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国政報告 / 議事録

外交防衛委員会(2018年5月24日)

2018.1.22~7.22 第196回常会

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伊波洋一君

沖縄の風の伊波洋一です。安倍政権が沖縄県民の反対を押し切って強行する米軍辺野古新基地建設工事に関する公有水面埋立承認書には、県知事による埋立承認の条件として留意事項が付されています。工事においては環境保全対策が重視され、留意事項の第二項は、「ジュゴン、ウミガメ等海生生物の保護対策の実施について万全を期すこと。」と明記されています。

五月二日、午前九時頃、辺野古の基地建設工事のK4護岸付近でウミガメが目撃され、地元マスコミにも取り上げられています。五月十五日の当委員会で防衛省は、五月二日にも今年に入ってからもウミガメ類の施工区域への来遊は確認していないと答弁しました。この辺野古の浜はこれまでもウミガメの上陸が確認されるなど、施工区域はウミガメの生息域です。抗議船の市民も度々ウミガメを目撃しています。防衛省が目撃していないというのは全く理解できません。

警備艇を出している海上保安庁に伺います。もちろん本来の業務ではないと承知していますが、五月二日当日の映像によれば、海上保安庁の警備艇の間近であり、海保の職員もウミガメを目撃したと考えられます。また、付近の抗議船の乗員もウミガメを指摘しており、海保の職員もそれを聞いているのではないかと思われます。

海保職員は、ウミガメを目撃したり、抗議船の乗員からウミガメが付近にいる旨の発言を確認したでしょうか。また、五月二日に限らず、施工区域でウミガメを目撃したことはありますか。

政府参考人(海上保安庁 奥島高弘君)

お答えをいたします。現場職員に対しまして聞き取り調査を行いましたところ、委員御指摘の五月二日の件につきましては確認はできておりませんけれども、他方で、四月以降、ウミガメを目撃したことがある職員、あるいは抗議船の乗組員からそのような発言を聞いたことがある職員、これはございました。

伊波洋一君

分かりました。防衛省は、毎日三隻の監視船を現場に展開して監視を実施しています。この監視について、環境保全図書では、工事実施時間帯に監視船を出し、船上からの目視調査、ジュゴンと併せて実施と記載されています。

海上保安庁は、安全確保を目的とした見張りでウミガメを目撃しています。目視調査を本来の業務とする監視船が全くウミガメを発見できていないことを防衛省としてはどのような原因によると考えていますか。

政府参考人(防衛省 西田安範君)

お答えを申し上げます。防衛省におきましては、御指摘のように、公有水面埋立承認願書等の添付資料である環境保全に関し講ずる措置を記載した文書を踏まえまして、工事期間中、毎日、監視船によりウミガメ類の施工区域への来遊状況について目視調査をしているところでございます。

この調査につきましては、部外の専門家から構成をされます環境監視等委員会における指導、助言も踏まえまして、三隻の監視船で監視計画を組みまして行っているところでございまして、担当の海域をそれぞれ決めまして、その中を移動しながら監視をするといったことを基本にしてございますが、五月の二日におきましてはウミガメ類の来遊は確認をされていないところでございます。

その原因につきましてお答えをすることは困難でございますが、引き続きウミガメ類の来遊状況の監視につきましては適切に実施していきたいと考えてございます。

伊波洋一君

五月二日だけでなく、今年に入って一度も目撃をしていないということが明らかになっています。監視船はどのような体制で監視していますか。また、どのような方が乗っていますか。海生生物に対する知識、専門性は十分でしょうか。防衛省として監視船の乗員にどのような指導をしていますか。

政府参考人(防衛省 西田安範君)

お答えを申し上げます。先ほど申し上げましたように、監視船につきましては、三隻の体制で、環境監視等委員会の指導、助言も踏まえました監視計画によりまして、施工区域内及びその周辺海域を目視で調査をしているところでございます。

当該調査につきましては、海洋環境の保全の実績及び知見を有します環境コンサルタントに業務を委託をして実施をしているところでございます。

伊波洋一君

先ほど冒頭申し上げましたように、留意事項の第二項、「ジュゴン、ウミガメ等海生生物の保護対策の実施について万全を期すこと。」という条件が付いています。そこで、防衛大臣に伺いますが、今、先ほど指摘がありますように、海上保安庁の職員は見た、カヌーやあるいは抗議船の方も見ている、しかし防衛省の監視船は今まで一度も見ていない、そういうことのギャップを感じますね。

