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国政報告 / 議事録

外交防衛委員会(2018年11月20日)

2018.10.24~12.10 第197回臨時会

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伊波洋一君

沖縄の風の伊波洋一です。両大臣が所信で述べた沖縄の基地負担軽減についてお伺いします。

安倍政権は、二〇一四年二月十八日の普天間飛行場負担軽減推進会議において、普天間基地の五年以内の運用停止と、政府としてできることは全て行うを沖縄県に対し約束しました。これまで、照屋寛徳衆議院議員の質問主意書に対する答弁書や、岩屋防衛大臣の十一月十日の宜野湾市での記者会見における当時の約束であった五年以内の運用停止との発言など、繰り返し確認されています。

しかし、基地被害について具体的な改善が見られないことから、来年二月十九日、二〇一九年二月に運用停止の期限を迎えた沖縄、特に宜野湾市では、約束を守れという声が高まると同時に、政府に対する失望が広がっています。

普天間基地の五年以内運用停止についてこれまでどのように取り組んできたか、また現状、実現の見込みどうなっているか、お答えください。

政府参考人(防衛省 槌道明宏君)

普天間飛行場の五年以内の運用停止につきましては、政府として、辺野古へ移設されるまでの間においても普天間飛行場の危険性除去は極めて重要な課題であるという認識を仲井眞元知事と共有いたしました。

このため、政府としては、県知事からいただいた埋立承認に基づき、県の協力をいただきながら辺野古への移設を進める中、相手のあることではありますが、できることは全て行うという姿勢で沖縄側と協議を行いながら取り組んでまいりました。
具体的には、既に普天間飛行場が有する三つの機能のうち、空中給油機については十五機全機の岩国飛行場への移駐を実現いたしました。また、緊急時における航空機の受入れ機能も福岡県の築城基地、宮崎県の新田原基地へ移すことを決定しております。本年十月には、滑走路の延長や弾薬庫の設置など機能移転に必要となる施設整備について日米間で合意したところであり、今後整備を進めてまいります。さらに、辺野古移設までの間、普天間に残るオスプレイについても、飛行訓練の沖縄県外への移転を着実に進めています。

他方、普天間飛行場の移設をめぐる状況は、沖縄県が埋立て承認を取り消し、さらには埋立て承認を撤回するなど、根本的な部分において仲井眞元知事と認識を共有した当時と大きく変化しております。このような中で、五年以内の運用停止を実現することは難しい状況になっていると認識しております。

もとより、政府としては、負担軽減に全力で取り組んでおり、辺野古への移設を待つことなく普天間の危険性の除去を進めてきているところでございます。引き続き全力を尽くしていく考えでございます。

伊波洋一君

いかにも何かやっているかのように言っておりますけれども、普天間飛行場の周辺では全く状況は変わっていません。そういう中で、やはりこの危険性を除去する、あるいは今求められている運用停止というものが本当にいかに必要なものであるかということをこれから質疑をさせていただきます。

岩屋大臣は十一月十日の会見で、「新たな目標を国と沖縄が共に設置できるような環境をつくっていかなければならない」と発言をしています。大臣の新たな目標とは具体的にはどのようなイメージでしょうか。

防衛大臣(岩屋毅君)

先般、沖縄に伺ったときに、先生も市長を務めておられた宜野湾市に伺いまして、市役所の屋上から改めて普天間基地を見てまいりました。この基地の危険性を一日も早く除去しなければいけないという思いを新たにさせていただいたところでございます。

そのときの記者会見における私の発言は、新たな目標を国と沖縄が共に設置できるような環境をつくっていかなければならないと思いますというふうに申し上げたわけでありますが、国と沖縄県の双方が、移設が完了するまでの間における普天間飛行場の危険性の除去について認識を共有できるような環境をつくっていくことが重要であるという趣旨を申し上げたものでございます。

