参議院議員 伊波洋一オフィシャルサイト

イハ洋一 Official Web site

国政報告 / 議事録

外交防衛委員会 閉会中審査(2020年7月9日)

2020.1.20~6.17第201回常会

伊波洋一君

ハイサイ、沖縄の風の伊波洋一です。イージス・アショアについては、ブースターの民間地落下やコスト、そして導入期間、何よりも県民の反対の声を受けて白紙撤回した防衛大臣の判断は歓迎したいと思います。

沖縄から見ると違和感もあります。今回のイージス・アショア白紙撤回に当たっては、変更にコストが掛かり、期間も今後十年以上掛かると言っています。一方、沖縄辺野古では、軟弱地盤が見付かっても、何兆円掛かろうが、設計変更する。安倍政権は一日も早い普天間の返還と言っていますが、九六年のSACO合意から二十四年も経過し、今後十数年掛かる工事を強行しています。沖縄では、二〇一八年十一月、岩国飛行場拡張工事などを参考に、辺野古新基地について、工費は二兆五千五百億円、工期は十三年掛かると試算しています。

戦後、岐阜や山梨など全国から米海兵隊が沖縄に移転され、新たに強制接収して建設された広大な在沖米軍基地、海兵隊が在沖米軍基地に集約され、今日に至っております。本土だと国民の声が政府に受け止められ、防衛上必要と言ったものが撤回されますが、沖縄だと県内世論がどんなに強くとも、各種選挙や県民投票で民意を示しても、政権は沖縄の声を聞こうとしないのが現状です。沖縄県内には、秋田、山口では反対意見を聞くのに沖縄は無視かと、ダブルスタンダードの根底に沖縄差別を指摘する声もあります。イージス・アショア同様、辺野古新基地建設も見直すべきです。

去る七月二日、これまでも辺野古新基地建設問題について技術的見地から提言してきた地質学と応用地質学等の科学者や技術者から成る沖縄辺野古調査団が、「普天間飛行場代替施設辺野古新基地における護岸の安定性に関する解析の要請」を防衛省と技術検討会に提出しました。同要請書は、皆さんに配付しております資料のように、震度一ないし三の地震が生じれば、大浦湾側のC2以外の護岸が崩壊するという衝撃的な解析結果を受けて、防衛省による検証を求めるものです。この衝撃的な解析結果は、七月三日、地元テレビニュースや新聞等で大きく報じられました。

辺野古埋立てについては、昨年一月に地盤についての報告書が作成され、同時に安倍総理が初めて公式に大浦湾の軟弱地盤の存在を認めました。これを受けて、昨年九月には技術検討会が始まって、昨年十一月の第二回検討会で唐突に軽量盛土、SGM工法を導入することになり、ようやく一を下回る円弧すべりに関する作用耐力比を確保できると計算できたわけです。今回の辺野古調査団試算でも、八ページに示してあるように、SGMを施工しない場合、作用耐力比が一を超え、護岸の安定性が確保できないという結果が出ています。

SGMを導入しない昨年一月の報告書の施工方法では、特に軟弱地盤の真上のC1護岸は安定性が確保できないということでよろしいですね。

政府参考人(防衛省 村岡猛君)

お答え申し上げます。昨年一月の報告書におきましては、検討対象となったキャンプ・シュワブ北側の護岸等が安定性を満足し、施工が可能であることの確認を行ったものでございます。この段階においては、御指摘の軽量盛土工法でありますSGM工法、これを用いることを前提とはしておりませんでした。

その後、沖縄防衛局におきまして、昨年一月の報告書を踏まえつつ、地盤改良等の具体的な設計等の検討について、これまでの土質調査等の結果をより詳細に整理、分析した上で、有識者の知見も得ながら、より合理的な設計、施工を追求し、技術検討会にてお示しをしてきたところです。

この結果、一部の護岸の背後におきまして軽量盛土を用いることで作用する荷重が低減し、サンド・コンパクション・パイル工法による地盤改良の幅が小さくなるなど、より合理的な設計、施工等となることから、軽量盛土工法であるSGM工法を採用することといたしました。

昨年一月の報告書につきましては、それまでのボーリング調査の結果を踏まえまして、護岸ごとに代表的な土の層のモデルを作成し、護岸の安定性の照査等を行いまして、護岸等が安定性を満足し、施工が可能であることを確認したものでございます。

一方、技術検討会における地盤改良の具体的な設計等の検討につきましては、より合理的な設計、施工とするため、これまでの土質調査の結果を、土の層の三次元モデルを作成するなど、より詳細に整理、分析した上で、海底地形及び地層構成などを基にそれぞれの護岸において設計工区を設定し、護岸の安定性の照査等を行っております。

