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国政報告 / 議事録

外交防衛委員会(2019年4月16日)

伊波洋一君

ハイサイ、沖縄の風の伊波洋一です。沖縄で在沖海兵隊所属の海軍兵による日本人女性殺害事件が起きました。海兵隊などの在日米軍を沖縄に集中させていることで繰り返し米軍人等の事件が起きており、強く抗議するとともに、海兵隊の早期撤退を求めます。

安倍政権は、普天間の危険性の早期除去と抑止力の維持のためには辺野古新基地建設が必要だと繰り返しています。配付資料のとおり、二〇一三年三月に沖縄防衛局が提出した埋立承認願書に添付された埋立必要理由書にも、「在日米軍の中でも唯一、地上戦闘部隊を有している在沖海兵隊は抑止力の一部を構成する重要な要素である」として、「国外、県外への移設が適切でない」と記述されています。

しかし、海兵隊を沖縄県内にとどめることが日本の抑止力の維持につながるというのは、既に軍事的には間違った考えです。二〇〇六年に沖縄の海兵隊はグアムに移ることが日米で合意され、二〇〇九年のグアム協定あるいは二〇一二年の改正グアム協定では、グアム移転により抑止力が強化されると確認されています。二〇一二年の合意では、海兵隊の多くはグアムより遠いハワイやオーストラリア、米本土に移ります。今朝の朝日新聞にも特集をしています。

日本政府として、現在も海兵隊がグアムやハワイに移転することで抑止力が強化されると評価していますか。

防衛大臣(岩屋毅君)

先生御指摘の二〇〇九年のグアム協定の記載は、協定の締結当時に世界規模で行われておりました米軍再編、特にアジア太平洋において行われておりました米軍再編と相まって、在沖米海兵隊のグアム駐留が実現することによってアジア太平洋地域における抑止力というものが高まるだろうという日本政府の、あるいは日米両政府の見通しを明らかにしたものでございます。また、二〇一二年四月二十七日の2プラス2共同発表におきましては、沖縄に加えてハワイ、グアム、オーストラリアに海兵隊の空地任務部隊、MAGTFを配置、展開させるということにしております。

これらの点につきましては、二〇一三年十月に改正グアム協定に署名した日と同日に公表した2プラス2共同発表におきましても、在沖米海兵隊のグアム移転を含む在日米軍の再編計画について、地理的に分散し、運用面で抗堪性があり、政治的に持続可能な米軍の態勢を実現するものであって、将来の課題と脅威に効果的に対処するための兵力、柔軟性及び抑止力を与えるものという認識が示されているところでございます。
 こういう態勢を実現することによって、アジア太平洋域における多様な事態に柔軟かつ迅速に対応し得るようになるものであって、我が国及び地域における抑止力は維持強化されるものというふうに認識をしております。

伊波洋一君

ただいまの答弁のように、沖縄にただ海兵隊がいるということだけではなくて、今や沖縄ではなくてグアムやハワイあるいはオーストラリアに分散をされるということが抑止力の強化であるということが確認されました。

今日は、海兵隊の実態の中から、在沖海兵隊の抑止力論について考えたいと思います。

二〇〇六年のロードマップ合意では、司令部要員を中心に八千人の要員と家族九千人がグアムに移転するとされていました。二〇一二年の2プラス2共同発表では、今報告がありましたように、移転する部隊構成は実動部隊が中心とされ、人数も千人多い九千人の要員とその家族へと見直され、グアムへ四千人、ハワイやオーストラリア、本土で五千人に変わったわけです。

2プラス2共同発表では、三一海兵機動展開隊は沖縄に残留するとされました。31MEUは海兵隊二千二百人から成り、十五日の作戦行動が可能とされています。

一方、朝日新聞は三月三十一日に、この31MEUについて、在沖海兵隊は海外に年百日を超えて展開していると報道しました。多い年は百六十日以上も海外です。配付資料、二〇〇六年から〇九年及び一七年、一八年の状況を示してあります。

政府は、31MEUが年間百日以上も海外に展開しているのに、抑止力には何ら影響はないと考えておりますか。

政府参考人(防衛省 槌道明宏君)

