参議院議員 伊波洋一オフィシャルサイト

イハ洋一 Official Web site

国政報告 / 議事録

外交防衛委員会(2018年4月19日)

2018.1.22~7.22 第196回常会

配付資料ダウンロード

伊波洋一君

沖縄の風の伊波洋一です。
議題のマラケシュ条約もシップリサイクル条約も、まさにグローバルスタンダードを条約にしたものであり、異存ありません。

米軍北部訓練場オスプレイパッド移設問題について伺います。
この間、議論をしております日本環境管理基準、JEGSも、在日米軍に特別な負担を課すものではなく、米国防総省が確立した米国域外の軍事施設における環境管理の基本指針の日本版です。全世界で米軍が守るべきグローバルスタンダードです。米軍は、米国内だけでなく米国外においても厳格に守ることが義務付けられています。この間、当委員会で、日本政府、特に外務、防衛、環境の三省ともが在日米軍に二〇〇〇年の日米環境原則に関する共同発表、JEGSを遵守させる責務を負っていることが確認できました。

先日の防衛省の説明では、提示資料、皆さんのお手元にあります提示資料のように、北部訓練場の自主アセスを実施した環境専門家であるコンサルタントは、当時、JEGSの存在については認識していたが、ヘリパッド建設は日本政府の事業なのでJEGSは直接関係ないと考えていたということでした。このことには本当に驚きましたし、また残念に思います。今も防衛省の委託によりコンサルの環境調査は続いています。日本政府が在日米軍のJEGS遵守について責任を有していることを関係者に周知させる必要があります。

二〇〇三年頃、河野大臣が、米軍基地内の環境汚染に関する立入りの問題について、一九七三年以来、日米に合意が存在していること、合意の存在を外務省が隠していたことについて問題提起されていたことを、当時宜野湾市長だった私も鮮明に覚えております。同様に、米軍が守るべきJEGSについての日米合意は存在自体が必ずしも知られておらず、その内容も一般に十分理解されているとは言えません。日本政府として積極的に周知しなければなりません。

米軍施設・区域の関係者や自治体などに、日本政府、外務、防衛、環境省が、在日米軍に二〇〇〇年の日米環境原則に関する共同発表、JEGSを遵守させる責務を負っていることを周知させるべきではないでしょうか。関係者や自治体に説明したり通知をしてはいかがでしょうか。

外務大臣(河野太郎君)

御指摘、誠にごもっともだと思います。これまでも、地元自治体や住民に対し、皆様に対して、様々な機会を捉えてこうした取組に関する説明をしてきたつもりでございましたが、やはり不十分であったことは否めないんだろうというふうに思います。

外務省のみならず、日本政府としてこの問題にもう少し前向きにしっかりと取り組んでいくようにしたいと思います。御指摘ありがとうございます。

伊波洋一君

外務大臣、ありがとうございます。

同じく防衛省としても、やはりその責務は大きいと思います。何しろ、防衛省はこの米軍施設を維持し、管理をする責務を負っています。まさに直接に担当しているのが防衛省だと思います。防衛省としても、関係者や自治体に説明や通知をしてもらえますか。

政府参考人(防衛省 深山延暁君)

累次御指摘のJEGSにつきましては、我々といたしても、防衛省が、我々はこれを実施させるべく累次働きかけ行っておるところでございますけれども、こうした我々の取組については、米軍施設・区域の関係者や自治体に必要に応じて説明をしてまいりたいと考えております。

なお、委員先ほど御指摘でコンサル会社についてのことがございました。一点だけ付言いたしますと、コンサル会社は我々の委託に応えて適切に我々に対しては環境影響の結果を返してくれたものと認識しておりますので、直ちに、この事業に直接関係することがないと認識、日本政府が実施する事業に直接関係することがないとコンサルが認識したことで環境調査等が不十分であったということはないと考えております。

伊波洋一君

資料は、皆さんお手元に出してある資料、防衛省からも回答がありますが、そもそもコンサルがこのJEGSを認識しているのならば、希少種の生息地であることがアセスで分かった時点で、ここはヘリパッドを造るべき場所でないということは明らかであります。そもそもそこに造る必要はなかったし、米軍と調整をして、米軍が要求をしてそこに造ることができるはずがないということを認識していたはずであります。

