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国政報告 / 議事録

外交防衛委員会(2018年5月29日)

2018.1.22~7.22 第196回常会

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伊波洋一君

沖縄の風の伊波洋一です。沖縄の基地負担の解消と日本の平和のためにも、六月の米朝会談が実現し、朝鮮半島の平和が生まれることを心から願っています。

質問に入ります。米海兵隊辺野古新基地建設に関する埋立工事について、防衛局は、K4護岸とN3、N5中仕切り護岸に囲まれた狭い区域を先行して埋め立てるとする防衛省からのリークと思われる情報が盛んに報道されています。防衛省は、既成事実化し、県民に諦めを押し付けようとしています。しかし、埋立工事の施工順序は、仲井眞前知事による二〇一三年十二月二十七日の埋立承認書に付された留意事項の四、添付図書の変更のうち、環境保全図書及び同じく埋立承認願の設計概要説明書にそれぞれ①から③まで順番に埋め立てていくと具体的に記されています。

それぞれについて、防衛省は県に対する変更承認申請をする必要があるのではありませんか。

防衛大臣(小野寺五典君)

御指摘の埋立承認の留意事項四には、環境保全に関し措置を記載した図書、いわゆる環境保全図書を変更して実施する場合は知事の承認を受けることと記載されていると承知をしております。

御指摘の区域、K4護岸とN3、N5中仕切り護岸に囲まれた区域の埋立てを先行して行うとしても、これにより環境負荷が増加するとは見込まれず、環境保全に関する措置を変更する必要はないと考えており、御指摘の留意事項四に基づく変更承認申請は必要ないものと考えております。

また、公有水面埋立法に基づく変更承認は、願書の記載事項である設計の概要を変更する場合を対象としており、添付図書である設計概要説明書の変更は当該変更承認の対象とはならないものと認識をしております。御指摘の区域の埋立工事は、埋立承認願書において特定された設計の概要を変更するものではないことから、公有水面埋立法に基づく変更承認申請は必要ないものと考えております。

いずれにしましても、防衛省としては、引き続き、作業の安全に十分留意した上で、関係法令に基づき自然環境や住民の生活環境にも最大限配慮し、普天間飛行場の辺野古への移設に向けた工事を進めていく考えであります。

伊波洋一君

防衛大臣のただいまの答弁は納得いきませんけれども、これまで分厚く出した様々な説明書、これを御破算にするようなものであります。それについて引き続き質疑をしていきます。沖縄県の赤土等流出防止条例では、第九条一項で、国が千平方メートル以上の一団の土地について事業行為をしようとするときは知事に通知をすると規定され、三項で、知事は必要と認めたとき国と協議すると定められています。

防衛省はこれを遵守しますか。

防衛大臣(小野寺五典君)

普天間飛行場代替施設建設事業に係る埋立てに関しては、沖縄県赤土等流出防止条例に基づく手続を行うこととしており、同条例に基づき適切に対応してまいりたいと思っております。

伊波洋一君

しっかり守っていただくようお願いをします。

環境保全図書では、「施設等の存在に伴う海草藻場の減少に対して、ジュゴンへの影響を最大限に低減するために、改変区域周辺の海草藻場の被度が低い状態の箇所や代替施設の設置により形成される静穏域を主に対象として、海草類の移植(種苗など)や生育基盤の改善により海草藻場の拡大を図る保全措置を講じます。」と規定しています。

施設等の存在とはどの段階のことでしょうか。今、砕石が海中に投下され、護岸が建設され、閉鎖区域への埋立土砂の投入までささやかれています。今の段階は施設等の存在ではないのですか。

政府参考人(防衛省 西田安範君)

お答えを申し上げます。環境保全図書におけます海草藻場の拡大を図る保全措置につきましては、御指摘のございました施設等の存在に伴う海草藻場の減少に対して、ジュゴンへの影響を最大限に低減するために、改変区域周辺の海草藻場の被度が低い状態の箇所や代替施設の設置により形成される静穏域を主に対象として、海草類の移植や生育基盤の改善により海草藻場の拡大を図る保全措置を講じますとされているところでございます。

