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国政報告 / 議事録

外交防衛委員会(2019年3月19 日)

2019.1.28~6.26 第198回常会

伊波洋一君

沖縄の風の伊波洋一です。二月二十四日の県民投票を受けて、三月十六日、沖縄では、土砂投入を許さない、ジュゴン、サンゴを守り、辺野古新基地建設断念を求める三・一六県民大会が開催され、一万人が参加をしました。

安倍首相は、辺野古新基地建設について、二〇一二年の2プラス2共同発表では、「これまでに特定された唯一の有効な解決策」と限定付きだったものを、二〇一三年十二月末に仲井眞県知事に埋立てを承認をさせ、二〇一四年二月十二日の糸数慶子議員の質問主意書に対する答弁書で、この「これまでに特定された」という文字を削除し、辺野古が唯一の解決策と閣議決定し、米国のプランB等を含めた様々な可能性に蓋をして、辺野古の建設工事を強行し、今日まで続く辺野古問題をつくり出しました。

この政治的な責任は大きいと思います。繰り返しますが、特に、安倍総理が仲井眞県知事にした普天間基地の五年以内の運用停止という約束を果たさなかったことは、極めて重大な背信行為です。

菅官房長官は昨日の記者会見で、沖縄の新基地建設の断念を求める県民大会決議に対し、建設方針に変わりはない、普天間飛行場が固定化され、危険なまま置き去りにされることは絶対に避けなければならないと言っていますが、その責任があるのは防衛大臣や政府ではありませんか。その責任を放棄しておいて普天間飛行場の危険性除去を放置し、これから十数年以上も掛かると言われる埋立てをいまだに強行しようとしています。

しかし、七割が反対を示した県民投票で示された民意を真摯に受け止めるならば、異なる解決策を求めるべきであると改めて強く求めて、質問に入ります。

三月十五日に、防衛省は、これまで私を含む多くの議員から資料提出を求められながら、審査請求中を理由に国会に提出してこなかった辺野古における地盤に係る設計・施工の検討結果報告書など、一連の調査結果を開示しました。予算の根拠となる資料であるにもかかわらず、全体で一万ページもある資料を予算審議の終盤に当たる時期にようやく国会に提出したことは、安倍政権の国会軽視の現れであり、強く抗議します。

最も古い調査報告である平成二十八年三月のシュワブ平成二十五地質調査は、C1護岸付近は大きくへこむ谷地形で、非常に緩い軟らかな砂質土、それから粘性土が堆積しているとし、「以上のことから、特に当該地においては、構造物の安定、地盤の圧密沈下、地盤の液状化の詳細検討を行うことが必須と考える。」と結論しています。

防衛省は、二〇一七年三月に埋立てに着工し石材を投入し、昨年十二月には土砂投入を強行しましたが、工事強行以前に、既に軟弱地盤により工事の成否自体が見通せなくなっており、仮に工事が可能だとしても大幅な設計変更をしなければならないことを防衛省は認識していたわけで、防衛省の工事強行は極めて悪質だと考えます。

大臣は、二〇一六年三月にはこのような調査結果が出ていたことを報告されていますか。大臣が報告を受けたのはいつでしょうか。

防衛大臣(岩屋毅君)

先生御指摘のシュワブ平成二十五地質調査、いわゆる最初の二十四本のボーリング調査結果でございますけれども、この内容については、私が防衛大臣に就任直後、平成三十年十月四日の業務説明、普天間飛行場代替施設建設事業に関する業務説明の一環で報告を受けたところでございます。

その際、御指摘の二十四本のボーリング調査の結果ではN値ゼロの地層が確認されたけれども、調査地点が限定されていること、また、別途室内試験を行ったところ、ボーリング調査で非常に軟弱であった土壌についても一定の強度を示す値が出たこと、したがって、当該二十四本のボーリング調査の内容のみでは地盤の強度等を評価できる段階にはないと判断して、更に追加してボーリング調査や室内試験を実施し、十分なデータを得た上で地盤の強度等を評価することとしているという報告を受けたところでございます。

