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国政報告 / 議事録

外交防衛委員会(2018年6月5日)

2018.1.22~7.22 第196回常会

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伊波洋一君

沖縄の風の伊波洋一です。TPP11は、以前のTPPと同じく、グローバル企業の利益追求のために国内産業を犠牲にするものです。TPP11について、安倍政権は国民の声に耳を傾ける姿勢を欠いています。

安倍政権が沖縄県民の反対を踏みにじって強行する辺野古新基地建設についても、この姿勢は同じです。辺野古新基地建設工事について伺います。アセスにおいて、辺野古地先のリーフ内は海草藻場の被度が比較的高いと確認されています。資料の海草藻場の分布状況、二枚目ですが、見ても、現在土砂投入が検討されている辺野古地先、K4護岸の内側は最も海草藻場の被度の高い海域の一つです。海草類の年間生育量は、乾燥重量で、辺野古地先で約七十五・九トン、大浦湾で約十一・五トン、嘉陽地先で約九・五トンで、総量九十六・九トンの九割が辺野古地先と大浦湾なのです。

事業者として、K4護岸の内側が最も海草藻場の被度が高い海域であるとの認識はありますか。

防衛大臣(小野寺五典君)

環境保全図書におきましては、海草藻場の分布状況について、辺野古地先、大浦湾奥部、安部の湾内、ギミ崎の東側において比較的被度が高い箇所が見られる旨記載をされております。防衛省としましては、今後とも、環境保全図書の記載にのっとり、海草藻場に係る保全措置を講ずることとしております。

伊波洋一君

辺野古埋立てでは、七十八ヘクタールの最大の海草藻場が失われると言われています。通常の埋立工事では藻場に影響を与えないように計画するのですが、辺野古の工事は藻場そのものを埋め立てるものです。皆さんの資料のような状況で分かります。

外周護岸の完成、接続や土砂投入の前に、当然この外周によって囲われる海草藻場を移植しなければならないと考えますが、いかがですか。

政府参考人(防衛省 西田安範君)

お答えを申し上げます。環境保全図書におけます海草藻場の拡大を図る保全措置につきましては、施設等の存在に伴う海草藻場の減少に対して、ジュゴンへの影響を最大限に低減するために、改変区域周辺の海草藻場の被度が低い状態の箇所や代替施設の設置により形成される静穏域を主に対象として、海草類の移植や生育基盤の改善により海草藻場の拡大を図る保全措置を講じますとされているところでございます。

このように、環境保全図書におきましては、施設等の存在の段階を念頭に置きまして保全措置を講じることとされておりまして、現在、具体的な対策につきまして検討しているところでございます。

伊波洋一君

資料を皆様に、みんなに配ってあります資料、これは上空からの写真ですけれども、まさにここが海草藻場なんですね。海草藻場が今囲われています。ただいまの答弁は、そこはそのまま埋め立ててしまうというようなニュアンスですが、海草藻場の移植という以上、埋めてしまってからでは手遅れです。

海草類について、環境保全図書には、施設等の存在に伴う海草藻場の減少に対して、ジュゴンへの影響を最大限に低減するために、改変区域周辺の海草藻場の低い状態の箇所や代替施設の設置により形成される静穏域を主な対象として、海草類の移植や生育基盤の改善により海草藻場の拡大を図ると、このように書いています。

先ほど申し上げたように、九割が、この海草、辺野古そして大浦湾で生育しています。これはジュゴンだけではありません。この海域全体の様々な影響が与えることなんです。今答弁しておりますが、施設等の存在及び供用の施設等の存在の段階とは、飛行場及び飛行場施設の存在する段階という意味で間違いはないんですか。

政府参考人(防衛省 西田安範君)

お答えを申し上げます。いわゆる環境保全図書におきましては、本事業に伴う影響要因としまして、まず、公有水面の埋立てと飛行場及びその施設の設置という区分があるところでございまして、この飛行場及びその施設の設置の中には施設等の存在及び供用が含まれております。このような分類に基づきまして、施設等につきましては飛行場及びその施設に該当するものと整理をしております。