つまり、これは、防衛省そのものがこのJEGSを十分に承知せず、そしてそういう中で起こっていること、環境省もその時点で必ずしもそういう規範としてしっかりしたものであるということを認識していなかったことを示すというふうに私は理解しております。

日米地位協定環境補足協定第三条三では、「両締約国は、合衆国がJEGSの改定を発出する前に、又はJEGSの改定が円滑に行われるために日本国が要請したときはいつでも、JEGSに関連して合衆国が日本国の基準を正しく、かつ、正確に理解していることを確保するため、合同委員会の環境分科委員会において、協力し、及び当該基準について協議する。」と規定されています。

しかし、前回議論したとおり、二〇一六年版JEGS十三章の絶滅危惧種には八十八種の環境省の種の保存法に基づく指定種しか掲載されていません。二〇一六年版JEGS作成時には環境省指定種は百七十五種に上っていたにもかかわらず、半数近い種がJEGSに反映されていませんでした。環境補足協定の述べるとおり、JEGSに関連して合衆国が日本国の基準を正しくかつ正確に理解していることを確保しなければなりません。

これまで、JEGSの絶滅危惧種に正確に環境省指定種を取り入れてもらうため、日本政府として米国に要請、協議したことがありますか。なかったとすれば、至急要請すべきではありませんか。

政府参考人(環境省 江口博行君)

お答え申し上げます。
日本環境管理基準、いわゆるJEGSの更新に際しましては、委員御指摘の環境補足協定第三条三の規定も踏まえまして、日米合同委員会の下にあります環境分科委員会の枠組みにおきまして、JEGSが日本の国内環境法令を踏まえ更新されるよう、両国間で協力、協議を行っております。JEGSが日本の国内環境法令を踏まえ適切に更新されるよう、環境分科委員会だけではなく米側との間で日常的に様々なやり取りを行ってございますけれども、協議の詳細につきましては、米側との関係もあり、大変恐縮ではございますけれども、お答えを差し控えさせていただければと存じます。

伊波洋一君

前回もそうでしたけれども、公表を差し控えるということを連発するだけでは、日本政府として国民の信頼を裏切ることになります。是非実績としてそれを実現をしていただきたい、そのことを強く求めます。環境補足協定第三条三に基づいて、米側が日本の国内法令を正確に理解していることをチェックし、問題があるときに米側に要請をする日本側の体制はどのようなものですか。

政府参考人(環境省 江口博行君)

お答え申し上げます。
日米間におきましては、平成十二年の環境原則に関する共同発表におきまして、環境保護の重要性に言及するとともに、在日米軍は日米の関連法令のうちより厳しい基準を選択するとの基本的考え方の下に、日本環境管理基準、いわゆるJEGSを作成すること等が確認されてございます。

平成二十七年に締結されました国際約束でございます委員御指摘の環境補足協定におきましても、米国はJEGSを発出及び維持することとされてございます。米側によりますJEGSに関する取組につきましては、これらを踏まえ実施されてきているものと考えてございます。

環境省といたしましては、今後とも、関係省庁と連携いたしまして、平成十二年の環境原則に関する共同発表及びJEGSに基づきまして、米側が環境保護及び安全への取組を適切に実施するよう機会を捉えまして働きかけてまいりたいと考えてございます。

伊波洋一君

外務、防衛、環境の担当者の皆さんからは、適宜関係省庁と連携して取り組んでいるとの説明がされています。要請、協議がなされていれば、JEGSの絶滅危惧種のリストに環境省指定種が反映されていないわけがありません。

前回、河野大臣からは、希少種、希少野生動物について関心を持っており、希少種のJEGSへの反映については外務省としても取り組んでいただけるとの答弁をいただきました。補足協定第三条三を実効あるものにするために、責任の所在を明らかにし、日本政府側における役割分担の確立をしなければなりません。
そこでお伺いします。

JEGSの履行を確保し、JEGSに国内法令が正確に取り入れられるよう、外務、防衛、環境の三省を中心にきちんとした体制を確立すべきではありませんか。

外務大臣(河野太郎君)

環境補足協定第三条三の規定を踏まえ、米側が我が国の基準を正しくかつ正確に理解するようにする責任は環境分科委員会の長を執ります環境省にございますので、環境省を叱咤激励しつつ、外務省としては、環境省をしっかりとバックアップし、必要とあれば日米合同委員会の場も活用し、適切にこの問題に対応できるようにしてまいりたいと思います。環境省をしっかりと支えながら、外務省も当然やるべきことはこれまで以上にしっかりやってまいりたいと思います。

