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国政報告 / 議事録

外交防衛委員会(2019年5月28日)

2019.1.28~6.26 第198回常会

伊波洋一君

ハイサイ、沖縄の風の伊波洋一です。本承認案については特段異論ありません。辺野古新基地建設工事について伺います。

これまでも、井上哲士委員ほかの先生方がこの問題を取り上げています。三月に公表された検討結果報告書では、地盤改良の深度は、現有作業船の能力等を考慮し、最大深度は七十メートル程度にすると書いてある。その上で、C1護岸予定地直下のB27地点については、水深九十メートルまで軟弱地盤であることを把握しながら、ボーリング調査は実施せず、コーン貫入試験しか実施していない。そのコーン貫入試験では、水深七十メートル地点で換算N値三・六六、九十メートル地点で六・四四と、非常に固いとされるN値一五から三〇の範囲には届かなかったとされている。

そこで、別のS3、S20、B58の三地点の室内試験結果から推論し、ようやくB27地点でも地盤改良の砂ぐいが到達する最大深度の七十メートル地点が非常に固いと類推できる、したがって、水深七十メートルから九十メートルの地盤改良は必要ないと、防衛省には都合の良い結果が得られた、という流れがこれまでに明らかになりました。

この三地点からの推論ですが、政府は、軟弱地盤とされるB27地点の七十メートルから九十メートルの土層について、第一に、全体をボーリング調査、コーン貫入試験、音波探査により土層を分類し、B27地点は三地点と同じAvf―c2層に属すること、第二に、同じ土層に属することから、同じ地盤強度の傾向を示すこと、そのため、第三に、B27地点の水深七十メートルはAvf―c2層のGL四十メートル地点に当たるから、一軸圧縮強度は約二百六十で、結論として非常に固い粘土層に分類されると説明しています。

このような理解で間違いないですか。

政府参考人(防衛省 辰己昌良君)

御指摘のB27の件でございますが、まず、土の層については、一般的にボーリング調査、それから物理試験、音波探査等によって土層がどうであるかを見極めます。その上で強度試験を行いますが、このB27は、先ほど御指摘のあったように、S3、S20、B58と並んで、これらの試験を総合的に判断した結果、Avf―c2層という非常に固い粘土層であるというふうに分類されているところでございまして、そういった評価を基に安定計算をした上で、護岸が安定的に造れるという評価に至っております。

伊波洋一君

これまでB27地点に関しては、岩屋大臣を始め防衛省は、水深七十メートルより深いところの土層は非常に固い粘土層に分類されることが確認されている、と繰り返してきました。

ところが、検討結果報告書十六ページには、Avf―c層とAvf―c2層の地層境界は、C1護岸周辺ではCDLマイナス七十四メートル程度であり、GLから深度四十二メートル付近となる、と書いています。B27地点はC1護岸周辺です。この資料はお手元に配付した資料の四枚目の方にありますが、そこで質問です。

B27地点の深度七十メートル地点は、Avf―c2層ではなくAvf―c層ではないですか。もしAvf―c層だとすると、水深七十メートル付近の強度は、防衛省の主張してきた二百六十、N値一五から三〇の非常に固い粘土層ではなく、強度百六十、N値八から一五の固いにワンランク下がってしまいますが、違いますか。

政府参考人(防衛省 辰己昌良君)

御指摘のように、報告書十六ページにおきまして、Avf―c層とAvf―c2層、これの境界でございますが、これはB27がありますC1護岸周辺ではCDLマイナス七十四・〇メーター程度という表記をしているところでございます。

こういうことも踏まえまして、我々としては、約七十メーターより深いところについては非常に固い粘土層であるというふうに説明をしてきたところでございます。

伊波洋一君

実際は、皆さん、三枚目の資料ですね、この資料ですけれども、必ずしも提出された資料、報告された資料にはAvf―c層とc2層の差は、境界はほとんど明示的には示されておりません。このグラフを通して、こういう違いがあるからそこに差があるんだということが示されているだけにすぎません。

