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国政報告 / 議事録

外交防衛委員会(2019年3月12日)

2019.1.28~6.26 第198回常会

伊波洋一君

沖縄の風の伊波洋一です。
昨年九月、九万二千八百四十八筆の県民署名で沖縄県に直接請求され、十月三十一日に沖縄県議会で制定された辺野古米軍基地建設のための埋立ての賛否を問う県民投票条例に基づき、二月二十四日に辺野古埋立ての賛否を問う県民投票が実施されました。

一九九六年十二月のSACO合意以来、世論調査のたびに沖縄県民の七割以上が辺野古移設に反対していることが示されてきました。今回、全県民を対象に実施された厳正な県民投票では、配付資料のように、投票率五二・四八%、全投票の七二・一五%、全有権者の三七・六五%に当たる四十三万四千二百七十三票が埋立て反対に投じられました。

昨年九月の県知事選挙で辺野古移設に反対して当選した玉城デニー知事の史上最多得票、三十九万六千六百三十二票を約四万票も超えています。沖縄県民の圧倒的な多数が辺野古新基地建設に反対であることが明らかになったことを政府は重く受け止めなければなりません。

最新の全国世論調査、三月九、十日、共同通信社調査によると、県民投票の結果を政府は尊重すべきだとする回答が六八・七%に上っています。岩屋防衛大臣は、所信で県民投票の結果を真摯に受け止めるとしましたが、衆議院予算委員会では、新基地建設事業は継続するとあらかじめ決めていたと答弁し、実際に埋立工事は続行されています。

県民投票後も埋立工事を強行していることに県民を代表する参議院議員として怒りを込めて抗議し、直ちに工事を中止するよう求めます。

さらに、岩屋防衛大臣は、普天間飛行場の危険性を除去したい、返還を成し遂げたいということについては沖縄の皆さんの思いと同じと言いながら、国にも民主主義はありますと言っています。岩屋防衛大臣は、国の民主主義で沖縄の声や沖縄の民主主義を押し潰してもよいと思っているのでしょうか。

防衛大臣(岩屋毅君)

私の発言の趣旨は、沖縄の民主主義も大切であると、当然、今回の県民投票の結果も真摯に受け止めなければいけないと。一方、国も、民主的に国会議員が選挙され、そして首班指名をし、内閣が構成され、国としての様々な責任を負っているわけでございます。

先ほど地方自治法のお話もありましたが、国際社会の中で国の存立のために行われる営みである外交、防衛というのは、やはり国の責任で決めていかなければいけないことなんだろうと思います。そういう国としての民主主義の姿も一方であるということを申し上げた次第でございまして、どちらの方が上だとか、国が地方の民主主義より強いとか上だとか、そういう趣旨で申し上げたわけではございませんので、是非御理解をいただきたいと思っております。

それから、私ども、やはり安全保障政策上、防衛政策上、無条件の普天間基地の返還という選択肢は、これはあり得ないというふうに考えております。やはり抑止力を維持しつつ、普天間飛行場の危険性を一日も早く除去すると、この両方を実現をしなければいけないというふうに思っておりまして、安倍政権も沖縄の負担軽減を目に見える形で実現をしていくということを方針に進めてきておりましたので、この事業については継続をさせていただきたいというふうに考えているところでございます。

伊波洋一君

沖縄県民の県民投票、投票したそれぞれは、無条件にということで一致しているわけではなくて、これまでずっと辺野古新基地建設には反対をしてきたということです。そういう意味で、玉城デニー知事もそうであります。

三月一日、沖縄県、玉城デニー知事は、安倍総理に会って、県民投票の結果と以下の四点を伝えました。一、大浦湾側の軟弱地盤の改良工事が必要であり、工事の長期化、予算の膨張、環境への影響は避けられない。二、辺野古が唯一という論理に固執することは普天間の危険性の固定化にほかならない。三、SACO合意から二十三年が経過し、合意の進捗、基地の返還の検証を行うために、SACOに沖縄県を加えたSACOウイズ沖縄という協議の場を新設してほしい。四、沖縄の課題を取り除くことは安定的な日米安保体制を維持することにもつながる、困難な道ではあるが共に解決の道を歩んでいただきたいの四点です。

