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国政報告 / 議事録

外交防衛委員会(2020年3月26日)

2020.1.20~6.17第201回常会

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伊波洋一君

ハイサイ、沖縄の風の伊波洋一です。在外公館の名称位置給与法については、外交政策上必要な改正案であり、異論はありません。

関連して、米軍辺野古新基地建設についてお聞きします。三月十一日の第五回技術検討会で、配付資料二枚目のように、防衛省は、コーン貫入試験の各種測定値は土の採取時の応力解放の影響を受けており、原地盤の状態を正確に測定したものではないと主張しています。この各種測定値とは、CPT試験の三成分のことで間違いないですね。

防衛大臣(河野太郎君)

御指摘の各種測定値とは、コーン貫入試験において直接測定できる間隙水圧、先端抵抗、周面摩擦でございます。

伊波洋一君

防衛省は、配付資料二枚目のように、サンプリング後の原地盤は応力解放の影響を受けるため、これらの三成分は不正確だと主張していますが、前回確認したとおり、配付資料二枚目の裏の議事録のように、国交省港湾局によれば、港湾の基準にはそのような記述はありません。国交省も聞いたことがないような主張です。

防衛省の主張には科学的な根拠があるのでしょうか。港湾基準を含む基準類、論文や地盤工学会、土木学会の学会発表など、何か具体的に示してください。

防衛大臣(河野太郎君)

ボーリングや試料採取による掘削などで応力解放が起きるのは一般的なことであり、地盤工学会が出版している書籍にも記載されております。今回のコーン貫入試験から得られた各種測定値は応力解放の影響を受けており、これらから設計に用いる剪断強さを推定することは適切ではありません。

応力解放とは、土の重さなどによって圧縮されていた土が、土の重さなどが除かれた際に膨張し、緩くなる現象ですが、ボーリングや試料採取による掘削などで原地盤の応力解放が起きることは一般的なことです。

例えば、国土交通省港湾局が監修する港湾の施設の技術上の基準・同解説においては、試験深さまでボーリング孔の掘削を必要とする試験の場合には、ボーリング孔の底や壁の状態が試験結果に大きな影響を与える旨の記載がございます。さらに、地盤工学会が発行する地盤調査の方法と解説には、ボーリングの際の掘削における留意点として、掘削に伴う応力解放との記載がございます。

その上で、地層構成の把握を目的として四メーターごとに一メーター分の試料採取を行っている今回のコーン貫入試験においては、試料採取に伴う掘削により真下の原地盤の土は元の圧力から解放された状態、つまり応力解放の影響を受けていることから、コーン貫入試験の各種測定値は原地盤の状態を正確に測定したものとなっておらず、このような測定値から設計に用いる剪断強さを推定することは適切ではないと考えております。

第五回技術検討会においても、委員から、このコーン貫入試験の結果について、サンプリングを行った直下のコーン貫入試験については、応力が除去されており、強度が出ていない旨の御発言がございました。

伊波洋一君

この国交省の様々な基準等の資料においては、この応力解放というのは、サンプリングの際の、サンプリングしたものに対して応力解放が起こるというふうに書かれているんです。原地盤について応力解放があって、それが調査には支障を来すなどということは、一言も、どこにも書いてございません。そういう意味では全く科学的な根拠のない今の大臣の答弁だったと思います。

国交省も聞いたことのないような、全く科学的な根拠もない防衛省の思い込みの下でこのような大事なデータが排除される、これはおかしいんです。

防衛省自身、配付資料三枚目の平成二十九年一月の詳細施工計画書では、工事の目的を「コアサンプル採取及び、CPTデータの取得」と書いていますし、平成二十九年二月の特記仕様書、第二回設計変更では、電気式静的コーン貫入試験、地盤工学基準、JGS1435―1995を三メートル、試料採取を目的とした機械ボーリング、オールコア直径七十ミリ程度を一メートル交互に行いと書いています。このJGS1435というのは、CPT試験の実施方法を定めた地盤工学会の調査基準です。可能性としては、防衛省主張のとおり、原地盤の応力解放が生じてデータが不正確になり地盤工学会基準に反する調査になるか、それとも防衛省の主張自身が間違いなのか、いずれかしかありません。

防衛省は、CPTデータは土層判別に用いると言いますが、同じCPT試験の報告書のうち、試験結果の解釈の項目では、三成分の測定値を用いる土層の判別方法としてロバートソンの土質性状分類チャートが採用されています。一般に、ロバートソンの土質性状分類チャートによる土層判別には、正確な絶対値としての三成分の測定を使用して、人為的誤差の入り込まない土質分類を可能にするものです。

ただいま防衛大臣の答弁は、そのまさに三つの測定値が間違っていると言ったわけですけれども、しかし、防衛省は、この土質調査の層分類を正しいものとして受け入れています。CPTの三成分が正確に測定されているということがCPTの報告書の大前提となっているんです。

そういう意味で、第四回の技術検討会でも、今回取得したCPTデータを初期値として、そこからの土の強度増加の過程をしっかりと評価した方がよいとの意見が委員から出され、配付資料五枚目の第五回配付資料にも、動態観測の実施前段階において検討すると明記されました。

CPTデータの三成分が不正確であり、絶対値として意味のないものであれば、そもそも初期値として動態観測に使用できるという議論にはならないのではないですか。

防衛大臣(河野太郎君)

今回のコーン貫入試験で取得された三成分、間隙水圧、先端抵抗、周面摩擦については、土の採取による応力解放の影響を受けております。

その上で、動態観測の詳細については、実施前段階において決定していくこととしており、応力解放の影響を受けている今回のコーン貫入試験の三成分のデータを相対的に強度の増加傾向を確認する動態観測の初期値として使用することについても、その可否も含め、その段階において検討することとなります。