沖縄に駐留する第三一海兵機動展開隊が洋上等に展開されている期間があること、また、この期間に、例えばフィリピン等での共同訓練への参加、あるいは災害派遣の任務に従事していることは御指摘のとおりであり、また我々も承知をしております。

その上で、海兵隊は、優れた機動性や即応性によりまして幅広い任務に対応可能な部隊でございます。特に、三一海兵機動展開隊を含む在沖海兵隊は、緊急事態の際の初動対応部隊としての役割を担うとともに、増強部隊の来援のための基盤にもなり、これにより種々の事態への柔軟な対応が可能となります。

こうした沖縄における海兵隊の存在は、日米同盟の抑止力を構成する中核的な要素でございます。我が国の平和と安定を確保する上で必要不可欠なものと考えております。したがいまして、在沖海兵隊が沖縄以外に展開する期間があることをもって、その抑止力は否定されるということはないというふうに考えております。

伊波洋一君

四月二日の衆議院安全保障委員会で、海外に百日以上展開しているのは抑止力に穴が空いているのではないかとの指摘に対して、岩屋防衛大臣は、海兵隊が沖縄に本拠地を置いているということが抑止力を構成していると答弁されています。

大臣、本拠地とはどういう定義でしょうか。

防衛大臣(岩屋毅君)

沖縄には、御案内のとおり、第三海兵機動展開部隊、ⅢMEF司令部が置かれております。また、高い即応性を有する第31MEU、海兵機動展開隊の部隊が配置されております。先般の私の衆議院安保委員会における答弁は、このような点に着目して本拠地という言葉を使ったものでございます。

31MEUを含む沖縄の海兵隊部隊は、緊急事態の際の初動対応部隊としての役割を担うとともに、ⅢMEF司令部を始めとする在沖海兵隊が増強部隊の来援のための来援基盤になるわけでございます。このような機能を持つ海兵隊が沖縄に駐留するということは、我が国の抑止力という意味で非常に大きな意味を有しているというふうに考えているわけでございます。

伊波洋一君

先ほど答弁していただいたグアム移転等について、本来ならば二〇一四年までには移っているはずでありました。その移るときに、今おっしゃるⅢMEFも含めて全部移っていくわけでありまして、その後合意された二〇一二年の合意は、いわゆる31MEUは残っている、しかし、ほかの実動部隊はみんな移っている、それもグアムでもなく、ハワイやオーストラリアに移っているのが実情です、合意ですね。そのことを考えると、まさにこの本拠地という意味は曖昧になっていると思います。

本拠地というのは、31MEUの司令部のことでしょうか。

防衛大臣(岩屋毅君)

先ほど申し上げたとおり、司令部も置かれておりますし、高い即応性を持っている31MEUという部隊等も置かれているわけでございまして、我が国という、我が国防衛という視点に立った場合に、やはりここが万が一の場合には米軍の来援基盤となって重要な抑止力を構成することになると、また、そういう基盤を有しているからこそ、まさに抑止という効果を生ぜしめているという考え方で申し述べたところでございます。

伊波洋一君

具体的なグアム移転等については、次回で議論したいと思います。
私が海兵隊のホームページなどを改めて検討した結果、在沖海兵隊の31MEUは、配付資料のとおり、二〇一七年、一八年の春、秋ともに定期的なパトロール、レギュラリー・スケジュールド・パトロールと称して東南アジア方面に海外展開をしていることを確認されました。
この春と秋の定期的パトロールを始め、年間百二十日、四か月程度は沖縄から出て海外で活動しており、オーストラリア、タイ、フィリピンなどの東南アジア諸国との多国間軍事演習を実施しています。二〇〇六年から〇九年の資料や、あるいは防衛省の資料も入っておりますが、同様です。

31MEUの部隊のモットーは、レディー、即応、パートナード、同盟、リーサル、致命的という三つでありますが、多国間軍事演習を通じた能力構築支援と信頼醸成が重要なミッションとなっています。このような実態を防衛省は把握していますか。

政府参考人(防衛省 槌道明宏君)

沖縄に駐留する第三一海兵機動展開隊は洋上等に展開されている期間があり、また洋上展開期間中に東南アジアなどで実施される二国間演習や多国間演習に参加して、それを通じて練度維持を図るとともに、各種の事態対処のための即応態勢を取っているというふうに承知をしております。