すなわち、沖縄県が埋立承認を撤回した主な理由の大浦湾の軟弱地盤の問題、SACO合意以降、二十三年間の東アジア情勢に対応する米軍の戦略の変化、特に自民党が政権を失った二〇〇九年から二〇一二年の間に米国側の事情が大きく変化したことについて、安倍総理には御理解いただけていないのではないでしょうか。

まず、国土交通省に伺います。関西空港では、埋立開始からこれまで何メートル、開港時から何メートルの地盤沈下が生じていますか。また、羽田空港D滑走路ではどうですか。

政府参考人(国交省 岩崎俊一君)

お答え申し上げます。関西国際空港の一期島では、昭和六十二年の埋立開始から平成二十九年度までの沈下量は約十三メートルです。なお、開港直前からの沈下量は約四メートルでございます。また、羽田空港D滑走路におきましては、平成十九年の埋立開始から平成二十九年度までの沈下量は約七メートルです。なお、供用直前からの沈下量は最大約四十八センチメートルです。

伊波洋一君

この間、防衛省は、羽田D滑走路の地盤沈下量は供用開始から百年間に六十九センチと、あたかも地盤沈下は大きな問題ではないかのごとく答弁されています。しかし、今ありますように、関西空港では一九八七年の埋立開始から今日までにおよそ十三メートル、そして九四年の開港からでもおよそ四メートル沈下しております。

関空の滑走路はほぼ海岸線に並行して設計されていますので、水深もほぼ均一のために、地盤沈下量もほぼ均一です。当初、沈下予測では、開港五十年で十一・五メートルと予測されましたが、既に約三十年で十三メートルも沈下しているのです。また、羽田D滑走路も同様に、事業開始からもう既に七メートル沈下をしているということであります。

関空一期工事では、サンドドレーン工法で二十メートルほどの砂ぐいを百万本、護岸部にはサンドコンパクション工法で砂ぐいを、同じく砂ぐいを三万本打ち込んでいます。一方、大浦湾では、最も深いところは九十メートルまでサンド・コンパクション・パイル工法での地盤改良が必要とされています。

計画では、滑走路が陸域からはみ出し、そして海底も急激に落ち込み、山と谷が観測されています。しかも、中央は辺野古崎の陸地ですから沈下せず、滑走路は位置ごとに不均一に沈下し、一般的に埋立深度が深いほど圧密沈下するため、沈下量の正確な予測は困難です。その地盤の上に滑走路を敷設することになります。県の試算では、埋立て五年、地盤改良五年、その他三年と十三年以上掛かり、供用後も補修し続けなければなりません。

そこで、問います。防衛局が国交省に今年一月十八日に提出した地盤に係る設計・施工の検討結果報告書に関連して、現段階で大浦湾の埋立てについてどの程度の地盤沈下を予測していますか。

政府参考人(防衛省 鈴木敦夫君)

沖縄防衛局から国土交通省に対しまして提出された報告書の内容につきましては、これが審査請求の一環として出されたものでございます。現在、審査請求中のため、現時点で明らかにすることは差し控えさせていただきたいと考えております。

また、今後、沖縄防衛局におきまして、地盤改良に係る具体的な設計等の検討を行うこととしておりますが、これに当たりましては、より合理的な設計、施工が早期返還にも資することから十分な検討を行うこととしておりまして、現時点で地盤改良に係る具体的な内容について確たることを申し上げることは困難ですが、しかるべき時期にしっかり説明をさせていただきたいと考えてございます。

伊波洋一君

防衛大臣に伺います。昨年までに大浦湾の圧密沈下について説明を受けたことがあるでしょうか。そしてまた、今年になって同様な説明を受けたことがあるでしょうか。お答えください。