伊波洋一君

ただいまの資料は配付の資料の一番最後の方にございますので、見ていただきたいと思います。少なくとも二〇一七年三月に石材を投入する以前の時点で一旦作業を中止し、沖縄県と真摯に話し合うべきでした。今からでも工事の強行を一旦停止し、考え直すべきではないでしょうか。

防衛大臣(岩屋毅君)

この問題の原点は、もう先生に釈迦に説法で、申し上げるまでもなく、普天間飛行場の危険性の除去、ひいては返還を成し遂げるということにございます。

私どもは、この辺野古への移設作業なかりせば普天間は固定化すると、これは断じて避けなければならないと決意をしているところでございますので、今後とも、丁寧に説明をし、御理解をいただきながら事業を前に進めさせていただきたいと考えております。

伊波洋一君

冒頭、その辺野古以外の解決策をなくしたのが安倍政権だということを申し上げました。前委員会でもお話をしましたけれども、これについては次の、あしたの委員会でまた話をしたいと思います。少なくとも解決策にはならないんだと、そして別の解決策はあるのだということはいずれ示していきたいと思います。

三月十五日に開示された地盤に係る設計・施工の検討結果報告書では、サンドドレーン工法による地盤改良を行うことにより、残留沈下量は供用開始から二十年間で約四十センチと推定され、本件事業と同様の海上埋立空港である東京国際空港D滑走路と同様に、適切な維持管理により対応が可能と説明しています。報告書では、羽田の沈下予測を百年で六十九センチという数値を引用していますが、これは、二〇一〇年十一月に刊行された九年近く前の第九回地盤改良シンポジウムの古い論文から引用した、しかも予測の数値です。

前回の委員会の国交省の答弁では、実測は埋立開始から十年間で七メートル。開港からの七年間で四十八センチも沈下しています。関空ではもっと沈下していて、予測は開港後五十年で十一・五メートルですが、実測は一九八七年の埋立開始から三十年で十三メートル、九四年の開港から四メートルも沈下しています。

防衛省の報告書は、大浦湾の沈下量を過小に評価しています。防衛省は、羽田ではなぜ百年間で六十九センチの予測が実際には七年間で四十八センチも沈下していると考えていますか。防衛省は羽田の沈下量の実測値を把握していますか。また、関空の沈下量の実測値は把握していますか。

政府参考人(防衛省 鈴木敦夫君)

御指摘の関空ですとか羽田空港におきますところの沈下量については承知をしておりますけれども、防衛省といたしましては、当省以外の他の事業について評価することは差し控えさせていただきたいと思います。

ただ、その上で申し上げれば、一般的には一年当たりの沈下量というものは年を経るごとに徐々に少なくなっていくものと承知してございますし、また、普天間の代替建設事業につきまして、先ほど委員からも御指摘ございましたように、埋立終了後から二十年間の沈下量は最も大きいところで約四十センチというふうに予測してございます。

こうしたものにつきましては、沈下量をあらかじめ予測した造成後の高さを設定するですとか、維持管理ですね、をしてかさ上げをするなどと、様々な対策を講じることによって対応可能でありまして、本件の埋立地についても、安全性に問題なく飛行場として供用させることができるものというふうに考えてございます。

伊波洋一君

お手元配付の資料の二ページ以降にただいまの報告書があります。これは平成三十一年一月に出されていますが、今申し上げましたように、これはもう九年も前の資料で、これもそのときの予測値です。もう実測は出ているんです。実測は出ているにもかかわらず、そこの資料に提示してございますように、結果的には今申し上げた百年で六十九センチということを平気でそれを証拠立てるものとして書いている。

なぜ予測が外れたと考えますか。

政府参考人(防衛省 鈴木敦夫君)