そこで、ジュゴンやウミガメ等海生生物の対策に万全を期すために、警備船や作業船、海上保安庁や抗議船など、施工区域でウミガメやジュゴンなどの海生生物を目撃した場合には防衛省に情報が集約される仕組みをつくるべきだと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

政府参考人(防衛省 西田安範君)

お答えを申し上げます。ウミガメ等につきましては、先ほど申し上げました監視船による監視を行っております。また、工事用船舶等につきましては、ジュゴン及びウミガメ類との衝突を回避するための見張りを励行するほか、ジュゴン及びウミガメ類との衝突が避けられるような速度で航行するといった環境保全措置を講じているところでございます。

御指摘のございました来遊状況についての情報の取扱いにつきましては、今後検討していく考えでございます。

伊波洋一君

海保も目撃しているとおり、制限水域にウミガメが生息していることはほぼ確実です。早急に事業者である防衛省としても今後の対策を見直して保護に万全を尽くすべきだと考えますが、再度伺います。いかがでしょうか。

防衛大臣(小野寺五典君)

防衛省としては、環境保全図書及び環境監視等委員会の指導、助言を踏まえ、工事期間中、毎日監視船からの目視調査を行うなど、ジュゴン及びウミガメ類の施工区域への来遊状況について調査を行っており、施工区域へのジュゴンの接近が確認された場合には、工事関係者に連絡し水中音の発する作業を休止する等、ジュゴンに十分配慮して作業を行うこととしております。

いずれにしても、本事業の実施に当たりましては、引き続き作業の安全に十分留意した上で、関係法令に基づき自然環境や住民の生活環境にも最大限配慮し、着実かつ適切に実施していく考えであります。

伊波洋一君

ジュゴンやウミガメについては引き続き取り上げていきますが、次、海草類の生育範囲拡大について伺います。

二〇〇四年七月十三日の質問主意書、内閣参質一五九の第三三号では、ジュゴンの生態等に関する知見を収集し、生息条件の整備並びに個体数の維持及び回復を図るための措置を検討すると閣議決定されています。

これまで、辺野古、大浦湾の海草藻場は、沖縄島最大のジュゴンの餌場とされてきました。しかし、現在強行されている工事において、既にジュゴンの餌場であった海草藻場の上にコンクリートの護岸が建設されています。環境保全図書では、海草類の移植や生息基盤の改善により海草藻場の拡大を図る保全措置を講じますと明記しています。ジュゴンの餌場である海草藻場の拡大、造成についてどのような対策を取っているのでしょうか。

政府参考人(防衛省 西田安範君)

お答えを申し上げます。海草の藻場についてのお尋ねでございますが、海草の藻場につきましては、いわゆる環境保全図書を踏まえまして、ジュゴンへの影響を最大限に低減をするために、改変区域周辺の海草藻場の被度が低い状態の箇所や代替施設の設置により形成される静穏域を主に対象として、海草類の移植や生育基盤の改善によりまして藻場の拡大を図るという保全措置を講じることとしており、検討してまいります。

伊波洋一君

護岸の建設によって、既に藻場は消失、減少しています。海草藻場が破壊されれば、仮に将来新たな海草藻場が造成されたとしても、その間タイムラグでジュゴンは餌を取ることができなくなります。

平成二十九年十二月五日の第十回環境監視等委員会でも、委員から、大規模な建設をすれば生息地が喪失し、環境が破壊されることは間違いありませんと指摘し、埋立場所について、最大限に、代償措置とは言えなくても、避難措置を講ずるために助言、指導するのがこの委員会の役割ではないかという旨の発言があります。

私たちは、沖縄県民は、新基地ができると思っておりませんが、米太平洋軍ハリス司令官は昨年、辺野古新基地ができたとしても、二〇二五年以降であるとしました。餌場を奪われたジュゴンはどのようにその間生息すればよいと考えるのでしょうか。これでは、ジュゴンの保護対策について万全を期すと言えますか。順序が逆ではないでしょうか。

