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国政報告 / 議事録

沖縄及び北方問題に関する特別委員会 閉会中審査(2020年6月19日)

2020.1.20~6.17第201回常会

伊波洋一君

ハイサイ、沖縄の風の伊波洋一です。本日は何点か質問いたします。

最初に、沖縄本島中部の北谷浄水場におけるPFOS、PFOA汚染水問題について伺います。

沖縄県の北谷浄水場が取水する河川等から有害物質PFOS、PFOAが検出され、大きな問題となっています。前回、北部にある国ダムから県に水を融通する方向でこの問題を解消できないかとお願いしたところ、衛藤大臣からは、「沖縄の皆さんの御要望をいただいて、これは何としても協議を進めてまいりたい」という力強い決意表明いただき、大きく状況が動き出しました。

その後、四月十日に米軍普天間飛行場からPFOS、PFOAを含む大量の泡消火剤が河川に流出する事故が起き、この事故が話題になる中、昨年十二月にも同基地から外部への泡消火剤の流出事故が起きていたことが明らかになりました。嘉手納基地でも流出事故が度々発生しており、河川汚染の原因と考えられます。本島中部地域の四十五万人の住民の飲料水の安全をどう確保するかという問題であり、喫緊の課題であると考えます。

大臣の答弁を受けて、県と国で協議が始まっていると聞いています。進捗状況や議論はどのようになっているでしょうか。

政府参考人(内閣府 原宏彰君)

お答えいたします。委員御指摘の課題につきましては、まずは水道事業者であります沖縄県企業局が検討するものと承知をしておりますが、三月の委員会での審議も踏まえ、内閣府が呼びかけ、本年四月に沖縄県企業局や沖縄総合事務局等による実務者間での協議を開始させていただいてございます。この会議では、現在の取水状況やダムの水運用の状況を議題といたしました。こうした議論を踏まえて、先日、六月十一日でありますが、沖縄県企業局から沖縄総合事務局に、検討を進めるに当たって必要な情報の提供等の依頼がなされたとの報告を受けてございます。

内閣府といたしましては、沖縄県企業局の検討が進むよう、必要な情報提供や協議の場を持つなど、関係省庁と連携して対応してまいりたいと考えております。

伊波洋一君

環境省は、五月二十六日に、PFOS、PFOAについて、一リットル当たり合計五十ナノグラムという暫定指針値を決定しました。

ところが、六月十一日に同省が発表した二〇一九年度の全国調査では、北谷浄水場が取水する沖縄市の大工廻川で指針値の約三十倍の一リットル当たり千五百八ナノグラム、沖縄市の天願川で指針値の約十倍の四百七十ナノグラムという高濃度の汚染水が検出されたことが報告されています。環境省がナショナルミニマムと決定した暫定指針値を大きく上回る有害物質に汚染された水が住民の飲料水として利用されている深刻な現状が改めて確認されました。

是非、衛藤大臣には、県と国の協議を加速させ、沖縄県民の四十五万人が一日も早く安全な水を飲めるように、国としても更に一層の御尽力いただきますようお願いいたします。

次に、沖縄振興特措法と振興計画について伺います。大臣も所信で、現行の沖縄振興特別措置法の期限、本土復帰五十年という大きな節目まで残すところ二年、これまで沖縄振興の検証に取り組むと決意を述べておられます。

二〇二一年末で期限を迎える沖縄振興特別措置法や沖縄振興計画の今後について、これまでの検証の進捗状況を伺います。

政府参考人(内閣府 宮地毅君)

お答え申し上げます。内閣府では、沖縄県や県内の市町村の協力も得ながら、これまでの沖縄振興について検証を行っているところでございます。

具体的に申し上げますと、沖縄振興計画の総点検作業を行うとともに、内閣府に置かれました沖縄振興審議会において、これまでの沖縄振興の検証についての調査審議を進めていただいているところでございます。

引き続き、専門家や地元の皆様のお考えも伺いながら、多角的に検証を行ってまいりたいと考えております。

伊波洋一君

計画あるいは振興法の改定並びに計画の策定に向けての検討については、コロナ問題もあって若干遅れもあるようでございますが、今、全国的にも、コロナウイルスの影響により大きな経済の停滞が起こっていますが、沖縄でも、年間一千万人を超えていた県観光入域客が約九割減少、年間三百万人超だった外国人観光客もほぼゼロになっています。観光産業への依存の高かった県経済は、コロナパンデミックなどのリスクに極めて弱いことが明らかになりました。こうしたリスクも今後の沖縄振興策に取り込んでいかなければならないのではないでしょうか。

これまでの沖縄振興の検証に当たっての直近のコロナによる影響の検証は避けて通れないと考えますが、今後検証していく必要があるのではないでしょうか、伺います。

政府参考人(内閣府 宮地毅君)

お答え申し上げます。新型コロナウイルスの感染症によりまして、観光産業を始め、沖縄経済への様々な影響が指摘されているところでございます。こうした影響につきましては、現段階で具体的に見通せる状況にはございませんが、引き続き沖縄経済の動向を注視してまいりたいと考えております。