繰り返しで恐縮でございますけれども、こちらの関空ですとか羽田空港の事業につきましては、防衛省以外の事業でございますので、当省として評価をすることは差し控えさせていただきたいと思っております。

伊波洋一君

一体幾らのお金を掛けてこの工事が行われていますか。皆さん、これは別の省庁の問題だから答えるわけにはいかないと言っていますが、答え切れないわけでしょう、答え切れないから答えないわけでしょう。

大臣にお伺いしますが、どうして、辺野古、大浦湾では二十年で四十センチしか沈下しないと保証できるのですか。

防衛大臣(岩屋毅君)

私ども、二十四本に加えて、五十二本の追加のボーリング調査結果をその専門家によって検討してもらった結果、そのような今予測値を得ているわけでございまして、土木工学的にどうしてそうなるのかという理屈まではもう私は分かりませんけれども、しっかりと検討していただいた結果でございます。

伊波洋一君

私たちも、事務所で担当者からいろいろ聞いております、計算をした結果と。それで、皆さんが先日開示をしたこの検討結果、報告書、この中に書いてあるわけです。

そして同時に、先ほども申し上げたように、羽田も六十九センチしか百年間で沈下しませんよと書いてあるわけです。その後ろの方には、どんなふうに沈下する、飛行場の例が書かれています。供用後の沈下、残留沈下を許容するところ、いろいろあります。でも、皆さんは二十年で四十センチしか、防衛大臣はこう説明をしておられる。でも、その答えは、これ計算の結果にすぎないんですよ。計算の結果は見事に外れたわけです。羽田でも外れて、関空でも外れています。関空は四メートル外れているんですね。

五十年で十一・五メートルが、三十年でもう十三メートルも沈下している、関空ではですね。どうして皆さんが造る辺野古だけそれは確かなんだ。計算はみんな一緒です。計算が外れることは、これは国交省から聞いたんですけれども、飛行場ごとに違うからやってみなければ分からない、こういうような考えなんですね。

本当に、じゃ、答えはそういうふうに計算している答え、皆さんが出している証拠書類というもので答えているけれども、本当はやってみなければ分からないのではないですか。そのことについて、大臣としてはどのように考えていますか。

防衛大臣(岩屋毅君)

言うまでもなく、関空や羽田は民間空港でございますが、個々における、何といいますか、使用頻度といいますか、飛行機がどのぐらいの頻度でどういう機体が降りるかということによっても、多分当初の計算値と違ってくるところが出てくるんだろうと思いますし、恐らく近年の、何といいますか、観光ブームということからいうと、非常に使用頻度が増してきているというようなことも、これは私の想像でしかありません、国交省さんに聞くとはっきりしたことが分かると思うんですが、そのようなことも恐らく影響しているのではないかなと考えます。

辺野古に造ろうとしているのは、普天間基地の機能の一つを代替移設するという事業でございますし、最初に予測された予測値からはそれほど大きく外れないのではないかと思っておりますが、しかし、仮に外れたとしても、これも様々な工法によって克服することが可能だという検討結果を得ておりますので、安定的な施工は可能だというふうに考えているところでございます。

伊波洋一君

大臣、飛行機が一つだけ降りるだけでは沈むわけではないんですね。結局、ここは、九十メートルの、四十メートル近くの軟弱地盤と深さの三十メートル埋める土地、あるいは五十メートルぐらいの軟弱地盤と四十メートル埋める土地。
この重さが、圧密沈下といって粘土層だから結局は経年で沈んでいくんですね。重さがあるから、この土地の底に埋めたものが。なおかつ、七十メートル以下はやらないというふうに言っているわけです。
一枚目のページの資料がありますけれども、何と言っているか。「地盤改良をしない部分があれば、圧密沈下が長期間発生する。」、「怖いのは予測より沈下量が大きくなった場合だ。」と。C2護岸というのは五メートル下にはもう固い岩がある。でも、C1は七十メートル、九十メートルのところまでそういう圧密沈下の可能性のある粘土層、固い粘土層とはいうけれども、しかし、「重さが加わると沈下する。」と書いてございます。
つまり、リスクがあるわけですよ、今のこの資料はですね。皆さん、お手元に資料ありますけれども、こんな複雑な地層が曲がりくねっている、断層もあるというふうにも指摘されている。でも関空は違うんですね。みんな平行で、やっていて均等に沈下します。

