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国政報告 / 議事録

北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会(2016年12月7日)

2016.9.26~12.17 第192回臨時国会質問

伊波洋一君

沖縄の風の伊波洋一です。

拉致された沖縄関係者は、認定拉致被害者はいないものの、警察庁リストでは二十六名いらっしゃいます。政府の取組による一日も早い解決を望みます。

沖縄の風は、九月に決議された北朝鮮による五度目の核実験に対する抗議決議を共同提案いたしました。

北朝鮮は核開発、ミサイルの増強を進めています。二〇〇二年一月、米国ブッシュ大統領は、イラン、イラクと並んで北朝鮮を悪の枢軸と批判し、場合によっては先制攻撃すると発表し、二〇〇三年にはフセイン政権が倒されました。北朝鮮は、イラクは核を持っていないからやられたと、核開発、ミサイル能力の増強を進めたとする指摘もあります。

米国オバマ政権は、核兵器の先制不使用宣言を本年九月の国連総会で発表することを検討していたと言われています。日本政府は否定していますが、七月二十六日、安倍総理がハリス米太平洋軍司令官に核先制不使用宣言に反対を伝えたとワシントン・ポストは報道しました。

仮に米国が核兵器の先制不使用を宣言していれば、北朝鮮の核武装、ミサイル開発が抑制され、中国、ロシアを含むアジア太平洋地域の緊張緩和につながる可能性もあり、北朝鮮、中国、ロシアなど核保有国に取り囲まれた日本の安全保障環境も改善されていたと考えますが、核先制不使用宣言に対する岸田外務大臣の見解を伺います。

国務大臣(岸田文雄君)

この核の先制不使用宣言について米国が検討しているのではないかといった報道が盛んにあったことは承知はしておりますが、結果として米国は何らこの問題について決定は行っていないのが現実であります。七月のハリス米太平洋司令官の訪日の際にこの問題が取り上げられたのではないか、安倍総理との会談において取り上げられたのではないかという御指摘もありますが、核の先制不使用宣言について取り上げたという事実は全くありません。

こういったことでありますので、このことについて我が国から何かコメントするのは控えなければならないと思っていますが、いずれにしましても、日米両国、これは核兵器のない世界を目指すという大きな目標は共有しているわけでありますので、今後とも緊密な意思疎通は図っていかなければならない、このように認識をいたします。

伊波洋一君

政府は、北朝鮮のミサイル対応を理由に、高高度防衛ミサイル、THAADミサイルの配備調査費を含む二十八年度第三次補正予算案を編成すると報道されています。THAADミサイルについては、韓国配備に中国、ロシアが反発するなど、北だけに向けたものとは理解されておらず、日本での配備にも強い反発が予想されます。中国は、韓国のTHAADミサイル、THAAD配備に対抗して、HGV、極超音速ミサイルや、MIRV、複数弾頭ミサイルなどの新型ミサイルを開発すると言われています。

THAADミサイル配備は、結果的に東アジアにおける軍拡競争をあおるものになりかねません。THAADミサイルの配備を進める予定でしょうか。

政府参考人(土本英樹君)

まず、御指摘のような第三次補正予算について、何ら承知しておりません。

また、昨今の一連の北朝鮮の弾道ミサイル発射等を踏まえまして、我が国全域を常時防護し得る能力を強化するため、新規装備品も含めた将来の弾道ミサイル迎撃体制の調査研究は行っておりますが、現段階におきましてTHAAD等の新たな装備品を導入する具体的な計画はございません。

伊波洋一君

中国は二〇〇〇年代からアクセス阻止、エリア拒否能力を高め、米国はそれに対抗してエアシーバトル構想を検討してきました。エアシーバトル構想は二〇一〇年の四年ごとの国防見直しで公式に言及され、二〇一五年にJAM―GCと名称変更されています。

エアシーバトル構想というのはどのような位置付けで、どんな内容でしょうか。THAADミサイルを含む日本のミサイル防衛は米国のエアシーバトル、JAM―GC構想に対応するものでしょうか。防衛省にお伺いします。

政府参考人(岡真臣君)

エアシーバトルにつきましては、ただいま議員からもお話がございましたけれども、これまで様々な議論が行われておりますが、アメリカの国防省が公表している文書に基づきますと、先ほどございましたアクセス阻止、エリア拒否といった能力を有する敵対者の打破ということを念頭に、空軍と海軍の能力統合の課題への取組として打ち出されたものであるというふうに承知をしております。