伊波洋一君

現行の特措法、振計では、内閣府が法改正の前年の平成二十三年九月に新たな沖縄振興策の検討の基本方向についてを決定し、現在の地方分権の在り方を先取りするような発想で、県が策定主体となって沖縄振興計画が作られています。これは極めて先進的な取組だったと思います。

二十七年間の米軍統治で遅れた社会資本整備と、その後の米軍基地の集中の継続による今日までの基地の負担、とりわけ振計の目玉の一つである普天間基地跡地利用が大幅に遅れて二〇三〇年代半ば以降にずれ込む見通しとなっていること、島嶼県であるという地理的な困難性など、沖縄振興の継続は必要不可欠です。検証作業により問題点を洗い出して、是非次期振計につなげていただくようお願いします。

新型コロナ感染症のパンデミックという困難の中で御苦労も多いと思いますが、これを乗り越えて、より強靱な沖縄県の発展につなげていただきたいと思います。衛藤大臣の御所見を伺います。

国務大臣(衛藤晟一君)

内閣府では、これまでの沖縄振興の検証中であります。現時点では、沖縄振興の評価や継続の可能性について具体的にお答えできる段階にはありません。

いずれにしろ、引き続き地元の実情を丁寧に伺いながら、新型コロナウイルス感染症による影響の把握に努めてまいりたいと思います。

伊波洋一君

昨年十月三十一日、まあ今回の振興についてもあれですけれども、今後はコロナの問題を避けて通ることはできないと思います。大臣のおっしゃるとおり、ウイズコロナとかアフターコロナを見据えたときに、これまでの振興特措法、振興計画の単純な延長では足りないと思います。是非コロナに負けない新沖縄振興になるようお願いしたいと思います。

次の質問に移ります。昨年十月三十一日に火災で焼失した首里城の再建について、大臣は所信で、一日も早い復元に向け、政府として責任を持って全力で取り組むと力強くお約束いただきました。国のこれまでの取組と最新の計画について御説明ください。

政府参考人(内閣府 原宏彰君)

お答えをいたします。政府においては、火災発生後直ちに関係閣僚会議を立ち上げまして、昨年十二月に首里城復元に向けた基本的な方針を策定するなど、首里城の復元に向けて迅速に取り組んでまいりました。

この方針に基づきまして、三月二十七日には首里城正殿等の復元に向けた工程表を決定をいたしまして、首里城正殿について、令和二年度早期に設計に入り、令和四年中には本体工事に着手をし、令和八年までの復元を目指すことといたしました。現在、技術的な検討や北殿等の施設解体など、復元に向けた取組を進めております。

引き続き、首里城の一日も早い復元に向け、関係省庁等と連携をし、しっかりと取り組んでまいります。

伊波洋一君

県は四月二十四日に首里城復興基本方針を策定し、正殿の復元にとどまらない、首里城公園の更なる魅力の向上や、新首里杜構想による歴史まちづくりの推進などを掲げています。これに関しては、特に龍潭の周辺の中城御殿などの整備を求める意見が有識者から出されています。

県や那覇市が調整した上で、地元が主体的に取り組むことが前提ですが、私個人としても、首里城に保管してきた歴史資料や那覇市が保管する琉球王国・尚家文書、資料等を含めて、中城御殿など、この地域の復元施設に集中して保管、展示し、研究するとともに、観光資源としての活用も可能とするような整備が実現できないものかと考えております。と申しますのも、今回のコロナの問題もありまして、やはりゆっくりと散策して観光を行うという、こういう形の転換が必要だと思います。

そこで伺います。首里城復興基本方針に沿った県や市による歴史的環境の新たな整備については、次期振計に位置付けるべきとの意見もあります。こうした構想を国としてもサポートしていただきたいと考えますが、いかがでしょうか、大臣。

国務大臣(衛藤晟一君)

沖縄県が本年四月に公表した首里城復興基本方針は、首里城の復元はもとより、首里城に象徴される琉球の歴史、文化の復興に積極的に取り組むために、九項目を挙げて取組の方針を示したものと認識をいたしております。委員御指摘の新首里杜構想については、首里城を中核とする首里杜地区を琉球文化が体現できる場として整備する構想として、この基本方針の一項目として位置付けられていると承知をいたしております。沖縄県において、方針に基づき、今年度末までに内容の具体化に取り組むと承知いたしております。内閣府としても、そうした県の取組を注視してまいりたいと思っております。

伊波洋一君

大臣、ありがとうございます。琉球は、かつては四百五十年という琉球王国の時代、さらにその前の七十年近く、三山の時代もございます。その間、様々な大陸との歴史的な連携をしながら行ってきた様々な文書もございますし、そういう歴史の詰まったところです。そういう歴史も含めて、首里城復元の際には、かつてここにあった歴史、文化というものが多くの皆さんに見られるように是非お願いしたいと思います。

