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国政報告 / 議事録

政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会(2018年12月5日)

2018.10.24~12.10 第197回臨時会

伊波洋一君

沖縄の風の伊波洋一です。統一地方選挙の法案について伺います。

去る九月三十日、沖縄県知事選挙が行われ、辺野古新基地建設反対を訴えた玉城デニー氏がこれまでの最多得票を得て対立候補に八万票以上の大差を付けて圧勝し、県知事に就任しました。この県知事選挙の投票率は六三・二四%でした。一方、現在、統一地方選挙の平均投票率は、この十年を見ても四五から五〇%強の間で推移をしています。総務省として、この統一地方選挙の投票率向上に向けてどのように取り組むのでしょうか。

政府参考人(総務省 大泉淳一君)

投票率の向上のためには、選挙の公正を確保しつつ、有権者が投票しやすい環境をつくることが大変重要なことと考えております。

総務省といたしましても、これまでも市町村の区域内のいずれの投票区に属する選挙人も投票できる共通投票所制度の創設、期日前投票時間の弾力化などの制度改正に取り組んできたところでございます。また、前回の統一地方選挙では、総務省において、総務省ホームページでの啓発、あるいは政府広報による啓発、若者選挙グループと連携した街頭啓発など、啓発事業を行ってまいりました。このほか、各選挙管理委員会に対しまして、有権者の選挙に対する意識の高揚に努め、各関係機関との緊密な連携を取りまして、積極的に投票参加の呼びかけを行うよう要請してきているところでございます。

来年の統一地方選挙につきましても、各選挙管理委員会と連携しながら、有権者に対する周知啓発を強めてまいりまして、投票率の向上に努めてまいりたいと考えております。

伊波洋一君

是非、投票率の向上に向けては取り組んでいただきたいと思います。沖縄においては、米軍施政権下では、米国の高等弁務官が琉球政府の行政主席を任命し、住民の参政権は否定されてきました。これに対し、沖縄住民自ら直接選挙で住民のリーダーを選びたいという要求は根強く、自治権拡大運動の一環として、沖縄の与野党をも巻き込んで、激しい主席公選制闘争が展開されました。

このような中、米国も妥協せざるを得なくなり、一九七二年の復帰に先立つ一九六八年十一月十日、初めての行政主席選挙、主席公選が実現し、屋良朝苗氏が初の公選主席に選出されました。このときの投票率は八九・一一%に上りました。一九六八年、私は高校二年生でしたが、復帰の四年前まで、沖縄では県知事選挙に当たる行政主席の選挙権すら認められていなかったことを是非改めて知ってほしいと思います。

本年の十一月十日には、地元紙の沖縄タイムス、琉球新報両紙が、この琉球政府主席公選から五十周年を記念して、今日の沖縄の民意が中央政府によって踏みにじられている状況が、主席公選を求めた当時の状況と照らし合わせるような社説を掲載をいたしました。沖縄においても、このような歴史的体験を若い世代、現役世代に受け継いでいくことは難しい課題であり、議論等試行錯誤が続いています。しかし、住民が自ら運動によって民主主義を勝ち取ってきたという沖縄社会の経験は、核抜き本土並みの復帰という中で、温存されて持続している米軍基地が、現在でも続き、ますます厳しい基地被害が生活実感の背景にもなって、地方自治や選挙権の行使に対する思いや沖縄県内における選挙の投票率の向上につながっていると考えられます。

現在、十八歳選挙権をきっかけに主権者教育が全国でも取り組まれていますが、沖縄に限らず、地域の民主主義に根差した主権者教育というのがやはり必要ではないかと思います。統一地方選挙の投票率向上のためにも、参政権の意義、参政権を獲得するために先人たちがどのような努力や犠牲を払ってきたのかという地域の歴史を掘り起こし、記録、継承していくことが大事ではないかと考えますが、いかがでしょうか。

政府参考人(総務省 大泉淳一君)