防衛大臣(岩屋毅君)

先ほども国交省からも説明がありましたように、この種の海上埋立工事においては、施設供用後に、まあ長い年月を経て沈下が起こることは一般的だというふうに考えております。

したがって、この地盤沈下の問題についても、その沈下量を見込んだ上であらかじめ考慮した高さを設定する等の適切な対応が可能であって、施設供用後の沈下量を抑える工法の採用、圧密促進工事というらしいですけれども、維持管理段階でのかさ上げなどの対策を講じることにより、安全性に問題なく施設を供用させることができるという検討結果の報告は受けております。

伊波洋一君

今朝、米軍基地等の議員懇がありまして、担当者から回答を求めましたけれども、関空の沈下について知りませんでした。つまり、関空がどの程度沈下しているかということを承知していない。さらに、今回の要するに軟弱地盤の存在によって、改めて制度設計をしなきゃいけないということも明らかにしています。つまり、防衛省はこのことを承知しないで今日まで来ているわけです。

そして、今日明らかになっているのは、後でお示ししますけれども、十一種類にもわたる層の、この様々な地層が本当に入り乱れて重なり合っている地形がまさに大浦湾側なんです。その上で、沈まないところがある、片一方、関空のように十三メートルも沈んでいくんで、一緒にですね。沈まないところがあるところをシュワブに置いて、片一方で深い九十メートルまで軟弱地盤があるところが海にあるということです。

沖縄県は、二月二十日、大浦湾における「すべり破壊」、「液状化」等の、あるいは「沈下」等を指摘して、公有水面埋立法の災害防止につき十分に配慮することの要件を欠いているとする意見書を国土交通省に出しました。

このような地盤の上に軍事施設を整備することが、いかに、現実的であるか、現実的なのか、明らかではありませんか。防衛省として、正確な予測をした上で適切に本当に対策が取れるのか、お答えください。

防衛大臣(岩屋毅君)

先ほども申し上げましたように、今審査請求中でございますから、基本的に私どもの報告書の内容はその審査を受けている立場として公表しないという前提ですが、今先生がおっしゃったように、二十日に沖縄県さんが意見書を出されまして、私どもの報告書の一部を公表されておられます。

そのことに基づいて、誤った認識といいますか誤解を与えるような報道が幾つか続きましたので、その部分についてはやっぱり説明をさせていただくというふうに考えまして、国会の質疑においても一部明らかにさせていただいているところでございますが、その内容は、いわゆる地盤改良工事は深さ七十メートルのところまでやれば、その下は固い粘土層があって十分安定的な工事ができると、しかも七十メートルまでやらなきゃいけないところは全体の数%にとどまると、七割ぐらいのところは四十メーター以下の地盤改良工事で済むという検討結果を、私ども、二十四プラス五十二のボーリング調査結果を基に専門家の検討もいただいてそういう結論を得ておりますが、更にそれを基に詳細な設計を行って、最終的にはまたその設計の変更承認を沖縄県さんにお願いをしなければいけませんので、その時期にはしっかりと中身全体を説明をさせていただきたいというふうに思っているところでございます。

伊波洋一君

先ほども、関空は百三万本の砂ぐいを打ったにもかかわらず十三メートル沈下した、これが事実です。担当者、国交省、お聞きします。飛行場ごとに違うんだということです。そのことは是非御理解いただきたいと思います。

そこで、委員長に、この今話題になっております地盤に係る設計・施工の検討結果報告書、平成三十一年一月を本委員会に提出させることを求めます。

委員長(渡邉美樹君)

後刻理事会において協議いたします。

伊波洋一君

安倍首相は、予算委員会で、安倍政権によって凍結解除され、九千人の海兵隊がまさに移設されるということが進んでいくと発言されました。事実関係として本当にそうでしょうか。