伊波洋一君

五年近く前に運用停止ということを約束し、そして、できることは何でもやるという、全て行うということをおっしゃった政府が、今の時点でこれから認識を共有するという話では解決にはなっていないと思うんです。

それでは、この安倍総理が沖縄県知事に約束した普天間基地の五年以内の運用停止ということについて、では具体的に米政府や米海兵隊に正式に要請したことがありますか。

政府参考人(防衛省 槌道明宏君)

アメリカ側とのやり取りの詳細についてお答えすることは差し控えますけれども、沖縄の負担軽減に関する日本政府の立場については累次の機会に米側に説明しているところでございます。

伊波洋一君

随時の機会と言うけど、実際には、もう何年か前に首脳会談で述べたということを記者会見等で明らかにして以来、具体的には話をしていないんじゃないですか。

防衛大臣(岩屋毅君)

やり取りの詳細については控えさせていただきたいと思いますが、沖縄の負担軽減を図っていく、特に普天間飛行場の危険性を除去していくという話については、累次にわたってあらゆるレベルで米側と協議を続けてきているところでございます。

伊波洋一君

安倍政権、総理の言う政府としてできることは全て行うとは、具体的にはどのような取組なんでしょうか、あるいはこれまでやってきたことの中でですね。

防衛大臣(岩屋毅君)

先ほども防政局長から答えさせましたけれども、具体的には、例えば空中給油機を岩国に移転をする、あるいはオスプレイの訓練を県外に移転をする等々のことをこれまで進めてまいりましたし、更にこれからもできる限りやれることは全部やるという決意で、普天間の危険性を除去しつつ、そして最終的な全面返還へ向けて一歩ずつ前に進めさせていただきたいというふうに考えております。

伊波洋一君

政府がやっていることが普天間基地周辺の住民に跳ね返ってこないんですよね。そこに住んでいらっしゃる市民にとっては、毎年毎年危険性は増えている、苦情は増えてくる。先日の報道でも、深夜の十二時以降まで飛行機が飛び交うと、こういうことが日常的に報じられているわけです。つまり、政府がやっていることが具体的に普天間飛行場周辺の住民の危険性を除去しているのか、あるいは本当に負担軽減しているのかということについては、極めてそうではないということがしっかり言えると思います。

先ほどもお話ありましたが、普天間飛行場が危険な飛行場であるという認識はお持ちだと思いますけれども、政府は普天間基地のどのような点を危険だと評価しているんでしょうか。

政府参考人(防衛省 中村吉利君)

お答え申し上げます。
普天間飛行場につきましては、住宅ですとか学校に囲まれており、市街地の真ん中に所在してございます。例えば、平成十六年八月の沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落事故のような万一の航空機事故の危険性への不安が、騒音の影響ですとか土地利用上の制約と相まって、同飛行場周辺の皆様にとって大きな負担になっているものというように認識をしてございます。

このため、防衛省といたしましては、普天間飛行場の航空機の運用に当たっては、可能な限り地元への影響を最小限とするよう米側に累次の機会に申し入れるとともに、KC130の岩国への移駐ですとか、オスプレイの沖縄県外での訓練の移転の実施、さらには普天間飛行場の移設、返還といった施策を進め、少しでも地元の目に見える負担軽減に努めてまいりたいと考えているところでございます。

伊波洋一君

それでは、米国政府はどのような点を危険だと評価していると日本政府としては理解しているでしょうか。

政府参考人(防衛省 槌道明宏君)

普天間飛行場の辺野古移設をめぐる問題の原点は、市街地に位置し、住宅や学校で囲まれ、世界で一番危険とも言われている普天間飛行場の危険性除去と返還でございます。我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険性除去を考え合わせたとき、辺野古移設が唯一の解決策である、この点については米国政府との間で累次にわたり確認しており、政府としてこの考えに変わりはございません。

