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国政報告 / 議事録

外交防衛委員会(2020年5月12日)

2020.1.20~6.17第201回常会

伊波洋一君

ハイサイ、沖縄の風の伊波洋一です。今回の投資関連協定案については異論はありません。本日は、在沖米海兵隊普天間基地における有機フッ素化合物、PFASを含む泡消火剤の大量漏出事故について伺います。

四月十日午後四時頃、米海兵隊普天間基地の南東にある格納庫から有害物質PFASを含む泡消火剤原液千二百ガロンを含む約六万ガロン、二十二万七千百リットルの混合液が漏出し、うち三万八千ガロン、十四万三千八百三十リットルが基地外に漏出しました。PFASは人体への被害が認められており、周辺地域住民にだけではなく、基地労働者や米軍関係者にとっても深刻な問題となっています。

防衛省は四月十六日、二十一日、二十四日、五月一日の計四回、日米環境補足協定第四条に基づく立入調査を実施しました。河野防衛大臣のリーダーシップにおいて、今回、環境補足協定に基づく立入調査が初めて実現したことは評価したいと思います。これをリーディングケースとするためにも、実際に効果のある調査をすべきです。

四月二十二日、沖縄等米軍基地問題議員懇談会の近藤昭一会長など代表者が米国大使館に要請した際に、米国大使館での説明では、格納庫の地下タンクの容量が不足していたのではないかとの説明があったとのことです。

PFASについて、前回確認したように、日本環境管理基準、JEGSでは、必要に応じて漏出を回収するための受皿、吸収材を置く、取扱区域は排水升、雨水の排水溝から離れた場所とすると定め、また米軍の統一施設基準、UFCでも、泡消火剤の放出物が格納庫区画から自動的に地下拡散防止設備へ排出されるよう導くと定めています。

JEGSが守られていれば、格納庫で火災が発生しても、泡消火剤として放出されるPFASを含む汚水は地下タンクにためられて、そして、その後安全に処理されるという汚水処理システムが整備されているはずでした。泡消火剤が使用されても人体に有害なPFASを外界に漏出させないというのが汚水処理システムの最も重要な機能です。

PFASを含む泡消火剤漏出事故は昨年十二月にも発生しています。十二月の事故当時、米軍は基地外へ流れたことは確認されていないと沖縄防衛局に説明していましたが、情報公開請求により開示された米軍作成の事故報告書によれば、三万八千リットルのPFAS汚染水が漏出し、一部は基地の外の市街地にも出ていたことが明らかになっています。米軍の準機関紙スターズ・アンド・ストライプスの四月十三日の記事では、六か月以内に二度の漏出事故との書き出しで、米軍関係者にとって深刻な事故として報道しています。

PFASの住民地区への漏出が繰り返されている現状を考えれば、格納庫の地下タンクを含む汚水処理システムに構造的な問題があるのではないでしょうか。それを確認し、改善を求めるために、格納庫の地下タンクの構造を含む汚水処理システムを調査する必要があると考えますが、いかがでしょうか。防衛大臣はどのようにお考えですか。

防衛大臣(河野太郎君)

委員からも御指摘をいただきましたように、今回の流出事故に関連して、環境補足協定に基づいて、政府が四月十六日に、政府、沖縄県、宜野湾市で四月二十一日、二十四日、五月一日、五月十一日に立入りを行いました。また、その際、政府、沖縄県、宜野湾市が要請をしていた水及び土壌のサンプリングがほぼ要求どおりに行うことができました。環境補足協定の意義、非常に大きいと思っております。

現在、アメリカ側の調査チームがこの消火システムの細部を精査しているところでございます。この精査の結果が出次第、日本側に報告をしたいという説明を受けているところでございますので、この報告を受けて、政府及び地元、そして米軍としっかりと協議をしていきたい。あわせて、今回採取をいたしました水、土壌のサンプルの分析を国、県、米側、それぞれで行っているところでございますので、この分析結果を持ち寄って米側と一緒に検討していきたいと考えております。その調査及びサンプルの分析結果を見た上で、今後適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。

