参議院議員 伊波洋一オフィシャルサイト

イハ洋一 Official Web site

国政報告 / 議事録

外交防衛委員会 閉会中審査(2020年1月17日)

2019.10.4~12.9第200回臨時会

配付資料ダウンロード

伊波洋一君

ハイサイ、沖縄の風の伊波洋一です。自衛隊中東派遣について伺います。

米国トランプ政権が二〇一八年五月にイラン核合意からの一方的な離脱と経済制裁の再適用を宣言して以来、中東で緊張が高まっています。

トランプ政権は一九年七月に対イラン有志連合への参加を呼びかけましたが、安倍政権はイランとの友好的な外交関係にも配慮し、昨年十二月二十七日、有志連合とは別の形で中東地域への自衛隊派遣を閣議決定しました。

しかし、今年一月三日にトランプ政権は、突如として、国内法、国際法的な根拠を欠く形で、イラク領内においてイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を爆撃して殺害しました。これに対してイランは、一月八日に、在イラク米軍基地に対し計十六発のミサイルで報復しました。双方が戦争は望まないことを表明し、一旦は鎮静化するかに見えました。しかし、同日発生したウクライナ旅客機の墜落事件について十一日にイラン革命防衛隊が誤射を認め、イラン指導部や革命防衛隊に対する批判にまでエスカレートしています。

こうした中、革命防衛隊や親イランの周辺国武装組織などによる米国や米国側の国に対するテロも含めた攻撃が発生するリスクは格段に高まっています。前提が大きく変化し、自衛隊員の生命のリスクが高まり、米国の戦争に巻き込まれる危険すら生じているにもかかわらず、何としても自衛隊を派遣しようとする安倍政権の姿勢は全く容認できません。閣議決定を白紙に戻して自衛隊を撤収し、どのように中東地域の安定を図るかについて国民的議論を行うべきです。

一月十四日の河野大臣との会談で米国エスパー国防長官は、自衛隊派遣に感謝する、中東における情報共有と作戦協力を継続すると述べています。一方、政府は日本国民に対して、自衛隊派遣はそもそも有志連合には参加しない、全く無関係だと説明してきております。エスパー長官の謝意や情報共有、作戦協力などの発言は日本政府の立場とは相入れないもので、公式に説明を尽くして誤解を解かなければならないはずです。河野大臣は、このエスパー長官の誤解をその場で解消する努力をされましたか。

防衛大臣(河野太郎君)

エスパー長官と一月十四日に会談をし、中東情勢を始め様々な地域情勢について意見交換をしてきたところでございます。

中東情勢に関しては、事態の更なるエスカレーションを全ての国が避けるべきだという認識でエスパー長官と一致をしたところでございますし、自衛隊のこの中東での情報収集の取組について説明を申し上げたところでございます。

伊波洋一君

トランプ大統領は、一九年九月、中東産原油は必要がなくなったと表明しています。一方、日本は中東地域のエネルギーに依存しており、地域の安定、航行の安全を求めるのであれば、同じく中東のエネルギーへの依存度の高い同じ立場にある中国や韓国、ASEAN諸国やインドなどと協力、協調して、どのように航行の安全を確保するかを検討しなければなりません。

米国は中東地域においては立場が異なっており、エルサレムへの米大使館移転など、むしろ不安定要因となっているという現実を直視すべきです。米国に追従するような自衛隊中東派遣について、閣議決定を一旦白紙に戻し撤収すべきであると強調したいと思います。

米国追従は、沖縄の辺野古新基地建設強行にも共通するものです。沖縄県民の民意を無視して、国民の世論にも反して、現在、辺野古新基地建設工事が強行され、軟弱地盤が広範に広がる大浦湾側での設計変更が検討されています。

昨年九月に発足した技術検討会では、十二月二十五日で第三回となりました。これを踏まえて防衛省は、十二月二十五日に、埋立承認申請当時、工事期間五年、総予算三千五百億円としていたが、新たに工事期間を少なくとも九・五年、総工費は九千三百億円という試算を公表しました。

辺野古工事に固執し、辺野古が普天間の危険性除去の唯一の解決策と繰り返す安倍政権は、今後十年以上も普天間の危険性を放置するのでしょうか。一九九六年の返還合意から実に三十五年以上です。

第三回技術検討会で明らかになったのは、建設費は一兆円近くになったのに、配付資料に示されているように、軟弱地盤の沈下は克服されていません。辺野古新基地の滑走路は、ずっと続く不同沈下に対応するためにジャッキアップできる構造でなければなりません。こんな滑走路は事例がありません。戦略輸送機の着地に耐えるとは思えませんし、複雑な構造は有事の滑走路爆撃で補修対応ができそうにもありません。飛行場を二十個も造れる一兆円掛けて欠陥のある滑走路しかできないということを直視すべきです。

第二回検討会においては軽量盛土を使用するSGM工法、第三回においてはペーパードレーン工法が全く新しい工法として提案されています。沖縄県の埋立承認撤回に対する防衛省の行政不服審査の唯一かつ最大の根拠となった、昨年一月に作成された地盤に係る設計・施工の検討結果報告書では、これらの工法には一切言及されていません。

そこで、質問します。技術検討会では、SGM工法やPD工法など昨年一月の検討結果報告書にはない全く新たな工法が提案されているという理解で間違いありませんね。

政府参考人(防衛省 鈴木敦夫君)

御指摘の昨年一月の報告書におきましては、検討対象となったキャンプ・シュワブ北側の護岸等が安定性を満足して施工が可能であるということの確認を行ったものでございます。

