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国政報告 / 議事録

外交防衛委員会(2019年4月18日)

2019.1.28~6.26 第198回常会

伊波洋一君

ハイサイ、沖縄の風の伊波洋一です。防衛省設置法一部改正案は、自衛隊と米軍のより一層の一体化を図るものであり、再考を求めたいと思います。

前回のおさらいですが、在沖海兵隊がグアムやオーストラリア、ハワイや米本土に展開することが抑止力の強化につながるというのがグアム協定の認識であり、現在の日本政府の評価も同様だということが確認できました。また、第三海兵遠征軍、MEFの司令部があること、第三一海兵機動展開隊、31MEUが配置されているということが岩屋大臣の言う本拠地の意味であり、抑止力の根拠であるということでした。

しかし、前回指摘したとおり、31MEUは年間百日から百六十日も海外に展開して沖縄を留守にしており、実際には沖縄にはMEFの司令部が存在するだけです。防衛省が抑止力の中核的要素と言う31MEUは、東日本大震災や熊本地震の際も東南アジア、フィリピン海に展開しており、初動対応に二日から一週間ほど掛かっております。

ここで確認したいのは、防衛省として、初動対応に二日から一週間程度掛かったけれども、即応性、機動性が発揮されると評価している、十分に抑止力として機能していると認識している事実です。
 大臣、31MEUが沖縄になくても、グアムやフィリピンに展開していても抑止力としては十分に機能していると評価しているということでよろしいですね。

防衛大臣(岩屋毅君)

前回もお答えをしておりますけれども、第三一海兵機動展開隊、31MEUにつきましては、東日本大震災のときは展開先のマレーシアから急行して救援活動をやってくれたと、熊本地震では展開先のフィリピンから戻ってきて救援活動を行っていただいたと承知をしております。

災害時の救援活動を開始するタイミングにつきましては、要請のタイミング、ニーズの内容、現場の状況等によるものでございますので、その対応が、米軍の対応が迅速か否かを一概に申し上げることは私は適切ではないというふうに考えております。我が国の緊急事態には、沖縄の海兵隊部隊が洋上等の展開中であっても急行して対応するということを示しているものだというふうに考えております。

いずれにしても、我が国における災害は、まず我が国が主体的に対応を行う、防衛省・自衛隊でまずしっかり対応を行い、その上で、必要に応じて米側からの協力を得るというものでございますので、御指摘の事例をもって海兵隊の即応性、機動性あるいは抑止力について評価できるものではないというふうに考えております。

伊波洋一君

さて、二〇一二年の日米合意に基づいて、二〇一二年度価格で総額八十六億ドル掛かる米軍のグアム移転計画に日本側は約三十一億ドル、百十二円換算で三千四百七十二億円の費用負担が決定しており、配付資料三枚目のとおり、これまで、六〇%に当たる二千八十五億円を既に支出しています。平成三十一年度予算でも二百十三億が計上されています。

前回確認したとおり、日本政府としては、グアム移転で抑止力が強化されると評価しているからこそ移転費用の負担をしていると理解してよろしいですね。

防衛大臣(岩屋毅君)

海兵隊のグアム移転は、沖縄の負担軽減のための重要な取組であるというふうに認識をしているところでございます。このような認識の下に日米間で適切な費用分担を行っているところでございまして、御指摘のように我が国が直接資金提供を行っているものでございます。まあ全体の経費の三分の一程度に当たるわけでございますけれども。

その上で、二〇一二年四月二十七日の2プラス2共同発表において、米海兵隊は、沖縄に加えてハワイ、グアム、オーストラリアにMAGTFを配置、展開させることとされております。地理的に分散し、運用面で抗堪性があり、政治的に持続可能な米軍の態勢を実現することによって、アジア太平洋地域における多様な事態に対してより柔軟かつ迅速に対応し得るようになるものでございまして、我が国及び地域における抑止力は維持強化されるものと認識をしております。

伊波洋一君

ただいま答弁のとおり、沖縄から海兵隊が国外に出ることによって、より抑止力が強化されるという認識であるということを確認できました。

グアム移転の環境アセスには、配付資料三枚目以下のとおり、米軍がグアムに移転すべき理由、沖縄から移転する部隊構成や規模、移転先での訓練の態様などが詳細に記載されています。配付した資料にあるとおり、二〇一〇年に評価書が出され、一枚目の資料ですけれども、二〇一五年に補充書が出されました。補充書で修正されていない部分は当初の評価書の内容が有効であるということは防衛省も了解されていると思います。

この中で、移転のイニシアチブの一つは、予測不可能な状況がどこで発生しても、柔軟で迅速な対応を可能とする場所に基地設置を目指し、同時に海外の米軍基地を削減しようというものであったと。

太平洋地域の米軍再配置と作戦上の再編に関するQDRの勧告に基づき、国防総省は沖縄の海兵隊の適切な移設先を、条約や同盟上の要件、二、紛争の可能性がある場所への配備時間、三、活動の自由、規制の掛からない基地使用の条件を満たす場所に求めた。グアムは海兵隊のプレゼンスを支援できる能力があり、沖縄と比較しても、活動の自由を最大限得られ、配備に掛かる時間の増加を最小限に抑えることができると沖縄ではなくグアムを選んだ理由を述べています。

グアムに移転する部隊については補充書で変更が加えられていません。二〇一〇年の評価書では、航空機の移転で常駐機の回転翼機としての強襲輸送用MV22オスプレイが十二機、一時配備の回転翼機として更に輸送用MV22が十二機、オスプレイ合計二十四機の移転が書かれています。

そして、グアム・アンダーセン空軍基地のノースランプに整備される施設には、CH53EやMV22の回転翼機用のメンテナンスの格納庫が含まれております。MEUに属する回転翼機に該当する二十五機の航空機と五十人の乗員がグアムを本拠地とすることになるとも書かれています。このことを防衛省は把握していますか。

防衛大臣(岩屋毅君)

米側は、在沖海兵隊のグアムへの移転事業を進めるに当たりまして、二〇〇七年から二〇一〇年まで、米国内法であります国家環境政策法に基づく環境影響評価を実施をしていると承知をしております。

その後、二〇一二年四月の2プラス2共同発表において、グアムに移転する海兵隊員の人数及び構成の見直しが行われ、事業規模が縮小をしております。これを受けまして、米側は、提案した行動に大きな変更を行った場合、補足的環境影響評価を実施することを定めた国家環境政策法に基づく環境品質協議会規則に従いまして、二〇一二年から二〇一五年までの間、補足的環境影響評価を実施をしております。

議員が今御指摘の内容は、米側が公表した環境影響評価書及び補足的環境影響評価書において記載をされているものと承知をしております。なお、米側は、環境影響評価を実施するに当たりまして、部隊規模やおおよその移転人数を見積もった上で当該評価がなされたものと承知をしておりまして、その詳細な移転計画についてはまだ決定されておらず、今後、日米間の協議において取り扱われていくものと考えております。

伊波洋一君

ただいま防衛大臣の答弁のように、これ、出している資料の一ページ目でございますが、二〇一〇年のファイナルの評価書において、既にもう実戦部隊が中心に配置されていると、当初からそうなんですね。そういうことが実際は行われていた。まあ、これをずっと政府は否定してきているわけですけれども、現実には、やはり、なぜ沖縄に、沖縄から行かなきゃならないか。これは米軍の事情ですよ。

そういう意味では、二十四機のオスプレイが移転するということは、普天間所属の三六海兵航空群は全てグアムに移転するということではありませんか。

防衛大臣(岩屋毅君)

グアム移転事業に関しまして、二〇〇六年五月の再編実施のための日米のロードマップにおきまして、沖縄からグアムへ移転する部隊は、第三海兵機動展開部隊の指揮部隊、第三海兵師団司令部、第三海兵後方群司令部、第一海兵航空団司令部及び第一二海兵連隊司令部を含むとされておりますけれども、その詳細については今後の日米間の協議の中で検討していく、適切に検討していくことになります。

いずれにしても、現在、普天間飛行場に所在するオスプレイなどの部隊であります第三六海兵航空群は辺野古に建設中の普天間飛行場代替施設に移転するものと承知をいたしております。

伊波洋一君

グアム・アセスは公表されています。日本政府もグアム整備に既に二千億円以上も支出しています。納税者に対する説明責任もあります。大臣も是非このアセスの詳細について一度お読みになって、グアムで普天間の第三六海兵航空団のオスプレイを全て受け入れる計画になっていることを是非、当初からそうであることを確認をしていただきたいと、このように思っております。

そして、実際のアセスの評価では、在沖海兵隊の訓練、普天間で行われているヘリ、回転翼機の訓練、およそ一万九千回以上の訓練もそのように評価されているんです。是非そういう実態については確認をしていただきたいと思いますが、アセス書について、大臣、いかがですか。

防衛大臣(岩屋毅君)

しっかりと拝見をしたいというふうに思っておりますけれども、先ほど申し上げたように、現在、辺野古、あっ、失礼しました、普天間飛行場に所在するオスプレイについては、建設中の辺野古の基地に移転するというふうに承知をいたしております。