また、護岸の工事等を行っております現在につきましては、公有水面の埋立てにこの分類上は該当する時期でありまして、飛行場及びその施設の設置の中の施設等の存在及び供用には当たらないものと考えておるところでございます。

伊波洋一君

ただいまの答弁について、環境保全図書には、先ほど述べたように、施設等の存在に伴うと書いてある、伴うとの前提で、海草藻場の減少に対して移植を行うとされ、今の回答は、防衛省は完成後に移植を行うと。しかし、完成したらもうなくなっちゃっていますね、この海草は。一体この海草はどうなるんでしょうか。

私たちは、同じく環境保全図書の「工事の実施」の項目には、工事中においても海草類の移植や生育範囲の拡大について可能な限り実施します、と書かれています。沖縄防衛局の公有水面埋立承認願書には、海草藻場を埋め立てるということは一言も書いてありません。逆に、環境影響評価書には、「代替施設の位置については、海草類の生育する藻場の消失を少なくできるように計画しています。」と書いています。しかし、実際は、この施設の中に最大の藻場が入っています。しかし、その最大の藻場に対して、今の答弁は、何もしないのだと、このような言い分ですね。本当にそれでいいんでしょうか。

この辺野古最大の海草藻場を埋め立てる。しかし、環境保全図書には改変区域の周辺に三か所移設先が示されています。この移設先は、この海草藻場の広さに相当するものです、三か所ですね。そういう移設先を示しながら、移す藻場を埋め立ててしまったら、どこから移すんですか。なぜ埋立予定地内の海草類の移植を取り組まないんですか。

政府参考人(防衛省 西田安範君)

お答えを申し上げます。若干繰り返しになりますけれども、環境保全図書におきましては、代替施設の設置に伴う海草藻場の消失がジュゴンの個体群維持に及ぼす影響は小さいと考えるとしておりまして、その上で、そうした認識も前提に、施設等の存在に伴う海草藻場の減少に対して、ジュゴンへの影響を最大限に低減するために、改変区域周辺の海草藻場の被度が低い状態の箇所や代替施設の設置により形成される静穏域を主に対象として、海草類の移植や生育基盤の改善により海草藻場の拡大を図る保全措置を講じますというふうにされておるところでございます。

これに基づきまして、現在、当該記載に基づいて鋭意検討を行っておるところでございまして、いずれにいたしましても、今後とも、環境監視等委員会の指導、助言を得つつ、海草藻場の生育範囲拡大につきましてはしっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。

伊波洋一君

環境アセスの一番のポイントは何かというと、広大な海草藻場をどのように保全するかということです。細かく書かれています。工事の最中もネットを掛けるのも、これも海草藻場への影響を与えない、含めてです。

しかし、ただいまの話は、海草藻場の、その二つ、工事中というのと、それから施設の完成・供用というのがありまして、この二つに分かれている。分かれているから、その下の方にあるので完成というのは飛行場の完成のことだから、そこに移植はすると書いてあるけれども、今じゃないんだからやらないというのが今の主張ですね。しかし、おかしいんですよ。

「工事の実施」においては、周辺海域の海草藻場の生育分布状況が明らかに低下した場合には、必要に応じて、専門家の指導、助言を得て、海草類の移植や生育基盤の環境改善による生育範囲拡大に関する方法等を検討し、可能な限り実施します、これは工事のところに書いてあります。

そもそも、この埋立てをやれば、そこにある藻場が影響を受けます。最後は埋め立てられます。そのことが明らかなのですから、当然その外にある海草同様に、この海草を対処するのは当たり前ではないですか。周辺海域の中には、当然工事実施区域も含まれるはずです。

そもそも一番の前提は、藻場の上を埋め立てないというのが一番の最初の前提なんですが、しかし、皆さんはそこを、まさにそこを埋め立てようとしている。それならばこの藻場を対処する、そのことは当然ではありませんか。アセスや保全図書の意味は、工事実施中には海草類の移植をしなくてもよいことではないのではないですか。

政府参考人(防衛省 西田安範君)

