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国政報告 / 議事録

外交防衛委員会 閉会中審査(2017年9月5日)

2017.1.20~6.18第193回常会

伊波洋一君

沖縄の風の伊波洋一です。

八月二十九日の北朝鮮の事前の通告のない我が国上空を通過する弾道ミサイル発射に続いて、北朝鮮が国連決議を無視して九月三日に六回目の大規模な核実験を実施したことは、東アジアのみならず国際社会への挑戦であり、沖縄の風としても九月三日の北朝鮮による核実験に厳重に抗議いたします。

九〇年代以降の北朝鮮の核開発は、五回にわたる核実験の強行を経て、今や弾道ミサイルに核弾頭を装備できるまでに至ったと言われています。八月二十九日の弾道ミサイル発射も核攻撃を目指すものです。今回の六回目の核実験は七十キロトンとされ、広島型原爆の四倍、長崎型の三倍です。特に北朝鮮は今回の核実験を水爆成功と誇示し、その威力を数百キロトンまで調整できるとしています。現実に核ミサイルを発射することになれば、国際社会全体を敵にすることになります。北朝鮮といえども国際社会全体を敵にしようとしているとは考えられません。

北朝鮮の核開発を阻止できていないという意味では、米国の核兵器による抑止力は機能しなかったと言えるのではないでしょうか。政府の認識を伺います。

外務大臣(河野太郎君)

一般に抑止というのは、侵略を行えば耐え難い損害を被ることを明白に認識させることにより侵略を思いとどまらせるということが抑止でございます。そういう意味において、核戦力を含むあらゆる種類の能力を通じた米国の拡大抑止は有効に機能していると政府は認識しております。

伊波洋一君

我が国は唯一の被爆国として、国際社会において、核抑止力への依存ではなく核兵器の廃絶を訴え続けることが重要ではないでしょうか。

三月に安倍総理も確認しているとおり、核兵器を持たず、作らず、持ち込ませずという非核三原則が我が国の国是です。政府は核兵器禁止条約について核不拡散につながらないと反対しましたが、七月には国連で核兵器は違法とする核兵器禁止条約が制定されました。

現段階では、北朝鮮の核開発など、NPT体制は機能不全に陥り、抑止力よりも核の脅威が現実化しています。日本政府としては、実効性の乏しい核抑止論にしがみつくのではなく、唯一の被爆国という原点に立ち返り、国際的な核兵器禁止の世論形成に努めるべきではないでしょうか。

我が国も核兵器禁止条約を批准すべきと考えますが、外務大臣の見解を伺います。

外務大臣(河野太郎君)

米国の拡大抑止は有効に機能しているというのが政府の認識でございます。

他方、この核兵器禁止条約については、我が国の核軍縮に関する基本的な考えは、核兵器の非人道性に対する正確な認識と厳しい安全保障環境に対する冷静な認識、この二つの認識の下、核兵器国と非核兵器国の協力を得て現実的かつ実践的な取組を積み上げていこうというのが我が国の基本的な考え方でございます。

この核兵器禁止条約は、核兵器国の賛成を得られず、非核兵器国の中も賛成、反対、二つに割れております。むしろ、我が国は、核兵器国と非核兵器国との橋渡しをすることによって核兵器のない世界を目指す現実的、実践的な措置を積み上げていく必要があると思っておりまして、具体的には、今度広島で開催をする核兵器国と非核兵器国の信頼関係の再構築を賢人会議を通じて行っていく、あるいは両者が参加をするNPTの維持、強化、あるいはCTBT、FMCTの早期交渉開始、早期発効ということに向けて取り組んでまいりたいというふうに思っております。

伊波洋一君

いずれにしろ、核兵器禁止条約を批准したそれぞれの国々が、我が国に対する信頼を失われないように頑張っていただきたいと思います。

北朝鮮の核・ミサイル問題の解決に向けて日本政府は、八月二十九日の官房長官声明でも米国、韓国、中国及びロシアと連携を強化しと、中国との連携を表明しております。北朝鮮の核・ミサイル問題の解決に向けて日中の連携強化は極めて重要と考えます。そのために、日中間の信頼醸成が必要です。特に、本年は日中国交正常化四十五周年、来年は日中平和友好条約締結四十周年です。私は、この節目を生かして、日中は全般的に協力、連携の強化、信頼関係の醸成を図っていくべきと考えます。

外務大臣にお伺いします。日中関係について所見を伺います。

外務大臣(河野太郎君)

中国が地域あるいは国際社会に建設的に貢献をしていく、そしてその中で平和的に発展をしていくというのは極めて好ましいことだと思っております。

日本と中国の両国は、この東アジアにおきまして平和と繁栄に大きな責任を共有しております。もちろん、北朝鮮問題についても連携をしていく必要があるというふうに思っております。日中、隣同士ですから、様々な問題もございますが、戦略的互恵関係の考えの上に、懸案を適切に処理しながら、あらゆる分野で協力と交流を推し進めていきたいと思っております。

特に、日中がお互い向き合うだけでなく、日本と中国が肩を並べて、気候変動ですとかあるいは世界的な伝染病の予防、対処といった地球規模の問題に日中が肩を並べて取り組んでいくというようなこともこれから大事だと思いますし、北朝鮮の、朝鮮半島の非核化ということが日中共通の目標であるということに向けて緊密に連携しながら当たっていきたいと思っております。

伊波洋一君

是非、今年、来年、大変大事な節目を生かしていただきたいと思います。

報道では、米国のあらゆる選択肢の中に軍事的オプションが含まれているとされています。一方で、北朝鮮と米国は水面下で外交交渉を継続しているとされ、今後北朝鮮が米国に直接の脅威となっているICBM技術か核兵器技術を放棄すると譲歩した場合、米国が北朝鮮と平和協定を締結することもあり得るという報道もあります。

どういう方向に向かうのか予測できない状況だと思います。戦争となれば在日米軍は真っ先に攻撃されることになり、我が国も戦争に巻き込まれることは明らかです。三沢、横田、横須賀、岩国、嘉手納基地などの主要な在日米軍基地が攻撃対象となる可能性は否定できません。こうした米軍基地周辺住民の避難も、政府による事態認定がされない限り、国民保護法制による避難誘導など国民の保護は図られません。

そもそも、想定される核ミサイル攻撃に対して避難方法があるのか極めて疑問です。戦争を避けることに最大の努力をすることが求められているのではないでしょうか。河野大臣、我が国として戦争は受け入れられないということを政府として明らかにすべきではないでしょうか。

外務大臣(河野太郎君)

今回の北朝鮮の一方的な暴挙による朝鮮半島での緊張の高まりに対して、米国は拡大抑止を含むあらゆる抑止力を我が国に提供してくれております。そのことによって北朝鮮が韓国や日本といった同盟国を恫喝をしたり武力を行使したりすることを防いでいるわけでございますので、我々としては、日米韓、緊密に連携をしながら、中国、ロシアにも役割を果たすことを求めながら、北朝鮮の非核化へ向けた明確な意思表示、そして具体的な行動、これが見られるように圧力を掛け、最終的な対話に持っていきたい、そう考えております。

伊波洋一君

アメリカは、この北朝鮮との関係、時間がそんなにないと考えている節があります。つまり、その中のオプションの軍事的オプションというのは、北朝鮮からではなくてアメリカから行われる可能性もある。

その際に、先ほど申し上げたようなことが我が国内で起こってくるということを考えるならば、やはり私たちはここで話し合い、外交というものを重視をして国際社会に訴えるような形、つまり戦争というオプションは我が国として認められないということをやはり言うべきではないかということを訴えて、終わりたいと思います。