安倍政権は、米国政権との信頼関係は本当にあるのでしょうか。安倍首相が登場するまでどうだったでしょう。どうだったかというと、米国連邦議会、米国防総省において、沖縄県知事が埋立承認をしないことによって辺野古新基地建設は絶望的との観測があり、米下院軍事委員会における二〇一二年八月の在日米軍再編の公聴会でも、プランBが言及されました。

配付資料のように、二〇一六年一月二十日の米国連邦議会調査局の沖縄における米軍プレゼンスと普天間基地問題報告書では、日米政府における高圧的な行動が反基地を主張する側に対する共感や支持を沖縄のみならず日本全体で高めてしまう可能性について懸念を示し、沖縄の海兵隊の多くをカリフォルニアへ移転する専門家の提案や、ジョセフ・ナイ氏の、全ての卵を一つの籠にしまうことのリスクを高めるとの、基地集中がもたらす脆弱性を懸念する議論も紹介しました。

特に、連邦議会においては、上院軍事委員会の委員長、カール・レヴィン氏、委員のジョン・マケイン氏、ジム・ウェッブ氏の三者が中心になって、二〇一一年五月に海兵隊装備の嘉手納移転と空軍装備のグアム・アンダーセン空軍基地への移転を提案したことなどを紹介しています。

一方、安倍政権の取り組んだ仲井眞知事による二〇一三年十二月の辺野古埋立承認を契機に連邦議会内の辺野古移転推進論に勢いを与えたとし、その後、マケイン上院議員が、仲井眞知事の埋立承認を受けて、道を開いたと推進論への理解を示したとされています。

ここに表れているのは、決して辺野古唯一ではありません。沖縄唯一でもありません。今日の中国や北朝鮮のミサイル到達時間を考慮すれば、その防御に対応できない沖縄の基地はすぐに無力化されることは明らかだからです。

配付資料のように、ネラー海兵隊総司令官は、一昨年に、戦略的な情勢は変わった、進化する脅威に対応するために、どこに航空機を配備するかについて異なる選択肢を検討している、と証言しています。もはや、辺野古が必要ではないのです。

一方、安倍首相がやったのは、県外移設を公約して当選していた仲井眞知事を包囲するために、同じく県外移設を公約して当選した沖縄県選出自民党国会議員に辺野古移設を認めさせ、振興策の取引で辺野古埋立てを承認させたことです。それでも、当時の仲井眞知事が埋立てを承認した条件は、五年以内の運用停止でした。そして、安倍首相はそれを約束したのです。

しかし、先月末が期限の普天間の五年以内運用停止は実現していません。見通しも示していません。それどころか、長期運用を想定した普天間飛行場では、滑走路や格納庫の補修、新たな基地内施設の建設などが進んでいます。

一昨年、二〇一七年十二月には、普天間第二小学校に米軍ヘリの窓が体育授業中の児童の間に落下し、上空飛行禁止を学校側が求めても守られず、沖縄防衛局から職員が配置されて、半年で七百回も米軍機が近づくたびに避難を繰り返しました。ついに、米軍機飛来に対処するシェルターまで建設されました。普天間飛行場の危険性除去どころか、危険性の積み増しが進んでいる状況です。

安倍首相が進めた辺野古移設の強行で普天間の固定が進んでいることは明らかです。さらに、米国内で進んでいた米軍飛行場問題解決を目指す議論に蓋がされたのです。今日の普天間飛行場の危険性放置の責任は、安倍政権にあることは明らかです。

このような中で、やはり私たちは今、大浦湾の問題、そしてまた県民投票、こういう中で、やはり今県民の声をしっかり受け止めて、真っ当な民主主義国として、県民投票の結果、軟弱地盤の問題等を率直に受け止めて政策転換を行い、米国との交渉をすることです。そのことを是非求めて今日の質問を終わりますけれども、次回にまた、今の米軍の状況、そしてまた現在の建設の困難性、そういったことについて真摯な議論をしてまいりたいと、このように思っております。

ありがとうございました。