しかしながら、同時に、七十メートルまでしか工事ができないことも事実であります。今、回答は、まさにそのことは言わずに「程度」という話だったんですけれども、本来ならば、報告書の推論を前提にしても、水深七十四メートルのところまで地盤改良する必要があるのではありませんか。

政府参考人(防衛省 辰己昌良君)

今回の報告書にもございますように、我々としては、いろいろな調査をし、土質調査をし、総合的に施工検討した結果、七十メーターまで地盤改良をすれば安定的に護岸の施工ができるということを申し上げているところでございます。

また、これまでの例から申し上げても、七十メーターの下の未貫通というか、そういう部分があったとしても、工事が行っているのは一般的であるというふうに聞いております。

伊波洋一君

作業船による地盤改良の最大深度が七十メートルまでだから、七十メートルより深い土層は非常に固いと繰り返してきたのではないですか。やはり、これまでの答弁は七十メートルというふうに言っています。これは撤回して修正すべきではありませんか。

政府参考人(防衛省 辰己昌良君)

繰り返しになりますが、この報告書にございますように、いろいろな調査をし、その上で七十メーターまで地盤改良すれば構造物の安定性を確保した上で工事ができるということを申し上げているところでございます。

そして、先ほど申しましたように、構造物の安定性は必ずしも十分に固く安定した土の層に達するまで地盤改良しなくても確保し得るものであり、これは過去の地盤改良の事例でも確認をされています。

伊波洋一君

今の答弁は、何か、軟弱地盤の話は、これ軟弱地盤は、B27のところでは九十メートルまで軟弱地盤なんです。軟弱地盤なんだけれども、その途中で非常に固い層になっているということが、今お手元の資料のこのグラフで、試験をしてそうしているんだということがこれまでの説明の根拠なんですけれども、しかし、これでも、ここに書いてありますように、C1護岸は七十四メートルまではAvf―c層なんですね。

つまり、軟弱地盤のままなんですよ、これは。ですから、これは七十四メートルと言うべきところを七十メートルと言ってきたわけです、この間の答弁は。

そこで、委員長に、これまで、七十四メートルとせず、七十メートルより深いところや約七十メートルなどと繰り返してきた答弁を防衛省において精査させ、防衛省答弁における七十メートルという用語の意図を明確にするとともに、七十四メートルと訂正するよう、理事会において求めていただきたいと思います。

委員長(渡邉美樹君)

後刻理事会において協議いたします。

伊波洋一君

防衛省は、同じ土層だから強度の傾向も同じはずと言っていますが、論理が逆で、実測した数値から同様の特性、傾向を持つ同じ土層と推論できると仮定しているにすぎません。B27の地点の強度の推論は、論理としては成り立っていないのであります。

同時に、先ほど答弁があったこの七十メートル以下のところは地盤改良しなくても大丈夫だという根拠は、報告書にはどこにもないですよ、どこにもないです。ですから、その根拠が本当にあるのならばお示しをいただきたいと思います。

政府参考人(防衛省 辰己昌良君)

この件については、裁決でも、防衛省の報告書について、これが、地盤改良が行い得るという結果をいただいていますし、鑑定の中にも、そういうふうに施工していない部分があったとしても安定性は確保できるということも、そういう事例もあるので、今回の我々の報告書については適切であるという評価をいただいていると考えています。

伊波洋一君

いや、なぜ地盤改良をせざるを得ないのか、これは軟弱地盤だからなんですね。軟弱地盤だから、地盤改良しなければこの構造物は安全ではないということから、五年を掛けてこれだけの新たな地盤改良をすることになったんです。
そして、その範囲についての議論の中で、やはりAvf―c層というところは軟弱地盤だから改良しなきゃならない。しかし、Avf―c2層は、これは固いからやらなくても大丈夫だと。ところが、今お話ししているのは、まさにそのC1護岸の下に四メートルも軟弱地盤のまま残るということなんですよ。ですから、そのことについて、やはりデータをしっかり新たにしなきゃいけないんじゃないでしょうか。

