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国政報告 / 議事録

外交防衛委員会(2020年5月26日)

2020.1.20~6.17第201回常会

伊波洋一君

ハイサイ、沖縄の風の伊波洋一です。租税六条約については、二重課税の回避、脱税の防止のための条約であり、異論ありません。租税は主権の行使と深く結び付いています。関連して、在日米軍の活動に関して伺います。

配付資料四枚目のように、二〇一六年十月二十日の本委員会において、外務省北米局長から、在日米軍の施設・区域は日本の領域であり、「施設・区域内においても我が国の法令は適用されると。ただし、その執行に当たっては、日米地位協定第三条によって、米国に与えられている管理権との調整が必要となる」との御答弁をいただいております。現在も外務省の基本的な認識は同じでしょうか。

政府参考人(外務省 鈴木量博君)

お答え申し上げます。在日米軍の施設・区域内は日本の領域であり、我が国の法令が属地的に適用されますが、同時に、その執行に当たっては、日米地位協定第三条によって、米国に与えられているいわゆる管理権との調整が必要となるところでございます。

伊波洋一君

ただいまの外務省の答弁を念頭に、防衛省に質疑いたします。

現在、沖縄の伊江島補助飛行場では、配付資料一から三枚目のように、米海兵隊による大規模な改修工事が進められており、千六百メートル滑走路の舗装をし直すほか、一辺約百八十三メートルの正方形の垂直離着陸帯などが整備されるということです。

沖縄では、一千平方メートル以上の土地に対して事業行為を行う者には、沖縄県赤土等流出防止条例に基づく届出、通知の義務があります。本件工事において、米軍から沖縄県に対して赤土防止条例に基づく届出がなされていますでしょうか。

政府参考人(防衛省 中村吉利君)

お答え申し上げます。受入れ国の同意を得まして当該受入れ国内にある外国軍隊などが、当該受入れ国の法令を尊重しなければならないことは当然であります。日米地位協定第十六条では、米軍の構成員などが我が国の法令を尊重する義務を負っている旨を確認をしているところでございます。このことは、在日米軍が自ら工事を行う場合であっても同様であると考えております。

このため、委員御指摘の伊江島補助飛行場における補修工事において、米側から沖縄県に対する赤土防止条例に基づく届出はなされてはおりませんが、この条例を尊重し、赤土などの流出防止について適切に対策を講じているものと承知をしているところでございます。

伊波洋一君

防衛省の担当者からこの根拠について文書をいただいておりまして、滞在目的の範囲で行う公務については、受入れ国の法令の執行や裁判権から免除されると承知していますというような趣旨で回答がありました。

そもそも、国内における在日米軍に日本の主権が及ばないのは、米軍としての主権、いわゆる軍隊としての行動、国際法上の軍隊としての活動、主権とみなされる行為に対して、それに対して日本の主権は及ばないということであります。

先ほど外務省から答弁ありましたように、そもそも日本の、基地といえども我が国の領域、そして主権は及ぶと、その及ぶものについて、ただ管理権が及ばないということでありまして、ただいまの防衛省の答弁は、そういう米軍の活動に対して、あたかも日本での法令上の届出義務がないかのような、そういう答弁でありますけれども、本当にそれでいいんでしょうか。防衛省として、なぜ米軍に赤土防止条例、届出を求めないんですか。

政府参考人(防衛省 中村吉利君)

お答え申し上げます。先ほど外務省から御答弁ありましたとおり、在日米軍の施設・区域内は日本の領域であり、我が国の法令が属地的に適用されますが、その執行に当たっては、日米地位協定第三条によって、米国に与えられている管理権との調整が必要となるものと認識をしております。

その上で、繰り返しになりますが、日米地位協定第十六条では、米軍構成員などが我が国の法令を尊重する義務を負っている旨確認をしており、このことは在日米軍が自ら工事を行う場合であっても同様であると考えております。

