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国政報告 / 議事録

外交防衛委員会(2017年3月22日)

2017.1.20~6.18第193回常会

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伊波洋一君

沖縄の風の伊波洋一です。

沖縄からの米海兵隊のグアム移転ですが、二〇一二年四月の2プラス2共同発表で再編計画が調整され、日本政府の負担も、融資を含む計六十・九億ドルから融資を除く真水二十八億ドル、三千百六十四億円の直接財政支援に変更されました。このうち五億ドルはグアム本島訓練場と北マリアナ諸島連邦訓練場の整備費用です。

来年度の防衛省予算では、在沖縄米海兵隊のグアム移転関連経費として約二百五十九億円が計上されております。この内訳は、フィネガヤン地区に下士官用隊舎約二百五十億円の工事と、同地区の診療所、歯科診療所の設計費と、テニアン射撃・機動訓練場の設計費約九億円ということであります。配付の資料にもありますように、これまでに千二百四十二億円が支出され、今回を含めれば千五百一億円になります。

昨日の委員会では、米軍再編特措法改正案に関連して、グアム移転の二〇一〇年七月の米軍による環境影響評価最終版と二〇一五年八月の補足的環境影響評価の関係について稲田大臣に丁寧に御説明をいただきました。二〇一五年の補足的環境影響評価で変更されていない項目については、二〇一〇年の最終版のとおりであるということでした。

そこで、補足的環境影響評価を概観すると、フィネガヤン地区の建設計画と実弾射撃場に関する変更が中心だと理解しているのですが、他の地区の施設建設関係には変更がない、つまり当初の計画どおりの施設の建設があるという理解でよろしいでしょうか。

政府参考人(防衛省 深山延暁君)

今委員から御指摘のとおり、また、昨日大臣からも御答弁申し上げたとおりでありますが、補足的環境影響評価について修正が行われていない部分につきましては、当初の環境影響評価決定書の内容が有効であると理解しております。

伊波洋一君

グアム移転は、二十八億ドル、三千百六十四億円もの国民の税金を支出する事業です。是非、二〇一〇年の当初計画と二〇一五年の補足的評価で示された計画との相違を具体的に明らかにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

政府参考人(防衛省 深山延暁君)

お答え申し上げます。
御指摘の二〇一〇年の環境影響評価決定書、それと二〇一五年の補足的環境影響評価決定書の内容についてでございますが、主な違いを申し上げます。
グアムに移転する人数につきまして、当初のものでは約八千六百人の海兵隊員とその家族九千人とされていましたが、新しいものでは約五千人の海兵隊員とその家族約一千三百人に変更されております。

また、グアムで建設される施設につきましては、当初のものでは、例えば家族住宅についてフィネガヤン地区を候補地としていましたが、新しいものにおきましては、環境への影響を考慮し、アンダーセン空軍基地に変更されております。

また、実弾射撃場の場所については、当初の計画、当初の評価案では保留されていましたが、新しいものにおきましてはアンダーセン空軍基地北西部地区に決定いたしたなどの変更が生じているところでございます。

また、移転部隊につきましては、当初のものにおきましては、第三海兵機動展開部隊、第三海兵師団、第一海兵航空団、第三海兵後方群などの部隊の名前が記載されているところでございます。これにつきましては、二〇一五年の補足的環境影響評価決定書におきましては具体的な部隊名の記載はないものと承知をしているところでございます。

伊波洋一君

ただいま答弁ありましたが、五千名のうち四千名が沖縄から行くわけでありますが、残りのものが不明であるということです。米軍の環境影響評価を分析すると判明することですが、当初計画と変更された現行の計画との相違、沖縄から移転する部隊名、規模、建設される施設等、国会に対して具体的にやはり明らかにしていただかないといけないと思います。

また、昨日は明確に御答弁いただけませんでしたが、ハワイと米国本土に移転する部隊名、規模についても併せて報告を求めたいと思います。なぜならば、この間、沖縄の海兵隊の抑止力が議論されます。しかし、今のお話では、一体どれだけの部隊がグアムに行き、どれだけの部隊が本土に行くのかも明らかでない。そういう中で、千五百億円を超えるお金がその移転に投じられているのが現状です。

