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国政報告 / 議事録

外交防衛委員会(2020年3月10日)

2020.1.20~6.17第201回常会

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伊波洋一君

ハイサイ、沖縄の風の伊波洋一です。冒頭、新型コロナウイルス感染でお亡くなりになりました方々にお悔やみを申し上げます。あわせて、今治療しておられる方々にお見舞いを申し上げます。

沖縄県においても、コロナ感染によって観光産業やサービス産業など、県経済に大きな影響を与えています。今後、コロナ不況が国民生活に大きく影響することが懸念されています。

国交大臣は、国の公共事業を十五日までの二週間中止いたしました。しかし、現在も沖縄県の辺野古、キャンプ・シュワブでは、県民投票での七割を超える反対の民意を無視して、新たな米軍飛行場建設が工事が強行されています。

国の辺野古新基地建設は、沖縄県によって埋立て承認を取り消されており、明らかになった大浦湾の軟弱地盤の存在により、安全な埋立てができるのかどうかも疑問です。

現在、防衛省が開催する技術検討会で、埋立てが開始されてから最短でも十二年以上、最低でも国民の税金から九千三百億円以上が必要になると発表されました。コロナ不況などが予想される中、辺野古に一兆円もの歳出を行う余裕はありません。民意に反する工事を撤回し、一兆円もの貴重な国民の税金は国民生活を支える施策に充てるべきです。

沖縄県選出のうりずんの会と、地質学者で構成される沖縄辺野古調査団は、三月二日に、沖縄防衛局に対して、地質学的な側面から検討した質問書を防衛省の技術検討会で配付をして、検討、回答することを求めました。後日、防衛省は、質問書は技術検討会に配付したと回答しました。

質問書の内容ですが、九十メートルまで軟弱地盤が続くC1護岸の、これは配付資料の最後から二枚目の方にありますけれども、B27地点で行われた地質・地盤調査結果を明らかにするよう求めています。理由は、地盤改良ができるのは七十メートルまでなので、軟弱地盤が残るため、最悪の場合、C1護岸の崩壊が懸念されます。

これまで防衛省は、B27地点の調査結果を明らかにせず、七百五十メートル離れたB58地点や三百メートル離れたS20地点、百五十メートル離れたS3地点のデータを示して、B27の七十メートルより深い地盤は非常に固いと言い続けています。

しかし、ボーリング等の調査結果は、配付資料の最後のページのように、谷堆積物、Avf―cを「軟らかい粘性土」、「N値は低く0を示す事が多い」としており、防衛省の推測とは違うのです。N値ゼロとは、その地盤に物を置いたら沈んでしまうという軟らかさです。そこで、技術検討会で質問書を検討していただけるのですね。お答えください。

政府参考人(防衛省 鈴木敦夫君)

御指摘の質問書につきましては、既に技術検討会の委員に配付されております。事務局でございますところの沖縄防衛局においてその内容を整理した上で、第五回以降の技術検討会で御助言等をいただく予定であるというふうに承知しております。

具体的に申し上げますと、明日、この第五回の技術検討会が予定されておりますが、その場では第二十四回環境監視等委員会の報告を行うとともに、御指摘をいただいているような技術的な論点等を提示し、委員から御助言等をいただくことを予定しておるというところでございます。

伊波洋一君

現在の工法では、水深七十メートルまでしか地盤改良が行えません。C1護岸の直下であり、大浦湾で最も深い水深九十メートルまで軟弱地盤が広がるB27地点については、当時の岩屋防衛大臣は、B27の強度は検査していないと繰り返していました。しかし、昨年三月に防衛省が開示した一万ページの報告書を沖縄辺野古調査団を始め在野の専門家や市民が分析した結果、二〇一七年三月に大浦湾のB27地点を含む十五か所について、電気式静的コーン貫入試験、CPT試験によって地盤の強度を示すアンドレーン・シアー・ストレングス、非排水剪断強度が調査されていたことが明らかになりました。

また、昨年一月の検討結果報告書に記載されたB27地点のCPT調査結果には、非排水剪断強さのグラフ、その基となった報告書の巻末資料にも英文でCPTを実施した十五か所の室内試験による非排水剪断強度の数値と水面ごとに計測された非排水剪断強度のグラフが掲載されていました。

