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国政報告 / 議事録

外交防衛委員会(2019年5月9日)

2019.1.28~6.26 第198回常会

伊波洋一君

ハイサイ、沖縄の風の伊波洋一です。質問に入る前に、先ほどの浅田均委員の憲法九十二条の御指摘については、まさに沖縄が抱えている問題であります。

いわゆる基地問題については、国に解決能力がない状態が続いています。なぜならば、米軍基地や地位協定があたかも憲法にも優位するような形であるという日本の状態であります。それに対して、沖縄県は今、米国の同盟国における地位協定の調査をしておりまして、ほとんどのところではそれぞれの国において国内法が米軍基地にも適用され、米軍活動にも適用されている。それが我が国においては何もないという状況があるから、先ほど来の問題があると思います。これについては、これからもいろいろ指摘ございますでしょう。

それでは、質問に入ります。昨年の九月三十日の沖縄県知事選挙、今年の四月二十一日の衆議院沖縄三区補選で、辺野古新基地反対を訴えた候補が新基地建設を強行する安倍政権が推す候補を大差で破って当選しました。また、二月二十四日には、九万人を超える住民の署名発議で条例化されたワンイシューで辺野古新基地建設の埋立ての是非を問う県民投票が実施され、全投票数の七二%という圧倒的多数で埋立て反対の民意が改めて示されました。

今通常国会は、野党各党が辺野古新基地建設反対を明確にして国会論戦に臨み、一月三十一日には、安倍総理が大浦湾側の軟弱地盤の存在と今後の設計変更承認申請の必要性について認めました。三月には軟弱地盤に関する検討結果報告書が国会に提出され、軟弱地盤の存在により辺野古新基地建設が技術的にも不可能あるいは困難であることが公式に明らかにされました。

私は、質疑で、沖縄県民が繰り返して示してきた辺野古新基地建設の反対の民意、軟弱地盤や活断層などの技術的な問題、埋立てが強行されている辺野古地先の環境破壊の問題などを考慮して、政府は辺野古新基地建設を一旦停止し再検討すべきではないかと訴えてきました。

また、在沖海兵隊に関するグアム移転協定は、グアム移転が抑止力の強化につながることが日米両政府で合意されており、日本政府が日米同盟の抑止力を構成する中核的要素と認識している米海兵隊第三一海兵機動展開隊の海外活動の実態を明らかにしてきました。海兵隊の31MEUは、年間百五十日程度は東南アジアなど海外に展開しています。同時に、東日本大震災や熊本地震など、日本での災害救援にも東南アジアから駆け付けてこれまで適切に対応してきたと日本政府も評価していると思います。

普天間基地での外来機の飛来による騒音などは論外ですが、二〇〇七年八月の場周経路の合意に見られるように、基地周辺の住宅地上空で行われるタッチ・アンド・ゴーを繰り返すなど、飛行訓練が普天間周辺住民の基地被害の中心的な発生源です。こうした基地周辺住宅地での低空飛行により、普天間第二小学校校庭への窓枠の落下や緑ケ丘保育園への部品落下が起きています。第三六海兵航空群は、普天間基地をホームとするヘリ部隊をどうするかなど、普天間基地をホームとするヘリ部隊をどうするかが普天間基地問題の解決、沖縄の基地負担軽減の大きな鍵になります。

米国内の規定によって実施された二〇一〇年のグアム移転に関する環境影響評価の評価書ファイナルでは明確に、二十四機程度のオスプレイやその他の回転翼機がグアムのアンダーセン基地に配備され、一万九千二百五十五回の飛行訓練が増加することがアセスの検討項目とされていました。アセスについては、これまで質疑応答をして明らかにしたように、二〇一五年に評価書の補充書が提出されましたが、防衛省も認めるとおり、補充書において海兵航空群の移転に関する部分には変更が加えられておらず、現在の普天間基地所属の第三六海兵航空群がグアムに移転するというアセスの基本的な内容は維持されていると考えられます。