お答えを申し上げます。環境保全図書におきましては、委員御指摘のように、工事の実施において周辺海域の海草藻場の生育分布状況が明らかに低下してきた場合には、必要に応じて、専門家等の指導、助言を得て、海草類の移植や生育基盤の環境改善により生育範囲拡大に関する方法等を検討し、可能な限り実施と記載されているところでございます。

今後そのような状況が確認をされた場合には、環境保全図書の記載にのっとりまして適切に対応してまいりたいと考えております。

伊波洋一君

ではお伺いしますけれども、今護岸で囲もうとしています。やがて閉じます。ここに土砂を入れたときに、この藻場はそのまま生育環境は変わらないんですか。つまり、皆さんが予定している次の土砂の段階で、ここにある藻場というのはそのままそこに存在し続けるんですか。

ここでいう生育環境の状況が明らかに低下した場合、まさに絶滅をさせようとするわけじゃないですか、埋立てで。この埋立てに対して何の対策もしないんですか。今の話は、ただその場所が、書かれている場所が違うからというだけの話であって、実質的な環境保全の意思を全く持っていないということじゃないですか。お答えください。

政府参考人(防衛省 西田安範君)

お答えを申し上げます。まず、繰り返しになりますけれども、先ほど申し上げましたように、環境保全図書におきましては、工事の実施において周辺海域の海草藻場の生育分布状況が明らかに低下してきた場合には、必要に応じて、専門家等の指導、助言を得て、可能な限り実施というふうに記載をされておるところでございます。

これまで、第十五回の環境監視委員会におきましては、普天間飛行場の代替建設事業に係る工事を開始する前の平成十九年から二十七年までの海草藻場の生育状況についての分析結果を報告をしておるところでございます。その中で、海草藻場の減少等の理由につきましては委員からは特段の指導、助言がなかったところでございますが、今後とも、環境監視等委員会の指導、助言を得ながら、そうした状況、工事の実施において周辺海域の海草藻場の生育分布状況が明らかに低下してきた場合、そういった状況が確認をされた場合には、環境保全図書の記載にのっとって適切に対応していく考えでございます。

伊波洋一君

じゃ、今、確認された場合というのは、土を入れたら当然駄目になっちゃいますね。ここを閉じたら当然藻場は死んでしまいますね。それが確認ですか。

政府参考人(防衛省 西田安範君)

繰り返しになりますが、周辺海域の海草藻場の生育分布状況が明らかに低下してきたということが確認された場合には、環境保全図書の記載にのっとりまして適切に対応していく考えであります。

伊波洋一君

じゃ、周辺というのにはこの中にある藻場は入らないということですか。明確に答えてください。

政府参考人(防衛省 西田安範君)

周辺海域の海草藻場の生育状況ということでございますので、ここをしっかりと確認をしていきまして適切に対応してまいりたいと考えております。

伊波洋一君

いや、答えてください。この今締め切ろうとしている中は入らないのですかと聞いているんです。

委員長(三宅伸吾君)

速記を止めてください。

〔速記中止〕

委員長(三宅伸吾君)

速記を起こしてください。

政府参考人(防衛省 西田安範君)

繰り返しになりますが、周辺海域の海草藻場ということでございます。そうしたことでございますので、今後、仮に埋立てを行っていくということになりました場合に、それに伴いまして周辺海域の海草藻場の生育分布状況が明らかに低下をしてきた、そういった場合には、環境保全図書の記載にのっとりまして対応していきたいと考えております。

伊波洋一君

そもそも、その藻場を移植するということも書いてある。で、場所も、今日は今資料示していませんけれども、その間の空白の区域、この空白の区域、それから二か所、それから施設ができた後の大浦湾側、この三か所が指定されて大きなエリアが確保されている。しかし、肝腎の藻場があるところ、今藻場があるところを移すということを今答弁できないんですよね。当然それ、こういうことやるのが当たり前じゃないですか。

それに、あと一つ。皆さんが昨年十月に受け取った米国防総省の沖縄ジュゴンの人類学的調査等を含めた基礎調査プログラム、それから、それに基づいて国防総省が裁判所、連邦地裁に提出した、二〇一四年四月十五日付けで提出した米国海兵隊推奨報告書では、三つの条件でジュゴンの保全をすると書いてあるんですよ。その中に藻場の移植があります。