次に、さて、沖縄観光産業の回復のためには、一日も早く元のように観光客を取り戻す取組が求められています。国内観光客の回復はゴー・ツー・キャンペーン等の取組に大きな期待をしていますが、沖縄は国際観光地でもあり、その早期回復が求められています。コロナの水際対策として、検疫や医療提供などの体制が整っていることから、海外との出入国は、現在、成田空港と関空に限定されています。また、現在、原則入国拒否の対象国は計百十一か国・地域に上ります。

昨日の新型コロナウイルス対策本部で、安倍総理は、コロナの水際対策の出入国制限に関し、タイ、ベトナム、オーストラリア、ニュージーランドの四か国をまずビジネス目的で今月中にも緩和する方針を示しました。

沖縄観光における外国人観光客は、台湾が四割、香港を含む中国が三割、韓国が二割を占めています。これらの国、地域だけで沖縄の外国人観光客の九割を超えています。そして、これらの国、地域は、既にほぼコロナの終息に成功しています。沖縄県も、島嶼県であることが幸いして、本日十九日現在で五十日間連続で新規感染者数ゼロを記録しています。水際対策の緩和に当たっては、台中韓などの国、地域、特に、例えば台湾や福建省など中国の一部地域に限定するなどして観光客を沖縄県内に限定して受け入れるなど、日本全国で一律に緩和するのではなく、よりきめ細かな対応が必要ではないでしょうか。

茂木大臣、台湾や福建省などを先行するような取組についてはどのようにお考えでしょうか。

外務大臣(茂木敏充君)

今後、経済を回復軌道に乗せていく上で、我が国内外の感染状況を踏まえながら、感染再拡大の防止と両立をする形で国際的な人の往来を部分的、段階的に再開していくことは重要だと考えております。

このため、まずはビジネス上のニーズも踏まえながら、入国拒否対象国・地域の中でも感染状況が落ち着いている国との間で、現行の水際措置を維持した上で、追加的な防疫措置、入国前のPCRの検査であったりとかLINEのアプリを通じた健康のフォローアップであったりとか、そういった措置を講ずることを条件に、例外的にビジネス上必要な人材等を念頭にした人の往来を可能とする仕組みを試行することにしたところであります。

その対象につきましては、委員御指摘のように、当面はベトナム、タイ、豪州、ニュージーランドと協議、調整を行い、準備が整い次第、部分的、段階的な往来を試行的に行っていきます。その上で、我が国内外の感染状況等を総合的に勘案をし、人の往来の再開の対象となる国、地域を順次拡大すべく検討、準備を進め、環境が、協議が調い次第、順次同様の措置を講じていきたいと思っております。

沖縄で感染が非常に収まっていると、また沖縄にとって特に観光が重要であると、そのとおりだと思っております。そこで、例えば海外の一つの国の、収まっている特別な地域といいますか、限定された地域と日本のどこかの圏内での往来をと。お考えとしては分かるんですが、大体、海外でも国内の移動制限というのがなくなっているわけでありまして、そうすると、それをチェックをするというか、それはなかなか難しいことになってきますし、日本におきましても、そういったトラッキングをする、また衛生管理をすると、なかなか技術的には難しい問題もあるなと、このように思っております。

伊波洋一君

ありがとうございます。日本全体として国際観光を、海外からの観光を大きな目玉としてこの間のお取組が行われております。沖縄の場合、先ほど申し上げましたように、全体で一千万人、これがゴー・ツー・キャンペーンで国内的に回復することを願っていますが、海外からは三百万人来ております。

そういう意味では、やはり一日も早く国としてそれぞれの国との行き来をさせていくと。つまり、ビジネスでできるということでありますから、そういうところを一般観光にもつなげていくことがやはり日本にとっては求められていると、このように思います。是非そのことを強く訴えたいと思います。それから、衛藤大臣にも、観光問題や沖縄振興、県民の水の問題ではこれから是非またお願いしたいと思います、これからもですね。

ちょっと時間が少し余りましたのでお話をしますけれども、先ほど申し上げた六月十一日に発表されたこの国の調査ですけれども、全国的に言いますと、ほとんどPFOS、PFOAというのは検出されないんですよね、様々な浄水場でもですね。唯一、沖縄でも北部地区では検出されておりません。沖縄市や普天間のようなところです。つまり、今申し上げましたような大工廻川やあるいは天願川のようなところでは、五十ナノ・パー・リッターのところが、三十倍近くの千四百六十二とか、あるいは十倍の四百七十五とか。それから、率直に言って、宜野湾市ですと、湧水が一日に一万、二万トン出ます、下の方でですね、それに全部PFASが入っているわけです。

つまり、いかにこの我々の自然の水が汚染されているか。沖縄市でもそうなんです。今、公園でこの子供たちが遊んでいる池が、これが入っているということが明らかになって、これがもう入ることを禁止ということになっています。

これは、やはり政府として米側に強く申し入れるとともに、あわせて、命の水ですから、四十五万人が今飲んでいる上水にそういうことが、現実に入っているという状況をいかに早く止めていくかということは、これは政府としても喫緊の課題だと思いますので、国交省を中心に是非努力いただいて、内閣府で御調整いただいて、一日も早く実現できるようにお願いして、終わりたいと思います。ありがとうございます。