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国政報告 / 議事録

外交防衛委員会(2018年5月15日)

2018.1.22~7.22 第196回常会

配付資料ダウンロード

伊波洋一君

沖縄の風の伊波洋一です。今日は五月十五日、四十六年前の今日、一九四五年の沖縄戦の後、二十七年間米軍に占領されて、強制的に土地が取り上げられ、米軍基地の島にされてきた沖縄が日本に復帰しました。しかし、県民が願った米軍基地の全面返還ではなく、核抜き本土並みと日米政府が合意して日本に返還されました。核抜きは実現されましたが、多くの基地はそのまま存続し、米軍基地の負担は取り除かれることなく四十六年継続し、一層過重負担になり、いまだに新基地建設が続き、米軍関連の事件、事故が絶えません。

沖縄の米海兵隊と米空軍は、六十年以上休戦中の朝鮮戦争をにらんで配備されてきました。今、朝鮮半島では南北対話が始まり、米国を含めた戦争当事者国での戦争の終結に向けた動きが始まろうとしています。朝鮮半島での南北和平の実現を沖縄の基地負担の解消につなげなければなりません。これは政府の責任です。私はそのことを追求していきます。

それでは、沖縄県辺野古新基地建設問題について伺います。現在、県民の反対を押し切って、強行的に辺野古での新基地建設工事が進められています。配付資料のように、五月二日にK4護岸の作業現場沖のオイルフェンスの内側でウミガメが確認され、地元紙にも報道されています。当日の動画を含む資料でも確認をしましたが、確かにオイルフェンスの内側で泳いでいます。辺野古周辺はウミガメの生息地であり、環境アセスでも保護対策の対象とされています。ウミガメが春から秋にかけて砂浜に上陸して産卵をすることから、特にこの季節の保護対策は重要です。

防衛省は、日時、場所を確認していますか。また、今年に入ってウミガメを確認していますか。

政府参考人(防衛省 西田安範君)

お答えを申し上げます。委員御指摘の報道については承知をしてございます。

防衛省におきましては、公有水面埋立承認願書等の添付資料である環境保全に関し講じる措置を記載した文書を踏まえまして、工事期間中、毎日監視船によりウミガメ類の施工区域への来遊状況について目視調査をしているところでございますが、当該調査においては、五月二日、ウミガメ類の来遊は確認をされておりません。

また、今年に入ってから、当該調査においてウミガメ類の施工区域への来遊は確認されておりません。いずれにしましても、事業の実施に当たりましては、引き続き作業の安全に留意した上で、関係法令に基づき、自然環境や住民の生活環境にも最大限配慮し、着実かつ適切に実施していく考えでございます。

伊波洋一君

配付した資料の二枚目は、当日の動画から画面をキャプチャーしたものですが、五月二日、午前九時十分頃、K4護岸とオイルフェンスの間の水面にウミガメが顔を出しており、ちょうど奥にあるのが海保の警備艇も視野に入っていることは客観的に明らかです。現場に居合わせた抗議船の乗員も警備船や作業船にウミガメがいることをアピールしています。

当日、現場海域に出ていた監視船、警備船、作業船などの乗員に聞き取り調査を行って、ウミガメを現認したりウミガメがいるという声を聞いた者がいなかったか確認しましたか。海保の警備艇はどうでしょうか。

政府参考人(防衛省 西田安範君)

お答えを申し上げます。ウミガメ類の来遊状況の調査を実施しております監視船につきましては、五月二日にはウミガメ類を確認していないという旨を聞き取りをしてございます。 警備船、作業船、海上保安庁の警備艇につきましては、乗員等多数でありますことから、網羅的に聞き取り調査を行っているわけではございませんが、現在のところウミガメ類がいたという旨の情報は受けていないところでございます。

伊波洋一君

沖縄県選出国会議員のうりずんの会では、警備船に関して、五月二日に沖縄防衛局に対して申入れを行いました。辺野古新基地建設に伴う海上警備では、これまで四年間で百四億円も支出されていますが、ライジングサンセキュリティーサービス社は警備の人数を水増しして、合計二十六億四千万円もの過大請求を行っていたことも報道され、明らかになりました。

