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国政報告 / 議事録

外交防衛委員会(2017年5月25日)

2017.1.20~6.18第193回常会国会質問

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伊波洋一君

沖縄の風の伊波洋一です。
前回確認させていただいたとおり、本法案は南西地域の防衛態勢の強化、いわゆる南西シフトを自衛隊の組織の観点から強化するものです。二〇〇五年の日米合意、「日米同盟 未来のための変革と再編」では、島嶼侵略に対しては日本自身が防衛し対応する、と明記され、二〇一五年の新ガイドラインでも、自衛隊は島嶼攻撃を阻止する第一義的な責任を有する、と繰り返されています。
質問です。今回の南西シフトが想定する島嶼防衛でも、自衛隊が独力で対応することが前提になるのでしょうか。

政府参考人(防衛省 前田哲君)

お答えいたします。
今委員御指摘の二〇一五年の日米ガイドライン、この中で、自衛隊は、島嶼に対するものを含む陸上攻撃を阻止し、排除するための作戦を主体的に実施をする旨これは明記をされておりますけれども、これは日米同盟の下での両国の防衛協力を前提として、我が国の防衛は我が国自身がその一義的責任を持って主体的に対応し、米軍がこれを支援するというこの基本的な役割分担の考え方を述べているのでございまして、島嶼防衛について自衛隊が独力で対応するといった考えを示したものではないと考えてございます。

また、二〇〇五年の合意された「日米同盟 未来のための変革と再編」、この中にも確かに、日本は、弾道ミサイル攻撃やゲリラ、特殊部隊による攻撃、島嶼部への侵略といった新たな脅威、多様な事態への対処を含め、自らを防衛し、周辺事態に対応する、こういう記載がございますけれども、まさにその記載の直後に、米国は、日本の防衛のため及び周辺事態を抑止し、これに対応するために前方展開兵力を維持、必要に応じて兵力を増強する、そして、米国は、日本の防衛のために必要なあらゆる支援を提供する、こういった点も明記をされているところであって、島嶼防衛について自衛隊が独力で対応するといった考え方を示したものではないと考えております。

その上で、現在、防衛大綱、中期防の下で、安全保障政策の根幹となるのは自らの努力だという認識に基づきまして、我が国自身の防衛力、質、量両面で強化をし、自らが果たし得る役割の拡大を図りながら、防衛協力の強化を通じて日米間の適切な役割分担、これにも基づきながら、同盟全体の抑止力及び対処力を強化していく、このことを基本方針として防衛態勢を強化をしているということでございまして、自衛隊が独力で島嶼防衛に対応するといった考えで進めているものではございません。

伊波洋一君

米国の東アジア戦略であるエアシーバトル構想やオフショアコントロール戦略のシナリオでは、初期段階でいずれも中国からのミサイル攻撃を日本の自衛隊や在日米軍が受け止めることが想定されています。つまり、自衛隊員や南西諸島の住民は、飽和攻撃と言われるような圧倒的なミサイル爆撃をひたすら耐えることが求められています。
南西シフトは、こうしたエアシーバトル構想やオフショアコントロール戦略の初期段階に想定される飽和的なミサイル攻撃に対応するものになっているのでしょうか。

防衛大臣(稲田朋美君)

御指摘のエアシーバトル構想は特定の地域や敵対者を想定した計画や戦略ではなく、またオフショアコントロール論については、米国においてこれまで議論されてきたアジア太平洋戦略に関する数あるオプションの一つにすぎず、現在の米国政府の計画や戦略そのものではないというふうに認識をしております。
その上で、南西地域の防衛について、島嶼部に対する巡航ミサイル攻撃に対しては、陸自、空自の防空ミサイル、短SAMや中SAM、ペトリオットシステムなどにより迎撃することとしており、これらのアセットを平素から配備していくことが重要です。そのため、例えば宮古島、石垣島、奄美大島に中SAMを運用する陸上自衛隊部隊を配備する計画であって、現在、必要な整備を進めているところであります。また、弾道ミサイル攻撃に対しては、海自のイージス艦を機動的に展開させるとともに、空自のPAC3部隊を南西地域に展開することにより迎撃することといたしております。
南西地域の防衛態勢の強化については、あくまでも我が国の国家安全保障戦略の下に策定された防衛計画の大綱及び中期防に基づき取り組んでいるものですが、防衛計画の大綱及び中期防に基づく南西地域の防衛態勢強化を含む各種の施策は、結果として、エアシーバトル構想、オフショアコントロール論で想定されるミサイル攻撃に対応することが可能であるというふうに認識をしているところでございます。