つまり、問題になっているのは、先ほど申し上げたように、九割が失われる、つまり藻場の九割の生育重量が失われるような埋立てを今しようとしている、防衛は。それに対する代償措置を求められているんですよ。そのことを皆さんは、アセスでは書きながら、実際はやらないという、これでいいんですか。

政府参考人(防衛省 西田安範君)

お答えを申し上げます。ジュゴンの状況あるいは海草藻場の状況につきましては、ただいま工事を進めている段階でございますけれども、その中でしっかりと事後調査等を行いましてモニタリング等を行っているところでございます。そのモニタリングの状況を踏まえまして、必要な場合には適切に対応してまいりたいと考えております。

伊波洋一君

とにかく、今のような状況で外周護岸の接続とか土砂の投入というのはあり得ないです。もっときちんと整理をしてください。環境保全というのは何かということを、皆さんがアセスに書いたことは何だったのかということをきちんと整理して取り組んでいただきたいと思います。

また引き続きこの件はしますが、質問通告してありますので、ジュゴンの件で。環境省は、今、沖縄にジュゴンが具体的に何頭いると考えていますか。

政府参考人(環境省 米谷仁君)

環境省が過去に行いました調査、それから防衛省が実施しておられます航空調査、沖縄県が実施しておられます調査などを踏まえますと、日本における生息頭数は少数にとどまるものと考えております。

伊波洋一君

もう少数ということですが、前回五月二十九日の委員会で、大臣は、二〇一五年六月二十四日のヘリ監視調査以降確認できなかったジュゴンの個体Cについて聞き取りを行った専門家から、親離れして離れていったのではないかとの見解を受け取っていると答弁されました。

この説明は、到底科学的分析とは言えません。少なくとも、どのような専門的知見を有する誰がどのような科学的根拠に基づいて結論をしたのか、明らかにすべきです。何らかの具体的な科学的根拠が示されるべきです。第九回委員会で紹介された、親離れしていったという説明を行った御専門の先生方とは誰ですか。どのような科学的根拠に基づく結論でしょうか。

政府参考人(防衛省 西田安範君)

お答えを申し上げます。委員御指摘のように、ジュゴンの個体Cの存在につきましては、平成二十七年の六月以降確認をされていないところでございます。その原因につきましては、確たることを申し上げることは困難でございますが、聞き取りを行った専門家からは、成人して親離れして離れていってしまったのではないかとの見解を得ており、その旨を第九回の環境監視等委員会で報告をしたところでございます。この専門家の氏名につきましては従来から公表を差し控えさせていただいているところでございまして、監視等委員会の委員であるかどうかも含めましてお答えは差し控えたいと存じます。

なお、科学的根拠につきまして確たることを申し上げることも困難でございますけれども、ジュゴンの個体Cの親離れにつきましては、二十九年の七月に行われました第八回の環境監視等委員会におきまして、委員会の委員から、ジュゴンは生まれて親と一緒にいる期間は一年であること、古宇利で母親である個体Bと一緒に見付かる時期もあったが、その後、個体Cは嘉陽沖でも見られているので、この時期には親離れをしているということ、そうすると二〇一五年以降はもっと違うところに行った可能性がある、そうした意見が出されているところでございます。

いずれにいたしましても、ジュゴンにつきましては、今後とも引き続き生育状況に係る監視調査を適切に行うこととしておりまして、当該監視調査の結果を踏まえ、ジュゴンに対する環境保全措置につきましては、委員会の指導、助言も得ながら適切に対応してまいりたいと考えております。

委員長(三宅伸吾君)

時間が参りましたのでおまとめください。

伊波洋一君

時間も来ましたが、引き続き行いますけれども、ジュゴンCについての環境監視委員会等での議論も継続をしています。そのほかも含めて、やはり今問題になっているのは……

委員長(三宅伸吾君)

伊波君、時間が参りました。

伊波洋一君

はい。とにかく、次回に向けてまた質問いたします。終わります。