なお、環境保全図書におきましては、工事の影響に関しまして、工事の実施と施設等の存在及び供用を別の区分として整理をしておりまして、工事の実施中である現在につきましては施設等の存在には当たらないものと考えております。

伊波洋一君

ただいまの答弁では、施設等の存在という状況ではないと。それならば、その保全措置を講ずるというふうに書いた海草類の移植あるいはその種苗など、このような生育基盤の改善というのは施設完成後をめどに行うということを想定しているんでしょうか。

政府参考人(防衛省 西田安範君)

お答えを申し上げます。先ほど申し上げました環境保全図書において先ほど申し上げましたような記述があるということで、それの記載にのっとりまして現在鋭意検討を行っているところでございます。このように、環境保全図書におきましては施設等の存在の段階を念頭に置いて保全措置を講じることとされており、現在具体的な対策を検討しているところでございます。

いずれにいたしましても、今後とも環境監視等委員会の指導、助言を得つつ、海草藻場の生育範囲拡大につきまして検討を進めていく考えでございます。

伊波洋一君

しっかり答えていただきたいと思います。少なくとも、防衛省としては、この施設等の存在というのは完成のことであって、いわゆる海草類等の移植の実現というものは完成後を想定しているというふうに理解してよろしいでしょうか。

政府参考人(防衛省 西田安範君)

お答えを申し上げます。繰り返しになりますが、先ほど申し上げましたように、環境保全図書におきましては、工事の実施と施設等の存在及び供用を別の区分として整理しておりまして、工事の実施中である現在については施設等の存在には当たらないというふうに考えております。

環境保全図書におきましては、施設等の存在に伴う海草藻場の減少に対しまして、ジュゴンへの影響を最大限に低減するために云々という記載がありまして、現在鋭意検討を行っているところでございます。環境保全図書におきましては、この施設等の存在の段階を念頭に置いて保全措置を講じることとされているということでございます。

伊波洋一君

言っていることが十分分からないですね。
ですから、施設等の存在というのは完成のことをいうのならば、いわゆるその改変による海草藻場の減少に対する対応というものは、念頭に置いているのは、その後の、完成が求められているというふうに理解しているわけですね。少なくともそれまでに、もう今すぐ造らなきゃならないものではないというふうに理解していいですか。もっとはっきり分かるように言ってください。

政府参考人(防衛省 西田安範君)

工事の実施中であります現在はまだ施設等の存在には当たらないという段階でございまして、環境保全図書においては施設等の存在の段階を念頭に置いて保全措置を講じることとされているということであります。

伊波洋一君

分かりました。施設等の存在は完成のことであるということはそういうことだというふうに分かりました。

ジュゴンへの影響の低減が海草藻場の保全措置の趣旨、目的です。米太平洋軍は、辺野古新基地ができたとしても二〇二五年以降であるとしています。飛行場及び飛行場施設が存在し供用される段階までジュゴンの餌場である海草藻場の保全がなされないのなら、その間、五年、七年の間、ジュゴンはどのようにして生存するのでしょうか。ジュゴン保護の目的が置き去りにされているのではありませんか。

政府参考人(防衛省 西田安範君)

お答えを申し上げます。海草藻場の保全に関しましては、これまでに第十回、平成二十九年十二月、それから第十四回、平成三十年四月の環境監視等委員会におきまして、藻場の拡大、造成場所の検討状況あるいは造成方法の検討状況など、藻場の拡大等の検討状況について御説明をいたしたところでございます。

具体的には、現地の踏査結果を踏まえまして、生育範囲拡大の候補地を選定をし、また、ヘチマを利用したポットによる人工種苗の生育の有効性が確認されたことなども説明をしてきてございます。これらに関しまして、第十四回の委員会におきましては、委員から、ジュゴン保護の観点からはアマモやウミヒルモといった海草類の生育についても更に検討すべき等の指導、助言もいただいておりまして、これらの指導、助言も踏まえまして、更に検討を進めてまいります。

現在鋭意検討を行っているところでございますが、いずれにいたしましても、海草藻場の保全に関しては、環境保全図書の記載にのっとってしっかりと検討を進めていく考えでございます。