五月二日には、三隻のジュゴン、ウミガメ、海生生物監視船等、複数の警備船が配置されていたにもかかわらず、目の前のウミガメを確認をしていません。市民の抗議船や抗議カヌーに直接対応するのは海上保安庁の警備艇であり、警備船ではありません。この警備船に四年間で百四億円も支出をしながら、本来一番大事な環境保全対策がなおざりにされています。これでは何のための監視船なのかと言わざるを得ません。当日、当該水域に出ていた船の乗員に改めてきちっと調査をして、時刻と場所を確認すべきです。

あわせて、防衛省において、これまでの監視船、警備船、各年度の隻数と支払額の開示、これまでの監視船の海生生物の確認の実績、五月二日の監視船、警備船の日報の開示を、委員長、委員会に御報告いただけるよう、お取り計らいをお願いします。

委員長(三宅伸吾君)

後刻理事会にて協議いたします。

伊波洋一君

K4護岸の工事区域、オイルフェンスの内側でウミガメが発見されたことは非常に重大です。

平成二十五年十二月二十七日の前仲井眞知事の埋立承認には、別紙の事項に留意されたいと明記され、留意事項が付いています。公有水面埋立法では、民間の事業者に対して埋立条件が付される代わりに、事業者としての国に対しては留意事項として付されるものです。事業者としての国は当然守らなければなりません。

前仲井眞知事の埋立承認に付された留意事項は、一、実施設計について事前に県と協議を行うこと、二、工事中の環境保全対策等について、三、供用後の環境保全対策等について、四、添付図書の変更についての四点です。二の工事中の環境保全対策についてには、「環境監視等委員会(仮称)を設置し助言を受けるとともに、特に、外来生物の侵入防止対策、ジュゴン、ウミガメ等海生生物の保護対策の実施について万全を期すこと。」「また、これらの実施状況について県及び関係市町村に報告すること。」と記されています。

防衛省には留意事項第二項を誠実に履行していただきたいが、いかがでしょうか。

政府参考人(防衛省 西田安範君)

お答えを申し上げます。防衛省といたしましては、普天間飛行場代替施設建設事業の実施に際しましては、沖縄県から公有水面埋立承認書の別紙として付されました留意事項につきまして適切に履行しながら工事を進める考えでございます。

ジュゴン及びウミガメ類につきましては、例えば船舶等の衝突を回避するため工事用船舶に見張りを励行させるほか、衝突を回避できるような速度で航行すること、それからジュゴンに関しては、作業船の航行に当たっては、ジュゴンが頻繁に確認されている区域内をできる限り回避し、沖縄島沿岸を航行する場合は岸から十キロ以上離れて航行すること、海上作業の実施に当たって、ヘリコプター、船舶等によりジュゴンの調査を行っており、近傍でジュゴンが確認された場合には作業を休止する等、ジュゴンに十分配慮して作業を行うこととされております。

いずれにしましても、事業の実施に当たりましては、引き続き作業の安全に留意した上で、関係法令に基づき、自然環境、住民の生活環境にも最大限配慮し、着実かつ適切に実施していく考えでございます。

伊波洋一君

オイルフェンスの内側でウミガメが確認された場合は、防衛省としてはどのような対応を取るのですか。

政府参考人(防衛省 西田安範君)

お答えを申し上げます。事業の実施に当たりましては、先ほど申し上げましたように、ウミガメ類との衝突を回避するため、工事用船舶に対して見張りを励行するほか、ウミガメ類との衝突が避けられるような速度で航行するなどの措置を適切に実施をしているところでございますが、監視船によりますウミガメ類の来遊の状況調査及び大浦湾側の陸上からの目視調査においてお尋ねの施工区域内でウミガメ類が発見された場合には、付近の工事受注者等に注意喚起を行うこととしております。

伊波洋一君

実施状況について、県及び市町村に報告した事例はありますか。

政府参考人(防衛省 西田安範君)

お答えを申し上げます。お尋ねの監視船による調査につきましては、いわゆる事後調査の一環として行っているものでございまして、事後調査報告書を取りまとめて報告をするということとしてございます。

伊波洋一君

じゃ、その工事中のことではないわけですか。留意事項については、今答弁のように、重要な海生生物であるウミガメを確認しても船のスピードを下げて衝突を回避するだけということのようですが、この報道されたウミガメは二十分近く工事現場の海域を回遊していたと言われています。四月から十月は上陸産卵期であり、発見された市民も、このところウミガメを見付けることが多くなっている、フェンスが何重にも張り巡らされていて浜に近づけないと、途方に暮れているのではないかと心配ですというふうにこの「辺野古ぶるー」のフェイスブックに書いています。