あと一点、シュワブのは陸地です。シュワブの陸地は沈下しないんですよ、あの飛行場。片一方では沈下する海の埋立てがあり、沈下しないシュワブ陸上があり、そういうところで造っているんです。
一体どんなことが起こるかということを想像することぐらいしないと、本当にこれがリスクでないかと。何千億というお金を掛けるんですよ。なおかつ普天間には危険性を押し付けている。そのことをやはり私たちは、政治がこれを解決しなきゃいけないじゃないですか。

だから、そこを、大臣、もっと具体的に、本当に真摯に、防衛省として本当にこれは問題ないのかと。こういう報告書だけでただ答えるだけでこの問題が解決するのかと、是非聞いていただきたいんですが、いかがでしょうか。

防衛大臣(岩屋毅君)

これから、得られた結果を基に詳細な設計に入っていくわけでありまして、その際に、先生御指摘のような点も含めてしっかり克服できる工法というものをお示しをしてまいりたいというふうに考えております。

伊波洋一君

事務方に聞きますけど、ケーソン護岸の不均等な沈下が問題です。配付資料のように、専門家は七十メートル以下を地盤改良しないC1護岸を懸念しています。ケーソン護岸は沈下しないと断言できるのですか。

政府参考人(防衛省 鈴木敦夫君)

今、沈下のお話、幾つかございました。この中でも、委員がお配りいただいた資料の中でも、その七十一ページ、この報告書の中でも、施工段階における対応として、代表箇所を複数選定して施工に伴って生じる地盤挙動の観測を行い、必要に応じて施工速度の増減や予測沈下量及び上げ越し量の修正等の微調整を行いながら予測精度を高めつつ施工を進めるとか、こういうようなことでありますとか、また、先ほど申し上げたように、不均一な沈下に対しましても、一般的には、例えば沈下量をあらかじめ考慮した造成後の高さをエリアごとに設定しますだとか、維持管理段階でのかさ上げ、こうした対策を講じることによりまして対応可能でありまして、本件の埋立地についてもそれらの対策を行うことで安全性に問題なく飛行場を供用させることができるというふうに考えてございます。

伊波洋一君

ただいまの答弁は報告書ですよね、報告書を述べているだけにすぎないです。安倍総理は、一月三十一日の衆議院本会議で、大浦湾側の埋立ての地盤改良のために沖縄県に設計概要の変更申請をすると表明しました。しかし、この間の安倍政権の対応は、県民投票の結果を真摯に受け止めるという言葉からは懸け離れた極めて強権的なものです。

防衛大臣にお伺いしますが、この状況で果たして、今の問題も含めて沖縄県における設計概要の変更の承認の見込みがあると考えていらっしゃるんですか。

防衛大臣(岩屋毅君)

是非、設計変更の承認願には応じていただきたいというふうに私ども考えております。

先ほども申し上げましたように、この問題が仮に再び漂流するということになれば、普天間飛行場は間違いなく固定化する、それだけは是非避けたいと。これは沖縄の皆さんも、あるいは各党各会派の皆さんも共通の認識だというふうに思っておりますので、丁寧に説明を重ね、御理解をいただくべく努力してまいりたいというふうに考えております。

伊波洋一君

時間が来ましたが、次回も話します。実際、漂流はしないです、解決しなきゃならないから。アメリカにとってこれは解決しなきゃならないから。辺野古があるから固定化されているんですよ。そのことをしっかり理解していただくように次に質問をつないでいきたいと思います。