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国政報告 / 議事録

外交防衛委員会(2019年3月22日)

2019.1.28~6.26 第198回常会

伊波洋一君

沖縄の風の伊波洋一です。防衛予算に関連して質疑いたします。

防衛省の来年度予算では、普天間移設事業に七百七億円が計上されています。防衛省は、この辺野古新基地建設工事に係る工事費用について、三千五百億円以上としか答えていませんが、沖縄県は二兆六千五百億円と試算しています。工事期間についても、県は、埋立て五年、地盤改良五年、その他三年と、十三年以上掛かる、その間、普天間が固定化され危険性が放置されると厳しく指摘しています。

費用も工期も明らかでない事業に予算を支出することなど、あり得ない話です。辺野古新基地の費用及び工期の全体像について、防衛大臣、お示しください。

防衛大臣(岩屋毅君)

今般の調査の結果を踏まえて、地盤改良工事が追加されることになりました。したがって、設計の概要等の変更を行って、変更承認申請を沖縄県さんに対して行う必要があるというふうに考えております。そして、今、地盤改良に係る具体的な設計等の検討を行っているところでございます。

したがって、もちろん地盤改良工事の追加に伴ってそれに一定の期間を要するというふうに考えておりますけれども、全体の工期あるいは全体の経費につきましては、詳細な設計ができた段階で概要をお示しをすることができるというふうに考えているところでございまして、今日、ただいまの段階でまだ申し上げられる段階ではございません。

伊波洋一君

国民から預かった税金の使い方としては、いまだに確定していない中で工事は進んでいるわけですから、とてもおかしいと言わざるを得ません。ただいま防衛大臣の答弁で、沖縄県に設計の概要の変更をすることはもうしっかりそのとおりだということをお認めになりました。

政府は、二〇一八年度予算に計上されていた大浦湾側のケーソン護岸整備費用五百二十五億円について、十二月二十一日に閣議決定された来年度予算で計上を見送りました。この五百二十五億が執行されなかった理由は何でしょうか。大浦湾側の軟弱地盤で工事が進められなかったことが理由ではないですか。

政府参考人(防衛省 鈴木敦夫君)

事実関係でございますので、私の方から御答弁申し上げます。
平成三十年度予算におきましては、普天間飛行場代替施設の建設事業に係る護岸工事につきまして、契約ベースで五百二十五億八千三百万円を計上しておりました。他方、平成三十年八月の沖縄県による公有水面埋立承認の撤回処分を受け、埋立工事に係る作業を一時中止していたことや、サンゴ類の移植に必要な特別採捕許可が得られないなどの事業の進捗状況を踏まえまして、この護岸工事の発注を平成三十二年度以降に見直したということでございます。

このため、平成三十年度に計上していたこの護岸工事の費用は執行しておらず、また平成三十一年度予算案にも計上していないというところでございます。

伊波洋一君

ただいまはあたかもこの軟弱地盤問題は関係ないかのような答弁でございますが、しかし、先ほど防衛大臣は、そのことはしっかりお認めになりました。

つまり、今のところどういう詳細なことになるかまだ決定もしていないと。当然、決定していなければ工事はできないわけでありまして、まず、そもそも本来大浦湾側から工事が着手されなきゃならなかったはずでありますけれども、それを飛ばして辺野古側を埋め立てると、こういうようなことでこの間来ているわけであります。

そういう意味では、本来の設計の概要によりますと、辺野古の埋立ては大浦湾側の護岸の着工に始まり、大浦湾側の護岸の完成で終わるという認識であったと思いますが、それで間違いありませんか。

政府参考人(防衛省 鈴木敦夫君)

埋立承認願書の添付図書でございますところの設計概要説明書におきまして、その中に本埋立てに関する工事の工程表というのがございます。ここにおきましては、東側の、大浦湾側でございますけれども、A護岸や中仕切り岸壁の着工で始まりまして、同じく大浦湾側東側の護岸、係船機能付きというところでございますが、こちらが完成して竣工するという工程が記載されているところでございます。

伊波洋一君

そうすると、今度新たに行われる地盤改良というものにおよそ三年八か月も要するということになりますと、三年八か月というのは、いわゆる単純にやはり足されていくということは、どう見てもそのとおりではありませんか。

