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国政報告 / 議事録

外交防衛委員会(2017年6月8日)

2017.1.20~6.18第193回常会

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伊波洋一君

沖縄の風の伊波洋一です。
投資協定の審議に先立って、辺野古新基地問題に関連してお聞きします。

日本政府は、平成二十五年四月の沖縄における在日米軍施設・区域に関する統合計画に基づいて、普天間基地の返還時期は二〇二二年度又はその後と繰り返しています。お手元の資料にございます。しかし、米会計検査院、GAOが今年四月の米連邦議会に提出したアジア太平洋における海兵隊再編に関する報告書では、二〇一五年一月に米海兵隊の統合計画が策定され、二〇一六年六月に最新のスケジュールに見直されたと記載しています。ここには、辺野古の飛行場整備は二〇二六年まで、シュワブの再編成に至っては二〇三〇年まで掛かると明記されています。

米国の計画は日本政府の説明と食い違いますが、政府として、米側に確認して訂正すべきではありませんか。

防衛大臣(稲田朋美君)

委員御指摘の報告書における記載、これは承知をいたしておりますが、米会計検査院、GAOの報告書の内容の逐一について政府としてコメントをする立場ではありません。

その上で申し上げますが、普天間飛行場の辺野古移転については、本年四月より護岸工事に着手し、工事を本格化しております。また、今月三日の日米防衛大臣会談においても、普天間飛行場の一日も早い移設、返還を実現するため、マティス長官との間で辺野古への移設が唯一の解決策であるとの立場を共有し、引き続き緊密に協力することで一致をしたところです。

辺野古への移設は、米軍の抑止力と沖縄の負担軽減、これを両立する唯一の解決策であり、防衛省としては、関係法令に基づき、辺野古移設に向けた工事を引き続きしっかりと進めていく考えでございます。

伊波洋一君

辺野古新基地が普天間の危険性除去の唯一の解決策というところで日米政府は思考停止をしているのではありませんか。今朝も八十名の市民が辺野古のシュワブでは反対の座込みをしております。これがずっと続いているわけですね。

仮に二〇二六年まで、あるいは二〇三〇年まで掛かるということは、あと十年以上も普天間の危険性を放置することになるのではないですか。普天間の危険性について日米が認識を共有した時期はいつですか。日米がまた普天間基地の全面返還に合意した時期はいつですか。現在の計画になり、結局何年掛けて移転することになるのですか。

防衛大臣(稲田朋美君)

普天間飛行場の返還につきましては、当時、橋本総理がモンデール駐日米国大使と話し合い、平成八年、一九九六年四月に沖縄県内に代替施設を建設するということを前提に普天間飛行場を全面返還するという日米合意に至り、SACOの最終報告が取りまとめられました。

SACOの最終報告の取りまとめにおいては、沖縄に所在する米軍施設・区域に係る問題について、沖縄県民の方々の御負担を可能な限り軽減し、国民全体で分かち合うべきであるとの考えの下に、この日米交渉において、両政府は、沖縄県民の負担を軽減し、それにより日米同盟関係を強化するとの立場で臨んだものと認識をいたしております。

現行の計画、V字案は、平成十八年、二〇〇六年の再編実施のための日米ロードマップにおいて合意をされておりますが、返還の時期につきましては、平成二十五年、二〇一三年に日米両政府で作成し公表した沖縄における在日米軍施設・区域に関する統合計画において、二〇二二年度又はその後とされているところでございます。

伊波洋一君

よく菅官房長官が指摘をするSACO合意は一九九六年です。先ほどの、この資料にもありますけれども、二〇二六年に航空施設が完成するという話になりますと、三十年掛けてこの危険性を除去するということになります。

沖縄の異民族支配と言われた米軍統治も二十七年です。私たちは、県民は、その間に自ら様々なことを取り組み、そして返還まで実現をさせることができました、沖縄施政権。しかし、日本政府の施政になって、三十年も掛けて僅か一つの飛行場を移設することしかできないというのならば、どうしてこれが沖縄の基地負担軽減と言えるのでしょうか。