防衛省は、今、大浦湾側の軟弱地盤の改良に向けた設計変更の業務を発注しております。この新たな業務の入札とその設計変更に当たって、B27地点において推論で出した強度のデータが提供されるのか、それとも実測データを提供するのか。この土木設計業務で改めてB27の地点の実測をすることになるのでしょうか。

政府参考人(防衛省 鈴木敦夫君)

お答え申し上げます。B27地点につきましては、今御説明したように、さきのこの報告書の中におけます各種調査によりまして、同地点の土の層の分布状況ですとか各層の強度特性は明らかであると考えておりまして、これらの調査結果等を基に今後検討していくものというふうに考えてございます。

伊波洋一君

従来から、B27地点は何かほかのところをやっているので分かっていると。でも、まさにこの報告書はB27地点を、B27地点というのはC1護岸そのものなんですね。その付近は七十四メートルまでなんですよ、Avf―c層がですね。

ですから、そういう意味では、これまでコストが掛かるからとしていたんですけど、どの程度追加コストが見込まれるんですか、そのB27を調査することです。そのことをしっかりと、ほかと同様にボーリング調査をしていくということについて、これがどれだけのコストが掛かるのか、明らかにしてください。

政府参考人(防衛省 鈴木敦夫君)

まず、御指摘の地盤改良の問題につきましては、先ほど御説明申し上げましたとおり、サンド・コンパクション・パイル工法等によりまして、その地盤改良の深さというのは、必ずしも十分に固く安定した土層、その土の層に達する深度まで施工しなくても構造物等の安定性を確保し得るものというふうに承知してございます。そうした例は、東京国際空港再拡張事業等、こうしたところでもやはり固く安定した土層までの地盤改良を行っていないというふうに承知してございます。

御質問でございますけれども、今累次申し上げたとおり、地盤調査に当たっては、どのような種類の土の層がどのように分布しているかですとか、土の層の強度を把握する必要があります。これらを把握するために、音波調査や所要のボーリング調査、この各ボーリング調査等の行った地点の間において地盤の特性を把握するコーン貫入試験、こうしたものを行うなどしたところでございます。

こうしたボーリング調査、コーン貫入試験及び各種の音波調査とか室内試験等からこのように地盤強度を評価するということは、一般的で適正なものというふうに考えてございます。こうした考え方に基づきまして、B27地点においても地盤の特性をしっかりと把握することができているというふうに考えてございます。

伊波洋一君

今私は、どれだけのコスト掛かるのかと聞いたんですけれども、お答えになりませんでした。それはおいておきましょう。しかし、今問題になっているのは軟弱地盤なんです。軟弱地盤、この軟弱地盤というのは普通の軟弱地盤じゃない。下の九十メートルのところに植物層が埋まっているんですよ。

委員長(渡邉美樹君)

質疑をおまとめください。

伊波洋一君

そういう意味では、防衛大臣にお伺いします、大浦湾の埋立ては今のままで本当にいいんですか。つまり、本来地盤改良をするべき場所が四メートルも残ります。漫画でもバナナの皮でつるっと滑りますけれども、四メートルの厚みで改良されないエリアが出ている、地盤崩れの原因になる可能性があるんですね。そういうままで本当に調査もしないで工事をしていいんですか、お答えください。

防衛大臣(岩屋毅君)

先生御指摘のB27地点につきましては、今事務方から説明いたさせましたように、更にボーリング調査を実施しなくとも、強度特性は明らかであると考えております。

現在、沖縄防衛局において具体的な設計等の検討を行うこととしており、その設計業務の発注に向けた公告をした段階でございます。地盤改良についてはこれから十分に検討し、遺漏なきようにしてまいりたいというふうに思っております。

伊波洋一君

いや、こういう答弁ではですね……

委員長(渡邉美樹君)

おまとめください。

伊波洋一君

これだけの工事をやる責任を持っている大臣のお答えにはならないと思います。やはり調査するべきですよ。ボーリング調査をして、本当の、明らかにこの現場を確認をした上で実施設計をやるべきだと思います。以上です。