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国政報告 / 議事録

外交防衛委員会(2020年6月2日)

2020.1.20~6.17第201回常会

伊波洋一君

ハイサイ、沖縄の風の伊波洋一です。社会保障二協定については、保険料の二重負担の解消等を目的とするものであり、異論はありません。

日本国憲法は生存権を保障していますが、基地周辺住民、とりわけ沖縄県民は過重な基地負担によって生存権を脅かされています。

新型コロナ対策で沖縄県では、政府の緊急事態解除を受けて、五月二十一日から多くの学校が再開しました。基地周辺の学校や住宅では、防音窓や空調機設置により騒音防止策が講じられていますが、政府は新型コロナ対策の新しい生活様式として換気を推奨しており、窓を開けたままの生活が必要とされています。米軍機の騒音や悪臭が住民の健康、とりわけ子供たちの教育を受ける権利に大きな悪影響を与えることが心配されています。

会派沖縄の風の私と高良鉄美議員は、五月十九日、防衛大臣に対して、少なくともコロナが収束するまでは学校周辺での米軍機の飛行自粛を米側に求めるよう要請し、これに対し中村地方協力局長は、見極めながら対応したいと回答しました。その後、配付資料一の地元紙報道のように、宜野湾市内では五月二十一日の入学式や始業式の時間帯にも米軍機の住宅地上空の飛行が確認されていますし、嘉手納町では、住民から、窓を開けたくても騒音と悪臭がひど過ぎるとの訴えがなされています。

この問題は、沖縄県のみならず、全国の米軍基地周辺の住民にとって非常に深刻な問題です。政府全体の取組として、新型コロナ対策のため、住宅地周辺での米軍機の飛行自粛を米側に求めていただきたいと考えますが、外務大臣、いかがでしょうか。

外務大臣(茂木敏充君)

一般に、米軍が訓練を通じて各種技能の維持向上を図ることは即応態勢という軍隊の機能を維持する上で不可欠な要素でありまして、日米安保体制の目的達成のために極めて重要だと考えております。

他方、米軍機の飛行の安全確保や周辺住民への配慮は米軍が我が国に駐留する上での大前提でありまして、今後とも、米側に対して米軍機の運用に当たり周辺住民の方々に与える影響を最小限にとどめるよう申し入れていくなど、引き続き適切に対応してまいりたいと考えております。

伊波洋一君

お手元資料の二ページの方を見ていただくと分かるんですけれども、宜野湾市の基地被害一一〇番の騒音苦情は、安倍政権下の平成二十五年二百三件から平成三十年六百二十八件と三倍に増えています。

このように、私たちのこの今の状況は、日本政府が日本国民の生命と健康を守る責務を放棄するようなことがあってはなりません。外務省にはやはり、米軍機の飛行自粛を求めるよう強く申し上げたいと思います。是非、この件、今、ずっと同じようなことでやっているけれども、現実にはこういう形で三倍にも増えているということはやはり訴えておきたいと思います。

今日の委員会、どういう訳か防衛大臣は退室されましたけれども、質問がないと思っているんでしょうね。続けます。

五月二十六日の本委員会でも、米軍による伊江島補助飛行場の千六百メートル滑走路などの改修工事について伺いました。そもそも、辺野古新基地と同じ規模の伊江島千六百メートル滑走路を改修する、あるいは百八十三メートル四方の垂直離着陸機の着陸帯を整備するという工事が環境にもたらす影響について、日本の国内法令による何の規制もされないという話にはならないでしょう。

島嶼県である沖縄県では、サンゴ礁の美しい海を諸開発に伴う赤土等の流出による汚染から守るために、一九九四年十月に県赤土等流出防止条例が制定されました。条例は、第一条の目的で、良好な生活環境の確保を資することを目的とすると明記しています。

環境省も、配付資料四のように、一九九八年五月八日の報道発表、赤土流出防止等対策検討委員会の委員会報告書の取りまとめ及び赤土流出防止等対策シンポジウムの開催についてで赤土等流出防止条例の適用により、赤土等の流出防止対策としては、一定の成果が上げられていると評価できると認めています。

そこで、伺います。沖縄県赤土等流出防止条例は環境保護に関する条例だという認識はありますか。

p class=”record__talker record__talker–other”>政府参考人(環境省 小野洋君)

お答え申し上げます。委員から御指摘ございました沖縄県の赤土等流出防止条例でございますが、第一条の目的におきまして、赤土等の流出による公共用水域の水質の汚濁の防止を図り、もって良好な生活環境の確保に資することを目的とすると規定をいたしまして、赤土等の流出防止のための必要な措置や基準、届出等が定められているものと承知しております。

このようなことから、環境省といたしましては、本条例は、その目的規定にあるとおり、生活環境の保全に係る条例であると認識しております。

伊波洋一君

配付資料六のように、二〇〇〇年九月十一日の日米環境原則に関する共同発表では、環境保護及び安全のための在日米軍による取組は、日米関係法令のうちより厳しい基準を選択するとの基本的考えの下で作成される日本環境管理基準に従って行われると規定し、日本環境管理基準、JEGSが策定され、また、二〇一五年九月の環境補足協定では、第三条二項で、JEGSは、適用可能な合衆国の基準、日本国の基準又は国際約束の基準のうち最も保護的なものを一般的に採用すると規定しています。