私たちは、やはりそのことを含めてしっかり考えなければならないと思います。三十年も掛けて普天間一つを移転するということ、そういうことを今やっている。結果的に、日本政府の認識は、普天間の危険性はその期間放置してよいということになると思いますが、そうなんでしょうか。

政府参考人(防衛省 前田哲君)

お答えいたします。

普天間の移設につきましては、日米合意の下、唯一の選択肢ということで、これについて政府は一生懸命取り組んでいる。また、その移設までの期間における負担軽減につきましても、これはKC130の岩国移転、そして代替基地機能については九州の基地にそれぞれを移転をしている。そして、残っているオスプレイにつきましても、訓練の移転、本土への移転等々にこれは取り組んでいるところでございます。

移設までの間における負担軽減についても、政府としてはこれは真摯に取り組んでいるというふうに認識をしてございます。

伊波洋一君

二〇〇四年には大型ヘリが沖縄国際大学に墜落をいたしました。昨年十二月には安部海岸にオスプレイが墜落をいたしました。

実際に飛行しているのは、海兵隊の飛行部隊は主に陸地でございます。陸地の上で飛んでいるものが落ちる可能性は極めて大きい、そのことが指摘されているわけで、米国内では住宅地上空での飛行ルートの設定というのは基本的に禁止をされておりますが、日本の中ではほとんどその上を飛んでいる。そのようなものをやはりしっかりと移転をさせていく、グアムあるいはそこら辺のところに移転させて、そこで訓練させていくことがとても大事だと思います。私は、やはり現状の解決策では解決にならないということをまず指摘しておきたいと思います。

先日、ネラー米海兵隊司令官も議会で証言しているように、米海兵隊の移転自体が今見直しが求められつつあるように思います。政府として、普天間基地の撤去時期や移転する部隊なども含めて、在沖海兵隊の移転計画の全体像がしっかり分かるように米側に確認をして明らかにするべきだと思いますが、いかがですか。

防衛大臣(稲田朋美君)

在沖海兵隊のグアム移転に際して、沖縄に所在する海兵隊のうち約九千名をグアムやハワイ等に移転させ、沖縄には約一万名の海兵隊を残すことといたしております。このうち、グアムには約四千名の要員が移転する予定であり、移転する主な部隊は第三海兵機動展開旅団司令部、第四海兵連隊、第四戦闘後方支援大隊の全部又は一部であると承知をいたしております。
ただし、部隊ごとの移転人数を含め、その詳細な計画についてはまだ決定されておらず、今後の日米間の協議において議論をしてまいります。また、ハワイ及び米国本土には約五千名の要員が移転する予定であると承知をいたしております。その詳細な計画については米側において検討中であり、こちらも今後の日米間の協議において議論をしてまいります。

引き続き、米側と緊密に連携しながら、普天間の移設及び在沖海兵隊のグアム移転などの施策を着実に進めてまいります。

伊波洋一君

この資料によりますと、ハワイ等への移転も含めて二〇三〇年頃がもう最後の計画となっております。そうすると、二〇三〇年というのは、現在によると、米国と日本のGDPより中国のGDPが増えているということがほぼ確実であろうと、こう言われている時代なんですね。もう随分、戦略環境も変わっているんです。今、一万人そのときに残るとか残らないかという議論をするような時期ではないと思うんですね。そういうことも含めてこれからも議論をしていきたいと思います。
 
次に、日・イスラエル投資協定についてお聞きいたします。
協定がイスラエルの一九六七年の第三次中東戦争以降の占領地、入植地に関するビジネスを直接、間接に後押しするものになるのではないかとの指摘があります。政府の見解をお示しください。

政府参考人(外務省 上村司君)

お答えいたします。
我が国は、入植地を含む第三次中東戦争の全占領地につきまして、国際法及び国連安保理決議二百四十二号及び同第三三八号等に違反していることから、イスラエルの領域とは認めておりません。

