、御指摘の自主アセスや環境影響評価検討図書における北部訓練場ヘリコプター着陸帯建設予定地やその周辺も生息地の一部であると認識しています。

伊波洋一君

全般的に存在するという趣旨で説明していますけれども、米国のオスプレイ環境レビューでは、およそ全体で、一九九〇年代前半ですけれども、百四十六から五百八十四羽であるという。その中で、今回の資料は、そこに三十四の個体を確認をし、そして様々な資料でも、二百十五の、その巣跡を含めて一番多く確認をしています。そういう意味では、生息地であることはもちろん、重要な生息地であるということであると思います。

二〇一六年四月二十一日に更新された二〇一六年版JEGS第十三章には、日本の野生動植物における絶滅危惧種として、二〇一二年五月段階までの環境省の種の保存法に基づく国内希少野生動植物種八十九種のうち八十八種が登録されています。しかし、今提示しております種の保存法のリーフレットのように、二〇一六年四月の段階で環境省指定種は百七十五種に上っていました。環境省指定種の約半分しかJEGSの絶滅危惧種リストに入れられていません。希少種保護として極めて不十分と言わざるを得ません。

一六年版JEGSには、二〇一六年版JEGSは二〇一二年に発行された二〇一二年版JEGSの改定版であると書かれています。なぜ二〇一二年の五月段階の環境省指定種しか反映されていないのですか。二〇一二年版発行前に米軍に情報提供して以来、情報提供を怠っていたのではないですか、伺います。

政府参考人(環境省 江口博行君)

お答え申し上げます。
環境省におきましては、米軍に対しまして国内環境法令につきまして適宜情報提供するなどの対応を行ってきているところでございますけれども、日米間のやり取りの詳細を明らかにすることにつきましては、米側との信頼関係が損なわれるおそれがありますことから、お答えは差し控えさせていただければと存じます。

伊波洋一君

じゃ、一六年四月以前に最後に環境省指定種の情報を提供したのはいつですか。

政府参考人(環境省 江口博行君)

お答え申し上げます。
誠に恐縮でございますが、環境省におきましては、米軍に対しまして国内環境法令につきまして適宜情報提供などの対応を行ってきてございますけれども、日米間のやり取りの詳細を明らかにすることにつきましては、米側との信頼関係が損なわれるおそれがありますことから、お答えは差し控えさせていただければと思います。

伊波洋一君

お手元の資料にありますように、八十九種から始まって、二〇一五年百三十種、二〇一五年十二月には百三十四種、二〇一六年には百七十五種、二〇一七年一月には二百八種、現在二百六十種です。このようなことが通知がされたのか、されていないかも分からず、そしてまたそれが反映されていないということであります。

適時適切に指定種の情報を提供するとともに、今後は確実に反映されるよう確認すべきだと思いますが、いかがでしょうか。環境省の指定種の情報提供及びJEGSへの反映を確認することに責任を負う日本政府側の体制が必要ではないでしょうか。

政府参考人(環境省 江口博行君)

お答え申し上げます。
日米間におきましては、平成十二年の環境原則に関する共同発表におきまして、環境保護の重要性に言及するとともに、在日米軍は日米の関連法令のうちより厳しい基準を選択するとの基本的考え方の下に、日本環境管理基準、いわゆるJEGSを作成すること等が確認されてございます。米側によりますJEGSに関する取組につきましては、これを踏まえ実施されてきているものと考えてございます。

環境省といたしましても、関係省庁とも連携しつつ、平成十二年の環境原則に関する共同発表及びJEGSに基づきまして、米側が環境保護及び安全への取組を適切に実施するよう機会を捉えて働きかけてまいりたいと考えてございます。

伊波洋一君

適切に反映されているのだったら、こういう質問しません。百七十五種という時点で、半分近くの八十八種しかないから問うているんです。
一六年四月以降、環境省指定種の情報提供について、いつ、どのような情報を、米軍の誰に対して情報提供したんですか。

政府参考人(環境省 江口博行君)

お答え申し上げます。
繰り返しになりまして誠に恐縮でございますけれども、環境省におきましては、米軍に対しまして国内環境法令につきまして適宜情報提供をするなどの対応を行ってきてございますけれども、日米間のやり取りの詳細を明らかにすることにつきましては、米側との信頼関係が損なわれるおそれがありますことから、お答えは差し控えさせていただければと存じます。

伊波洋一君

米側との信頼関係じゃなくて、国民との信頼関係を大事にしてほしいと思います。
二〇一八年二月までに二百六十種が環境省の指定を受けています。JEGSは二年ごとに更新することが環境原則に関する共同発表で確認されており、今年はJEGSが更新される年に当たります。

二〇一八年版JEGSの現時点での進捗状況はどうなっているんでしょうか。最新版には確実に二百六十の環境省指定種が掲載されると考えてよろしいでしょうか。

政府参考人(環境省 江口博行君)

お答え申し上げます。
JEGSの次の具体的な更新の時期につきましては米軍が決定するものでございまして、環境省といたしましてお答えする立場にはございませんが、いずれにいたしましても、JEGSが日本の国内環境法令を踏まえ適切に更新されるよう、また米軍が環境保護及び安全への取組を適切に実施するよう、機会を捉えて働きかけてまいりたいと考えてございます。

伊波洋一君

環境原則に関する共同発表は、二〇〇〇年九月の2プラス2合意です。そういう意味では、そもそも防衛大臣や外務大臣が米側と一緒に発表したものですから、これは環境省の責任というよりは、むしろ日本政府全体、外務省や防衛省がきちんとやっていかなければなりません。