このため、今般の伊江島補助飛行場における補修工事においても、米側は条例を尊重し、赤土などの流出防止について適切に対策を講じているものと承知をしているところでございます。

伊波洋一君

先ほど答弁していただいた、平成二十八年十月二十日のこの外防委員会での当時の外務省の答弁の続きがあります。「さらに、個人としての米軍人軍属、その家族の行動に対しては、施設・区域の内外を問わず、日米地位協定上適用除外が認められる場合を除き、我が国の法令が適用されるというふうに理解しております。」という中で、当然、その地位協定は幾つかのことで免除しますけれども、それでも先ほど十六条にあるように尊重義務というのがあります。

今の場合はですね、今の場合は、実際は、日本の業者が基地内で工事をすれば、当然そういうことをやらなきゃいけません。でも、米軍がやるからそれは当たらないという話になると、今千六百メートルの滑走路の工事ですよ、日本の国内の、我が国の基地の中であれば、米軍基地の中であれば、米軍がやることについて日本は基本的に主権が及ばない、そういうことを容認するという立場でいいんですか。

政府参考人(防衛省 中村吉利君)

繰り返しの御答弁になって恐縮でございますけれども、在日米軍の施設・区域内は日本の領域でありますけれども、在日米軍は、失礼いたしました、日米地位協定第三条によって、米国に与えられる管理権との調整が必要となるものと認識をしているところでございます。

今般の伊江島補助飛行場における補修工事においても、米側は条例を尊重しているものというように考えておりますけれども、このような管理権との調整等の考え方が本件についても適用されているものと考えているところでございます。

伊波洋一君

先日の本委員会で、米海兵隊の普天間基地から有害物質PFASの漏出事故に関して確認をさせていただきました。

二〇〇〇年の日米環境原則に関する共同発表、日本環境管理基準、JEGS、そしてまた日米環境補足協定と、この間、環境問題については日米両政府間で、日米の関連法令のうちより厳しい基準を選択するという基本的な考え方で合意をしています。

今回の赤土条例も、まさに環境の問題なんです。県の赤土防止条例も日米の法令に含まれると考えられますが、米海兵隊による伊江島補助飛行場改修について、現段階で県に対する届出がないのは赤土防止条例違反ではありませんか。

防衛大臣(河野太郎君)

赤土等流出防止条例は、何か環境基準を定めるというものではございませんので、このJEGSで米軍が採用するような性質のものとは違うと認識しております。

伊波洋一君

いや、そんな言い方をしたら、そもそも日米環境原則に関する共同発表の趣旨ですよ、何て書いてあるかというと、米軍基地の周辺には何の迷惑も掛けない米軍基地にするんだという合意がこの二〇〇〇年の日米環境原則に関する共同発表の細かい表現なんです。まさにそれを実現するために、環境に関してはより厳しい基準を選択をすると、これが趣旨です。

赤土防止条例というのはサンゴの海を守るための取組でありまして、それを全部守っているんです。米軍が活動することについては、それを守らせなくていい。あれは事業ですよ、千六百メートルの滑走路を改修するのはですね。それを適用除外するというのはおかしい話で、少なくとも何らかの代替措置がないといけないと思いますが、それでいいんですか。

防衛大臣(河野太郎君)

米軍はこの条例を尊重し、赤土の流出などの対策を適切に講じている、そのように承知しております。

伊波洋一君

防衛省は、沖縄でもいつもそう言います。だけど、何も守らせていないんですよ、実際は。

今回の場合だって、守らせている事実はないですよ。ただそういうことを聞いているという話で、あるいは自分たちが思っているという話です。

そういうことでは環境は守れないし、ましてや住民の人権も守れない、そうではないんでしょうか。いわゆる尊重と言うだけでいいものではなくて、これは主観的な問題ではなくて、手続上で外形的に条例上の届出がなされていなければいけないんではないんですか。

防衛大臣(河野太郎君)