配付した資料は、現在もホームページに公表されているジョイント・グアム・プログラム・オフィスの二〇一一年資料と米海軍施設エンジニアリング、マリアナの二〇一七年までの説明スライド資料の一部です。これらの図は、グアム・アンダーセン空軍基地ノースランプ地区に海兵隊の航空戦闘部隊の整備用格納庫、メンテナンスハンガーや駐機場、パーキングスペースが整備されることが示されています。この図から、二十四機程度のオスプレイ、CH53、AH1などの他の回転翼機を含む第三六海兵航空群に所属する全ての航空機がアンダーセン・ノースランプ地区の新たな海兵隊航空基地に収容されることが確認できます。

そこで、質問です。日本政府はこれらのことを把握していますか。これらは第三六航空群と同等の規模を収容する施設であると理解して間違いありませんか。

防衛大臣(岩屋毅君)

その前に、辺野古移設事業につきましては、昨今の安全保障環境に照らして、抑止力を維持しつつ沖縄の負担を軽減する、普天間の飛行場の危険性を除去する唯一の方法だと私ども考えておりまして、これからも丁寧に説明を重ねて御理解をいただきつつ、事業を進めさせていただきたいと考えております。

先生今御指摘のアンダーセン空軍基地の北部地区には、海兵隊の人員輸送等のための航空運用機能が整備される予定でございます。御指摘の整備格納庫、駐機場につきましては、在沖海兵隊のグアム移転事業を進めるに当たりまして、米国内法であります国家環境政策法に基づき、米国が作成した環境影響評価書に記載されている航空機配備案を踏まえて米側予算によって整備されているものと承知をしております。

米側の予算によって米国が実施する事業につきましては我が国としては関与しておりませんことから、施設の詳細については承知していないところでございます。

伊波洋一君

ただいま米側の予算でといいますけれども、基盤事業というのを日本政府は日本の予算で行っているわけです。その基盤の上に、ジャングルを開けて、その基盤の上にその施設が乗るわけでありますから、まさに、施設は米軍予算で造るけれども、その基盤整備には日本の政府が、お金が使われているということをまず指摘しておきたいと思います。

日本政府は、普天間基地所属のヘリ部隊である第三六海兵航空群は沖縄に残留すると繰り返していますが、二〇一二年の2プラス2共同発表には、第三六海兵航空群が残留するとの記載はありません。これまで海兵航空群について米国側から公式に沖縄に残留する、あるいは普天間代替施設をホームにすると伝達されたことがありますか。

政府参考人(防衛省 槌道明宏君)

沖縄からグアムに移転する主な部隊につきましては、先生御指摘のように、第三海兵機動展開旅団司令部、第四海兵連隊、第四戦闘後方支援大隊の全部又は一部であると承知をしておりまして、移転する部隊の詳細な計画についてはまだ決定されておらず、今後、日米間の協議において取り扱われていくものと考えております。

その上で、お尋ねの第三六海兵航空群については、平成二十九年に米国側に問い合わせた際に、沖縄に残留する旨の回答を得ているところでございます。したがいまして、現在、普天間飛行場に所在する第三六海兵航空群は辺野古に建設中の普天間飛行場代替施設に移転するものと承知をしております。

なお、この第三六海兵航空群はMV22オスプレイ等の航空機を運用する部隊でございます。普天間飛行場代替施設には、普天間飛行場の三つの機能のうち、オスプレイなどの運用機能が移転することになります。その中で、現在、普天間飛行場に配備されているMV22オスプレイ等の六種の航空機が移転するものというふうに承知をしております。

伊波洋一君

ただいま問い合わせたとありますが、あれは私がここの委員会で協議事項にして、それを問い合わせるということを指摘したので問い合わせたと思いますね。正式なものであるというわけではないかと思います。

これも、確認したとおり、在沖海兵隊のグアム移転に関しては、日本政府としては総額三千四百億円の資金提供を負担し、既にもう二千億円以上支払っております、支出しております。その支出について、今、グアムでどういう工事をしているかについて、現在防衛省はグアムに職員を派遣しているということですけれども、どのような所属の方がどこに駐在し、どのような職務を担当しているんでしょうか。

政府参考人(防衛省 中村吉利君)