防衛省のウミガメに関する工事海域への回遊についての説明の中で、工事がウミガメ類に影響を及ぼす可能性があると判断される場合は、施工方法の見直しや新たな環境保全措置の検討を行うこととするとしています。今の答弁はそのこととは違うんじゃないですか。

つまり、皆さんが環境監視等委員会で資料を提出して話をしたことの中にこういう指摘があるわけですけれども、今回、五月二日にフェンスの中に入っているウミガメがいるということは明らかです。そういったことに対してどういう対応をするんですか。

政府参考人(防衛省 西田安範君)

お答えを申し上げます。御指摘のように、先ほど来申し上げてございます監視船による調査におきまして、ウミガメ類が施工区域へ接近し、工事用船舶によるウミガメ類の移動経路の阻害やウミガメ類の工事区域からの逃避行動が確認され、工事がウミガメ類に影響を及ぼす可能性があるような状態が継続していると判断される場合には、部外の専門家から構成される環境監視等委員会の指導、助言を踏まえつつ、施工方法の見直しや新たな環境保全措置の検討を行うこととしており、これにつきましては、これまでの環境監視等委員会でも御説明をしておるところでございます。

伊波洋一君

皆さんはそのウミガメを発見していないと。百四億円も金を掛けながら、その監視等をやっていながら、今年に入って一回も見ていないと。でも、そこで抗議をしている市民は度々見ていると。そういうこのギャップ。

あたかも皆さんの対策というのは、環境に対する対策というのは節穴じゃないですか。つまり、見るべき役割のところにこれだけ莫大なお金が投じられているのに、そのことで一度も見ていない。だから、その対策はしていないということであるわけですよね。

こういう留意事項では、ジュゴンの場合はどうなんですか。ジュゴンも留意事項では並列的にウミガメと書かれています。工事区域でジュゴンが発見されても、工事は停止しないで、船のスピードを下げて衝突を回避するだけなんでしょうか。

政府参考人(防衛省 西田安範君)

お答え申し上げます。ジュゴンにつきましても、基本的に先ほど申し上げたようなものと同じような措置になるということでございます。

伊波洋一君

去る四月十九日、環境監視等委員会の副委員長を含む三名が四月十日付けで辞任したことが報道されました。辞任理由はどのようなものですか。副委員長だった方は、二〇一五年に辞任の意向を表明した際にも、環境保全という意味で審議してくれるんだったらいいんですけど、そういった審議ではなかった、沖縄の意見は全然通らないと語っており、県民からは改めて委員会の科学性、中立性に疑義が生じています。

防衛大臣の所見を伺います。

防衛大臣(小野寺五典君)

三名の委員の辞任について、辞任したい旨連絡があったことを受け、四月九日の環境監視等委員会で報告がなされ、四月十日付けで通知を行ったところです。各委員の辞任理由について、各委員の個人に関わる情報であり、具体的に申し上げることは差し控えさせていただきます。

いずれにしましても、当該委員会については、普天間代替建設事業の環境影響評価書に記載しているほか、仲井眞前知事から公有水面の埋立承認の際の留意事項として設置を求められていたものであり、同事業を円滑に適正に行うため、環境保全措置及び事後調査等に関する検討内容の合理性、客観性を確保するため、科学的、専門的助言を行うことを目的に設置したものであり、引き続き、同委員会の指導、助言を踏まえて環境保全に万全を期して取り組んでまいりたいと思っております。

伊波洋一君

今回の留意事項について、これは公有水面埋立法の、まあ要するに許可してはいけない条件、第四条一項二号、「其ノ埋立ガ環境保全及災害防止ニ付十分配慮セラレタルモノナルコト」と、つまり、十分に環境保全が対策されていないという場合は、それは許可はしてはいけないと、埋立て、免許はですね。

で、仲井眞知事のときにも、要するに、環境保全の担当部署は最後までこれは許可すべきではないという立場だったわけですよ。それに対して、あの留意事項で、これを守ることによって免許が承認がされたという経緯があります。ですから、この問題というのは極めて重要なんです。

私は、やはり今のこの、高江がまさにそうですけれども、要するに、早く造ることを優先をして、アセスや勧告を全部御破算にしてやってしまった。で、今回もそうです。ですから、そういうことにならないようにしっかり取り組まなきゃいけませんよ、皆さんは。

