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国政報告 / 議事録

行政監視委員会(2017年5月15日)

2017.1.20~6.18第193回常会国会質問

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伊波洋一君

沖縄の風の伊波洋一です。
本日で、一九七二年五月十五日の沖縄の施政権返還からちょうど四十五年目です。米軍統治下から日本国憲法の下に帰り、この四十五年で、教育、社会保障制度、社会インフラが整備され、発展し、沖縄も大きく変わりました。
一方、この四十五年間、今も変わらないのが米軍基地の重圧です。米軍統治下では米軍が住民の土地を取り上げて基地を建設していきましたが、今は、米軍に代わって日本政府が新基地建設を強行しています。昨日も、辺野古のシュワブ基地向かいの瀬嵩の浜で新基地建設に抗議する五・一五県民大会が開かれました。多くの沖縄県民が沖縄の未来とちゅら海を壊す辺野古新基地建設に反対していることを強調し、沖縄の今後の発展に向けて質疑をいたします。
沖縄では、四十五年前に五十六万人だった観光客数が昨年度で八百七十六万人になり、ハワイよりも多い観光客となっています。台湾、韓国、中国、香港などから海外観光客も二百十二万人が来県しました。二年後には一千万人を超える見込みです。米軍基地関連収入への経済依存度が五%以下に減少する中で、観光産業と情報産業はそれぞれ一五%を超えています。
沖縄では昔から畜産が盛んで、戦前までの屋敷には豚を育てる石造りの場所があり、農家では、馬や牛、ヤギを飼育するのが一般的でした。沖縄の食文化として豚肉やヤギ肉は大切なもので、特に豚肉は、伝統料理に欠かせませんし、鳴き声以外は頭のてっぺんから爪先まで食べるというのがよく言われることです。
今では家ごとの飼育はなくなりましたが、畜産は沖縄の農業産出高の五割弱を占める重要な産業です。今日、沖縄に伝わるアグー豚が評価され、観光客の皆さんに提供されるようになっています。香港にも輸出されています。沖縄は全国各地に向けた子牛の生産地ですが、観光客の増加で、石垣牛やもとぶ牛など沖縄各地で牛肉のブランド化が行われるようになり、観光客に提供されています。
今、那覇空港は航空貨物のハブ空港として、全国の付加価値の高い生鮮食品が那覇空港を経由してアジア各地に届けられるようになっています。アジア各地からの観光客が年間二百万人を超えるようになった沖縄の畜産にとっても、今後一層拡大することが重要です。
現在、香港へは県内の食肉処理センターで解体されたアグー豚や一般豚の精肉が多く輸出されていますが、牛肉については、県外の認証を受けた食肉処理センターで精肉することが必要です。シンガポールへのアグー豚肉輸出でも、県外の認証施設での食肉処理が必要です。現在輸出できない中国ですが、今後大きなマーケットになります。中国への精肉輸出では、認証された食肉処理センターが必要になるでしょう。
一千万人近い観光客に沖縄の食を安心して食べてもらうためにも、県内の食肉処理センターが輸出認証も得られるような施設になることが大切です。そこで必要なのが沖縄県内の食肉処理センターへのHACCP認証の導入です。
HACCPとは、原材料の入荷から出荷までに発生するかもしれない食中毒菌汚染や異物混入を防止するため、特に重要な工程を管理する食品衛生管理の手法の国際基準です。政府は、訪日外国客に食の安全、安心を提供するため、厚労省の食品衛生管理の国際標準化に関する検討会でHACCP義務化の方向を打ち出しています。
質問です。現在のHACCPの導入状況、今後のHACCPの義務化はどのような見通しでしょうか。

厚生労働大臣(塩崎恭久君)

今御指摘ございましたHACCPでございますけれども、食品の衛生確保のための工程管理の国際基準でございまして、この普及状況につきましては、農林水産省が実施をいたしました調査によりますと、年間販売金額百億円以上の大手層では約九〇%の事業者で導入が既に進められているということでございます。一方で、中小規模層を見ますと約三五%、全体でいきますと約二九%にとどまっているわけであります。