どちらの検討におきましても、キャンプ・シュワブ北側の護岸等が安定性を満足しまして施工が可能であるという結論には変わりございません。

伊波洋一君

まあ条件が違うと言っているようですけれども、いずれにせよ、この二つとも安定性に欠けているというのが今回の辺野古調査団の皆さんからの指摘です。

大浦湾、皆さんお示しのように、黄色いところが軟弱地盤、深さ九十メートルまで軟弱地盤。しかし、地盤改良できるのは七十メートルまで、その下はぶよぶよの地盤が残るわけです。大浦湾側は、広範な軟弱地盤の存在と複雑な海底地形によって、従来の施工方法では安定性を確保できないことは明らかです。

七月二日付けの要請書では、調査団は、震度一以上の地震で少なくともC1―1―1工区は完成時に崩壊する危険がある、震度二以上の地震でC2工区以外の護岸は完成時に崩壊する危険がある、震度三以上の地震で少なくともC1―1―1工区は施工時に崩壊する危険があると結論しています。

配付資料十二の資料五、表二は、護岸のすべり安定性照査結果と地震による影響を示したものです。大浦湾のC2護岸以外の全ての護岸が崩壊する危険性を示しています。

配付資料十三のように、過去十年間で近くの豊原で観測された震度一以上は年に六回、震度二以上は年に一回、震度三が三年に一回発生しています。極めて深刻な状態と言えます。

防衛大臣、円弧すべり解析のソフトによる安定性照査で、このように極めて危険という結果が出ています。防衛省としても検証すべきではありませんか。

防衛大臣(河野太郎君)

国土交通省が監修する港湾の施設の技術上の基準・同解説に基づき設計を行うことによって、必要な耐震性能を含む所要の安定性が確保されることを有識者で構成される技術検討会にお示しし、御確認をいただいているところでございまして、問題があると考えておりません。

伊波洋一君

配付資料の九ですが、この資料三及び図六は、このソフトを使って水平震度を〇・〇一ごとに増やして、C1―1―1の作用耐力比を求め、グラフにしたものです。この作用耐力比一を超える水平震度について部分的に拡大したものが下の図です。その中で、震度一というのは水平震度〇・九ガル、震度二が三・一ガル、震度三で九・五ガルです。

一般的に、防衛省が採用する港湾基準で円弧すべり解析における水平震度による影響を考慮しなくてもよいことになっていますけれども、震度一や二で護岸が崩壊するという結果が出ているからには、防衛省としても円弧すべりにおける水平震度の影響をしっかりと解析すべきではありませんか。

政府参考人(防衛省 村岡猛君)

お答え申し上げます。護岸の安定性につきまして、国土交通省が監修します港湾の施設の技術上の基準・同解説に基づき性能照査を行っているところでございます。

具体的には、レベル1地震動に対しまして、護岸の滑動、転倒、基礎地盤の支持力、これにつきまして安定性を確認をしております。また同様に、地盤の安定性につきましても、基準・同解説に基づきまして円弧すべりによる性能照査を行い、安定性を確認しているところでございます。

このような性能照査の手法につきましては、東京国際空港や那覇空港といった他の事例においても同様の考え方を適用しているものと承知をしておりますが、これまでに委員が御指摘されたような懸念が起きたということは承知をしておりません。

普天間飛行場代替施設建設事業における護岸につきましては、技術検討会におきまして有識者の方々の御意見をいただきながら、基準・同解説に基づいた上で他の埋立空港等と同様の手法で検討を行いまして、適切に護岸の安定性を確保する設計になっているというふうに考えているところでございます。

伊波洋一君

港湾基準では、地盤のすべり破壊については地震などのない永続状態の性能しか求められていないことは承知しています。

皆さん、配付している十四の図にあるように、この図の中の青い部分、いわゆるケーソン、あるいは支持力、回転、すべりなんですけれども、この部分だけが部分的に計算をされます。しかし、地震で地盤がもし崩壊するとすれば、当然護岸全体が崩壊します。ですから、港湾の基準でそのケーソンや支持力、すべりはそれは沿っているとしても、その基準に沿っているとしても、護岸全体が壊れてしまえば結局元も何もなくなってしまう、そういうことなんです。つまり、工事は自然を相手にしているわけで、それぞれの地質や地形の特性を考慮した設計をしなければなりません。今回の使用されたソフトの検証資料によると、一般的に、修正フェレニウス法の円弧すべり解析ソフトは、いわゆる永続的、常時のチェックと、それから地震時のチェックができるようになっています。

