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国政報告 / 議事録

外交防衛委員会(2019年11月28日)

2019.10.4~12.9第200回臨時会

伊波洋一君

沖縄の風の伊波洋一です。中川参考人、鈴木参考人、内田参考人、本日、本当にありがとうございました。

時間が限られておりますので、全員には質問できないと思いますけれども、まず鈴木参考人にお伺いしたいと思います。特に、今、先ほどの食の安全の問題でもありますが、食料安全保障あるいは食料自給率、今日提出いただいている資料にもありますように、やっぱり日米関係というのは、米国の農産物をめぐる輸出入の問題では、日本が市場として、ずっと戦後占領下、あるいは日米安保条約の下でのある意味で従属的な日米関係の中で、そういう消費の場として位置付けられてきている。

今回の日米交渉もその一つでありますけれども、とりわけ今問題になっておりますのが、米国の農業がいわゆる大規模農業で、そして遺伝子組換え作物、それから枯れ葉剤、除草剤など、そういう機械化された、効率化された中で、この資料にもありますように、食パンのグリホサートの含有率、私たちが一番健康志向の全粒粉というものに一番多く含まれているなど、これが象徴していると思うんですけれども。

今日、連合審査の中でも、学校給食に使われているパンにもグリホサートが混入していると。それに対するいわゆる検査は国として何も行っていないと。これ、地方自治体が行う仕組みがあるのでそういうことになっているという状況で、つまり、まさに私たち国民の健康があんまり、全然精査されないまま、こういう貿易交渉の下で、つまり表示そのものを消していくという流れが動いていますが、この辺、全体の流れをいま一度教えていただきたいと思います。

参考人(鈴木宣弘君)

先生のおっしゃるとおり、今、日米関係でまさに戦後の占領政策として我々はアメリカの穀物を大量に受け入れて、そして、それによって助けられた面もありますが、我々の食生活は、トウモロコシ、大豆、小麦、アメリカのものをたくさん我々が消費してきたと。

今回は、そのトウモロコシをまだ更に買うようにというような要請も来て、そういう意味では占領政策がまだ続いているような状況でもあるのかなと思いますが、そういう中で、アメリカでは、御案内のとおりのいろんな新たな技術、遺伝子組換え技術とかで、特に大豆、トウモロコシについては遺伝子組換えにして、除草剤を掛けても枯れないようにしたと。小麦については遺伝子組換えになっていないけれども、収穫期にその除草剤を掛けて枯れさせると。それがまさに我々のがんやそれから神経的な病気のもとになっているんじゃないかということで心配になって、四ページに表がありますが、食パン調べましたら、そんなふうな形で出てきていると。

この基準値が、小麦は三〇ppmということに日本はなっていますけれども、それに比べたら低いじゃないか、だから大丈夫だという議論がありますけれども、これは米は〇・〇一ppmです。なぜ三〇ppmになったかというと、アメリカ側から、アメリカでもっともっと除草剤を大豆やトウモロコシや小麦に掛けなきゃいけない、だから日本の安全基準値をそれに合わせて緩めてくれと、そういうものを日本は対応してこういう形にしてしまっていると。

そういうことで、ますますアメリカから輸入の穀物や農産物増えますが、それは先生が言われたとおり、いろんな意味で非常に危険な要素も含んでいると。それが今、今後とも、日米協定の過程の中で更に要求を受け入れざるを得ないということについて、我々はしっかりと考えなきゃいけないんじゃないかと思っております。

伊波洋一君

指摘されております食料自給率やそういうものの今の危機的な状況に対して、我が国としては国内の農業、いわゆる割と健康志向の中では自国産の麦やそういったものを使うという志向は強いと思うんですけれども、現実的に我が国が自給に向けてやはり努力するということはできない環境にあるんでしょうか、それともできると見ていますか。

参考人(鈴木宣弘君)

まずは、政策的にこういうふうな動きをどう止めるかということは重要ですけれども、それ以上に、私たちが、国民の皆さんがこの実態に気付いて、危険なものは自分たちは避けると。