五月八日には、伊江村と一緒に防衛省、この飛行場の中に立ち入り、現場の状況を確認をしているところでございます。米側は沖縄県の条例などを尊重し、環境に配慮した上で工事を行っております。

伊波洋一君

いや、沖縄県に届けたのは随分後です。そして、海兵隊は、伊江村に対しては議員を中に入れて、要するにどうなっているのかということを見せただけの話です。実際上は、政府もこれに対して具体的に、工事の概要やらもろもろのことについて届けを知っているわけではないんですよね。

しかし、そこで行われているのは、千六百メートルの滑走路、まさに辺野古と同じような大きさの長さの滑走路を改修しているという工事です、全部剥がして。で、新たな施設を造ろうとする施設です。

それを、ただその議員を入れただけで、それで日本政府の言うそういう信頼の中にあるんだということを言えるんでしょうか。

政府参考人(防衛省 中村吉利君)

お答え申し上げます。今回の補修工事につきましては、伊江島補助飛行場の安全性を確保するための工事であるというように認識をしているところでございます。

防衛省といたしましては、今般の工事に当たりまして、米側に対し、必要な情報の提供と周辺の環境への影響ですとか地域の安全などに十分配慮するよう申入れを行ってきているところでございます。引き続き、適切に工事が行われるよう米側に求めてまいりたいと考えているところでございます。

伊波洋一君

本件改修工事は、伊江島補助飛行場を利用するオスプレイや垂直離着陸戦闘機F35の着陸パッドを整備することが目的であると指摘されています。

この件で、F35の岩国基地配備については、大統領令第一二一一四号に基づき米海兵隊の環境レビューの対象となるはずです。CV22オスプレイ横田配備に関して、二〇一五年に環境レビューが作成、公表され、その後配備されました。

防衛省は、F35Bの岩国基地配備に関する環境レビューが作成されたことを確認していますか。

政府参考人(防衛省 中村吉利君)

お答え申し上げます。米政府の環境レビューにつきましては、大統領令などに基づきまして米政府が主体的に実施をするものと承知をしております。平成二十九年に岩国飛行場に配備をされましたF35Bについて、その配備に関しまして米側からは環境レビューを行っていない旨説明を受けているところでございます。

委員御指摘の大統領令一二一一四号によりますと、連邦政府による全ての域外行動のうち環境影響評価が必要とされるのは、合衆国の地理的外縁、領域及び所有の外にある環境に重大な影響を及ぼす連邦政府による主要な行動とされているところでございます。

このように、米国外の軍事施設における艦船、軍用機等の配備について米政府が行う環境レビューは、一定の場合に実施をすることとされておりますが、常に義務付けられているものではないというように承知をしているところでございます。

伊波洋一君

この環境レビューが行われたということを表明している環境会社がございます。地元の考古学調査会社と協力して文化資源の調査を実施したとも書かれております。また、翻訳の監督も業務に含まれているということであります。

防衛省として、この環境レビューを入手して公表すべきと考えますが、いかがでしょうか。

政府参考人(防衛省 中村吉利君)

お答え申し上げます。米側に対しまして、F35Bの岩国飛行場への配備に関しまして、環境レビューを実施をしているのか、配備に先立ちまして確認をいたしましたし、今回、伊波委員からの御指摘もありまして、改めて問合せをいたしました。結果として、米側からは環境レビューを実施をしていないという回答があったところでございます。

委員御指摘のこのF35Bの環境レビューの契約を行ったとの情報でございますけれども、こちらにつきましては豪州の民間企業のものと認識をしているところでございまして、防衛省としてその内容についてお答えをする立場にはございません。

いずれにしましても、先ほど申し上げましたとおり、米側からは、これまで岩国飛行場へのF35B配備に関して環境レビューは実施をしていないとの説明を受けているところでございます。

伊波洋一君

時間が来ましたので終わりますけれども、環境問題については、日米法令のうち、より厳しい基準を適用するという日米合意があります。このことを防衛省が率先して守ることこそが今求められているということを指摘して、終わりたいと思います。