JEGSに環境保護に関する国内法令を反映させるべく情報提供をするのはどの府省の責任ですか。その法的根拠は何ですか。

政府参考人(環境省 小野洋君)

お答え申し上げます。まず、委員御質問ございました法的な根拠の方から申し上げますと、例えば環境補足協定の第三条の三の規定においては、両締約国は、合衆国がJEGSの改定を発出する前に、又はJEGSの改定が円滑に行われるために日本国が要請したときはいつでも、JEGSに関連して合衆国が日本国の基準を正しく、かつ正確に理解していることを確保するため、合同委員会の環境分科委員会において協力し、及び当該基準について協議するという規定がございます。

この規定を踏まえまして、日米合同委員会の下にある環境分科委員会の枠組みにおいて国内の環境法令を適宜情報提供し、JEGSが国内の環境法令を踏まえ適切に更新されるよう米側と協議をいたしております。環境省はこの環境分科委員会の日本側の議長を務めているということでございます。

伊波洋一君

現在、沖縄県赤土等流出防止条例はJEGSに反映されていますか。

政府参考人(環境省 小野洋君)

お答え申し上げます。現在、沖縄県赤土等流出防止条例が定める措置あるいは基準の内容につきましては、JEGSには反映されていないものと承知しております。

伊波洋一君

反映されていないというのはどういう理由でしょうか。

政府参考人(環境省 小野洋君)

お答え申し上げます。JEGS第一章のC一・四・三に記述されているJEGSの要件の一つといたしまして、こういった記述がございます。環境保護に関連し、一般的に自衛隊に適用され、実施のために県や地方自治体に具体的に委譲されたものを含み、一般的に適用される日本政府の法令という規定をされております。すなわち、県等の条例のうち、国内法の実施に当たり県等に具体的に委譲されたものについてはJEGSに反映されるものと理解をいたしております。

一方、沖縄県赤土等流出防止条例が定める措置や基準につきましては、特定の国内法の実施に当たって県等に具体的に委譲されたものではないということから、JEGSには反映されていないというふうに理解をいたしております。

伊波洋一君

ただいま環境省は、JEGSを根拠に反映していない状況というのを説明されました。ところが、JEGSは、その要旨で明らかにしているように、米国の国防省環境司令官が策定する文書です。日本政府、環境省にはJEGSの文言を解釈する権能はないはずです。やはり、環境省は、現在の法令、国内法令の反映における基準として、やはりそうであってはならないと思います。

環境省として答弁を訂正して、先ほどの判断基準の国内法的な根拠を明らかにしていただきたいと思います。

政府参考人(環境省 小野洋君)

委員御指摘ございましたように、JEGSの解釈権そのものは米側にあるということでございますけれども、先ほど答弁させていただきましたとおり、JEGSそのものの本文の規定におきまして、国内法の実施のために県や地方自治体に具体的に委譲されたものを含みというふうにされておるところでございまして、この規定からも明らかなとおり、県の赤土等流出防止条例についてはそのJEGSの要件には当てはまらないものだというふうに考えておるところでございます。

伊波洋一君

現状で、沖縄県赤土等流出防止条例がJEGSに反映されていないことが理解できました。そして、その根拠として、いわゆる米側が定めるJEGSが理由として挙げられることには納得できません。

と申しますのも、本来根拠にされるべきは、お手元資料六番目にあります環境原則に関する共同発表やあるいは日米地位協定の環境補足協定です。というのは、そこでは、より厳しい基準を対応するということで、より厳しい基準を、国内的にどれを選ぶかは日本の側の主権の方に提起されるべきだと思います。JEGSというのは基本的にその合意の下で作られた米側の資料です。それに対する実施権もあるいは監督権も全部米側に委ねられています。だから、米側のものなんです。

ですから、是非、この法令については、現状、こういう反映されていないということについてはやはり納得できませんので、JEGSに反映される理由を含めてですね、など、環境補足協定の第三条二項の日本国の基準の文言解釈の課題であって、本来的には外務省の権能であるはずです。

判断基準及びその法的な根拠としての政府統一見解を提出していただきますよう理事会でお取り計らいいただきたいと思います、委員長。

委員長(北村経夫君)

後刻理事会で協議いたします。

伊波洋一君

環境省は先ほど、何度も述べておりますけれども、沖縄県赤土等流出防止条例が環境に関する国内法令であることは認めているのですから、JEGSに反映されていないのならJEGSに反映されるよう提起するのが役割です。

本日のやり取りで、環境省水・大気環境局が法的根拠の疑わしい独自の判断基準で沖縄県赤土等流出防止条例の情報を米側に提供していないことが明らかになっています。環境を守るという自らの存在理由を否定するような基準はすぐにでも見直して、一日も早くJEGSに沖縄県赤土等流出防止条例を反映することを求めて、質問を終わります。