このHACCPの義務化につきましては、有識者による検討会を開催をいたしまして制度化の在り方について検討を進めて、昨年末に取りまとめを行ったところであります。この取りまとめの中では、HACCPが多くの先進国で義務化を既にされており、国際標準となっていることなどを踏まえて、食品の製造、加工等を行う全ての食品事業者に対してHACCPによる衛生管理を義務化することを基本として、小規模事業者などの一定の業種についてはHACCPの弾力的な運用を可能とすべき、こういった方向性が示されているわけでございます。

今後、この検討会の取りまとめを踏まえて、薬事・食品衛生審議会、ここにおきまして関連法令の整備も含めて具体的な今後の進め方の検討を行ってまいりたいというふうに思っております。

伊波洋一君

HACCPの導入については、施設設備の整備に多額の資金が必要とか、あるいはモニタリング、記録管理等の人的コスト等HACCP導入後の運用コストが大きいなど、中小企業を中心に支援を求める声も出されております。
政府としてHACCPの義務化や導入促進に向けて支援をすべきと考えますが、いかがでしょうか。農水省の方で答弁をお願いしたいと思います。

厚生労働大臣(山本有二君)

委員御指摘のとおり、農林水産物、食品の輸出、これは重要なことでございまして、沖縄県に非常に期待を掛けるところでございます。
平成三十一年の輸出額一兆円の目標を政府は掲げておりまして、昨年五月に策定いたしました農林水産業の輸出力強化戦略に沿って各般の施策を実施しているところでございますが、食肉の輸出につきまして、御指摘のHACCPなど、輸出先国が求める衛生条件等を満たす必要がございます。
ハード面で、平成二十八年度補正予算に計上した農畜産物輸出拡大施設整備事業も活用しまして、輸出拠点施設の整備費に対する支援を行っているところでございます。また、ソフト面でも、輸出先国が求める認証等を取得するために、必要な査察の受入れや衛生検査に対応するための経費等につきましても支援を行っているところでございます。
今後とも、政府全体の重要な政策課題である農畜産物の輸出拡大に向けまして、ハード面とソフト面、両面から積極的に御支援をさせていただければというように思っている次第でございます。

伊波洋一君

ありがとうございます。
HACCPを前提に、食肉処理施設が相手国から輸出認定を取得しなければなりません。沖縄でも、輸出認定に対応できる食肉処理施設を整備していく必要があります。
農水省は、強い農業づくり交付金や輸出インフラ整備プログラムなど、施設整備を支援しております。食肉処理施設では、岩手、栃木、京都、宮崎がこの輸出インフラ整備プログラムのリストに載っており、それぞれの地域に輸出認定を受けた施設がないことが理由になっていますが、沖縄県内の食肉処理施設をめぐる状況も全く同様です。政府は農産物の輸出拡大に取り組んでいますから、農水大臣、特に熱意を持っていらっしゃると伺っております。

そこで、質問です。輸出認定の取得に向けて、食肉処理施設への支援、特に施設整備への支援策が今後とも大変重要と考えますが、御所見を伺います。

政府参考人(農林水産省 枝元真徹君)

お答え申し上げます。
今御指摘いただきましたとおり、平成二十八年度の補正予算に計上いたしまして、農畜産物輸出拡大施設整備事業等を活用いたしまして輸出拠点の整備を行って、それに対する支援を行っているところでございます。また、その対象といたしましては、先ほど先生がおっしゃったとおりでございます。
これらにつきまして、沖縄県の場合、現在は、例えば牛肉につきましては輸出対応型の施設がないということ、あと、豚肉については香港以外はそういう施設がないということで、県外の方に一度出してやっているという実態でございますので、沖縄県も、先生からございましたアグー豚等々、肉質に優れた固有の品種を保有しておりますし、県や生産者におきまして前向きな意欲を持って取り組んでいただいているというふうに考えてございます。
海外市場でも十分通用するポテンシャルを有しているというふうに考えておりますので、各種支援措置を是非御活用いただければというふうに考えてございます。