CPT試験は、粘性土の剪断強さを設定する一般的な方法です。配付資料の一枚目と二枚目の国土交通省の港湾の施設の技術上の基準・同解説では、粘性土の剪断強さの試験方法として、電気式コーン貫入試験について、コーン係数の設定をするために防衛省が採用する①―④の採取したサンプルを室内で試験して算出する方法や、ベーンによる直接的に剪断強さを測定する⑤の方法などを列挙した上で、「これら①から⑥の方法はそれぞれ特徴があるのでそれらに留意し、必要に応じて目的や対象とする土質により選択して用いなければならない。」と明記しています。

粘性土の剪断強さの試験方法として防衛省が採用する簡易CUの方法とCPT試験は同列なのです。防衛省は認識を改め、B27のCPTによる非排水剪断強さのデータを採用するべきではありませんか。

防衛大臣(河野太郎君)

御指摘の試験は、港湾の施設の技術上の基準・同解説に記載の土の強度の測定方法ではないことから、B27地点の土の強度を測定したものとは言えず、設計に用いることができないものです。

B27地点について、コーン貫入試験を実施する業者が自主的に行った試験データとして、船上において簡易的な方法で行った試験による非排水剪断強さとコーン貫入試験の結果から推定した非排水剪断強さが取り上げられております。

土の強度の測定については、国土交通省港湾局が監修する港湾の施設の技術上の基準・同解説に記載されている力学試験の項目にのっとり、採取する前の状態をできる限り保つことができる専用の機材で土の試料を採取し、さらに、その分析に当たっては専用の機械を備えた施設内で行うものを土の強度の測定と位置付けております。採取する前の状態を保つことができない方法で採取した土の試料を使用して実施されたトルベーン試験やポケットペネトロメーター試験については、これはコーン貫入試験が異常なく行われているかなどを補助的に確認するために実施されたものであって、港湾の施設の技術上の基準・同解説に記載されている力学試験でもないことから、こうした試験は土の強度の測定には当たりません。

コーン貫入試験の測定結果から非排水剪断強さを推定するためには、前提として三軸圧縮試験等の力学試験による信頼できる方法により別途実測した非排水剪断強さとの比較を行い、推定式に用いる係数を適切に設定する必要があります。あくまでも、今回のコーン貫入試験から推定された非排水剪断強さは、業者が地層構成を判別する際の参考として用いたものであり、先ほど申し上げた比較を行うことなく、一定の係数を仮定した上で仮に推定した換算値であり、その絶対値に意味はなく、設計等に用いることはできません。

したがって、いずれもB27地点の土の強度を測定したものとは言えず、設計に用いることはできません。

伊波洋一君

配付資料三枚目は、第四回技術検討会の資料と議事録です。資料には、施工中の粘性土地盤の強度を確認する動態観測の管理方法としてCPTを行うことが書かれています。議事録の中でも、委員は、「今回取得したCPTデータを初期値として、そこからの土の強度増加の過程をしっかり評価していただければ」と発言しています。技術検討会では、事務局を務める防衛省は、技術検討会で、B27を含む十五か所のCPT試験による非排水剪断強度は初期値として使える数値であって、比較対象とする数値として信頼性が高い、CPTによって地盤の強度を図ることができることを認めているのです。

技術検討会で、B27を含むCPTデータを地盤の強度を示す初期値として考えているということで間違いはありませんね。

政府参考人(防衛省 村岡猛君)

お答え申し上げます。先ほど御指摘のとおりでございまして、動態観測におきましては、現在観測しておりますCPTを初期値として用いるということを検討しているということでございます。

伊波洋一君

技術検討会の初期値と言及されているCPTは使えると、使うという、CPTを使うということであるということですね。

我々国会議員は、これまで繰り返し防衛省に対してCPTによる非排水剪断強度データを開示してほしいと要求しているにもかかわらず、防衛省はデータを提供していません。

委員長、防衛省から委員会に対して全てのデータを提供するようお願いいたします。

委員長(北村経夫君)

理事会で協議いたします。

伊波洋一君

繰り返しますが、B27地点は滑走路延長上に位置するC1護岸の直下であり、大浦湾で最も深いところまで軟弱地盤が広がっています。辺野古新基地施工が可能かどうかを左右する最重要ポイントです、地点です。もし、防衛省の、ボーリングによって採取するサンプルを室内で試験することにより地盤の強度を簡易CUで評価するという方法を採用するのならば、B27地点についても実施するべきであり、七百五十メートル離れた場所、あるいは三百メートル離れた場所、百五十メートル離れた場所の土質を調べた結果からB27地点の地盤強度を類推すべきではありません。既にCPTデータは存在し、それを基に地盤の安定や工事の妥当性を評価すればいいだけです。

CPT試験はポセイドン1という多目的作業船で実施されました。この配付資料の最後から二枚目のように、このポセイドン1の運用会社のホームページには、船上土壌実験室があり、「沖合でリアルタイムで設計、分析、評価のための強度パラメーターを決定できます。」と書かれています。今の防衛大臣の先ほどの答弁とは別の話、逆の話なんですね。

この配付資料の前ページでは、ポセイドンの工事計画はCPTデータ取得することを目的とするというふうにしております。ですから、前のページでは防衛省が示している図がございますけれども、CPTデータがあたかも何か不完全で、報告書を海外企業の自主的に報告したものだとするのはおかしいんです。さらに、受注者が船上で行った簡易測定という形で写真を出していますが、イメージにすぎません。というのは、港湾の施設の規則によって測定方法は規定をされているんです。

ですから、その意味では、ポセイドン1が実施したCPT試験では、港湾の施設の技術上の基準・同解説にある直接的に剪断強さを計測する⑤原位置ベーン剪断試験により地盤の強度を評価する方法が行われたのではありませんか。

政府参考人(防衛省 村岡猛君)

お答え申し上げます。御指摘の剪断試験でございますけれども、原位置試験のベーン剪断試験ではなくて、船上で簡易的に用いられた試験でございます。

伊波洋一君

二〇一七年二月から四月にかけて辺野古でCPTを実施したのは、スイスに本社のあるジオキップ・マリーン社で間違いありませんか。

政府参考人(防衛省 鈴木敦夫君)

御指摘の電気式コーン貫入試験、CPT試験につきましては、シュワブ、平成二十六年度ケーソン新設工事一工区の工事契約において実施しております。この工事契約の相手先は、五洋建設、清水建設、みらい建設工業の建設共同企業体でございますけれども、その下請の企業等につきましては、公にすることによりまして当該法人の正当な利益を害するおそれがあることなどから、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

伊波洋一君

防衛省はCPTデータは信頼が低いと繰り返していますが、実際には、CPT試験で粘性土の非排水剪断強度を調べたこの海外事業者に求めれば、すぐにでもCPTデータの正確性が証明されるはずです。

お手元の資料にありますこれが、ポセイドンの状況を示す、これ外国の事業者ですけれども、そこが実際は作業をしているわけですね。ですから、皆さんが、先ほど防衛大臣がお話をしたこと、つまり、あたかも何かそうでないかのように言っているけど、しかし契約はなされているんです。

それで、どういう基準でこれは測定するか。一番最初のページにあります、つまり、ここにあります港湾の施設の技術上の基準・同解説の中に、こういう測定はどんな基準でやるというのは全部書かれているんですよ。当然、そのことをその資料に沿ってやらなければいけないんです。そして、報告がされている。それをあたかも、先ほど写真を見せましたけれども、これが防衛省がマスコミに示した資料です。この写真はイメージにすぎません。これが行われたという証拠を全然出していませんし、そもそもこのホームページ、会社のホームページでは直接そういう試験ができることは明確に示して、それを自らアピールしているんです。

ですから、その意味で、私たちはやはり今の防衛省の対応はおかしいと思います。実際に、先ほど申し上げたように、海外業者に正確性について確認をする、そのことが必要です。

皆さんがどこから回答を得ているのか分かりませんけれども、そういう今のような状況をやはりいま一度確認をすることを求めたいんですが、いかがですか。

政府参考人(防衛省 村岡猛君)

お答え申し上げます。まず、トルベーン試験とポケットペネトロメーター試験でございますけれども、これはコーン貫入試験を実施した事業者が自主的に船上において簡易的な方法で行った試験であるということを事業者から沖縄防衛局が受注者に確認をしているというところでございます。その上で、受注者において必要な確認が行われているというものでございます。

先ほど御指摘がありましたコーン貫入試験から推定されました非排水剪断強さにつきましては、三軸圧縮試験等の力学試験による信頼できる方法により別途実測しました非排水剪断強さとの比較を行いまして、推定式に用いる係数を適切に設定する必要がございます。

あくまでも今回のコーン貫入試験から推定された非排水剪断強さは一定の係数を仮定した上で仮に推定した換算値でございます。その絶対値には意味がなく、土の強度の測定に当たらないということでございます。

伊波洋一君

資料の、先ほど申し上げた港湾の施設の技術上の基準という中に、測り方は決まっているんですね。この絵の中の⑤、この原位置ベーン剪断試験というのは、船の上でやっていけないんですよ、船の上ではやっていけない。ちゃんと、その何十メートル下のところにちゃんと刺して、それで回さなきゃいけない。回す装置もあるわけですね。この会社が、先ほど世界的にも高水準、その水準を行っているということをやっているところが出した資料、同じような、皆さんに、防衛に出している資料はサンプルとしてこの会社は提示をしております。つまり、それ基準に反するようなことをやっちゃいけないでしょう。それは、一応、これからも話をしてまいります。

県の埋立承認撤回に関する防衛省の行政不服審査請求において作成された日下部鑑定でも、概略設計として適当と結論しつつも、港湾の施設の技術上の基準を引いて、引き続き詳細な検討が行われ、断面の修正、地盤調査、土質の追加の可能性も含めて、必要があれば前段階に遡って検討を行うことが想定されていると述べています。必要な場合、地盤調査や土質試験の追加を行いなさいというのが日下部鑑定です。現に地盤が崩壊しかねないというCPTデータがあり、それを採用しないとすれば、遠く離れた三地点のデータを仮定を重ねて推論するのはやはりおかしいんです。

ですから、追加調査を、再調査を行うべきだと思いますが、日下部鑑定も求める再調査をなぜ実施しないのですか。B27の再調査をすべきではありませんか。

防衛大臣(河野太郎君)

技術検討会において、これまで実施した土質調査について十分な調査密度であるとの御意見をいただいており、これまで実施したボーリング調査などは具体的な設計を行うに当たり十分なものであると考えております。

御指摘の鑑定書では、必要に応じ、より密度の高い地盤調査や土質試験を実施するなどして、より精緻な解析を実施するのが有益と考えられるとの記述があることは承知をしております。

その上で、本事業においては、ボーリング調査やコーン貫入試験等の結果から得られる調査地点ごとの土の層の分布と音波探査の結果から土の層の分布状況を把握できており、また、土の層の強度も各種力学試験によって確認しています。

そして、今回の技術検討会を行うに当たっては、これまでの土質調査の結果を踏まえ、土の層の三次元モデルを作成し、土の面的な広がりを考慮するなど、より詳細な整理、分析を行いました。技術検討会において、このような整理、分析の結果も踏まえ、これまで実施した土質調査について委員の方々に対して御説明したところ、委員の方々からは、これまで実施した土質調査について十分な調査密度である旨の御発言がありました。このため、これまで実施したボーリング調査などは具体的な設計を行うに当たり十分なものであり、追加のボーリング調査を実施する必要があるとは考えておりません。

伊波洋一君

まとめますが、今回明らかになったCPT試験結果は非常に深刻であり、このまま工事を強行すれば、最悪、C1護岸は崩壊すると指摘されています。世界レベルでしっかりと……

委員長(北村経夫君)

時間が来ておりますので、おまとめください。

伊波洋一君

最新鋭の結果を尊重せずそういう判断をすることは、やはり許されないと思います。以上です。