伊波洋一君

前委員会でも答弁いただきましたけれども、いずれにしろ、防衛省としてはこの建設、完成までこれを行えばいいんだというふうな理解であるということを承知いたしました。

二〇一四年五月から七月の三か月で、日本自然保護協会は、シュワブ大浦湾、美謝川河口付近で百十本のジュゴンのはみ跡を確認しています。防衛省による、二〇一四年四月から七月にかけて、マンタ法によるジュゴンのはみ跡調査でも、七十七本のはみ跡が確認されています。これは、皆さんのお手元に出している資料にも入っていますが、シュワブ大浦湾側、美謝川河口の付近で間違いありませんか、防衛省が確認をしたものは。

政府参考人(防衛省 西田安範君)

お答えを申し上げます。二〇一四年四月から七月にかけてのはみ跡につきましては、この分類におきます辺野古(大浦湾西部)でも確認をされているところでございます。

伊波洋一君

これは、位置的に、まさにK9護岸の建設によってアプローチできなくなっている海域です。海草藻場の保全措置についてどう考えてきたのでしょうか。

政府参考人(防衛省 西田安範君)

海草藻場の生育でございますが、先ほど申し上げましたように、環境保全図書の記述を踏まえまして、この記載にのっとって検討を進めているというところでございまして、今後も鋭意検討を進めてまいりたいと考えております。

伊波洋一君

小野寺防衛大臣は、二〇一四年二月二十日の衆議院予算委員会で、ジュゴンが回遊する場合はあっても、これは辺野古大浦湾のことですけれども、主たる生息域は太平洋側、キャンプ・シュワブ沖ではないと答弁されています。

しかし、答弁していただいたとおり、その年の七月までに、六月までに、二〇一四年には防衛省の調査で七十七本、日本自然保護協会の調査で百十本のはみ跡が確認をされています。まさにそこは食事をする場所であり、生息域であるというふうに思いますが、小野寺大臣の当時の認識は間違っていたのではありませんか。改めて御見解を伺います。

防衛大臣(小野寺五典君)

過去には辺野古地先の海草藻場においてはみ跡が確認されておりますが、環境影響評価書作成時点で確認されていたジュゴンの行動範囲や餌場の利用状況から、同評価書において辺野古地先の海草藻場へ移動し採食する可能性は小さいと予測したことから、辺野古海域についてはジュゴンの主たる生息域とは考えていないと答弁をしております。

御指摘の平成二十六年四月から七月の間には、辺野古海域においてジュゴンのはみ跡が確認されておりますが、嘉陽において非常に多数のはみ跡が確認されており、辺野古海域がジュゴンの主たる生息域とは確認をしておりません。また、この平成二十六年七月以降は、辺野古海域において、はみ跡は確認されていないという報告を受けております。

伊波洋一君

まさに、それは工事の影響ではないでしょうか。資料にあるとおり、ジュゴンの個体Cについて、二〇一五年六月以降は確認が途絶えています。環境保全図書では、工事の実施後は「ジュゴンのその生息範囲に変化がみられないかを監視し、変化がみられた場合は工事との関連性を検討し、工事による影響と判断された場合は速やかに施工方法の見直し等を行うなどの対策を講じます。」とされています。

個体Cの生息範囲に変化が見られることは、防衛省も認識されていると考えます。環境保全図書どおりに速やかに施工方法の見直し等を行うなどの対策を講じるべきと考えますが、防衛省は、具体的にどのような検討によって、どのような対策を講じていますか。

防衛大臣(小野寺五典君)

ジュゴンの個体Cの存在については、平成二十七年六月以降確認されておりません。その原因については確たることを申し上げることは困難ですが、聞き取りを行った専門家からは、成人として親離れして、離れていってしまったのではないかという見解を得ております。

伊波洋一君

育って親離れして行方不明なのだろうという結論は、科学的な分析とは程遠いものです。辺野古新基地が沖縄において文化的重要性を持つジュゴンを消滅させる可能性があるとして、米国家歴史保存法に違反するとして提起されているいわゆるジュゴン訴訟では、米軍は、辺野古の海草藻場の破壊などへの緩和措置の要として、継続的モニタリングの結果を用いて生物学的緩和措置を補正調整する適応的管理、アダプティブマネジメントや海草藻場の移植に取り組んでいることを主張しています。