この段階におきましては、御指摘のその軽量盛土工法でありますところのSGM工法、スーパー・ジオ・マテリアル工法でございますが、これを用いることを前提としておらず、また陸上施工で行う地盤改良としてはペーパードレーン工法ではなくてサンドドレーン工法を行うこととしておりました。

ただ、その上で、現在沖縄防衛局において、昨年一月のこの報告書を踏まえつつ地盤改良等の具体的な設計等の検討を進めておりまして、これまでの土質調査等の結果をより詳細に整理、分析した上で、有識者の知見も得ながら、より合理的な設計、施工を追求しているところでございます。

この結果といたしまして、一部の護岸の背後の埋立てにおきましては軽量盛土を用いることで作用する荷重が低減して、サンド・コンパクション・パイル工法によりますところの地盤改良の幅が小さくなるなどのより合理的な設計、施工となることでございますので、こうしたSGM工法を採用することとしております。また、水深が浅い区域の埋立て後の地盤改良工法としては、環境に配慮して自然由来の生分解性プラスチックを使用するペーパードレーン工法、これを採用することとしたところでございます。

 こうしたSGM工法やペーパードレーン工法は特殊な工法ではございませんで、沖縄県でも施工実績のある一般的な工法となっておりますところでございます。

伊波洋一君

このように、技術検討会においては防衛省は新たな工法を提案しています。国土交通省の行政不服審査すらだますような極めて不当、不誠実なもので、行政不服審査制度を悪用し行政権を濫用するものであって、許されないと考えます。

また、こうした新たな工法の採用もあって、壁体や地盤に関する安定性照査という本件工事において最重要の数値が検討結果報告書と異なっているという理解で間違いありませんね。お答えください。

政府参考人(防衛省 鈴木敦夫君)

繰り返しになりますけれども、昨年一月の報告書においては、対象の護岸等が安定性を満足して施工が可能であるということの確認のために、それまでのボーリング調査の結果を踏まえまして、護岸ごとに代表的な土の層のモデルを作成して、護岸の安定性の照査等を行いました。

その上で、現在、沖縄防衛局において地盤改良の具体的な設計等の検討におきましては、より合理的な設計、施工とするため、これまでの調査結果を、土の層の三次元モデルを作成するですとか、より詳細に整理、分析した上で、海底地形、地層構成などを基にそれぞれの護岸においてより細かく設計工区を設定して、護岸の安定性の照査等を行っているところでございます。

このようなことから、これらを昨年一月の報告書と一概に比較することは困難でございますが、いずれにいたしましても、このキャンプ・シュワブ北側の護岸等が安定性を満足し施工が可能であるという結論に変わりはないというふうに考えてございます。

伊波洋一君

第三回においては、軟弱地盤の埋立地の上に整備される滑走路沈下対策のための舗装構造、補修工法が検討されています。強度や平たん性など一定の性能を要する舗装構造及び補修工法の資料には、前例のないことを示す「事例なし」などの文言が散見されます。

防衛省は、国会答弁において、沖縄県の埋立承認撤回に対する行政不服審査においても、一般的で施工実績が豊富な工法で工事は可能と繰り返し説明してきましたが、これがもはや成り立たないということは技術検討会の検討結果を見ても明らかです。

お手元にA3の資料を提出しておりますけれども、この埋立ては軟弱地盤、さらに多層におかしな形で褶曲した地層があるために不同沈下が起きます。そして、これは、この図でいうと一ページ目の図は、七十年後までの沈下がずっと続く、それは五十二センチとされておりますけれども、その内容は次のページ見れば分かりますけれども、このような形で滑走路上が不同に沈下するんですね。普通の、関空だとか羽田はみんな均等に沈下します。それが予測できなくて関空では水が入ったわけですけれども、ここは不均等に沈下します。というのは、中央部は陸地ですから沈下しません。一方では何メートルも沈下するところがある。

こういう中で選択されているのが一番最後のページの滑走路です。これはジャッキアップできる滑走路です。こんな滑走路は見たことないです。ここにも書いてあるように、前例はないと。皆さん、あの軍事用滑走路がこんなジャッキアップできるような滑走路で実現できると思いますか。こういうものが今一兆円掛けて、五百億だったら二十個も造れるような飛行場、この欠陥の滑走路を持つ飛行場を造ろうとしているのが今の防衛省の取組なんです。

そこで、質問します。防衛省としては、一番重要な滑走路の沈下対策、安定的な整備が困難であることを認めて、辺野古新基地建設から撤退すべきであると考えますが、大臣、いかがでしょうか。

政府参考人(防衛省 鈴木敦夫君)

まず、技術的なことでございますので。この海上埋立空港におきましては、例えば関西空港ですとか羽田空港など、長い年月を経て沈下が起こるということは一般的でございまして、これについては設計、施工、維持管理の各々の段階で沈下対策を行っていくことで十分対応可能なものだというふうに考えてございます。

このため、普天間、この飛行場代替施設におきましても、例えば沈下量をあらかじめ考慮した造成後の高さの設定ですとか、サンドドレーン工法等、圧密沈下を促進することで施設供用後の沈下量を抑える工法の採用をする、それから施工段階におきまして地盤挙動のモニタリングを行う、それから維持管理段階でのかさ上げ、こうした対策が講じられることによりまして、安全性に問題なく、飛行場として問題なく運用可能であるというものが提供できるものと考えてございます。

伊波洋一君

本日はこの程度にとどめますが、民意に背き、技術的にも不可能であり、税金の使い方としても不適切な辺野古新基地建設の早期の見直しを求めて、質問を終わります。