防衛大臣(岩屋毅君)

いや、先生、そのとおりというのは。

伊波洋一君

どんな工夫をしても、県が指摘しているように単純に五年は遅れると、こういうことになるということではありませんか。

防衛大臣(岩屋毅君)

私ども、地盤改良に関しては海上部分で三年八か月、陸上で一年ということが報告書の中には書かれているわけでありますけれども、様々な工事を同時に進行させるというようなことも含めて創意工夫を行って、できるだけ工期を短くしてまいりたいというふうに考えております。

伊波洋一君

海の中で幾つものことができるわけではないと思います。大浦湾側では、さらに、活断層の存在も明らかになりました。防衛省が文献として重視し、審査請求の証拠としても引用している「名護・やんばるの地質」の著者である東北大学の遅沢壮一先生も、辺野古断層の調査等により得た知見及び埋立承認後になされた土質調査による音波探査の断面図とボーリング調査等に基づいて、活断層の存在を指摘しています。

防衛省として、調査以前の文献に記載がないことを根拠に活断層の存在を否定する防衛省の論理は非科学的ではありませんか。

政府参考人(防衛省 鈴木敦夫君)

防衛対策上考慮すべき地震に関わる国内の知見を包括的に集約し提供してございますところの地震調査研究推進本部、これが活断層として整理、紹介している各種の調査結果ですとかデータベース、このいずれにも辺野古沿岸域に活断層の存在を示す記載はございません。

また、我が国の活断層を示す一万以上の文献を網羅的に収集し、新しい文献についても随時追加、更新しているところの最新のデータベースでございますところの活断層データベースにも、辺野古沿岸域に活断層の存在を示す記載はございません。

さらに、我が国における多数の地質学等の権威によって編集、解説され、日本全国の活断層が網羅的に記載された活断層詳細デジタルマップにおきましても、辺野古沿岸域における活断層の存在を示す記載はございません。

このように、沖縄防衛局において、これら権威のある文献等におきまして辺野古沿岸域における活断層の存在を示す記載がないということを確認してございます。

伊波洋一君

しかし、専門家からは多くの指摘が行われているということはしっかり留意しなきゃいけないでしょう。

沖縄県は、施設の建設自体に反対しています。さらに、不安定な軟弱地盤の上に軍事施設が建設されることで、完成後の基地機能として成り立つのかという疑問もあります。米国も基地の安全性と安定的な運用に大きな関心を持っているはずであり、日米の信頼関係にとっても情報の共有、提供は必要不可欠です。

そこで、大臣にお伺いしますが、地盤に係る設計・施工の検討結果報告書を始めとする今回防衛省が開示した一連の資料を、米国防総省に提供しましたか。あるいは、していないなら早急に提供すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

防衛大臣(岩屋毅君)

工事を進める上で必要な調査の概要などについては米側に適宜説明を行っておりますが、そのやり取りの一つ一つについては、相手のあることでもありますし、控えさせていただきたいと思います。

伊波洋一君

米国に報告するのは当然じゃないでしょうか。というのは、そもそもこの施設は米軍が使うための施設です。

防衛省は、三月二十五日にも辺野古側K4護岸内側の②の区域に新たな土砂を投入することを県に通知しています。しかし、この区域は辺野古地先の最大級の海草藻場であり、生物多様性の宝庫です。沖縄県の設計変更承認がない限り飛行場の建設工事はできません。埋立地全体が一体として辺野古新基地だからです。

現段階で、今年一月に沖縄防衛局が依頼したコンサルが技術的に可能という判断をしているだけです。法的な手続としては、県の変更承認を経由しない限り大浦湾側の工事は不可能であり、一体としての施設が成り立たないのは誰の目にも明らかです。

先ほど岩屋防衛大臣は、設計概要の変更申請をすることはほぼ認めました。それ、必要であることを認めました。大浦湾側の工事は、設計概要を県が承認しない限りできないことをお認めいただけますね。

防衛大臣(岩屋毅君)