伊波洋一君

是非そのことを実行していただきたいと思います。

これまで、米軍基地といえば、何だか日本の国内法に優先しているような認識が日本政府にあふれています。しかし、現実には米軍基地の中にも日本の国内法は適用されております。そしてまた、日米の合意は、先ほどの環境原則の共同発表のように、アメリカの、世界におけるグローバルスタンダードを、日本の基地においても実施をするということが約束されています。

このようなことをやはりきちんと実効性を担保する形で日本政府として取り組まれてこなかったのがこの間の日米合意への取組なんですね。JEGS十三章の絶滅危惧種のリストが、その今の指摘したのが一例です。このままでは不十分ですから、改めて、やはり外務大臣のおっしゃるように体制を確立していただきたいと思っております。

防衛大臣、今の、外務大臣だけの話じゃないんですね。防衛省が実際はこれは所管しているわけですから、確かに日米合同委員会の所管の部署は違うかもしれませんけれども、環境省だけの問題でもありません。環境省には手足はないわけですから、是非、防衛省としてもしっかりそのことを取り組めるようお願いしたいと思いますが、いかがですか。

防衛大臣(小野寺五典君)

今、防衛省の取組ということで御示唆がございました。
私どもとしても、必要に応じて米軍施設・区域の関係者や自治体に対してしっかり対応していきたいと思っております。

伊波洋一君

米軍にJEGSの遵守を求め、環境補足協定で協議を定めても、日本政府側にある責任がなければまさに絵に描いた餅でしかありません。是非、今、先ほどの河野大臣のイニシアチブで、米軍に環境保護と安全確保の取組を遵守させる、日本政府側の体制を確立していただくようお願いいたします。

時間がありますので、前回もお話ししましたが、二〇一二年四月のMV22オスプレイ環境レビューについては、北部訓練場ヘリパッド建設に関する建設予定地の項目で、「保護種の巣作りやとまり木する場所が、着陸地点近くの森の端にあれば、MV22の下降気流が重大な影響を及ぼすことはありえる」と書かれています。そして、保護種が認定された場合、確認された場合には、米海兵隊は、繁殖期の初期と中間期に巣作りの追加調査を行い、巣が発見された場合は、ひなの巣立ちが確認されるまでヘリパッドの運用を停止するなどの軽減措置を施すことが明記されています。

既存ヘリパッドで追加調査と軽減措置が行われていることを確認していますか。

政府参考人(防衛省 深山延暁君)

委員御指摘のMV22オスプレイ環境レビューにつきましては、米国大統領令、米国防省指令に基づき、米国外で活動による環境への影響を分析するため、米国政府責任の下、適切に処置が行われたものと認識しております。

その上で、この環境レビューの建設予定地の着陸帯に記載されている追加調査、軽減調査、これの実施状況については、現在、米側に確認を行っているところでございます。その結果はまだ我々得ておりません。

一方、一件付言いたしますと、我々としても事後評価というのを行っておりまして、最も早く提供されましたN4地区というヘリパッドがございますが、これの事後調査の結果によりますと、オスプレイなどが半年以上運用された時点において環境への影響は認められていない、我々が得た調査ですとこうした結果が出ていることも付言させていただきたいと思います。

伊波洋一君

N4については詳しくまた調べてみますけれども、ただ、日本側の調査は、そのモニタリングで、そこは、元のところはいたという。でも、アメリカは違うんですね。そこにひながいれば、巣があれば三十日止めなさいと。ひながいれば、そのひなが巣立ちをするまでここは使ってはいけませんよというのがアメリカの基準です。そのことをしっかり認識していないと思うんですね。

二十八年七月の環境影響評価検討図書に含まれるノグチゲラの確認状況では、G地区、H地区でヘリパッドと繁殖の推定行動範囲が重なっております。また、ヤンバルクイナ、ホントウアカヒゲの確認状況でも、ヘリパッドやその周辺に生息していることが明らかです。まさに、これまで資料を示したように、ここは希少種の巣なんですね。そのことをしっかり認識していただきたい。

時間が来ましたので次回にまた続きますけれども、是非、そのことを含めて、グローバルスタンダードであるJEGSというものを日本政府としてしっかり認識をして在日米軍の基地の在り方について取り組んでいただくことをお願いして、終わりたいと思います。