是非、委員長、今の報告を委員会として求めていただきたいと思います。

委員長(宇都隆史君)

ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議をいたします。

伊波洋一君

昨日、資料として配付しました二〇〇九年十一月のグアム移転の当初の環境影響評価のドラフト、素案の第三巻、海兵隊移転、テニアンでの訓練では、「テニアンで計画されている訓練活動は、移転してくる海兵隊の個人から中隊レベルの維持訓練である。維持訓練とは、海兵隊の戦闘即応能力を維持する訓練である。テニアンで行われる訓練は、グアムを拠点として駐留する海兵隊の戦闘即応能力を維持するために不可欠である。テニアンで計画されている訓練施設は、グアムでは得られない訓練能力を提供し、大隊部隊上陸や大規模機動訓練などの戦術的シナリオ訓練を可能にする。」と明記されています。

このように、グアム移転に基づくテニアンやグアムでの演習場のこの建設の意義というものが大変重要だということが示されております。日本政府が五億ドルを負担するグアム本島訓練場と北マリアナ諸島連邦訓練場を含むマリアナ諸島複合訓練場計画というのは、米国において非常に大規模なものとして計画されております。

このような中、しかし一方、本日、皆さんの資料の中に、沖縄における米軍の訓練の問題、沖縄の住民と接している訓練場の中で行われる訓練の問題でありますが、それを示しております。

沖縄県内では、県内各地で米軍による訓練が強化されて基地被害が増加しています。そして住民生活が破壊されています。伊江島では、昨年十二月七日、米軍伊江島補助飛行場でパラシュート降下訓練中の米兵がフェンス外に落下、今年一月十日にもオスプレイからパラシュート降下訓練中の米兵一人が民間地に落下しました。また、宜野座では、昨年十二月六日、米海兵隊のオスプレイが城原区の集落上空でつり下げ訓練をし、沖縄防衛局中嶋局長が米海兵隊に抗議し、局長は宜野座村と県に謝罪しました。しかし、翌十二月七日以降もつり下げ訓練は実施され、一旦自粛されていたものの、今年三月八日につり下げ訓練が再開され、UH1ヘリがつり下げたタイヤを落下させる事故を起こしています。

パラシュート降下訓練やつり下げ訓練は、一九六五年には当時小学校五年生の女の子がその下敷きになって死亡するという大変痛ましい事故が起きました。このように、重大事故を招く危険性が高い訓練に対して、県民はこれまでも民間地上空の飛行訓練の停止などを求めてきました。

一九九六年のSACO合意では、負担軽減策は代替施設の提供を伴った基地の一部返還だけで、訓練移転にはほとんど言及していません。確かに、将来、基地が返還されれば沖縄の社会、経済にとってプラスになるでしょう。しかし、県民の日々の暮らしにとって同じく切実なのは、危険性や騒音被害といった基地被害をもたらす訓練の移転なのです。グアム、テニアンのマリアナ諸島複合訓練場計画で沖縄周辺の全ての訓練を移転することが可能です。

昨日は、岸田外務大臣から嘉手納や普天間のごくごく一部の訓練移転が実績として評価されましたが、紹介されましたが、沖縄県内の訓練が減るという明確な見通し、全ての訓練が移転できるという計画はないのでしょうか。

外務大臣(岸田文雄君)

まず、約九千人の在沖縄米海兵隊が国外移転したとしても、沖縄に残る海兵隊は、その構成要素であります司令部、陸上部隊、航空部隊、そして後方支援部隊が相互に近傍に配置されることになると考えます。そして、米海兵隊が機動性、即応性といった特性を維持していくためには、その構成要素である司令部、陸上部隊、航空部隊、後方支援部隊が相互に近傍に配備され、平素から合同で効率的、効果的に訓練を実施する、こうした必要があると考えます。そういった観点から、在沖縄海兵隊の沖縄周辺における訓練、これを全て移転するということはこれは現実的ではないと考えます。

