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国政報告 / 議事録

外交防衛委員会(2016年11月22日)

2016.9.26~12.17 第192回臨時会

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伊波洋一君

沖縄の風の伊波洋一です。

沖縄米軍北部訓練場へのオスプレイパッド建設工事について伺います。

世界自然遺産級の貴重なやんばるの森を壊して今防衛省が行っているオスプレイパッド建設が、多くの沖縄県民の怒りを増幅させています。

沖縄防衛局は十月二十八日に県に対し、歩道の整備についての環境影響評価書、アセス文書を提出しました。これについて県は、平成十九年二月のアセス手続の環境影響評価図書にも記載されていない新たな工事であり、自然環境への影響が増幅するもので実施すべきではないとの意見を提出しました。

北部訓練場内に国指定の天然記念物を始め希少生物種が多数生息しております。歩行訓練ルートの整備については、県も言うとおり、平成十九年のアセスには記載されていない新たな工事であり、天然記念物保護の観点から文化財保護法に基づく事前協議が必要ではないかと考えます。

文化庁は、歩行訓練ルートに関して事前協議を行いましたか。

国政府参考人(藤江陽子君)

現在実施されております歩行訓練ルートの整備について、改めての防衛省との間での協議は行っておりません。

文化庁といたしましては、那覇防衛施設局長に対しまして、事業の実施に際し、工事中及び供用後のモニタリング調査の結果を適宜沖縄県教育委員会へ報告し、必要に応じ対策を取ることなどを依頼しているところでございまして、このモニタリング調査の結果を踏まえ、沖縄県教育委員会と連携を図りつつ対応を検討することが適当と考えております。

伊波洋一君

私は、この歩行訓練ルートのアセスの開示を求めましたところ、防衛省は十一月三十日まで開示できないと文書で回答しています。同時に、この中で、貴重な動物種の確認地点があることも認めています。しかし、このようなことがこの国会の場で議論できない、チェックできないということについては、まさに国会軽視であり、この場を借りて抗議をします。

文化庁は、歩行訓練ルートに貴重な動植物が生息していることを把握していますか。天然記念物保護の観点から事前協議を行うべきではないですか。なぜ行わないのでしょうか。

政府参考人(藤江陽子君)

 北部訓練場ヘリコプター着陸帯及び進入路の設置については、平成十九年に行った協議で、歩行訓練ルートの改変も含め回答しているところでございます。

伊波洋一君

それでは、平成十九年に行えば、あとは防衛省がどういうことをやっても文化庁は何ら関心を示していないということでしょうか。

政府参考人(藤江陽子君)

先ほどもお答え申し上げましたとおり、その際の回答におきまして、防衛施設局長に対し、事業の実施に際し、工事中及び供用後のモニタリング調査の実施、それからその結果を適宜沖縄県教育委員会へ報告し、必要に応じ対策を取ることなどを依頼しているところでございまして、これに基づいて対応をすることが適当と考えているところでございます。

伊波洋一君

当初はこの歩行ルートは手作業で工事をする、しかし今回は重機も入れて工事をする、そのために幅三メートルまで拡大をして一・何メートルかの歩道を確保すると、完全に違う工事になっています。このようなことに対して、やはりこのような態度では私たちはこの貴重な自然は決して守れないと、このように思います。

十一月十一日、東村、国頭村、沖縄県は連名で、オスプレイパッド建設工事に関するアセスはCH53ヘリを対象に行われたことから、オスプレイを対象としたアセスの再実施を求めました。十一月十六日には県の意見書で防衛局に改めて再アセスを要請しております。

防衛大臣、再アセスを実施すべきでありませんか。

政府参考人(深山延暁君)

アセスメントにつきまして、その内容をまず私の方から御説明したいと思います。

北部訓練場ヘリパッド移設工事は、法的に義務付けられたアセスではありませんけれども自主的に環境影響評価を実施しておりまして、この環境影響評価においては、ヘリパッドにおいて発生する下降気流の風圧について、米軍の協力を得て実際にCH53を飛行させ測定を行っております。これによれば、森林の内部において風圧の影響は低減され、林内環境が一定に保たれることは分かっております。