伊波洋一君

昨年十二月の漏出事故では、情報公開で米国、米軍による調査報告書が開示されています。これが、ジョン・ミッチェル氏が情報公開した資料でございます。前回の質疑では、防衛省は、これまで米側から調査報告書を受け取ったことはないと答弁され、大変驚きました。

二〇〇〇年の環境原則に関する共同発表やJEGS、二〇一五年の環境補足協定など、日米両政府は繰り返し情報共有を確認しています。国防総省の通知四七一五の〇八、米国外における環境汚染の修復でも、環境汚染に関する情報をホスト国当局に提供すると書かれています。昨年十二月のものを含む、既に作成された事故の調査報告書について、是非とも日本政府として米軍に提出させるべきです。防衛大臣、いかがですか。

防衛大臣(河野太郎君)

御指摘の調査報告書につきましては、米側に提供を求めているところでございます。

伊波洋一君

委員長、防衛省において、米軍から入手する、これまでの泡消火剤漏出事故の報告書について、入手後速やかに委員会に御提出をいただきますよう、お願いいたします。

委員長(北村経夫君)

後刻理事会で協議いたします。

伊波洋一君

米軍は、定期的に嘉手納基地や普天間基地でピットトレーニングと称する大規模な航空火災の消火訓練を行っています。お手元の配付資料の三枚目に最近の新聞資料が載っております。二〇一九年一月二十四日には、深夜十一時から翌日午前四時まで普天間基地内で大きな火柱が七本も上がり、周辺住民から不安を訴える声が宜野湾市消防に殺到する騒ぎになりました。また、同様の消火訓練は、今年二月二十一日午前一時頃にも確認をされています。いずれも米軍はジェット燃料の使用を認めています。

この間、沖縄本島中部地区の四十五万人の飲み水を供給する北谷浄水場の周辺の河川や地下水などにおいて、高濃度のPFASが検出されています。河野大臣は、外務大臣当時、二〇一六年以降、在日米軍は泡消火剤を訓練では使用していないと答弁していましたが、定期的に繰り返されるピットトレーニングにおいてPFASを含む泡消火剤が使われているのではないかと指摘されています。

このような、嘉手納や普天間での定期的に行われるピットトレーニングにおいてPFASを含む泡消火剤が使用されていないということを日本政府は確認していますか。

政府参考人(防衛省 中村吉利君)

お答え申し上げます。お尋ねの二〇一九年一月及び二〇二〇年二月に米側が実施した普天間飛行場における消火訓練におきまして、米側がジェット燃料を使用したことについては承知をしているところでございます。こうした普天間飛行場における消火訓練につきましては、部隊の消火能力を維持向上する観点から定期的に実施をしているものと承知をしております。

その上で、在日米軍からは、二〇一六年以降、泡消火剤を訓練目的で使用していないとの説明を受けているところでございまして、今般、改めて米側に確認をしたところ、御指摘の訓練についても同様に使用していないとの回答を得ているところでございます。

伊波洋一君

二〇一九年七月に、米国防総省は、米軍のPFASの調査と除去などを目的にPFASタスクフォースを設置し、二〇年三月には中間報告を公表しました。タスクフォースがまさに検討している中で、普天間基地でPFAS漏出事故が繰り返されました。現段階ではタスクフォースは米国内の米軍基地を対象としていますが、今後、在日米軍基地など、米国外も対象に含めることが予定されています。

防衛大臣として、早期に在日米軍基地をタスクフォースの対象とすること、各基地でのPFAS管理の情報共有、除去に向けたプログラムの早期作成などについて、米国防総省エスパー長官と協議すべきと考えますが、いかがですか。

防衛大臣(河野太郎君)