また、沖縄に司令部を置く第三海兵遠征軍は、二国間や多国間演習によりまして、パートナー国の能力を構築、あるいは強固な地域同盟と軍隊同士の同盟のつながりを形成、維持して、様々な作戦に対応することが可能な、そういう態勢を整えているというふうに承知をしております。

こうした活動は、沖縄の海兵隊の有する抑止力の維持等を通じて地域の平和と安全に貢献するものであるというふうに考えております。

伊波洋一君

資料にありますように、沖縄の海兵隊の活動は主に海外です。で、この31MEUは、スマトラ島沖地震などを受けて、近年、人道支援、災害救援、いわゆるHA/DRを軍事・外交戦略上極めて重視しており、我が国に対しても東日本大震災や熊本地震において救援活動を展開しました。

報道や海兵隊の公開情報によれば、二〇一一年三月十一日の東日本大震災当時、在沖海兵隊の31MEUは艦艇で東南アジア、フィリピン海に展開しており、震災発生を受けてマレーシアとインドネシアへの寄港を中止して日本に戻り、三月十八日に秋田沖に到着し、支援を開始しています。

また、二〇一六年四月十六日に熊本地震が発生した際、31MEUはフィリピンに展開していました。四月十七日午前十一時に31MEUに所属するオスプレイがフィリピンを出発し、途中、普天間基地で給油した後、午後七時には岩国基地で支援物資を搭載し、翌十八日に熊本県南阿蘇村に支援物資を届けています。

このように、HA/DRの活動において、東南アジアに展開していた米海兵隊31MEUは、東日本大震災では震災発生から一週間後、熊本地震では震災発生から二日後に初動の救援活動を開始しています。

これまでも防衛省は、海兵隊は機動性、即応性に優れ、迅速な初動対応が可能であるから抑止力としての機能が高いと説明していますが、日本政府としては、これらの事態でも海兵隊の即応性、機動性が発揮されたと評価していますか。

防衛大臣(岩屋毅君)

まず、我が国でのその災害の場合に、米海兵隊が救援活動を行ってくれたことについては感謝をしなければならないというように思っております。
その上で申し上げれば、先生御指摘の、東日本大震災のときは31MEUは展開先のマレーシアから急行して救援活動に当たっていただいたと、熊本地震のときは展開先のフィリピンから急行して救援活動に当たっていただいたということでございます。

災害派遣の活動を開始するタイミングについては、要請のタイミング、またニーズの中身、現場の状況等によるものでございますので、それが迅速だったかどうかということを一概に申し上げることは適切ではないというふうに思います。
当然のことながら、まずは防衛省・自衛隊が、まず主体的にそういう対応を行った上で米側の協力を得るということでございますので、これをもってして海兵隊の即応性、機動性を判断するというわけにはいかないというふうに思っております。

伊波洋一君

即応性、機動性が発揮されるレディーの状態であることや、あるいは現在の海兵隊の移動手段、例えば航続距離の長いオスプレイなどを配備した現状では、海外、東南アジアあるいはグアムに海兵隊が展開していても、米国にその意思があれば海兵隊を日本に、抑止力として機能することも十分可能だということが今の日米の認識だと思います。防衛省もそのように認識していると思います。

その意味では、沖縄に本拠地があるということが抑止力であるというような認識ではないのではないかということで、そのことを防衛大臣には再認識をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

防衛大臣(岩屋毅君)

度重なる答弁で恐縮ですけれども、司令部機能があり、また31MEUという非常に即応性のある部隊があると、さらには来援基盤にもなり得るということをもって、やはりこういった抑止力というものは今日本の守りの最前線である南西地域において非常に重要だという認識、考え方に変わりはないところでございます。

伊波洋一君

次回もあります。グアム移転について、詳細を議論したいと思います。
いずれにしろ、今の状況におきまして、このように皆さん、資料を提供しておりますように、海兵隊は日本のところで活動しているんじゃなくて、海外のそれぞれの同盟関係を強化するのに使われている。そういう意味も含めて、やはり防衛省には新たな基地建設については再考していただきたいと、このように思いまして、終わりたいと思います。
ありがとうございました。