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国政報告 / 議事録

沖縄及び北方問題に関する特別委員会(2020年3月19日)

2020.1.20~6.17第201回常会

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伊波洋一君

ハイサイ、沖縄の風の伊波洋一です。新型コロナ汚染の影響は、多くの死亡者のみならず、世界各国の経済活動にも大きな影響を、停滞を生み出しています。観光産業など、沖縄の場合は、第三次産業を中心とするこの沖縄県経済にも極めて大きな被害が起きています。今後の政府の経済対策などで特段の御配慮をお願いしたいと思います。

本日は、沖縄県内の有機フッ素化合物、PFASによる飲料水の汚染問題について伺います。

二〇一六年、沖縄県企業局が、沖縄本島中部の北谷浄水場におけるPFOS、PFOA汚染を公表しました。二〇一九年五月には、宜野湾市民に対する調査で全国平均の四倍もの血中有害物質濃度が検出されるなど、北谷浄水場から給水を受ける七市町村四十五万人の住民に大きな不安が広がっています。

PFASは、フッ素加工の鍋や防水処理された衣服など、産業用にも一般に使用されており、現在、三千五百から五千種のPFASが流通していると言われています。

これらの有機フッ素化合物は極めて安定的な構造を持ち、環境中で分解されにくく、特に蓄積性を有しており、永遠に残る化学物質と呼ばれています。PFASの暴露による人体への影響としては、乳児低体重、免疫系への被害、発がん性や甲状腺ホルモンへの被害など、健康被害が各国の研究機関によって立証されています。特に、沖縄県においては、沖縄中部においては、米軍嘉手納基地、普天間基地周辺の水源から高い濃度のPFOS、PFOAが検出され、住民に大きな影響、不安を与えています。

現在の環境省の取組としてはどうなっているんでしょうか。

政府参考人(環境省 小野洋君)

お答え申し上げます。委員御指摘ございましたPFOS及びPFOAでございますけれども、環境省におきましては、河川や地下水といった水環境に係る目標値の設定に向けた作業を進めておるところでございます。

具体的には、本年三月十日に専門家による検討会を開催いたしまして、厚生労働省における水道水に係る目標値の検討状況を踏まえつつ、PFOS及びPFOAを要監視項目に位置付けまして、さらに、その水環境に係る目標値を一リットル当たり五十ナノグラムとする案が取りまとめられたところでございます。今後、PFOS及びPFOAの目標値案につきまして、中央環境審議会において更に審議を進める予定でございます。

また、PFOS及びPFOAの全国的な存在状況の調査も実施しておりまして、引き続き、水環境に係る目標値の設定に向けた作業を進めるとともに、この調査結果を踏まえまして、関係省庁と連携して必要な対応について検討していく予定でございます。

伊波洋一君

国際的には、PFASのうちPFOSとPFOAについては、それぞれ二〇〇九年と二〇一九年にストックホルム条約で製造、販売、使用が禁じられました。国内においても、この間、PFOS、PFOA合わせて、今答弁のあったように、一リットル当たり五十ナノグラムが環境省、厚労省の暫定指針値とされようとしております。特に、環境省の指針値は、河川や地下水、泉などを含む公共用水域の基準指針です。

米国では、独自に厳しい基準を設定している州もあり、ミシガン州ではPFOSが一リットル中八ナノグラム、PFOAが九ナノグラムとしていて、今回の暫定指針値は高いという批判もありますが、両省の動きは一歩前進として評価したいと思います。しかし、これはあくまで目標であり、これをより低くしてゼロに近づけていく努力が求められています。

沖縄県内のPFOS、PFOAは、米軍基地由来であることはほぼ確実です。この一リットル当たり五十ナノグラムを超える値が嘉手納基地周辺の河川や井戸、地下水から計測されています。

配付資料、皆さんのお手元に配付してあります資料の黄色い部分ですけれども、一枚目、二枚目のように、沖縄県企業局の調査では、令和元年度でも比謝川取水ポンプ場で最大一リットル当たり二百七十八ナノグラム、平均百五十ナノグラム、長田川取水ポンプ場では最大百七十二ナノグラム、川崎取水ポンプ場では最大七十六ナノグラム、嘉手納井戸群では最大九十一ナノグラム、平均で六十四ナノグラム、大工廻川では最大千六百七十五ナノグラム、最小でも二百十七ナノグラム、平均で六百二十ナノグラムという非常に高い値が検出されています。驚くべきことです。

環境省や厚労省は、今後基準にしていくとしていますが、今の段階で環境省や厚労省の暫定指針値をはるかに超える状況を、きちんと政府としても受け止めるべきです。沖縄において、このような水を四十五万人の住民が飲まざるを得ない状況は、国としても放置できないはずです。特に、沖縄振興において、やはり水の安全性というのは当然前提です。以前と比べて現在は改善されたとはいえ、検査自体も毎日ではないため、住民は健康への不安を抱えて暮らしています。特に、小さなお子さんのいる家庭や妊娠中の女性の皆さんからは大変心配する声が寄せられています。安全な飲み水を確保するため、やむなくペットボトルの水を購入していらっしゃる方も少なくはありません。個々の県民は安全な水確保のために出費を強いられています。

沖縄県自体、平成二十八年度に北谷浄水場粒状活性炭緊急取替え費用として約一億七千万円、平成二十九年度以降の二年間で嘉手納基地周辺地下水調査業務委託で三千四百万円など、これまで累計で二億四百万円の対策費を負担しています。

