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国政報告 / 議事録

外交防衛委員会(2019年3月28日)

2019.1.28~6.26 第198回常会

伊波洋一君

沖縄の風の伊波洋一です。在外公館の改正法案については特に異議はありません。

二月二十四日の県民投票で埋立て反対の意見が得票総数の七割を超え、玉城デニー知事が三月一日と十九日の二度にわたり安倍総理に面会して工事の中止を要請したにもかかわらず、三月二十五日、沖縄防衛局は、辺野古沿岸部の新たな区域に土砂の投入を開始しました。安倍政権、防衛省による県民の民意をじゅうりんする新たな土砂投入の強行に、県民を代表する参議院議員として強く抗議をいたします。

防衛省は、配付資料二枚目のように、三月五日の予算委員会において、埋立承認願書の出願段階では、沖縄防衛局は、公有水面埋立承認審査の過程で、沖縄県からの質問に対し、施工計画地の直下には圧密沈下を生じるような粘土層は確認されていないため、圧密沈下は生じないと想定している、と回答していた、と答弁しています。

しかし、平成三十一年一月の地盤に係る設計・施工の検討結果報告書によれば、S3地点では施工開始から供用まで三年間で三・三メートル以上沈下する予測ですが、それでいいですね。そのことを確認してください。

政府参考人(防衛省 鈴木敦夫君)

お答え申し上げます。今回公表いたしました一月の報告書では、S3地点におきまして、ケーソン式護岸の構築から埋立てを終了するまでの期間を三年間とした上で、その期間の沈下量について約三・三メートルであると予測してございます。

ただ、これは、まさにサンドドレーン工法、施工によりまして、施設の供用開始までに沈下を促進させて、その後の残留沈下と申しますが、供用開始後の沈下の低減を図ったものです。この結果として、埋立て終了後は、その後二十年間で約四十センチの沈下というふうに予測しているところでございます。

伊波洋一君

ただいまの報告書は資料の一枚目にあります。大臣、最近まで防衛省担当者は沈下は生じないと言っていたのです。今回、防衛省が、沖縄県の辺野古埋立承認撤回に対して、行政不服審査請求で国土交通省に承認撤回の執行を停止させて土砂投入を強行するために、県が指摘した軟弱地盤に関する報告書を関係するコンサルタント複数にまとめさせて初めて明らかになったものです。

圧密沈下は生じないものとしたものが、三・五メートル以上も沈下することが明らかになったのです。関空と羽田滑走路は全体として十三メートル、あるいは七メートル沈下していますが、均等に全体として沈下をしていますが、辺野古では陸上部は沈みません。埋立部でも、今問題になっておりますこのS3を含めた水面下九十メートルまでの軟弱地盤のC1護岸とすぐ隣り合うC2護岸は、水面下五メートルのところにも岩盤があります。まさに均等に沈むことにはならないんですね。全く違うということをまず指摘をします。

三年間で三・三メートルの沈下ということも予測にすぎません。資料を検討した専門家は、十分な地盤改良は不可能だと埋立工事そのものを疑問視しています。そして、ただいまのページ、お示しをしたページには、「施工段階における対応として、代表箇所を複数選定して施工に伴って生じる地盤挙動の観測を行い、必要に応じて施工速度の増減や予測沈下量及び上げ越し量の修正等の調整を行いながら予測精度を高めつつ施工を進める方針」と書いています。

施工段階、つまり設計の概要の変更承認を得た上で、実際に施工を進めながら調整していく。言い換えれば、走りながら考える、トライ・アンド・エラーで工事を進める方針だと言っているわけです。施工は変更承認申請後の話です。

それで、大臣に伺います。施工を進めながら調整していく方針なのに、変更承認申請に工事が可能と書けないんじゃないですか。

防衛大臣(岩屋毅君)

そういう作業工程というか過程は、一般的なものであるというふうに考えております。

もちろん精緻な設計をできるだけ行って設計変更の承認申請をさせていただきたいと思っておりますが、その施工後も、状況をしっかりとモニタリングしながら、必要に応じて微修正といいますか微調整を行いながら精度を高めていくという施工をやらせていただくということになろうかと思います。

伊波洋一君

埋立申請の際にも沈下は生じないと言い、そして、私、三月になっても沈下は生じませんと言われながら説明を受けてきたわけでございますが、しかし、出されておる資料は、まさにこの資料は、三・三メートルは沈下をする、あるいは三・五メートル以上最終的には沈下をする。しかし、沈下しないところがあるんですよ。シュワブ陸上部は沈下しません。すぐ隣の護岸も五メートルしかない。まさに、皆さんがここにあたかも簡単に書いているような、そのようなものでないことは明らかなんです。