そして、生物学的保全の条件が整えば、普天間飛行場の代替施設建設は、絶滅危惧に直面する沖縄ジュゴン個体群に対し悪影響を与えることなく進めることができるとしています。しかし、本日の質疑でも明らかなように、辺野古工事の現状は、このアダプティブマネジメントが全く取り組まれていないことを示しています。

サンフランシスコ地裁で開始されているジュゴン訴訟では、昨年十二月二十八日に米国防総省から行政記録七百九十四個が提出されました。その中で、米国防総省の委託した専門家が二〇一〇年に作成した沖縄ジュゴンの人類学的調査という報告書において、米国の専門家は、生物学的、生態学的なジュゴンの調査プログラムが必要、沖縄防衛局のアセスはほとんど価値を持たない、科学的検証に堪えられないと厳しく指摘し、ジュゴンの餌場である海草藻場を他の場所に移す措置を提案しています。

防衛省は、この報告書をいつ受け取りましたか。報告書の内容をアセスの補正評価書に反映させましたか。

政府参考人(防衛省 西田安範君)

お答えを申し上げます。まず、米国政府内で作成された文書の一つ一つの内容につきまして、防衛省としてコメントをすることは差し控えさせていただきたいと考えております。

他方、防衛省といたしましては、当時、普天間飛行場代替施設の建設事業に係ります環境影響評価プロセスの状況につきまして、必要に応じ米側にも説明を行っていたところでございまして、その説明の中には環境影響評価の準備書の内容等も含まれるところであります。

当該説明を行った際に、例えばほとんど価値がないといったような見解を米側から伝えられたといったことは承知をしておりません。また、現在作業が進んでおります普天間飛行場代替施設の建設事業に係る工事は当該環境影響評価の内容を前提に行われておるところでありまして、これら工事の実施を認めている米側においても、当然、当該環境影響評価の内容に問題があるとは考えていないと認識をしているところでございます。

いずれにいたしましても、普天間飛行場代替施設の建設事業の実施に当たっては、これまでも、事業主体である防衛省において、部外専門家によって構成をされている環境監視等委員会の指導、助言も踏まえながら、適切に実施をしてきているところでございます。なお、委員御指摘の報告書と思われる文書につきましては、昨年、米側から提供を受けたところでございます。

伊波洋一君

専門家の皆さんいますけれども、しかしもう辞任もしているんですよね、どうしようもないと言って。そこで、沖縄防衛局のアセスはほとんど価値を持っていないという報告書、これは現在、ジュゴン裁判が行われておりまして、昨年十二月二十八日に提供されたわけですけれども、これ国防総省が出した資料なんですね。

国防総省が、要するにアセスをレビューするために調査をさせた結果、その中に書かれているということを日本政府としてはどう考えますか。

政府参考人(防衛省 西田安範君)

お答えを申し上げます。繰り返しになりますが、米国内で作成をされた文書の一つ一つにつきまして、内容につきまして防衛省としてコメントすることは差し控えさせていただきたいと存じます。

伊波洋一君

国防総省の委託した調査に関連する海洋哺乳類の専門家の電子メールも提出されています。普天間代替施設の全体的影響を評価することは可能ではないと。なぜならば、詳細な研究調査がまだ行われていない、沖縄におけるジュゴンの個体群の総数や現状、普天間代替施設の海域を使用するジュゴンの頭数についての情報を提供できる最先端の科学的調査が欠如しており、予想される影響等の範囲が正確に決定することは不可能である、沖縄防衛局の調査はほとんど科学性を持たないということなんですね。

つまり、私たちは、やはりそのことを前提にしながら、今ジュゴン訴訟が行われているということをしっかり受け止めていかなきゃいけません。私はやはり、米国におけるこの希少動物への……

委員長(三宅伸吾君)

伊波君、時間が来ておりますので質疑をおまとめください。

伊波洋一君

分かりました。価値というものがいかなるものかということをしっかり認識していく必要があると思います。来週また続きをさせていただきます。ありがとうございました。