我が国全体の選挙制度について申し上げますと、明治二十二年に衆議院議員選挙法が制定されまして、直接国税十五円以上の男子に限定した制限選挙でございましたが、その後、普選運動が強まりまして、大正十四年に男子普選が実現したものと承知しております。その後、女性の参政権につきましては、大正時代より婦人参政権獲得の運動が行われまして、第二次世界大戦後の昭和二十年、女性にも選挙権が認められまして、二十歳以上の完全普通選挙権が実現されました。また、平成二十七年には、公職選挙法の改正によりまして選挙権年齢が十八歳以上に引き下げられたところでございます。

このように、選挙権の拡大につきましては、先人たちの多大な努力により、歴史的にも社会的にも様々な経緯を経て実現したものと考えております。

総務省といたしましては、文科省と連携して作成、配付している高校生向けの副教材におきまして、選挙権の拡大の歴史につきましてのページを設け、普通選挙権獲得の歴史や先人たちの努力につきまして紹介をしております。また、都道府県の選挙管理委員会の中には、選挙権拡大に向けて活躍した郷土の偉人について学校等に配付する副教材又はホームページなどで取り上げているという例もございまして、そのような状態でございます。

今後とも、各選挙管理委員会と連携しながら、効果的な啓発、主権者教育を目指しまして、総務省としても取り組んでまいりたいと考えております。

伊波洋一君

是非、若い人たちにやはり政治への参加を求める取組は重要だと思いますので、お願いしたいと思います。統一地方選挙の投票向上のためには、参政権の意義をやはりしっかりやっていくことが大変大事だということは、今の答弁でも明らかになったと思います。

地方自治は最も身近な参政権の行使であり、民主主義の学校とも言われます。地方分権改革において、国と地方が対等の立場という新たなパートナーシップが目指されました。しかし、第二次安倍政権においては、沖縄における九月の県知事選挙を含め、沖縄県民が度重なる選挙を行って示してきた辺野古新基地建設反対の民意を踏みにじって、国による新基地建設が強行されています。

石田大臣に伺いますが、県民の民意を踏みにじるような辺野古新基地建設の強行は、国の地方自治への対応として適切だとお思いでしょうか。

総務大臣(石田真敏君)

お答えいたします。これまで政府と沖縄県との間では、普天間飛行場負担軽減推進会議や政府・沖縄県協議会などにおいて協議がなされ、また安倍総理と玉城知事との面会が行われるなど、重ねて協議が行われてきたものと承知をいたしております。

伊波洋一君

しかし、その協議が行われた直後に埋立てを行うということを行い、そしてさらに、その埋立てのために民間の桟橋が使われ、その手続においても瑕疵があったということで今止まっておりますけれども、こういう政府の立場はやはり沖縄県民にとっては大変な怒りの原因となっております。

特に、県が地方自治の観点から辺野古の海の埋立承認を撤回したにもかかわらず、防衛省が一般私人に成り済まして、同じ政府の中の国土交通大臣に沖縄県に対する行政不服審査請求を申し立てて国交大臣が執行停止を認めるという暴挙が行われました。

行政不服審査制度は、国民の権利利益を救済することが目的です。防衛省による審査請求は、沖縄県知事も自作自演と非難するように、国が省庁間で申し合わせて、私人に成り済まして県の正当な撤回を執行停止させることはあってはならない暴挙です。国と地方の関係をゆがめ、そして地域の民意を表す地方自治を否定するものであり、強く抗議したいと思います。

石田大臣にお伺いしますけれども、国が国策の強行のために行政不服審査請求を濫用して地方自治を否定するような暴挙に対して、地方自治の守り手であるべき総務大臣としてどのようにお考えか、伺います。

総務大臣(石田真敏君)

これは一般論として、国の機関が一般の事業者と同様の立場で行政処分を受けた場合には審査請求をすることが可能とされているわけでございます。審査請求人が誰であるにかかわらず、審査請求に対する対応が法令に基づき公正かつ適正になされるべきものであることは当然でございまして、これは国の機関から審査請求を受けた場合であっても同じでございます。

総務省としては、個別具体の事案についてコメントする立場にはございませんが、いずれにしろ、審査請求を受けた国土交通省において法令に基づき適切に対応されていると思います。