伊波洋一君

野党時代には、稲田大臣自らが、米軍が策定中のエアシーバトル構想、日本の外務大臣だったらこれをきちんと認識しなきゃいけないんですと力説されております。
こういう状況が現実に今来ているわけでございますね。そういう意味で、二〇一五年十二月には、「南西諸島を軍事拠点化する日本版A2AD、中国の海洋進出に対抗」というロイターの記事が出されております。南西シフトは、米国からまさにエアシーバトル構想やオフショアコントロール戦略に沿ったものと評価されているのです。
当委員会でこれまでも論じられてきましたように、AAV7は、サンゴ礁に囲まれ急峻な地形の尖閣の危機では運用できません。当時、米国海軍大学教授であったトシ・ヨシハラによる二〇一二年の論文「アメリカ流非対称戦争」には、琉球列島は、黄海、東シナ海から太平洋に出るためのシーレーンを扼するように立ちはだかっている、中国海軍は、台湾の東海岸に脅威を与え、米軍に対処するためには、琉球諸島間の狭隘な海峡を通り抜けざるを得ない、このような、狭小な、外見はささいな日本固有の島嶼をめぐる争いは、通峡、通峡阻止をめぐる戦いでは紛争の前哨戦として一気に重要になる、列島の戦略的な位置は、日米にとり、形勢を中国の不利に一変させる機会を与える、米国及び日本にとってこの列島の戦略的位置が中国政府との関係をひっくり返すチャンスとなるのである、と書いています。
宮古島への陸自配備についても、宮古島市民の生命を危険にさらし、島全体を要塞化し、戦場とするような戦争が想定されています。これは台湾防衛という米国の国益に基づく限定戦争として位置付けられているのです。米国の国益に応えることが日本の国益になるのか、立ち止まって考えるべきです。
四月に出された平成二十九年版外交青書では、大筋、米国の指導力の後退と中国の、新興国の台頭などパワーバランスの変化と多極化、中国、北朝鮮の脅威など情勢認識を受けて、第一に日米同盟の強化、第二に近隣諸国との関係強化、第三に経済外交の推進を日本外交の三本柱として外交に取り組むことが述べられています。しかし、米国の後退と多極化を受けて、なぜ日米同盟の強化なのか、「日米両国は基本的価値及び戦略的利益を共有しており、日米同盟は日本の外交・安全保障の基軸である。」と書かれているだけで、日米同盟の強化が日本の国益にどのようにつながるのか明らかになっておりません。
一方、五月十四日、十五日には、北京で一帯一路サミットが開催され、日本から総理の親書を携えた自民党二階幹事長など、二十九か国の首脳を含む五十七か国の代表が参加しました。二階氏は十五日にAIIBへの早期参加を提唱しました。また、二十二日にベトナムで行われたRCEP閣僚会合では、ASEAN創立五十周年に当たる本年中の交渉妥結が大筋合意されたと報道されています。
外務省にお聞きします。それぞれについて簡潔に御説明ください。

政府参考人(外務省 四方敬之君)

委員より御指摘のございました今月十四日、十五日に北京で開催されました一帯一路国際協力ハイレベルフォーラムには、日本からは二階俊博自民党幹事長を始めとする関係者が出席いたしました。
このフォーラムにおきましては、一帯一路構想の下での取組を通じて、地域の持続的な発展に貢献する上での重要な論点について議論されたというふうに承知しております。二階幹事長は、フォーラム閉幕後の十六日に習近平国家主席と会談を行い、その際、安倍総理からの親書を習主席に手渡されましたけれども、親書には、日中の戦略的互恵関係の考え方に基づき安定的な日中友好関係を築いていきたいといった点などについて言及されたと承知しております。
AIIBへの見解ですけれども、膨大なアジアのインフラ需要に効果的に応えていくことは重要な課題であり、政府としては、AIIBが国際金融機関にふさわしいスタンダードを備えることにより、アジア地域の持続的な発展に資する機関として役割を果たすことを期待しております。
今後とも、AIIBが公正なガバナンスを確立できるのか、借入国の債務の持続可能性や環境、社会に対する影響への配慮が確保されているか等について実際の運用を注視してまいりたいと存じます。