お答え申し上げます。グアム協定の第六条におきまして、アメリカ合衆国政府は、日本国政府が我が国の資金を提供する事業の実施に適切な方法で関与することを確保するとされております。
これを受けまして、防衛省地方協力局の技術職員が工事の実施場所でありますグアムに出張いたしまして、工事の進捗状況の確認ですとか必要な検査に参加することによりまして、この協定に書かれております適切な執行の確認を行っているというところでございます。

伊波洋一君

防衛省のグアム移転に関するホームページ、「日本側資金提供事業の入札・契約情報について」は、これ資料お手元に置いてありますけれども、米国ホームページにリンクが貼られており、これをたどっていくと、米国連邦調達情報発信システム、フェデラル・ビジネス・オポチュニティーズのページにたどり着きます。

防衛省ホームページ、アンダーセン空軍基地北部地区基盤整備事業からたどれる米国ホームページの二〇一四年三月二十一日の入札公告では、日本側資金提供事業であること、ノースランプ開発計画は二〇一二年五月に完了した、全ての航空機の所要と支援施設及びインフラはアンダーセン空軍基地のノースランプ地区に効果的に特定され、設置された、米海兵隊航空戦闘要素、アンダーセン空軍基地ノースランプ地区から作戦行動を行う第一海兵航空団所属の航空要素の任務に必要な作戦整備、管理し、後方支援のための施設を必要としていると書かれています。

また、防衛省ホームページ、アンダーセン空軍基地北部地区整備事業、平成二十三年度予算からたどれる米国ホームページ、二〇一四年十一月十九日の入札公告では、日本側資金提供事業であること、アンダーセン空軍基地における航空戦闘要素のゲートと書かれています。

このように、在沖海兵隊のグアム移転に関する日本側資金提供事業の米国の入札公告関連事業には、アンダーセン・ノースランプ地区における海兵隊航空要素、海兵隊航空戦闘部隊の基地が整備されていることが明記されております。これは、普天間基地所属の第三六海兵航空群の移転ではないという見解でしょうか。

政府参考人(防衛省 中村吉利君)

お答え申し上げます。防衛省は、米国が実施をしますグアム移転事業の入札ですとか契約の情報を広く周知をするために、当省のホームページに米国連邦政府の調達情報サイトのリンクを掲載するなどしております。

委員御指摘のような内容は、防衛省ホームページのリンク先であります米国のフェデラル・ビジネス・オポチュニティーズに記載をされているということは承知をしているところでございますが、いずれにいたしましても、現在、普天間飛行場に所在をするオスプレイなどの部隊である第三六海兵航空群につきましては辺野古に建設中の普天間飛行場代替施設に移転するものと承知をしておりまして、こちらのアンダーセン基地に移転するものではないというように承知をしております。

伊波洋一君

明確なお答えがいただけません。

このノースランプ地区フェーズ1、フェーズ2の調達関連の仕様書に示されている、沖縄からグアムに移転する海兵隊航空戦闘部隊が普天間に現在所属する航空戦闘部隊でないということなのであれば、これらの両者の関係が防衛省としてどのように理解しているか、明確に示していただきたいと思います。委員長、委員会に提出いただくようお取り計らいをお願いします。

委員長(渡邉美樹君)

後刻理事会において協議いたします。

伊波洋一君

委員長、ありがとうございます。

防衛省ホームページからリンクでたどれる米側の資料を見ただけでも、普天間所属の航空部隊がグアムに移転するという資料、根拠が出てきます。在沖海兵隊のグアム移転は日米安保条約の事前協議の対象ではないので、米軍の運用次第で普天間所属航空部隊はグアムに移転します。このような中、辺野古新基地建設を強行する必要はないと思います。

防衛大臣に是非考えていただきたいのは、本当に現実には何が行われているのか。米国では、きちんとそのアセスに沿って運用が行われるように取り組まれています。辺野古が造れないならば、航空機だけを普天間に置いて、実戦部隊をグアムに移せばいいという話ではないんです。テニアンには訓練場ができます。グアムには様々な訓練施設ができます。三千四百億円の事業が進行しているんです。そして、二〇二六年までには沖縄からグアムへの移転は終わるんです。そういう状況を前提にしながら、本当に何が行われているのか。

そのことはやはりしっかりと検証していただきたいし、何がベターな選択なのかということを是非考えていただくことをお願いをして、今日の質問を終わります。ありがとうございました。