また、オスプレイの下降気流、ダウンウオッシュについては、米軍の環境レビューにおいても公共の安全に関するいかなる問題も生じないとされておると承知しております。また、エンジンからの下向き高温排気については、その構造上オスプレイのみに見られる特徴ですが、米側からは、エンジンの排気方向を制御し直接地面に当たらないようにする排気デフレクターの使用により、火災が発生する可能性は極めて低いとされておりまして、米軍の環境レビューにおいても訓練場等の着陸帯において安全に運用できると分析されております。

さらに、防衛省としては、自主的に行っている環境影響評価により、貴重な植物種を事前に移植しているほか、ヘリパッド周辺の森林の乾燥を防ぎ環境への影響を低減するため、ヘリパッドに早期緑化を目的として張り芝を行ったり、ヘリパッドの周辺の無障害帯に植栽を行うなどの環境保全措置をとっているところでございます。

いずれにいたしましても、防衛省といたしましては、自主的に行っている環境影響評価で実施する事後調査においてオスプレイ等の運用を踏まえた騒音、植物、動物等の調査を実施することとしておりまして、これにより適切に対応できるものと考えておるところでございます。

伊波洋一君

防衛省は、二〇一二年六月のオスプレイレビューに基づく防衛省パンフレットでも、ホバリング時やエンジンテスト時にはCH53ヘリよりオスプレイの方が騒音が大きいということを認めています。また、この防衛省パンフレットは、従来のヘリコプターとの違いとして、オスプレイは下降気流や、排気ガスによって火災が起きる可能性を項目立てて説明しています。既にオスプレイが運用始まっているN4において、CH53やオスプレイ下降気流や熱排気の及ぶ範囲については事後調査報告もされていません。

そういう中で、オスプレイの下降気流や熱排気、低周波振動を、環境に及ぼす影響について再アセスなしにどのようにして評価することができるんですか。

政府参考人(深山延暁君)

今N4地区におきまして御指摘がございましたので、一点、N4地区の事後調査について御報告いたしますと、平成二十六年度にN4地区の事後調査を実施しておりますけれども、N4地区は実はもう供用されているところでございますが、無障害物帯の縁から外側五十メートルの範囲内で調査を行ったところによりますと、二つヘリパッドを提供いたしましたが、森林内の植物種については、一つ目のヘリパッドの周辺では環境影響評価時の十九種から二十六種に、二つ目のヘリパッド周辺では二十四種から二十七種にそれぞれ種別は増加しておったということが確認されています。また、森林内の気温、湿度についても異常な数値は示されておらなかったということがございまして、我々の調査におきましては、既に提供しましたところについて環境の悪化の傾向は認められませんでした。

繰り返しになりますが、このように事後調査を行うことによりまして、オスプレイ等の運用を踏まえた騒音、植物、動物等の調査を実施します。これによりまして適切に対応できるものと考えておりまして、我々としては環境影響評価を再度初めから行うという必要があるとは考えておりません。

伊波洋一君

文化庁は、防衛省のモニタリング調査の結果を踏まえて対応を検討すると繰り返しています。

では、〇七年のアセスの水準と比較対照すると理解してよいのですね。その上で、〇七年アセスより天然記念物等の確認数が減っている場合は、文化庁としては、天然記念物保護の観点から、北部訓練場での米軍への運用提供を断るなどの改善を求めると理解してよいのですね。そして、防衛省も同様に考えていますか。

政府参考人(藤江陽子君)

ヘリコプター着陸帯及び進入路の設置の供用後のモニタリング調査につきましては、沖縄防衛局において適切に実施いただけるものと承知しております。調査の範囲ですとか、あるいは方法につきましては沖縄防衛局において検討いただく内容と考えておりますが、当該区域に生息する希少な動物等に関する専門家の意見等も取り入れながら、施設供用後のモニタリング調査を適切に行っていただきたいというふうに考えております。

政府参考人(深山延暁君)

補足申し上げますと、沖縄県教育委員会には既に平成二十六年十二月二十四日、平成二十七年八月四日にそれぞれ事後調査報告書を、県に提出しました事後調査報告書を使用いたしまして、希少種の確認状況について御説明をさせていただいているところでございます。

今後とも、このような御報告を続けまして、適切に対処してまいりたいと考えております。

伊波洋一君

もう時間ですから終わりますが、モニタリングの結果がどうなるかということは改めてまた質問させていただきます。