日本環境管理基準、JEGSにおける保護種にはウミガメが規定されています。オイルフェンスの内側は米軍の臨時制限区域であり、まさにJEGSが適用される水域です。仮にウミガメが米軍管理区域で確認されたとすれば、JEGSに基づき、米軍も環境保全義務を果たさなければならないはずです。

ウミガメを確認した上で、米軍にきちんと情報を提供すべきではありませんか。

政府参考人(防衛省 西田安範君)

お答え申し上げます。監視船によりますウミガメ類の施工区域への来遊状況についての目視調査は、普天間飛行場代替施設建設事業の実施に当たりまして、工事に伴う影響がウミガメ類に及んでいないかを確認することを目的としているものでございますが、事後調査報告書として取りまとめ、米軍に提供することとしてございます。

伊波洋一君

先ほど申し上げたように、百四億円も掛けて、四年間で百四億円も掛けて警備船を配置している。あるいは監視船もそうでしょうか、でも見付け切れない。でも、それに更に二十六億四千万円も水増し請求をされたという話ですよね。こんなこと片一方あって、肝腎の保全をするという皆さんの一番の責任、海の保全をするという、そのことがなおざりにされていることを指摘して、引き続き追及をしてまいります。

次に、日本環境管理基準、JEGSについて伺います。二〇一五年九月三十日に、沖縄防衛局から沖縄県を含む県内二十二自治体に環境補足協定に伴う情報提供が行われています。しかし、この情報提供、皆さんの資料にもありますけれども、前日に署名された環境補足協定の概要や条文を自治体にファクスで送信しただけであり、自治体にとっての意義が理解されるようなものにはなっていません。JEGSには、国指定の絶滅危惧種ではない希少生物も保護種としてリストアップされています。このことから、各自治体の保護種を含め、米軍が独自に情報収集をしているものではないかと考えられます。こうした米軍との情報共有のためには、今こそ関係自治体に日本政府の認識を説明する必要があると思います。

小野寺大臣は、四月十日の当委員会で、「防衛省としても、関係省庁と連携しつつ、平成十二年の環境原則に関する共同発表及びJEGSに基づき、米国が環境保護及び安全への取組を適切に実施するよう機会を捉えて働きかけてまいりたいと考えております。」と、防衛省としても環境原則に関する共同発表、JEGSに基づいて米軍に環境保護等を取り締まらせる責務を負っていることを明言していただきました。このことを米軍施設・区域の関係者や関係自治体などにも認識してもらうべきです。

防衛大臣、日本政府の認識も含めて、内容を改めて地方防衛局から関係者、関係自治体への情報提供を行うべきだと考えますが、御所見を伺います。

政府参考人(防衛省 深山延暁君)

お答え申し上げます。委員御指摘のとおり、平成二十七年に環境補足協定締結に伴いまして、我々は関係自治体に関係書類を御送付しまして情報提供をさせていただきました。 先ほど御指摘もありましたように、大臣からもお答え申し上げておりますけれども、防衛省といたしましては、在日米軍に起因する環境問題については、関係省庁と連携し、JEGSの遵守を含め、米軍が環境保護及び安全への取組を適切に実施するよう働きかけてきており、これからも機会を捉えて働きかけていくことは当然のことであると考えております。

また、このような防衛省の取組に関しては、必要に応じて米軍施設・区域の関係者や自治体に御説明を行ってまいりたいと考えておるところでございます。

伊波洋一君

最後の質問ですが、少なくとも今年はJEGSの改定が予定されています。少なくとも今年中には関係者、関係自治体に対して日本政府の認識も含めて情報提供をする必要があるのでないかと考えますが、防衛大臣、いかがでしょうか。

政府参考人(防衛省 深山延暁君)

お答え申し上げます。先ほども御答弁をいたしましたが、今後、委員御指摘のように、また新たな情報を我々が得て、それをお知らせする必要が生じた場合などにおきましては、これまで行っておりましたとおり、関係自治体の方々を含め関係者の方々にお知らせをしてまいりたいと考えております。

伊波洋一君

まとめますが、これまで行っていたとおりとは言えないでしょう、行っていないんですから。是非、日本政府として、環境原則に関する共同発表、JEGSに基づいて米軍に環境保護を取り組ませる責務を負っていることをきちんと関係者、自治体に伝える努力をしていただくよう求め、質問を終わります。