今回、私はなぜそういうことを言うかと。国交省からもこの件について聞きました。なぜその今の港湾の施設の技術上の基準・同解説で、地震時のその検証がされていないのか、いわゆる円弧すべりがされていないのかというと、これまでにこのようなすべりは起こしたことはない、崩壊がないということです。つまり、本来ならば普通は起こらないんですよ。でも、ほとんどのところは水平なきれいな地盤の上に埋立てをしています。だから、動くときは水平にみんな一緒に動くんですよ、飛行場自体が。でも、今回は、これは違う、全く違う形の、この中にありますけれども、いろんな地層があって、そして軟弱地盤がある。そこで円弧すべりを地震に即して計算すると、物の見事に崩壊してしまうというのがこの結果なんです。やはりそのことを無視して先へ進んではならないというのがこの技術検討会の提起です。

これは防衛省がやるべきです。つまり、実際できるんですからね。少なくとも、今のまま進んでも、最終的にこれはできない、使えないものにしかならない、そのことを確認しなきゃいけないんだろうと思います。

大臣、少なくとも、C1―1―1工区の震度一から三程度の地盤の安定、地盤の円弧すべりの安定照査を、その地震に即して検証して結果を公表すべきではないかと思いますが、いかがですか。

防衛大臣(河野太郎君)

繰り返しで誠に恐縮でございますが、国土交通省が監修する港湾の施設の技術上の基準・同解説に基づき設計を行うことによって、必要な耐震性能を含む所要の安定性が確保されることを有識者で構成される技術検討会にお示しし、御確認をいただいているところでございますので、御指摘のような検討を行う必要はないと考えております。

伊波洋一君

いや、完成後に震度二程度で護岸が崩壊する、ほとんど崩壊するというような、そういう完成時安定解析結果は、ブースターの落下どころではないんです。そのことを皆さんはしっかり受け止めるべきだと思います。

ですから、これ、なぜそういうことが今行われていないか、その震動に対しての、地震に対しての対処ですね、それはもう起こらないからだと、普通は。そういうところしか埋め立てていないんですよ。でも、皆さんは無理な埋立てをしている。軟弱地盤の地盤の改良もしないまま、いろんな形の地層が重なっているところをやっている。そのことをきちんと専門家は指摘しています。

やはり、大臣、辺野古新基地建設計画は再考すべきではありませんか。

防衛大臣(河野太郎君)

そうは考えておりません。

伊波洋一君

引き続きこのことを追及していきますが、次に、ジュゴンの鳴き声が確認されたことについて伺います。

ジュゴンが何度も今回鳴き声が確認をされております。そして、現実に辺野古の深い海にやはりきちんと生息しているのではないか、そしてそこで餌を食べているのではないか、そのことが環境監視等委員会でも指摘をされております。

これまでもジュゴンの鳴音が記録されるのは工事の休日が多かったんですけれども、本年四月以降、特に工事中断期間中のジュゴンの鳴音調査など、ジュゴンの生息状況の結果はどのようなものでしたか。

政府参考人(防衛省 辰己昌良君)

水中録音装置の本年四月以降の録音データについては現在分析中です。

他方で、ジュゴンの可能性が高い鳴音が確認されて以降、環境監視等委員会の指導、助言を踏まえ、大浦湾とその周辺におきましては従来よりも範囲を拡大してジュゴンの生息状況調査を行っております。これまで、六月まででございますが、海草藻場の利用状況調査においてジュゴンのはみ跡は発見されておらず、航空機からの生息確認調査においてもジュゴンの姿は確認されておりません。

引き続き、環境監視等委員会の指導、助言を得ながら、ジュゴンの生息状況の把握に努めていきたいと考えております。

伊波洋一君

これまでの調査のエリアが、深さが限られている、それから方法も限られているということがあったと思います。五月の同委員会では、委員から、「ジュゴンが大浦湾の中を生息場としている可能性も考えられる」という指摘もあります。大浦湾をジュゴンの生息地として認定して、環境保全図書に記載された影響評価を含め、ジュゴンの保護の在り方を抜本的に見直すべきではありませんか。

政府参考人(防衛省 辰己昌良君)

本年五月の環境等監視委員会におきましては、ジュゴンの可能性が高い鳴音が検出された後もジュゴンの姿やはみ跡が確認されておりません。

こういう状況を踏まえ、状況を説明した上で、委員会におきましては、大浦湾をジュゴンがどのように利用しているか把握できるよう、引き続き調査検討を指導するよう助言をいただいたところでございます。

伊波洋一君

時間が参りましたので終わりますけれども、是非、防衛大臣においては、今の、先ほど指摘した極めて危険な状況を是非解決していただくことをお願いして、終わりたいと思います。