私どもとしては、法令等にのっとって、設計変更をいたしました際には沖縄県さんに承認のお願いをさせていただきたいというふうに考えております。

伊波洋一君

いや、ここで質問しているのは、承認、設計変更の承認、設計の概要の変更の承認がない限り大浦湾側の工事はできないということはお認めいただけますね。

防衛大臣(岩屋毅君)

それはそうでありますけれども、是非承認をいただけるように最大限の努力を行ってまいりたいと考えております。

伊波洋一君

だとすれば、現在も埋立土砂の投入が続けられている区域二の一や、防衛局が新たに三月二十五日以降土砂を投入すると県に通知した区域二についても工事を止めるべきではありませんか。

防衛大臣(岩屋毅君)

これは準備が整い次第、事業は継続をさせていただきたいと、その二の区域についても進めさせていただきたいと思っております。

伊波洋一君

今の沖縄防衛局のやっていることは、私には、以前大きく問題になった耐震偽装で建築確認を得たマンションを、耐震偽装発覚後も建築し続けることにほかならないように思います。

配付資料三、三月十五日付けで沖縄県が提出した意見書の最初の部分にも書かれてありますけれども、「審査請求人が護岸工事に着工をする以前に大浦湾側の軟弱地盤の存在が明らかになっていたものである。」と。「しかし、審査請求人は、上記報告書受領から二年以上の期間にわたって、沖縄県の求めを拒絶して地盤調査の結果を秘匿し続け、軟弱地盤の存在を認識しながら平成二十九年四月二十五日に護岸工事着工を強行し、その後も、沖縄県が工事を停止して全体の実施設計を示して協議することを行政指導してもこれに従わないことを明確にして、本件承認取消処分に至るまで、工事を強行し続けてきた。」と。その請求人というのは沖縄防衛局のことなんです。

沖縄防衛局は、今、私人たる立場でこのことを行政不服審査請求をしているわけですけれども、こういうあたかも耐震偽装のようなことを、政府がそれを擁護しているというふうにしか見えません。

ですから、設計概要の変更の必要性が確知された場合には速やかに工事を停止し、処分庁と協議して所要の手続を取るべきことであることは基本なんです。この間の防衛局のやっていることは、ほとんどこれまでの行政のルールを無視して工事をしています。

今、三月十五日というのは、防衛省がこの報告資料を全部開示した日ですね。その日に出した沖縄県のこの意見書、防衛大臣、これは尊重すべきじゃないですか。つまり、皆さんがやってきたことに対して、今処分を争っているわけですよ。それはまだ結論は出ていません。しかし、埋立てをやりますと。今一区画やっていますが、あと一区画は辺野古最大の藻場なんです。ひょっとしたらこの工事自体全部止まるかもしれない、そういうような状況なんです、今の実際の実態は。アメリカにも通知しないで、我々がやればいいだろうでは済まないんですよ。

ですから、ここは立ち止まって、やはり本当にこれは可能であるのかどうか、皆さんが出している、今技術的に、その報告に基づき具体的にやらなきゃならないと言っているわけじゃないですか、もう国会でも。実際に設計、これができるということを示して、県の承認を得ない限りできないんですから、この工事は。今、そこで新たにまたあの大事な藻場を埋め殺すということを今しようとしています。これ本当に許していいんですか。防衛大臣、お答えください。

防衛大臣(岩屋毅君)

今私どもが進めておりますのは、先生、あくまでも辺野古側、南側の工事でございまして、これについては手続上の瑕疵はないものと思います。

それから、軟弱地盤について、大浦湾側についても調査結果を何も隠していたわけではなく、広範な海域の中での調査としては当初の二十四本では十分に地盤の状況を確定できないということで、追加の工事を行った上であの報告書を書かせていただいたということでございまして、大浦湾側につきましては、先ほど申し上げたように、詳細な設計変更ができましたら県側に承認を求めてまいりたいというふうに思っておりますので、そのように御理解をいただきたいというふうに思います。

委員長(渡邉美樹君)

質疑をおまとめください。

伊波洋一君

はい。今、実は辺野古側は別個の工事じゃないんですよ。辺野古側も大浦湾側も一緒なんですよ、飛行場を造るという工事。

それで、今申し上げましたように、二年も隠して工事をずっと続ける、着工する前から分かっていた。そのことを指摘して、今日の質疑は終わりたいと思います。