この考え方の中では、グローバルコモンズにおける行動の自由の確保を追求するとともに、同盟国の安全を保障し潜在的な敵対者を阻止するため、ネットワーク化、統合化、敵地縦深部の打撃といった作戦様相によって敵対者のアクセス阻止、エリア拒否能力を混乱、破壊、打倒する、そうした作戦においては航空、海上、陸上、宇宙、サイバー空間といった全ての領域をまたいだ能力の統合が必要であるといった考え方が示されていると承知しております。

なお、この構想におきましては、特定の地域や敵対者を想定した計画あるいは戦略ではないということも記述をされているというふうに認識されているところでございます。

伊波洋一君

日米同盟を掲げる日本の防衛政策が米国のアジア太平洋地域の作戦構想と無関係であるわけはないでしょう。

エアシーバトル構想では、台湾有事に際して、沖縄と日本本土が戦場となり、初期段階では中国の弾道ミサイル、巡航ミサイルの攻撃に対して在沖米軍などの前方展開兵力は一時ミサイルの射程圏外に避難し、退避し、残された沖縄と日本の自衛隊がひたすら耐えることが大前提になっています。最初の中国によるミサイル攻撃で航空自衛隊の七〇%、海上自衛隊の八〇%が失われるという被害も予測されています。当然、ミサイルによって国民の生命、財産の被害、特に基地と隣り合わせの沖縄県民や本土住民には多くの死傷者が想定されます。

日本の国土が戦場になる作戦構想を米軍が採用し、日本はそれによって防衛政策を立てているようにも見えます。自衛隊の沖縄先島配備、離島奪還訓練も、米国のために第一列島線を守り、仮に琉球列島が敵に占領されても奪還する、そういう想定です。

資料に提示しております十一月三十日にキャンプ・コートニーで行われた日米共同方面指揮所演習ヤマサクラでは、宮古島や石垣島を戦場として戦闘予行演習が行われています。台湾を守るという米国の国益のために日本の国民の生命、財産を危機にさらすのがエアシーバトル構想の本質ではないでしょうか。日本の各地で、基地の施設の建設や強化が平和をつくるものではなくて、むしろ地域の緊張を高めています。

皆さん、ヤマサクラ演習は、地方方面隊の演習として日本全土を戦場として、作戦、指揮所演習が行われているわけです。対北朝鮮や対中国の軍拡ではなくて、核兵器を含む先制攻撃を自制するよう米国に求めたり、相互に信頼醸成措置を積み重ねる努力が必要なのではないでしょうか。日本をめぐる安全保障環境の改善をもたらして、結果として拉致や核、ミサイルという北朝鮮をめぐる問題の解決につながると思います。

米国は、中国との間で、一九九七年に首脳間の核ホットライン、九八年に米中軍事海洋協議協定、二〇〇七年に軍事ホットラインを設置しました。さらに、二〇一四年には演習の通報覚書、それから、海空軍の予期せぬ衝突を避ける覚書などを確認しております。このような中で、実は日中間の間には何の具体的な信頼醸成措置の仕組みもまだでき上がっていません。

外務大臣、日本としても、対中、対北朝鮮の対話、そしてまた軍事的な信頼醸成措置を積み重ねることが、むしろ基地を造ったりそうすることよりもなお一層重要ではないでしょうか。所見を求めたいと思います。

委員長(山谷えり子君)

伊波先生の質疑時間は十四時四十五分までとなっております。したがいまして、答弁は簡潔にお願いいたします。

国務大臣(岸田文雄君)

対中、そして対北朝鮮との信頼醸成が大事ではないかという話ですが、中国に関しては、我が国にとって最も重要な二国間関係の一つであると考えています。来年は日中国交正常化四十五周年、再来年は日中平和条約締結四十五周年、大きな節目を迎えます。是非、戦略的互恵関係に基づきながら、この信頼醸成に向けて関係改善には努めていかなければならないと考えます。

そして、北朝鮮との対話ですが、これは対話のための対話であってはならないと思います。こうした意義ある対話を行うためには、北朝鮮の非核化に向けての建設的な対応などがまず求められるのではないか、このように考えます。引き続き、対話と圧力、そして行動対行動、この方針の下に北朝鮮から前向きな行動を引き出すべく、しっかり取り組んでいきたいと考えます。

伊波洋一君

ありがとうございます。特に中国との関係は、是非信頼醸成措置をしっかりつくっていただき、平和友好条約を生かすようにしていただきたいと思います。

ありがとうございました。