ただ、沖縄の負担軽減、これは安倍政権の最重要課題であり、できることは全て行うとの方針の下で、昨日も答弁させていただきました嘉手納飛行場からの航空機訓練移転、あるいは普天間飛行場からのMV22オスプレイの県外訓練等の実施に取り組んできたところです。

是非これからも、できることは全て行うとの方針の下、具体的にこの訓練移転に向けて努力をし、そして沖縄の一層の負担軽減につなげていきたい、このように考えます。

伊波洋一君

日本政府のこれまでの公式的な見解はこんな感じですけれども、しかし、具体的に今グアムで行われている移転の施設建設、これは当初の計画どおりに行われております。そして、その当初の計画は、二〇一〇年最終環境影響評価書、決定書にあるように、もろもろの施設の建設を実現しています。ここの中でも既に数多くの施設が建設されることが明らかであります。

沖縄の海兵隊というのは、沖縄でも、沖縄にあるだけの施設しか持っておりません。しかし、それに比するようなものがグアムに造られ、なおかつ、この計画とは別に、マリアナ複合訓練計画というのが動いています。その動いているものに更に今回五億ドルのお金を日本政府自身が投入をして、それを支援するということになっているんです。

海兵隊なんです、沖縄にいる海兵隊。あそこにいるのも海兵隊なんです。その中で五千名はグアムではなくてハワイやカリフォルニア、ペンドルトン等に行くんでしょう。そういう意味では、これからの本拠地を沖縄からまさに移るという流れが現実なものである。そのことがどうして必要かというと、まさに抑止力を維持するためです。そういう訓練をしないと沖縄の海兵隊は要するに本来の任務を実現できないからこの計画があるんです。それは、細かいこの一万ページのものを読めば、そこの中にきちんと書かれております。しかし、なぜ私たちは、この沖縄に訓練を押し付け続けるのか。訓練はどこでもできるんです。日本の本土の演習場でも、あるいはグアムでもテニアンでも。

私は、ただいまの外務大臣の答弁には、やはり県民の一人としても、そしてまた国会議員としても納得できません。現実に今問題になっているのは、本当の意味で実像がどうなっているのかということを明らかにするべきです。今沖縄にいかにも一万人残るかのような発言をしておりますけれども、その具体的な根拠は示されておりません。そして、そのことが、やはり防衛省として、このような形が最終的に実現するのだということを是非お示しいただきたいと、このように思っております。

改めて、防衛大臣に、本当の意味でのグアム移転の流れの最後の形、これを示していただくようお願いをいたします。その報告を委員会に提出いただくようお願いいたします。議長において取り計らっていただきたいと思いますが、まず答弁をお願いします。

防衛大臣(稲田朋美君)

訓練移転という観点からいたしますと、先ほど外務大臣も答弁いたしましたように、在沖海兵隊が行っている訓練の主体は、沖縄本島に所在する北部訓練場等において即応性を維持することを主眼とした実戦的かつ総合的な合同訓練であるというふうに認識をいたしております。このような観点から、グアム、テニアンへの訓練場において、在沖海兵隊の沖縄周辺における訓練を全て移転することは現実ではないというふうに考えております。

引き続き、日米間で緊密に協力しながらグアム移転事業に取り組んでいくとともに、MV22オスプレイの訓練移転などの取組を通じ、沖縄の一層の負担軽減に寄与するよう努めてまいりたいと考えております。

委員長(宇都隆史君)

ただいまの件につきまして、後刻理事会で協議をいたします。

伊波洋一君

先ほど申し上げましたように、テニアンでの訓練の意味がどういうものであるかというのをお話をしましたけれども、要するに地上部隊はもうグアムに行っちゃっているんですね。それから、八千名、九千名になる部隊のうち、多くがハワイやあるいはペンドルトンに行っているんですね。ローテーションで回ってくると思います。

そういう意味で、沖縄でこれだけの訓練をする必要がない、沖縄の訓練というのはあくまでパターン訓練でしかないということをやはり米軍自身が示しているわけですから、そのことをやはり考えて、沖縄の基地負担の軽減ということに主力を置いてこのことを考えていただくよう要望して、終わりたいと思います。