ですから、私は、やはりいま一度、本当にこれができるのかどうか。だって、公有水面の埋立ては安心、安全が前提なんですよね。安心、安全が前提です。今日の東京新聞の記事を見ても分かりますように、九十メートルの深さまで軟弱地盤のところと、あるいは五メートルしかないところと、そういうところでどんな力関係で、本当に荷崩れが起こしかねないんじゃないかと、この図面を見てもすぐ我々でも感じるんですよ。

そのことは、是非、これからも続きますから、防衛大臣の下でしっかりしたものにしていかないと、これ承認を得なきゃいけないんですから、皆さんは、沖縄県の。そういうことが本当にできるかということを前回から問うているわけです。

前回の委員会では、埋立承認の埋立工事の工程表において、大浦湾側のA護岸や中仕切り岸壁の着工で始まり、大浦湾側、東側の護岸、係船機能付きが完成して竣工すると記されていると確認していただきました。

工程表によれば、埋立工事には五年の工期が見込まれていました。つまり、今回の海上工事三年八か月、陸上工事一年という新たな地盤改良工事に要する期間を足されて、十年ないしそれ以上の期間掛かることになるのではないでしょうか。

しかし、防衛大臣は、様々な工事を同時に進行させることも含めて創意工夫を行って、できるだけ工期を短くしたいと答弁されています。どのような根拠に基づく答弁なんでしょうか。平成三十一年一月の報告書には、様々な工事を同時に進行させて工期を短くできると書いてありますか。

防衛大臣(岩屋毅君)

今回公表いたしました報告書におきまして、あくまでも現時点の試算として、埋立工事を含まない地盤改良の工事に掛かる工期につきましては、海上工事で約三年八か月、陸上工事で約一年と見積もっているところでございますが、これから詳細な設計に入るわけでございまして、また工法についても更に検討を深めていくわけでございますけれども、実際に設計、施工を行う際には、工程を調整することで、海上工事、陸上工事、並行して行うことがあり得るというふうに考えております。

いずれにしても、合理的な設計、施工方法を追求する必要があるというふうに思っておりますので、そのために全力を挙げていきたいと思っておりますし、沖縄県側に御理解いただけるようなしっかりとした設計にしたいというふうに思っております。

伊波洋一君

いや、実際は何も書いてないんですよ。書いてないのに、なぜ様々な工事を同時に進行させて工期を短くできると断言するのですか。そのことを私は聞いているんです。つまり、できると書いてないのにできるかのように言っている、それではやはり間違った答弁になると思うんですが、いかがですか。

防衛大臣(岩屋毅君)

できると断言は私しておりませんで、工事を並行して行う、施工する可能性もあると。したがって、その可能性の追求も含めてこれからしっかりとした詳細な設計を行っていきたいというふうに申し上げているところでございます。

伊波洋一君

専門家が不可能と指摘する軟弱地盤の改良工事について、コンサルに作成させた報告書の記載には、丸ごと依拠する形で、地盤改良可能と結論しながら、一方で、今指摘をしてきた、同時に、工期を短くできるという趣旨は全く書かれていないんです。ですから、そういったことはやはり間違った認識をさせるということになります。防衛省が無根拠に工期を短縮できると主張して工事を強行するのは、私は間違っていると思います。

私も、沖縄県と同じく、報告書の大浦湾側の地盤改良を可能であるとする意見には全く同意できませんが、報告書の結論として、様々な工事を同時に施工させて工期を短くする余地がないからこそ、報告書は、海上三年八か月、陸上一年と書かれていると考えるべきではないでしょうか。

沖縄県の試算によれば、埋立工事に五年、地盤改良工事に五年、埋立て後の施設整備に三年の計十三年以上掛かる見込みです。この報告書を前提としても、最低でも五年程度の工事期間延びることになります。仮にこの軟弱地盤の上に辺野古基地が建設されたとすれば、二〇三〇年頃にようやく普天間の基地返還が可能性が出てくることになります。

安倍政権は、今年二月に期限を迎えた普天間基地の五年以内の運用停止の約束、ほごにしました。二〇三〇年まで、九六年のSACO合意から三十五年もの間、普天間基地の危険性を放置される、危険性が除去されないことが続くことになります。

安倍総理は、辺野古移設は普天間の危険性を一刻も早く除去するための唯一の解決策と言っています。このように、辺野古に固執する安倍政権のかたくなな政策そのものが普天間の固定化を招いていると思いませんか。これから十年以上、普天間の危険性を放置しても、一刻も早い除去と言えるのですか。

防衛大臣(岩屋毅君)

まず、工期につきましては、できるだけこれを短縮できるように最大限の努力をしてまいりたいと。したがいまして、是非沖縄県さんにも御協力をいただきたいというふうに思っているところでございます。

私どもの防衛政策上の判断、日米同盟としての判断からしても、沖縄における抑止力の維持、南西地域における抑止力の維持は極めて重要だというふうに考えておりますので、辺野古への移設なかりせばいよいよ普天間は固定化してしまうと、これだけは絶対に避けなければいけないというふうに思っているところでございます。

伊波洋一君

終わります。