少なくとも、工事による環境破壊の代償として、海草藻場の拡大、造成を先行した後に護岸建設や埋立てを行わないと、ジュゴンの保護対策にはならないのではありませんか。防衛省の見解をお示しください。

政府参考人(防衛省 西田安範君)

お答えを申し上げます。繰り返しになりますが、環境保全図書におきまして、海草藻場の減少に対して、ジュゴンへの影響を最大限に低減するために、改変区域周辺の海草藻場の被度が低い状態の箇所や代替施設の設置により形成される静穏域を主に対象として、海草藻場の拡大を図る保全措置を講じますといった記載がなされておりまして、これを踏まえまして、鋭意検討を行っているところでございます。

御指摘のございました平成二十九年十二月の第十回環境監視等委員会、それから三十年の四月の第十四回環境監視等委員会におきましても、藻場の拡大等の検討状況についてお示しをしたところでございまして、十四回の環境等監視委員会におきましては、委員から、ジュゴン保護の観点から、アマモやウミヒルモといった海草類の生育についても、当局からの説明に対して、更に検討すべき等の指導、助言もいただいているところでございます。こうしたことも踏まえながら、鋭意検討を進めてまいりたいと考えてございます。

伊波洋一君

検討だけやっているんですよね。まだ実現可能な実施方法も明らかにされていなくて、しかし工事はどんどん進んでいる。やがて七月には、あるいは八月には土砂を入れようという状況にまで来ていると報じられています。しかし、その最大限の藻場を消失させながら、どのようにしてジュゴンの保護が回復できるのか。引き続きこのことについては伺っていきます。

本年四月の十四回委員会において、ジュゴンの確認状況の報告がありました。ジュゴン個体Cが二〇一四年九月九日を最後に嘉陽沖では確認されなくなっています。同じ資料のマンタ法によるジュゴンはみ跡確認状況の推移によれば、辺野古では二〇一四年七月を最後にジュゴンのはみ跡が確認されなくなっています。

航空機によるジュゴンの確認では、二〇一七年、平成二十九年二月の海上工事着手以降に、辺野古沖、大浦湾沖、嘉陽沖、古宇利沖というふうに分離された対照というふうな実施で、その後の資料がそこに整理されておりますけれども、二〇一七年二月より前の嘉陽沖の範囲の中には辺野古沖と大浦湾沖が含まれていたのではないでしょうか。含まれていたとすれば、二〇一七年の二月より前の嘉陽沖として記録されているジュゴンが、具体的には嘉陽沖、辺野古沖、大浦湾沖のどこで確認されたのか明らかにしてもらいたいと思いますが、どうですか。

政府参考人(防衛省 西田安範君)

お答えを申し上げます。御指摘の第十四回の環境監視等委員会の資料における航空機によりますジュゴンの確認状況の推移を示す表中におきまして、二〇一七年の二月より前の嘉陽沖というところで指している範囲には、同年二月以降分離をされました大浦湾及び辺野古沖の範囲が含まれているところでございます。

また、御質問の二〇一七年二月より前の調査におきましては、この分離された後で示します大浦湾及び辺野古沖においてもジュゴンが確認をされているデータがあることは承知をしております。

伊波洋一君

本委員会は、今年の二月に委員会派遣で、大浦湾入口の辺野古の対岸のホテルから辺野古と大浦湾を視察をしました。その際に、沖縄防衛局は、ジュゴンは嘉陽沖で確認をしており、この大浦湾や辺野古ではいませんよということを、私が、何度もそこにいるよ、そこ入っているよと言っても、それを否定しました。

しかし、今の答弁は、まさに嘉陽沖という表現の中には、辺野古とあの大浦湾、まさに私たちが見たホテルから西側の遠くが辺野古で大浦湾であり、東側の沖の方、もっと岬の向こうが嘉陽沖なんですね。そのことを取り違えています。私たちに間違った説明をしていました。

委員長(三宅伸吾君)

時間が参りましたので質問をまとめてください。

伊波洋一君

防衛省は、あたかもこのように、今はもうジュゴンはいないんだと、元々嘉陽沖にしかいないんだというふうなことの、皆さん手元の資料もそうなっています。しかし、自然保護協会は、決してそうじゃないということをもう一つの資料で明らかにしています。そのことを含めて、引き続き次の委員会でまた質疑をしていきたいと思います。