そういうふうな形で、例えば表示ができなくなっても、アメリカの消費者も動きましたように、表示ができなくされれば、そうすればきちんとした安全、安心なものを自分たちの流通ルートで確保しようと。生産者と消費者の結び付き、あるいは安全、安心なものを流通させてくれる企業、そういうものとしっかりとネットワークをつくって、安全、安心なものをつくる生産者と、それからそれを流通する人たちと、それと消費者の自分たちが自分たちの力で自分たちの命と暮らしを守っていこうと、そういうふうなネットワークをしっかりとつくっていこうという運動、それをみんなで強化していく、このことが非常に重要なのではないかというふうに考えております。

伊波洋一君

種子法の廃止に伴って、全国でいわゆる、最終的にはグリホサートなどにも関係してくるんですけれども、いわゆる国内の地場の作物が危ないという認識がとても強くなっていますね。

そういう辺りも含めて、私たち、もちろん世界的なこういう国と国との貿易協定というのはいろんな事情があるんでしょうけれども、でも、やはり今これがどうも隠されていく流れの中にある中、やはりこういう日米貿易協定をめぐって本当にぶつかっている国益というのは実は企業益である場合もあって、そういうものをより深く理解するためにはどういったことが必要でしょうか。

参考人(鈴木宣弘君)

そういうふうな情報について、十分に国民の皆さんが認識している状況ではないと思いますので、そういうふうな安全、安心に関する、それは輸入だけでなくて国内のものもそうですが、そういうことについての客観的な情報をしっかり共有できる仕組みをつくる、そういうことを国民、消費者、住民の皆さんにしっかりと知らせていく仕組みを私たちは強化する必要があるんじゃないかと。それによって、どう動くべきかという議論がしっかりとできるんではないかというふうに考えております。

伊波洋一君

ありがとうございます。残りの時間で、先ほど中川参考人、それから内田参考人からは、今回の貿易協定の最大の日本政府の成果は、通商拡大法二百三十二条の関税追加措置というものが行われなかったこと、これを行わせないことを担保したというふうに評価しているというふうな形だったように思うんですけれども、しかし、明文上はどこにもそれは出てこないわけですね。つまり、でも、それによって、いわゆるその協定がもたらす金額的な評価ではゼロになるということを前提に、先ほど鈴木参考人が約一兆円のマイナスになるということが否定されているわけですけれども、これについてお二人の参考人の御意見を伺って、終わりたいと思います。

参考人(中川淳司君)

お答えいたします。協定の本文にはそのことは盛り込まれていませんけれども、二〇一九年九月二十五日付けの日米共同声明の中で、私の用意した配付資料の四ページですけれども、そこで青い字でアンダーライン引きましたけれども、日米両国は、これらの協定が誠実に履行されている間、両協定及び本共同声明の精神に反する行動を取らないと。その精神に反する行動というのが通商拡大法の追加関税であるということについては明確な了解がありますので、共同声明、首脳同士の共同声明というところで実際上発動を封印したというふうに解釈できると思います。

参考人(内田聖子君)

ありがとうございます。私は、目的を拡大法の制裁関税の回避に設定したと申しましたが、これ自体が間違いだと思っていますし、その結果、何の明文化された担保も取れていないというのが私の分析です。

その共同声明の文書にしても、それから関税撤廃の約束をアメリカがしたかどうかという議論の附属書の文書にしても、これ、国会では英文の解釈問題みたいな議論も拝見しましたが、私から言わせれば、まさに玉虫色の、グレーにどっちも取れるという典型的な交渉の中で、もうはっきり言うと、どっちか、どっちも困っちゃうというようなですね、ので、苦肉の策で設定した文書というふうに思っています。

ですから、アメリカの側もはっきりと制裁関税を課さないというふうには書きたくないわけですよ。そして、関税撤廃にしても、将来の交渉の対象にするなんという曖昧なことを書いたのは、私は実は約束していないからだと思っていますけれども、はっきり書けばもう大変なことになるということなので、ここは是非、重大な事実だと思っています。なので、それを曖昧なまま、それぞれの説明が違うという状態を放置したまま批准すれば大変な問題になると思っていますので、是非追及をいただきたい点でございます。

伊波洋一君

ありがとうございました。