二〇一五年九月の日米地位協定環境補足協定第三条三は、「両締約国は、合衆国がJEGSの改定を発出する前に、又はJEGSの改定が円滑に行われるために日本国が要請したときはいつでも、JEGSに関連して合衆国が日本国の基準を正しく、かつ、正確に理解していることを確保するため、合同委員会の環境分科委員会において、協力し、及び当該基準について協議する。」と定めています。

これまで、環境補足協定第三条三に基づいて協議を要請し、実際に協議を実施したことがありましたか。あるとすれば、それはいつ頃、どのような議題でしたか。

政府参考人(環境省 江口博行君)

お答え申し上げます。
日本環境管理基準、JEGSの更新に際しましては、御指摘の環境補足協定第三条三の規定も踏まえまして、日米合同委員会の下にあります環境分科会の枠組みにおきまして、JEGSが日本の国内環境法令を踏まえ適切に更新されますよう両国間で協力等を行ってきてございます。JEGSが日本の国内環境法令を踏まえまして適切に更新されるよう、環境分科会だけではなく米側との間で日常的に様々なやり取りを行ってございますけれども、協議の詳細につきましては、米側との関係もあり、お答えを差し控えさせていただければと存じます。

伊波洋一君

お答えを差し控えただけでは実態が分かりません。十三章の絶滅危惧種リストが適切に環境省指定種を掲載すべく、環境補足協定に基づいて早急に協議を要請すべきではありませんか。

政府参考人(環境省 江口博行君)

繰り返しになりまして誠に恐縮でございます。
JEGSが日本の国内環境法令を踏まえ適切に更新されるよう、環境分科会だけではなく米側との間で日常的に様々なやり取りを行ってございますけれども、こういったことも通じまして、引き続き米側に働きかけてまいりたいと存じます。

伊波洋一君

外務省や環境省、大臣、様々にこの環境補足協定のことを進展しているというふうにずっと言っていますけれども、実態がこうです。今の話のように、ここにちゃんと書かれているのにもかかわらず、やっていない。

外務大臣にお伺いしますけど、外務省として、この環境補足協定に沿って、今遅れているJEGSのこの種の、保護種の指定の在り方、もうずっと遅れているわけです。それをやはりきちんと要請をしていくべきではないでしょうか。そして、その仕組みをしっかりとしてつくって、日本政府として要請すべきではないでしょうか。

外務大臣(河野太郎君)

JEGSの改正に当たっては、環境補足協定三の三に従って米側と協議を行ってきております。
私も、この希少種、希少野生動物については関心を持っておりますので、これがしっかりと反映されるように外務省としても関心を持っていきたいと思います。

伊波洋一君

二〇一二年四月のMV22の普天間飛行場配備及び日本での運用に関する環境レビュー最終版では、ノグチゲラについて、「この種は、最低でも林齢三十年以上で、直径が八インチ以上の木々がある広葉常緑樹林を好む。基本的に、既に枯れた、あるいは枯れかけの大きなシイの木に空洞を作り、巣を作る。餌をとったり巣を作ったりするのに古い森を好むので、着陸地点の近くに生息する可能性は低い。」と、「MV22の訓練によるノグチゲラの巣作りへの影響は最小限に留まるだろう。」と書かれています。

つまり、建設予定地にノグチゲラがいるということは考えられていないんですね。しかし一方、ヤンバルクイナやカラスバトについては軽減対策が取り上げられています。
その意味では、実際は、皆さん、お手元資料のように、ノグチゲラがいっぱいいるところです。防衛省は、建設予定地にノグチゲラが多数生息していたことを米軍に伝えていなかったのではありませんか。

政府参考人(防衛省 深山延暁君)

お答え申し上げます。
北部訓練場のヘリパッド移設事業に関する環境影響評価においては、移設候補地周辺におけるノグチゲラの生息状況なども調査を行っております。米側に対しては、累次の機会にこの環境影響評価の内容を説明しているところです。どのように説明したかについて詳細につきまして現在確認しておりますけれども、これまで我々が過去を調べたところでは、平成十六年六月に在日米軍司令部に対して環境調査の結果の概要を用いて説明しているところです。

なお、この環境調査は、先生、委員御案内のとおりと思いますけれども、いわゆる当初地、当初候補地についての過年度調査、追加候補地についての継続環境調査、この二つが完了いたしましたのが十六年でございまして、この時点で米側に説明をしております。その際には、当然のことながら、ノグチゲラも含めた生息状況も先方に説明しているところでございます。

また、その後に、環境調査の結果を取りまとめた資料を用いて、具体的なデータを示しながら、当時の防衛施設庁と在日米軍、在沖海兵隊の間で環境面、運用面から協議を行っているところでございます。

これらの説明や協議に用いた資料には、環境影響評価において調査したノグチゲラの生息状況が含まれておりまして、私どもといたしましては米側に生息状況はしっかり伝わっていたものと認識しております。

伊波洋一君

米側の資料はノグチゲラに対する言及がありません。先ほど申し上げたヤンバルクイナやカラスバト、カラスバトは保護種ではありませんが、もし巣が発見されたら、そのヘリパッドでですね、三十日間は運用停止しなさい、そして、ひなが飛び立つまで、それを確認するまで、そこを使ってはいけませんということがきちんと書いてあります。

それが対策です。これが要するに国際水準なんですよ。そういう国際水準を全く無視をして工事を実行したのがあの高江の、あるいはやんばるのヘリパッドです。まさに、そういったことを無視して、自分たちがやったことをもっとしっかり見ないといけない。これは日本政府が翻訳したものです。そういうことを含めて、本来ならば、もうそれ以降も、平成二十八年も調査をしています。ノグチゲラがいっぱいおります、資料、皆さんのお手元のとおり。なぜ伝えないんですか。

委員長(三宅伸吾君)

伊波君、時間が来ておりますので、おまとめください。

伊波洋一君

そのことを伝えることを要望して、ここの、今日の回は終わります。