今回のコーン貫入試験については、地層構成の把握を目的に、三メーターのコーン貫入試験と一メーターの物理試験のための土の採取を交互に行っています。このため、今回のコーン貫入試験で取得された先端抵抗、周面摩擦、間隙水圧の三成分は、土の採取による応力解放の影響を受けております。

そして、地盤の強度増加の確認のために行う動態観測については、施工の各段階でコーン貫入試験を実施し、試験結果を比較することで圧密がどの程度進行しているかを相対的に確認するものです。すなわち、あくまでも観測値を相対的に比較することによって地盤の強度の増加傾向を確認するものであります。

その上で、動態観測の詳細については、施工実施段階における施工への影響等にも配慮し、実施前段階において決定していくこととしております。このため、応力解放の影響を受けている今回のコーン貫入試験の三成分のデータを相対的に強度の増加傾向を確認する動態観測の初期値として使用することについても、その可否も含め、その段階において検討することとなります。

伊波洋一君

第五回技術検討会で議論されたのは、この報告書の巻末資料としてジオキップ・マリーン社が添付した非排水剪断強さの曲線グラフです。配付資料五枚目の裏にあります。

しかし、報告書本文には別の日本の地質会社が作成したCPTデータを解析した非排水剪断強度のグラフが掲載され、これが検討結果となっています。その資料の六枚目ですかね、前回も示したこの図ですね。これは、実はジオキップ・マリーン社が出したものではないんです。このことが明らかになりました。つまり、これは分析を担当する日本の業者がやりました。

この報告書本文の非排水剪断強度のグラフでは、コーン係数はどのように設定されているんですか。

政府参考人(防衛省 村岡猛君)

お答え申し上げます。コーン係数の設定でございますけれども、これについて申し上げますと、港湾の施設の技術上の基準・同解説、これによりますれば、コーン貫入試験から非排水剪断強さを推定するために、前提として、三軸圧縮試験等の信頼できる方法により別途実施しました非排水剪断強さと比較を行った上で、推定式に用いる係数を適切に設定する必要があるとされておるところでございます。

その上で、御指摘の、日本企業がコーン貫入試験から推定した非排水剪断強さは、当該企業が地層構成を判別する際の参考として使用するために、先ほど申し上げた三軸圧縮試験等の信頼できる方法により別途実測しました非排水剪断との比較を行うことなく、一定の係数を仮定した上で仮に推定した換算値でございます。コーン係数が適切に設定されたというものではございません。具体的なコーン係数につきましては承知をしていないところでございます。

その上で、この日本企業がコーン貫入試験から推定した非排水剪断強さのグラフにつきまして技術検討会で議論されていないという御指摘についてでございますけれども、同じ報告書の中に記載されておりますコーン貫入試験を実施した海外企業、これが推定した非排水剪断強さのグラフと御指摘の日本企業がコーン貫入試験から推定した非排水剪断強さのグラフ、これにつきましては、どちらもグラフが示す相対的な変化の傾向は同じでございます。

企業がコーン貫入試験の結果から仮に推定した非排水剪断強さを説明する上で、どちらのグラフを用いて議論、どちらかのグラフを用いて議論すれば十分であったということから、トルベーン試験、あるいはポケットペネトロメーター試験の結果も示されておりました海外企業が推定した非排水剪断強さのグラフを第五回の検討会で用いて説明を行ったものでございます。

伊波洋一君

全くでたらめな答弁をしていますね。つまり、そもそも、皆さんの契約は、先ほど基準に示したような形で係数を求めて、当然、このグラフを、CPTデータを解析することが前提になっているんです。それを、あたかもそうでないかのように今言いましたけれども、そういうことでは納得できません。

このいわゆるバックデータ、これを分析をした請負業者が報告をしているはずです。そのコーン係数など、バックデータを含む報告書を出しているはずですから、防衛省としてしっかりと提出をさせていただきたいと思います。

委員長、防衛省からこの報告書を今国会でできるだけ早い時期に委員会に提出させるようお取り計らいお願いしたいと思います。

委員長(北村経夫君)

後刻理事会において協議いたします。

伊波洋一君

防衛省は、B27地点が軟弱でC1護岸の建設に耐えられないという不都合なCPTデータを否定するために、以前はコーン係数が適切に設定されていないからと言っていました。今は、原地盤が応力解放で影響を受けるから、三成分、CPTデータ自体も不正確だと言い始めています。一方、土層判別には使用可能だと開き直っています。

防衛省の対応は、国交省が聞いたこともないようなめちゃくちゃなものです。実は、先ほど答弁にもありましたけれども、この皆さんのお手元の資料にある第五回検討会に出されたこの資料ですけれども、これはジオキップ社が作業の確認のために取り組んだトルベーンやポケットペネトロメーターの試験に関して、あたかもこれがその強度を確認するためかのように言っているわけですけれども、実はそうではなくて、実際のところは、本当は別の会社がこの報告書を出していたということがようやく明らかになりました。

まさに、本当に調査をしたC1護岸のB27地点の地盤の強度について、データがあるにもかかわらず、これを隠すために何度も言い換えてきているんです。このことをやはり私たちは見逃すわけにはいかないと思います。

時間にはなりましたので今日これで終わりますけれども、防衛大臣、答弁はしましたけれども、あなたの答弁はそのような根拠のないところからスタートしているということを是非御理解いただいて、再度、次の審議でしっかりとした答弁をいただきたいと思います。