政府としては、普天間飛行場の危険性除去を中心とした負担軽減を進めてきているところ、引き続き米側の協力を得ながら全力を尽くしていくと、そういう考え方でございます。

伊波洋一君

ただいまの話、辺野古の問題あるいは岩国の問題ですけれども、具体的にはいつ実現できるか分からない辺野古移設をもって危険性除去ということになれば、返還合意からもう既に二十二年、これから更に十年あるいは三十年も、具体的にはこの普天間飛行場の危険性そのものには触らないで、この言葉で解決をするという姿勢しか見えませんね。

しかし、実際にアメリカの米軍飛行場基準等を考えれば、いかにこの普天間が危険であるかということは分かると思います。皆さん、お手元資料の三ページにも掲げてございますけれども、米軍基地については、日米地位協定三条に基づく、日米地位協定に伴う航空特例法により、航空法第三十八条一項の滑走路端安全区域などの安全基準が排除されています、国内法的には。

一方、米国外の米軍飛行場にも米国連邦航空法の軍飛行場基準が適用されています。米国連邦航空法では、飛行場の滑走路の両端に安全の確保のためのクリアゾーン、全ての、一切の利用を禁ずるクリアゾーンが設けられなければなりません。しかし、普天間飛行場では、二〇一二年四月の米海兵隊MV22オスプレイ環境レビューでも書かれておりますように、「基地外まで伸びるクリアゾーンは、基地外にある居住区域や商業区域といった適合的でない地域も含んでいる」と、このように認められています。

実際に、今示してございますこの資料によると、そこに第二小学校があるわけですね。つまり、普天間基地には国内にありながら国内法の安全基準の適用はなく、米国法の安全基準にも違反しているんです。ですから、日米両政府が世界一危険と評価したのではないでしょうか。
そういうことを含めて、日米両政府はこのようなクリアゾーン内に小学校がある普天間飛行場の危険性の認識についてしっかりと共有しているのでしょうか。お答えください。

防衛大臣(岩屋毅君)

米国の連邦航空法について、その詳細までは把握しておりませんけれども、クリアゾーンの設置に関する規定が存在することは承知をしております。そして、委員御指摘の普天間飛行場のクリアゾーン内に普天間第二小学校が入っていることは承知をしております。

しかし、であるがゆえに最も大切なことは、この住宅地に囲まれ多くの学校に囲まれている普天間飛行場の危険性を除去し返還を実現をするということだと思っておりまして、私どもとしてはその目標に向かってこれからも丁寧に説明をしつつ一歩一歩進ませていただきたいというふうに思っております。

伊波洋一君

一九九六年に二〇〇三年までの返還と合意されたこの普天間飛行場、もう今までに二十二年たって、あと十年も掛かる、あるいはひょっとしたらもっと掛かる。つまり、危険性の除去には何の、その辺野古移設というものは、効果がないんですよ。効果がない中で様々なことが起きております。

先ほどの、大臣からもあった二〇〇四年のCH53Dヘリが国際大学に墜落をしたということも含めて、二〇一六年十二月には名護市安部の海岸にオスプレイが墜落をいたしました。また、二〇一七年の十月には国頭郡東村の方へヘリが不時着、炎上いたしました。十二月には宜野湾市の、去年の十二月ですけれども、七日に保育園に部品落下、十二月十三日には普天間第二小学校に米軍ヘリからの部品が落下するという事故が起きています。特に、このヘリの窓の落下は体育の授業中の児童の間に落ちたんですね。そこで、第二小学校では、校庭の使用禁止をし、上空飛行を禁止するよう強く日米政府に求めました。しかし、米軍は、最大限飛ばないという回答をするだけで、結局は、現実にはその禁止を明示しない。そこで、学校側はやむなく二月十三日から校庭使用を再開することにしました。防衛局は、その同じ日から、監視員を四名配置をして、もし米軍ヘリが飛んできたら子供たちを誘導して避難をさせると、こういうことをやったんですね。