伊波洋一君

軍事面での評価はおくとしても、現在中国は世界第一位の座をうかがう経済的超大国に成長しています。日本との経済関係も二十年前と比較して大きく成長しています。

お手元には国立国会図書館を通して調査をしてもらった資料が届けてございます。二十年前に七・六兆円だった日中貿易は、昨年、三・八倍の二十九・三兆円になっています。一方、日米貿易は、二十三・三兆円から二十一・四兆円へと減少しております。二十年前はアメリカとの貿易額より小さかった中国、ASEANと日本の貿易額は、昨年で四十九・八兆円を超え、アメリカの二・三倍となりました。

中国への日本現地法人企業も二〇一五年度でアメリカへの進出企業の二・六倍、七千九百社になり、現地従業員も百六十一万七千人と、アメリカの二・五倍になりました。売上高も二〇〇一年の十一・六兆から二〇一五年の五十一・二兆に増え、米国内の売上高に迫っています。そしてまた、既に現地法人利益は二兆五千六百二十四億円になり、アメリカでの現地法人利益を超えました。

二〇一五年の訪日観光客数も全体で千九百七十三万人中、四分の一の四百九十九万人が中国からの訪日客でした。一方、アメリカからの訪日客は二十分の一の百三万人でした。在留外国人数においても、中国は六十九万五千五百二十二人と、群を抜いて一位です。
これらの中国関連の数値は毎年増えています。理由は中国の成長です。
内閣府に提供いただいた資料が一番最後のページにございます。GDPの資料です。
一九九七年に一兆ドルだった中国、そのときの日本の四分の一のGDPでありますが、二〇一六年には十一倍の十一兆ドルになりました。今、まさに日本の二倍強の大きさです。一方、日本はずっと四兆ドル、あるいは若干五兆ドルになりましたけれども、今も四兆ドル台のままです。
どの指標を見ても、中国との関係が米国との関係を凌駕しています。こうした不都合な真実に目をつぶって日米同盟の強化を最優先にして対中国包囲網の形成を目指してきたことが日本の現在の長期的停滞をもたらしているのではないでしょうか。

外務大臣に伺います。

中国が懸念か脅威かはおいても、日米同盟強化に偏重した日本外交の方針を見直すべき転機に来ていると思います。特に国民に広がる中国脅威論を乗り越えることが重要ではないでしょうか、外務大臣の見解をお聞かせください。

外務大臣(岸田文雄君)

私は、外務大臣に就任してから、日米同盟の強化、近隣諸国との関係強化、そして経済外交の推進、これを外交の三本柱と据え、それに加えて、グローバルな課題にも汗をかくことが重要だ、こういったことを申し上げておりました。こうしたバランスの取れた外交こそ国民の安心につながるということを申し上げてきました。

中国に関しましても、不透明な軍事力の強化、地域における一方的な現状変更の試み、これは国際社会共通の懸念であるということは申し上げてきましたが、中国を脅威とはみなしてはいないということも申し上げてきました。中国が平和的に発展することは我が国にとってもチャンスであると考えています。

ただ一方で、日米同盟、これは、引き続き我が国の外交・安全保障におけるこれは基軸であると思います。米国のプレゼンスは、地域の平和や安定においてもこれは大変重要であると認識をしております。これからもしっかりとバランスの取れた外交を進めることが重要であると認識をしています。

伊波洋一君

確かに日米関係というのは大きな基軸です。それはとても大事なことだと思います。しかし同時に、今資料でお示ししましたように、今成長している中国、その中国と世界は結んでおります。その中で、私たち日本が、目の前にある中国、奈良の時代から付き合っている中国が、軍事的な日米同盟の中でだけ捉えるということであってはいけないと思いますし、まさに真正面から中国と対話をしていく、このことが求められていると思います。是非そのことをお願いして、終わりたいと思います。
ありがとうございました。