内閣府にお尋ねしますけれども、沖縄県は県の対策費用を過去の分まで含めて補填、補償することを求めていますが、国で対応できないのでしょうか。

国務大臣(衛藤晟一君)

これらの問題について、過去県が実施したPFOS等の対策の費用の補償や、あるいはこれらの費用の負担について要請があるということは承知をいたしております。沖縄県における水質調査でPFOS等が継続的に検出され、沖縄県民の皆さんは不安を抱いているものと承知をいたしております。

本件については、沖縄県民の皆様の不安を払拭できるよう、関係省庁、先ほどお話ありましたが、環境省や厚生労働省、あるいは防衛省等が緊密に連絡して対応をしているのではないかというように承知をいたしておりますが、内閣府としてもその状況を注視してまいりたいという具合に思っております。

伊波洋一君

北谷浄水場の水源である比謝川、長田川、嘉手納井戸群及び天願川から、平成三十年度の取水量は日量六万立方メートルです。これは、北谷浄水場の取水量の約四〇%、企業局総取水量の約一四%に当たります。県では、水事情を考慮しながら、河川や県ダムなどの他の県水源を優先的に活用する取組を行っており、PFOS、PFOAの汚染が指摘される比謝川等からの取水量は、昨年六月から十月までの間は日量三万二千立米と、平成三十年度の約半分程度まで抑制されています。しかし、県だけの努力には限界があります。

配付資料三枚目のように、県企業局の日平均取水量の四十四万立方メートルの七〇%以上の三十一万から三十三万立方メートルが国管理ダムからの供給水です。別に工業用水として二万立方メートルを供給されているわけですけれども、国は北部に福地ダムなど九か所のダムを管理しています。現在、こうした国ダムの水供給能力は日量四十三万立方メートルプラスアルファと言われており、このうち使用されているのは三十五から三十七万立方メートルにすぎません。国ダムはPFOS、PFOAの汚染を免れており、水供給能力にも余裕がある状況です。これらの国ダムの水を北谷浄水場のPFOS、PFOAの心配のある取水源の代わりに利用できないものでしょうか。

国として、これまで緊急に水を融通する対応を取った事例もあるとお聞きしていますが、過去に参考にできる事例があれば、御紹介ください。また、その際、どのような条件が整えばよいのでしょうか。

政府参考人(国土交通省 塩見英之君)

お答え申し上げます。水利使用を担当する立場ということで、御紹介をさせていただきます。

水利使用者がほかの水利使用者に河川管理者の許可を得ることなく緊急的に水の融通を行った事例ということで御紹介をさせていただきますと、平成二十一年に渇水が深刻をいたしました徳島県内におきまして、県の企業局が所有をしております吉野川北岸工業用水の水を船で輸送いたしまして、別の水系であります阿南工業用水に使用した事例などが緊急時の水の融通の事例としてあるところでございます。

このような、異常な渇水によりまして許可を受けた水利使用が困難となった場合に、その状態が解消するまでの間、ほかの水利使用者との間で水の融通が認められるということがございます。この取扱いにつきましては、取水の困難性でありますとか、融通しようとする水の量の妥当性といったことを確認をさせていただくということになりますが、その際は、事案の緊急性でありますとか、あるいは融通を行うことによって影響を受ける地域の関係者の御意見など、様々な状況を具体的にお伺いをさせていただくということが必要になるところでございます。

個別の案件について御相談があれば、水利使用の担当として丁寧にお話を伺わせていただきたいと思います。

伊波洋一君

このようにPFOS汚染が明らかになって以来、多くの市民団体などが参加して結成された有機フッ素化合物(PFAS)汚染から市民の生命を守る連絡会は、三月二日、沖縄県庁で記者会見し、汚染されている河川や井戸群からの取水を停止し、水源を北部のダムに切り替えることなどを提案しています。

沖縄中部地域の四十五万人の住民がPFOS、PFOAによる命と健康の不安を感じながら日々暮らしています。こういう中で、ただいま国交省からも答弁ありましたように、水利関係者の調整等をやはり必要としているところでございますけれども、現在、国ダムというのは基本的に沖縄の渇水対策のために造られたんですね、この水の。ほぼこれは工業用水と沖縄の上水道のためのものでありまして、そういう意味での調整を是非していただいて、同時に、地域の農業用水のごく少ない使用ありますけれども、それは地下の河川から取っておりますので、直接の国ダムの問題ではございません。

是非、県との調整等を含めて、県内の利水者あるいは利害関係者の合意の形成も図りながら、住民の不安の払拭に努めていただきたいと思います。その役割はやはり衛藤沖縄担当大臣こそあるんだろうと思いますので、沖縄担当大臣としての前向きの決意を伺いたいと思います。いかがでしょうか。

国務大臣(衛藤晟一君)

沖縄の皆さんの御要望をいただいて、これは何としても協議を進めてまいりたいと思っております。

それから、県との協議、それから、大変、今のダムの問題にしましても関係のところはたくさんございますので、環境省、それから厚生労働省、それから、これは管理は一応国土交通省になりますので、その中を取り持ちながら、この不安を払拭できるように今から協議をスタートをお願いをしたいという具合に思っております。私どもとしても注視して、この協議を見守っていくということをやらせていただきたいと思っております。

伊波洋一君

ありがとうございました。早速、私としても、県等にも連絡をして、是非協議を進めてほしいとお願いしたいと思います。

特に、この米軍基地に絡む問題なんですけれども、米軍基地としての問題にすると解決ができない問題でございまして、これはやはり国が今所管しております国ダムを通して安全な水を供給していくということの方向性を出していただいて調整をお願いしたいと思います。ありがとうございました。