伊波洋一君

先ほどの山下委員からの質疑でも明らかにされましたように、行政不服審査法、これ資料にもございますけれども、この二条は、確かにこの処分についての審査請求、行政庁の処分に不服がある者は、第四条及び第五条二項に定めるところにより、審査請求をすることができると、このように書かれております。しかし、これはまた新たに改正されまして、七条の二項があります。国の機関又は地方公共団体その他の公共団体若しくはその機関に対する処分で、これらの機関又は団体がその固有の資格において当該処分の相手方となるもの及びその不作為については、この法律の規定は適用しないと、このように書いてあります。

これは、国土交通省が公有水面埋立法を所管しているわけでありまして、その立場から国が固有の資格を持つものであるかどうかというのが審査されなければなりませんが、私も委員会でやっておりますけれども、国土交通省は、基本的にこの七条二項の判断を全くしておりません。そして、この二条だけで不利益を与えたから審査ができ、申請ができるんだと言っています。是非そのことについてはやはりしっかり解明していただきたい。

と申しますのも、埋立免許と埋立承認というのは違うんですね。国は埋立承認です。なぜならば、いわゆる国はそもそも公有水面の所有者だからですね。ですから、そもそも最初から埋め立てる権利があるんですね。

ところが、ほかの者は埋立免許をもって埋立てする権利を取得します。そして、適切な手続を経て埋立工事を行い、そして最終的には竣功認可というのがあります。つまり、まだ土地ではありません。そして、竣功認可を申請をして、そして地方自治体から、県から初めて竣功認可書をもらって、そして土地になるわけです。ところが、国は竣功認可をする必要はありません、元々土地ですから。元々所有しているんですね。それを埋め立てて竣功届を出せば、もうそこで使っていいんですね。ですから、全然違うんですね。

そういう中で、まさに国交省は、この七条二項の判断を自らしないでいるわけです。そこに今回の申合せや省庁間の取組があるわけですね。明らかにこれは本来の行政不服審査法のその目的を壊すものなんですね。そういうことをしっかり総務省としてはやはり認識させるべきだと。

つまり、実際は、総務省はこれは所管庁がやるべきだと言うけれども、その所管庁自身が七条二項についての固有の資格の審査を放棄しているんですよ、一番よく分かっているはずなのに。つまり、そもそもそういう状況の中で、それをしないでスルーしているんですね。そして、国といえども処分だったんだと。

そして、唯一の根拠は、この二条の処分についてと。この処分は最高裁でも処分と認定されていますとだけ言うんですよね。しかし、これは間違っています。どうしてかというと、処分であることはもう当たり前なんです。実際はこの撤回処分ですからね、撤回という処分ですから。その上で、やはり総務省としての責任は総務大臣には果たしていただきたいと思いますが、いかがですか。

総務大臣(石田真敏君)

先ほど山下委員にもお答えをいたしましたけれども、個別具体の処分が固有の資格において受けたものかどうかは、当該処分の根拠法令を所管する行政機関が、当該法令の規定に照らし、国の機関等が一般の私人や事業者と同様の立場において受けたものであるかどうかによって判断をすることになっておりまして、総務省は個別具体の事案についてコメントする立場にはございません。

伊波洋一君

国交省は何と言っているかというと、行政不服審査法に基づいてと言っているんですよ。行政不服審査法に基づいてと言うけど、そこを解釈するのは総務省なんです。ですが、要するに、総務省としては、この固有の資格は個々の法律の担当省だと言う。これは合っています。しかし、その七条二項を適用していないところについて総務省として指導すべきじゃないかということを聞いているわけです。

総務大臣(石田真敏君)

先ほども答弁させていただきましたけれども、一般論として、国の機関が一般の事業者と同様の立場で行政処分を受けた場合には審査請求をすることが可能とされているわけでございまして、総務省として個別具体の事案についてコメントするということは控えさせていただきます。

伊波洋一君

まとめますけれども、実はこれは一般論じゃないんです。公有水面埋立法という、要するに免許と承認の違い。まさに、国においてもアセスなどをしっかりやってやらなきゃならないという、そういう手続の中で起こっていること。それと、前回大臣にはいろいろ要請もしましたけれども……

委員長(渡辺猛之君)

伊波君、時間が過ぎておりますので、おまとめください。

伊波洋一君

はい。このようなことは今までないんです。もし、今、今回このようなことを認めたら、これが第一例になるということを指摘して、終わりたいと思います。