このPFOSあるいはPFASをめぐる問題につきましては、エスパー長官の下でタスクフォースが設置され、私とエスパー長官の間でもこれまで度々この問題について取り上げて議論をしているところでございます。このタスクフォースが設置され、報告書が公表され、また日本政府による水道水あるいは水環境に関する暫定目標値が設定され、自衛隊も泡消火剤の速やかな交換といった様々な取組が進展しているところでございます。

今後、米側と協議の上、自衛隊が保有するPFOSの消火剤の交換はもちろん我々としてしっかりやりますが、米側に対してもこの早期の交換を求めてまいりたいと思っております。

この問題はエスパー長官も重要視しておりますので、引き続き日米の防衛相会談の中でも議題として取り上げてまいります。

伊波洋一君

今回のPFAS基地外流出事故では、二〇〇〇年の環境原則の共同発表の日米合意や二〇一五年の環境補足協定の合意にもかかわらず基地内立入調査ができずにいる中で、初めて立入りが実現をいたしました。ところが、実質的な調査が本当にできるかというのが大きな課題です。

と申しますのも、これまでの日本政府における対米軍基地に対する対応の習慣といいましょうか、そういうものがあります。今回の防衛局の対応にしましても、これまで、四月十日当日、十一日、十二日、十三日、その流れ出た河川の調査、あるいはそういったものをやっております。確認をしています。十六日には基地内の立入りもしていますが、しかし、実際に日本政府がこの河川水を取水したのは四月二十三日です。雨も降って流された後ですよ。つまり、私たちの今の政府の対応というのは、目の前で起きていることに対する対応ではなくて、どんなふうに対応すればいいのかというふうなことを逡巡するような、そういう対応になっているということは指摘しておきたいと思います。同様に、これまで四回立入りをしたということですけれども、結果的には、果たしてその結果が本来の汚染やあるいはそこへ流れ出たものが何であったかということを示すことができるかどうか、極めて疑問です。

そこで、お手元の資料、最後の方にありますけど、示していますけれども、これが日本環境管理基準です。その一番最初のページの方にあるんですけれども、いかにこれが厳しくできているかということをやはり政府は承知してもらわなきゃいけないと思うんです。

この一章目ですが、チャプター一の五の一というのが、これ、要するに、ある意味で厳しい基準という意味なんですけれども、本来ここで示されているように細かい規定があります。ですから、例えば一は、国防省構成機関は、全ての主要施設において、少なくとも三年に一回は海外施設がこの環境基準を遵守しているか評価することを確実にするために環境監査プログラムを確立し実行するものとする。実行されているわけです。さらに、Cの五の四では、この規定として記録をきちんと作るということが明記されております。

それから、C一の六の一、この右側の方ですけれども、これでは、例えば域外に排出する廃棄物について、その処分のありようを含めて、あるいはまた様々な契約において基準が必要なものは、地位協定は基本的には在日米軍の行為については何の規定もないんですけれども、このJEGSはそれを規定しています。つまり、基準があるんですね。そのことをやはり私は政府としてしっかりやるべきだと思います。

私も二〇一〇年まで宜野湾の市長でしたけれども、いろんな問題がありました。情報公開をして、アスベスト処理がされていない米軍住宅の改修をやったんですね、それを。そして、児童、子供たちの遊具も造った。アスファルトも造り直した。だけど、アスベスト処理がされていないということが明らかになりまして、これが情報公開によって明らかになりました。結局、この基地は使わずにそのまま返されました、西普天間です、今の西普天間がそうなんですね。

そういう意味では、まさに日本政府は日本の国民を基地から守る手段を持っているにもかかわらず、現実にはやっていない。だから、今回のPFAS漏出事故の真相究明、再発防止は、政治的な立場に関わりなく、やはり沖縄県民が求めるものでありまして、今回の環境補足協定の立入調査に踏み切ったことも、日本政府として方向性は一致していると思います。

是非、この事故対応を契機に、在沖米軍基地、在日米軍基地からのPFAS撤去を実現をしてもらう、そのことの取組を求めて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。