皆さんの資料でも、この七か月間、二月十三日から九月十一日までの間に七百六回も避難しているんですよ。一体、今年の話ですよ。今の第二小学校で、皆さんお手元資料にありますこれはビデオですけれども、米軍機が飛んできたら避難しろといって避難させているわけですよ。これが七百六回ですよ、七百六回。この監視員とて無駄には避難をさせないわけです。ここに飛ぶと思うから実際にここに避難しろと言っております。ですから、こういうことが現実に今起きているわけですよね。

そういう中で、私たちは、一体これが本当に子供たちを、今先ほど危険性を除去する、政府はできることは全てやると言っている、そういう政府の下で結局は何もできていないじゃないかと、そういうことを指摘したいんです。
実際に、これで子供たちの安全が確保されていると感じますか。本当に危険性が除去できていると政府は言えるんでしょうか。お答えください。

防衛大臣(岩屋毅君)

防衛省としては、昨年の窓落下事案の発生以降、学校側やPTAからの御要望を踏まえまして、学校屋上等にカメラを設置して米軍機の飛行状況を確認できる体制を取るとともに、今委員御指摘のありました校庭に避難用工作物を設置することで児童等の安全確保に努めてまいりました。

また、米側におきましても、日本政府からの強い申入れ等も踏まえて、外来機を含めて普天間飛行場を離発着する全ての航空機に対し、普天間第二小学校を含む全ての学校の上空の飛行を最大限可能な限り避けるように指示するとともに、航空情報、ノータムを発出するなど、普天間第二小学校の上空の飛行を回避するように取り組んでいるものと承知をしております。

いずれにいたしましても、米軍機の飛行に際しましては安全の確保が大前提と認識しておりまして、米側に対し引き続き安全面に最大限配慮することを求めてまいりたいというふうに思います。

伊波洋一君

そう言っているということは、米軍が言っているということは、答えれば終わりじゃないんですよ、七百六回も結局飛んでいるわけですからね。日本政府がそう言っているにもかかわらず、なぜ飛ぶのかと。

それから、二〇〇四年のヘリ墜落以降に合意された場周経路というのが、黄色と青いのがあります、青いのは入出経路です。(資料提示)このどちらも普天間第二小学校には掛かっていないんですよね。緑ケ丘保育園にも掛かっていない。でも、今はこの入出経路じゃなくて、この学校の上を通る入出経路を毎回飛んでるんです、毎日。つまり、約束したことも守らせることができないのに、できることは全て行うという安倍首相の言葉は、これはうそなんですよ。つまり、実際にやっていないんですから、やれていないんですから。

それで、言いたいのは、先ほどクリアゾーンを言いました。この資料二枚目は、シェルターが造られています。下は全部、三つの壁開いている、あるいは前が開いている。これで守っているのは落下物だけですよ。でも、クリアゾーンというのは、墜落する可能性が極めて高いから一切の利用を禁じられている。そこで子供たちに、このクリアゾーンの中に、近くにシェルター、避難路をつくってここで逃げさせて、万が一墜落したらどうなるんですか。まさにここで被害を受けなさいということでしかない。つまり、これぐらいの認識しかないまま、この危険性除去やこの問題を、現場を考えていない。つまり、普天間のことは全く考えずに辺野古のことばかり考えているからこんなような事態が起きているんですよ。だから、私は、やはり認識をしっかりしないといけないと。

そこで、この資料の五番目にも書いてありますけれども、万が一のことが起きれば日米の関係には極めて大きな影響を与えるよ。しかし、ガラス細工のような普天間基地をそのままにし続けている、そのことを指摘したいんです。だから、本気で考えなければいけない。
今日、時間はもう、これで質問は、答弁は要りませんけれども、次につなぎますけれども、これはとても大事な問題なんです。アメリカはこの基準を基地内では全部適用していますよ。基地の中には安全性を確保して、基地の外では私たちは関係ありませんと言う。日本政府も関係ありませんと言う。一体これで本当に安全保障と言えるんですか。普天間の問題は辺野古だけではもう解決しないんです。
そこを指摘して、今日の質問を終わります。