また、我が国は、イスラエルの入植活動は国際法違反であるとの立場を累次鮮明にしてきております。二〇一四年の国連人権理事会で採択されましたイスラエル入植地に関する決議では、いわゆる入植地ビジネスへの関与による人権侵害の可能性について指摘がございました。これは、我が国はこの決議を支持しております。

入植地でビジネスを行うイスラエル企業あるいは第三国企業への具体的対応につきましては、個々の事例ごとに今後検討する必要がございますが、本協定の解釈、適用に当たりましては、我が国の対応が国際法違反の活動を助長することのないように適切に対応していく考えでございます。

伊波洋一君

入植地ビジネスは違法であるというのが政府の見解ですが、この見解をイスラエルへ投資を検討する日本の民間企業にどのように徹底していくのでしょうか。また、入植地ビジネスを行うイスラエルや第三国の企業に本協定の恩恵が及ぶ危険性はないのでしょうか。

政府参考人(外務省 上村司君)

お答えいたします。

政府といたしましても、イスラエル企業との関係構築を検討する日系企業と面談する機会などを捉えまして、あるいは外務省のホームページ、在イスラエル日本大使館ホームページ上などを通じまして、占領地や入植地における活動を含むビジネスを行う場合には、金融上、風評上及び法的なリスクに十分留意する必要がある旨、情報提供を行っております。

この協定上保護の対象となる企業は、締約国の関係法令に基づいて設立され、当該締約国の領域において実質的な事業活動を行っている者がその対象でございます。したがいまして、委員御指摘の入植地でビジネスを行うイスラエルや第三国の企業のうち、第三国の関係法令に基づいて設立された企業は保護の対象とはなりません。

また、イスラエルの企業につきましても、専ら占領地で経済活動を行う者につきましては保護の対象とはなりません。その他の企業への具体的対応につきましては、個々の事例ごとに検討する必要があると考えますが、本協定の解釈、適用に当たって、我が国の対応が国際法違反の活動を促進することのないように適切に対応していく考えでございます。

伊波洋一君

協定上の企業とは、第一条(e)の(2)で領域における実質的な事業活動を行っていると規定されておりますが、サブステンシャル・ビジネス・アクティビティーという用語に解釈の余地を生じ、抜け道になる可能性があるのではないでしょうか。

二〇一三年二月の国連人権理事会でのイスラエル入植地に関する事実調査団の報告で、パラ百十七では、「Private companies must」「take all necessary steps – including by terminating their business interests in the settlements -」、民間企業は、入植地におけるビジネスを終えることも含めて、あらゆる必要な手段を取るべきと、強く勧告をしています。

二〇一四年三月の国連人権理事会の入植ビジネスを伴う法的、倫理的リスクについて自国企業に周知することを要請する決議には、理事会メンバーであった日本政府代表も賛成、賛同しています。

EUは、二〇一三年、イスラエル入植地に関わる機関、事業に対する助成等の利益供与を禁じるガイドラインを、二〇一五年にはイスラエル入植地特産の原産地表示をイスラエル産としてはならないとするガイドラインを公表しています。

日本政府としても、入植地でのビジネスが国際法違反であり受け入れられないという政府見解に基づき、民間企業が適切に判断を下せるよう、判断基準、ガイドラインを整備すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

委員長(宇都隆史君)

時間ですので、端的に答弁ください。

政府参考人(外務省 上村司君)

お答え申し上げます。

せんだっての議論でも御紹介をいたしましたけれども、このビジネスと人権に関する指導原則につきまして、これは、これに基づきまして現在関係省庁の間で国別行動計画の作成の協議を行っているところでございます。こういう計画の作成を通じまして、広く内外に周知をしていく考えでございます。

さらに、先ほども御説明をいたしました、こういう危険、リスクにつきましては、外務省ホームページあるいは在イスラエル日本国大使館のホームページ上で適切に情報提供をしていきたいと考えております。

伊波洋一君

国際法違反を追認するような本協定は、日本政府の外交におけるソフトパワーを著しく毀損するものではないかと指摘して、質問を終わります。