伊波洋一君

実際には、グアムを中心にオーストラリア、タイ、マレーシア、フィリピン、そして日本にもこの31MEUが構成するMAGTFが展開することになると思われますが、海上で31MEUが展開していることが機動性、即応性を維持することであるというのが米軍と防衛省の理解であるということは、今日の確認でも分かりますし、前回も確認されたと思います。抑止力として実際に機能することを果たすことを期待するのであれば、むしろ沖縄に31MEUをとどめる必要はありません。

配付資料、一番最後の方にありますけれども、NHKの取材の記録ですけれども、当時、太平洋海兵隊司令部の長期運用の担当者ですけど、スミス大佐は、米軍は沖縄では様々な制約から十分な訓練ができないため、海兵隊の即応能力の維持には支障が出ていると発言をしております。

31MEUは、年間百日から百五十日沖縄を留守にしています。それでもなお、政府はインドネシアから、フィリピン海からでも強襲揚陸艦やオスプレイで日本を展開することで米海兵隊31MEUが十分に抑止力を果たすことができると評価しています。

司令部があることが抑止力というのならば、司令部はやむを得ないにしても、少なくとも、日々過重な基地負担を生み出して、これを沖縄県民だけに押し付けている普天間の第三六海兵航空団などのヘリ部隊を海外に移転させる、具体的にはグアムやハワイに移転してもらう、それでも十分日本の抑止力という役割を果たせることが明らかになっていると思います。わざわざ技術的に不可能に近い軟弱地盤の改良や県民投票で示された民意を無視し、民主主義を否定してまで普天間基地の移設先として辺野古新基地建設をする必要はありません。

大臣、31MEUを構成する普天間のヘリ部隊が海外にいても抑止力として機能するならば、普天間の移設先は県外、国外でいいのではないですか。それでも沖縄に基地負担を押し付ける必要があるのですか。大臣、いかがですか。

防衛大臣(岩屋毅君)

先ほど先生から御紹介のあった米軍の兵士の御発言については、一々コメントすることは控えたいと思いますし、必ずしも米国政府全体を代表する見解ではないというふうに考えております。

私ども、抑止力を維持しながら、しかし、過重な負担が集中をしている沖縄の負担を目に見える形で軽減をしていく、そういう決意で事業に当たらせていただいているところでございまして、やはり、今、南西地域には自衛隊の部隊も順次つくらせていただいておりますが、日本の守りの最前線であるこの南西地域に、自衛隊に加えてやはり米軍の抑止力というのは不可欠だというふうに考えておりますので、このことを今後とも丁寧に説明をしつつ、御理解がいただけるように努力をしてまいりたいと考えております。

伊波洋一君

抑止力は嘉手納でも十分じゃないですか。防衛、外務両大臣は、週末、日米の2プラス2で訪米されます。これまで委員会で私が訴えてきたことが事実かどうか、是非確認をしていただきたいと思いますし、両大臣には海兵隊のグアム移転の実態をちゃんと把握していただき、沖縄の負担軽減に具体的につなげていただきたいと思います。

二千億円ももう支払っているんですね。三千四百億近くのお金を使って、向こうに沖縄以上の演習場も含めて全部でき上がってくるんですよ。そういう意味では、是非このグアム移転について真摯に向き合って、何が可能なのかを是非政府として検討いただきたいと思いますが、両大臣、答弁お願いしたいと思います。

防衛大臣(岩屋毅君)

これから河野大臣とともに日米2プラス2に臨んでまいりますけれども、防衛大綱を含む私どもの考え方について説明をするとともに、同盟強化、抑止力の強化に向けて議論をしてまいりたいと考えております。

在沖米海兵隊のグアム移転の進展を二〇一七年の2プラス2のときも評価、歓迎をするということに声明を出しておりますし、日米両政府として、このグアム移転事業の着実な実施というものを図るべく、今回も議論を進めてまいりたいというふうに考えております。

外務大臣(河野太郎君)

米軍の抑止力を維持しながら沖縄の負担軽減を早期に実現するために、引き続き日米で緊密に協力しながらグアム移転事業に取り組んでまいります。

伊波洋一君

是非、両大臣の責任で、基地負担の軽減を実現をしていただきたいと思います。軟弱地盤や……

委員長(渡邉美樹君)

おまとめください。

伊波洋一君

沖縄の民意などを考慮すれば、普天間基地の完成は不可能であるか、あるいは気が遠くなるほど時間が掛かる。率直に言って、いつまでも辺野古新基地建設にこだわるのでは米国のためにも、それは沖縄のためにもなりません。そのことを申し上げて、終わりたいと思います。