伊波洋一君

是非、沖縄県内においても施設整備、輸出認定が進むよう御支援をお願いしたいと思います。
課題は、まだまだ食肉の輸出相手国が限られているということです。現在、豚肉の輸出拡大については中国、タイと、それから牛肉の輸出拡大については台湾、韓国、中国、マレーシア、サウジアラビアと動物検疫協議中と聞いております。沖縄にとってアジア諸国は、地理的にも近く、航空輸送便もあり、マーケットとして有望で、県内の事業者からも早期の解禁の大きな声が寄せられております。
現在、輸出解禁協議の見通しはいかがでしょうか。

政府参考人(農林水産省 今城健晴君)

お答え申し上げます。
おっしゃるとおり、輸出をするためには、動物検疫、これによりまして輸出が閉ざされている国ございますので、ここについて、やはり重点的に輸出をしたいというターゲットの国を定めまして、それで、おっしゃるとおり、輸出検疫協議を精力的にやっておるところでございます。
ただ、相手もあることでございますし、私ども、検疫協議におきまして、データの提出でございますとか相手との協議の促進ということに相努めておりますけれども、具体的にいつ頃というまではなかなかめどが立っていないものがほとんどでございますけれども、なるべく早期の輸出解禁に向けて精力的に交渉に当たってまいりたいというふうに考えております。

伊波洋一君

ありがとうございます。
特に中国、韓国は大きなマーケットです。カンボジアに輸出された和牛肉が中国に転売されているという報道もあります。是非、早期の輸出解禁に向け、一層の御尽力をお願いしたいと思います。
日本政府は地理的優位性を口実に沖縄に基地を押し付けていますが、今後は、軍事のためでなく経済のために地理的優位性を活用すべきだと思います。
沖縄県産の畜産物、県産食肉の輸出拡大は、これからの沖縄経済にとって大きな可能性を持っています。生産者や食肉業者側は、輸出に挑戦したくても近くに輸出認定施設がなく、現状ではコストがかさんで踏み切れない。食肉処理施設の側は、収入は頭数に応じた処理費用だけで、経営自体も厳しく、輸出に向け食肉処理の需要もない中、新たに投資してまで輸出認定を取得するインセンティブが欠けています。輸出に向けては、こうした状況を打破する必要があります。
沖縄県内の食肉処理施設のHACCP取得、輸出認定の取得は、沖縄振興にとって大きな意味を持つと考えます。そのために、HACCP義務化に伴う支援、あるいは輸出認定施設に対する支援を、是非、沖縄担当大臣のイニシアチブで検討していただきたいと考えます。
政府として沖縄振興の視点で一層のサポートが必要と考えますが、沖縄担当鶴保大臣の御所見を伺いたいと思います。

内閣府特命担当大臣(鶴保庸介君)

御指摘のとおりだと思います。この度、伊波委員の御質問を受けて、私も関係部局に状況を精査させました。
この三月からは、品目ごとに分野別に課題の抽出、対応方策等々について、これは畜産だけではありません、様々な輸出についての関係機関と具体化に向けた調整や検討も行われ始めている、また、今御指摘のようなHACCPの導入につきましても、ターゲットとなる輸出先国の求める輸出条件等を確認をし、関係者の意見を聞きながら、関係省庁と連携して今取組を始めておるところであります。
特に、問題になっております食肉関係の輸出施設につきましては、JAが四月から人材育成等々の検討を始めたということも聞いておりますので、農水省及び厚生労働省等々とも密に連携を取りながら、積極的に推進をさせていただきたいというふうに思っております。

伊波洋一君

ありがとうございます。
業界も、香港輸出等を通して、業界の協議会などもつくりながら、県も挙げてやっております。そういう意味では、政府としても沖縄の地理的優位性を、やはり日本経済全体の農産物の輸出にも貢献することですから、是非、大きく見てもらって、その流れをつくっていただくようお願いして、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございます。