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国政報告 / 議事録

外交防衛委員会(2019年4月25日)

2019.1.28~6.26 第198回常会

伊波洋一君

ハイサイ、沖縄の風の伊波洋一です。普天間基地の移転は沖縄県内に限定する必要はなく、辺野古新基地建設も必要がないことは、抑止力や米海兵隊の実態などからも明らかです。

鳩山政権が、県外、国外移転を検討した際、外務省は、総理大臣に、「「六十五海里」は、回転翼航空部隊の拠点と同部隊が(陸上部隊と)恒常的に訓練を行うための拠点との間の距離に関する基準であり、米軍のマニュアルに明記されている。」と、ヘリ部隊と陸上部隊が約百二十キロ以上離れて配置されてはならないという基準があると説明したとされ、その説明文書が四月二日の衆議院の安全保障委員会で川内議員が配付した資料で明らかになりました。

今、お手元の配付資料の一枚目でございます。外務省はこのような説明をしましたか。そしてまた、説明内容は今でも事実でしょうか。

外務大臣(河野太郎君)

御指摘のこの文書につきましては、これまでも繰り返し答弁をしているとおり、外務省として関係文書の確認や当時の関係者への照会など必要な調査を行いましたが、当該文書の作成や保有を確認できず、過去に当該文書を廃棄したことも確認できませんでした。

その上で申し上げれば、御指摘の文書に記載されている基本的な内容は、政務レベルを含め、当時の民主党政権下の日本政府が米側から直接聞いていた内容と基本的に一致しております。

平成二十二年当時、米側から、累次にわたり、海兵隊の航空部隊とこれが支援、連携する陸上部隊が一定の距離以上離れると運用に支障を来すなどの説明が、政務レベルに対するものを含め行われてきており、他の多くの理由と相まって、米側が徳之島移設を受け入れることはなかったというふうに承知をしております。

伊波洋一君

配付の二枚目の資料については、二〇一〇年当時、防衛省の資料です。ここにも県外移設が適切でない理由として、「海兵隊のヘリ部隊は、支援する地上戦闘部隊の近傍に所在する必要があり、一定の距離以上に離れると運用に支障を来す。」と書かれています。

この資料の考えは現在も有効ですか。現時点で辺野古新基地建設についての防衛省の考え方も一定の距離以上に離れると運用に支障を来すと考えていますか。

政府参考人(防衛省 槌道明宏君)

普天間飛行場の各種の県外移設案を検討していた平成二十二年当時、海兵隊の航空部隊とこれが支援、連携する陸上部隊から一定の距離以上に離れると運用に支障を来すことについて米側から説明を受けております。

また、海兵隊の航空部隊と、これが支援、連携する陸上部隊から一定の距離以上に離れると運用に支障を来すため、両部隊は近接している必要があることにつきましては、現時点においても変わりがないことについて米側から確認を得ているところでございます。

伊波洋一君

実際に、ヘリ部隊と陸上部隊が近傍に所在しなければならないという基準は御存じでしょうか。また、普天間所属のヘリ部隊と陸上部隊が合同で訓練を行っているとする実態を把握していますか。

政府参考人(防衛省 槌道明宏君)

まず、海兵隊の航空部隊とこれが支援、連携する陸上部隊から一定の距離以上に離れると運用に支障を来すために両部隊は近接している必要があるということは、現時点において変わりがないということについては米側から確認を得ていると、先ほど申し上げたとおりでございます。

在沖海兵隊は、北部訓練場におきまして、陸上部隊、航空部隊、後方支援部隊の間の相互の連携を深め、即応性を維持することを主眼とした実践的かつ総合的な合同訓練を実施しているものというふうに認識をしております。

伊波洋一君

ただいま質問したのは、そういう基準があるかということについての理解ですけれども、基準というのがあるということで理解しているんでしょうか。

政府参考人(防衛省 槌道明宏君)

米側は、具体的な基準については公にしていないものと理解をしております。

伊波洋一君

この実態についてですけれども、ヘリ部隊と陸上部隊が沖縄で合同で訓練を行っているとする実態を御存じですか。

政府参考人(防衛省 槌道明宏君)

先ほどお答えしたように、北部訓練場等におきまして、陸上部隊、航空部隊、後方支援部隊の間の相互の連携を深める、即応性を維持するため等を主眼とした実践的かつ総合的な合同訓練を実施しているという認識でございます。

伊波洋一君

果たして北部訓練場でこんな訓練していますかね。

今年二月には、自衛隊の水陸機動団は、アイアン・フィスト二〇一九で、わざわざカリフォルニア州のペンドルトン基地に行ってMAGTFの訓練を行っています。以前、沖縄でも金武町、金武のブルー・ビーチで海兵隊の上陸演習などが実施されていました。

しかし、今は様々な制約があって、沖縄ではヘリ部隊と陸上部隊の合同訓練は行われていません。前回紹介したように、在沖海兵隊の司令部も沖縄では米軍の即応能力を維持できないと考えており、グアムやテニアンで複合訓練場を整備しようとしています。

沖縄でふだんからヘリと陸上部隊の統合訓練が行われているというのは、実態から懸け離れた思い込みではないでしょうか。防衛省の説明は不十分、証拠が、根拠が不十分です。

委員長、米海兵隊ヘリ部隊が陸上部隊と日常的に共同訓練を行っているという実態を、沖縄で共同訓練が行われている実態を、日時や場所、参加した部隊名など、防衛省が具体的に把握し、委員会に報告するよう、お取り計らいをお願いします。

委員長(渡邉美樹君)

後刻理事会にて協議いたします。

伊波洋一君

第四海兵連隊は、二〇一二年の日米2プラス2共同発表で、沖縄からグアムに移転する部隊と明記されました。そうすると、グアム移転以降は、沖縄に駐留する海兵隊ヘリ部隊の近傍に所在する陸上部隊は存在しなくなります。

そこで、ヘリは陸上部隊とセットするというあやふやな条件を満たすために、防衛省作成の資料では、第三一海兵機動展開隊、いわゆる31MEUを陸上部隊要素であると説明しているのではないでしょうか。

しかし、31MEUは、既に確認してきたとおり、司令部、陸上、航空、後方支援の四つの要素から構成される部隊であり、陸上部隊要素と説明するには誤解を与えるものであり、不適切ではないかと考えます。防衛省はどう考えますか。

政府参考人(防衛省 槌道明宏君)

これはお手元に配付されている資料のことだと思いますけれども、おっしゃるとおり、この在沖海兵隊の各部隊、これにつきましては、司令部、陸上部隊、航空部隊及び後方支援部隊のいずれかの要素に該当するかを分かりやすく示すために、黒、緑、青、紫の四色で色分けで示しているところでございます。

同資料におきましては、この三一海兵機動展開隊につきましては、陸上部隊要素を示す緑色の字としてございます。これは、同部隊の構成の大半を陸上部隊が占めること等を考慮して、四色のうちでどれにするかといえば緑字とすることが適切だというふうに考えてこのように表記したものでございます。

伊波洋一君

お手元に配付している資料の四枚目です、これでございますけれども、いわゆる31MEUにおける陸上部隊等の配備のイメージですけれども、六か月、六か月、六か月という形でいわゆる編成、そして訓練をして、洋上への配備なんですが、その後ろの方に、例えばここに、次の方は、その具体的な六か月、六か月の展開前、展開、そして展開後というのがあります。その下に、第三海兵師団は部隊展開プログラムにより一個歩兵大隊をハワイから受け入れ、第四海兵連隊に編入する、同大隊は十分訓練された臨戦態勢の部隊として沖縄に展開する。

つまり、ここに配備されるときにもう十分に訓練を受けて、まさに洋上展開をする部隊として配備されてくるわけですよ。そういうような意味合いで考えるならば、沖縄で十分な訓練をするわけじゃなくて、既に訓練をしている部隊を配備して、それを展開として受け入れて、いわゆる防衛省が抑止力と称する31MEUの艦艇の動きがあると、そういうふうになります。

それから、これまで委員会で資料でお示しをしたグアム移転に対する環境影響評価、沖縄からグアム及び北マリアナ・テニアンへの海兵隊環境影響評価という、それに何て書いてあるかといいますと、いわゆる、「現在グアムやテニアンで計画されている訓練場は、沖縄にある個人の技能や能力を高める訓練施設の模倣であり、海兵隊員としての中枢能力を維持するために必要なすべての集合的、集団的、実弾訓練や戦闘機動訓練を行う施設ではない。」、その時点でですね、「現在、日本本土、他の友好国、米国まで移動しこれら中枢能力を養うために必要な訓練を行っている沖縄の海兵隊のように、沖縄からグアムへ移転する海兵隊もこの必要な訓練ができる場所で訓練を行わなければならない。」。

その上で、テニアンの訓練施設がどうなっているか。これは今、二千億円以上のお金が米国に渡されて、それで米国はグアムで訓練場あるいはテニアンでの訓練場を造る基盤整備を行っているわけでありますけれども、「テニアンで計画されている訓練活動は、移転してくる海兵隊の個人から中隊レベルの維持訓練である。維持訓練とは、海兵隊の戦闘即応能力を維持する訓練である。テニアンで行われる訓練は、グアムを拠点として駐留する海兵隊の戦闘即応能力を維持するために不可欠である。テニアンで計画されている訓練施設は、グアムでは得られない訓練能力を提供し、大隊部隊上陸や大規模機動訓練などの戦術的シナリオ訓練を可能にする。」と。

つまり、まさにグアム移転がなぜ日本の抑止力の強化につながるかというと、レディーな状態の訓練をそこでできるということなんです。従来、MEUが一つあったのが今回四つ、要するにMAGTFが四つも増えていく、そういうことも含めていわゆる議論されているわけですよね。

そういう意味では、私たちは、やはり沖縄の海兵隊を、先ほど答弁あったように、北部訓練場でそういう訓練をしているなどというような間違った認識はしない方がいい。つまり、そこでやっていることはそんなことではない。つまり、沖縄でできないから海外で演習もしているし、友好国との演習を通して技量を高めている。

そういうきちんとした認識の中で、私たち沖縄県民が今受けている被害、このことが、本来これはなくてもグアムやテニアンでしっかりできるようにつくるのがこの仕組みであったと。この環境アセスを読めばすぐ分かるんです、全部書いてあります。それをあえてわざわざ沖縄に訓練を置き続けるという、まあ飛行機の訓練ですね、主にね、それを置き続けること自体の無意味さを理解していただきたいと思います。

そこで質問ですが、このUDPというのはどのようなものとして理解されておりますか。いわゆる31MEUの要素として陸上部隊を受け入れているUDPです。そのUDP、今書かれているように、つまりレディーの状態で来る部隊なんですね。そういうことを含めてどうでしょうか、説明ください。

政府参考人(防衛省 槌道明宏君)

御指摘のUDP、ユニット・ディプロイメント・プログラムでございますが、これは主に米本土などから陸上部隊や航空部隊又はその人員を、約六か月を基準として、西太平洋に展開している前方展開部隊の部隊又は人員等を定期的に交代させる米軍の制度でございます。

なお、三一海兵機動展開隊、31MEUの陸上部隊は、大隊上陸チーム、バタリオン・ランディング・チームが担ってございます。UDPで前方展開する部隊がその部隊の基幹となっているというふうに承知をしております。

伊波洋一君

第四海兵連隊はグアムに移転することが公表されており、将来はグアムやハワイから沖縄に海兵隊の陸上部隊がUDPで来ることになります。

UDPの部隊は、防衛省の資料のとおり、練度維持のための訓練を沖縄で行っており、洋上に展開する段階で初めて即応能力になります。つまり、沖縄にいる段階での即応、機動性が欠け、まあ抑止力としては沖縄にいるだけでは期待できないんですね。ですから、例えば沖縄の取組の中で、それぞれ、グアムのアンダーセン空軍基地には普天間のヘリ、オスプレイなども含めたものも格納庫として、そういうのが整備されています。その計画に沿って取り組ませることがとても大事だと、このように私は思います。

前回も確認したとおり、グアムのアンダーセン空軍基地内のノースランプ地区には、沖縄から移転する海兵隊のヘリ部隊を受け入れるための駐機場や格納庫の整備が進められています。アンダーセン空軍基地北部地区基盤整備事業は、沖縄の負担軽減のためと称して日本政府の提供する資金で実施され、現在、フェーズ1、フェーズ2が終了しているようです。

防衛省、それぞれの内容はどのような事業でしょうか。普天間基地所属のオスプレイを受け入れるための施設整備の一環であると考えますが、防衛省の見解はどうですか。

政府参考人(防衛省 中村吉利君)

お答え申し上げます。アンダーセン空軍基地の北部地区には、海兵隊の人員輸送などのための航空運用機能が整備をされる予定でございます。これら施設整備の前提となる基盤整備事業につきまして、我が国政府として必要な資金の提供を行い、これまで工事を行ってきたところでございます。

御質問の日本側提供資金により実施をしました基盤整備事業については、第一段階といたしまして、北側の正門、入門管理施設、車両検査施設などを整備をいたしたところでございます。また、第二段階といたしまして、敷地の造成、道路舗装、上下水道、電気通信等の基幹ユーティリティーを整備をいたしました。

一方、沖縄からグアムに移転する主要な部隊といたしましては、委員も御承知のとおり、3MEBの司令部ですとか第四海兵連隊、第四後方支援大隊の全部又は一部であると承知をしております。ただし、部隊毎の移転人数を含めまして、その詳細な計画についてはまだ決定をされておらず、今後、日米間の協議において取り扱われていくこととなります。

いずれにいたしましても、現在、普天間飛行場に所在をするオスプレイなどの部隊であります第三六海兵航空群につきましては、辺野古に建設中の普天間飛行場代替施設に移転するものということでございます。

伊波洋一君

これらについては、防衛省述べたとおり、国民の多額の税金を支出しています。当然、少なくとも、日本政府は、もう既に二千億円以上の資金を提供したグアム移転事業について、工事仕様書などの契約書類を防衛省で入手していると理解しています。

せめて、二つのアンダーセン空軍基地北部地区基盤整備事業の契約書など、一件の書類について、防衛省から委員会に提出するよう求めたいと思います。委員長のお取り計らいをお願いします。

委員長(渡邉美樹君)

後刻理事会において協議いたします。

伊波洋一君

これまで述べた米海兵隊の抑止力の実態、海兵隊の現在の活動実態、グアム整備の実態を考えれば、普天間の部隊を移転するために辺野古新基地建設は必要ない。

さらに、本来、訓練の移転を前提に造っている今の演習場、まさにグアムやテニアンの演習場、日本のお金、およそ三千四百億も掛けて造るんですから、なぜそれがために沖縄の海兵隊の負担が減らないのか、そのことは両大臣にはしっかり考えていただいて、本当に抑止力には関係ないんです。抑止力はむしろ強化されるとしっかり言っている。そのことを、あえて今答弁求めませんけれども、是非防衛省としてしっかり国民に説明できるように整理をしていただきたいと思います。以上です。